ミナミサンリク移住カフェせきららVol.2「海も山も遊び尽くす!アウトドア移住者大集合」

南三陸町に移住した人たちがざっくばらんに本音トークを繰り広げるライブ配信コンテンツ「ミナミサンリク移住カフェせきらら」の第2回目の配信がYouTubeLIVEで7月11日(日)に行われました。今回は南三陸でアウトドアライフを満喫する移住者たちが大集合!定番のアウトドアスポットはもちろん、移住したからこそ出会えたというとっておきのスポットも紹介してくれました。移住者目線で語る南三陸の自然の魅力をお伝えします。

「ミナミサンリク移住カフェせきらら」とは?

「ミナミサンリク移住カフェせきらら」は南三陸町移住・定住支援センターと町公式メディア「南三陸なう」が共同企画し、毎月11日にYouTubeLIVEにて座談会を実施、南三陸町に集うさまざまな移住者の姿をお伝えするライブ配信コンテンツです。

自らも移住者でこのカフェの店長を務める藤田岳さんが毎回テーマに合った3人の移住者をゲストに迎え、移住のきっかけや暮らしながら見えてきた町の魅力、時には不便さなど、移住者ならではの率直なせきららトークを聞き出します。

ライブ配信中の様子 今回はカフェを飛び出してキャンプ場をイメージしたセットで行われました。

 

第2回目のトークテーマは「アウトドア移住者」

今回、お招きしたのはアウトドアが大好きという3名の移住者。ライブ配信では山も海もある自然豊かな南三陸町でアウトドアライフを満喫している3人に、移住のきっかけや南三陸で普段どんなアウトドアを楽しんでいるかなどを伺いました。

カフェ店長の藤田岳さんとアウトドア好きの移住者のみなさん

今年4月、北海道から移住した佐藤快成さんは学生時代、ヒッチハイクで全国を旅したというつわもの。コロナ禍の自粛生活中に出会った南三陸の移住者たちの動画をきっかけに、一度も訪れたことがない南三陸に移住を決めたそうです。現在、観光協会に所属し、休日は職場の先輩たちと山登りやシーカヤックなどのアウトドアを楽しんでいるとのこと。

職場の先輩とシーカヤックを楽しんだと話す佐藤さん

 

登山やマラソンが趣味という鈴木麻友さんは震災後のボランティアをきっかけに移住。現在はまちづくりの仕事に携わっています。町の山好きの人たちと一緒に近隣の山をはじめ、時には北アルプスなど遠方まで足を伸ばし、登山を楽しんでいるそうです。

町の人と一緒に北アルプスの唐松岳に登ったと話す鈴木さん

鈴木さんは「登山は登りながらおしゃべりする時間も楽しみのひとつ。アウトドアが町の人とのコミュニケーションツールのひとつになっています!」と話します。

 

高校卒業後に町を出て、家業を継ぐために13年ぶりに戻ってきたUターン移住者の阿部将己さん。「戻ってくるまで南三陸は何もない町だと思っていた。町に戻った時に、自然豊かな町の魅力に気づかせてくれたのは移住者のひとたち。今は山をフィールドに思いっきり遊び尽くす社会人サークルを立ち上げ、月に一回活動している。あまり知られていない山に登ったり、山菜を採り天ぷらにして食べたりしてアウトドアを楽しんでいる。」とUターンをきっかけにアウトドアに目覚めたと語ってくれました。

山菜採りをした後に天ぷらにして味わったと話す阿部さん

日常がアウトドアに!アウトドア好きならぜひ南三陸町へ

トーク中は南三陸町で楽しめるアウトドアスポットが次々に登場。つつじの名所で町内屈指のビューポイントでもある田束山、海と森に囲まれた神割崎キャンプ場、シーカヤックやSUPが楽しめる志津川湾、民話や伝説が多く残る入谷地区にある惣内山や神行堂山など、定番スポットからマニアックなところまで、数々のアウトドアスポットが紹介されました。

田束山 5月には山一面につつじが咲き誇り、頂上からは南三陸町が一望できる

参加者のみなさんは「アウトドアというと、事前に計画を立てて、非日常を求めてわざわざ自然豊かなところに行くという感覚だったが、ここは海も山も思い立ったらすぐに行ける距離にある。生活の中にアウトドアが密接しているところが南三陸の魅力だと思う。」と口をそろえて話していました。

 

移住者の本音を聞き出す「ミナミサンリク移住カフェせきらら」、次回は8月11日(水)20時からYouTube「南三陸なうチャンネル」でライブ配信の予定です。テーマは今回とは打って変わって「インドア移住者」。南三陸でおうち時間を楽しむ移住者に、とっておきのおうちでの過ごし方について伺います。

次回の配信もお楽しみに!

 

「ミナミサンリク移住カフェせきらら」アーカイブ映像

vol.0「南三陸移住の今を知る」

vol.1「なぜ埼玉県民が南三陸に惹かれるのか?」

vol.2「山も海も遊び尽くす!アウトドア移住者大集合」

カエルもイモリもガムシも!入谷小学校の児童が地元の田んぼで生きもの観察。

入谷三山のひとつ、童子山のふもと童子下集落に子どもたちの笑い声が響いていました。15年以上続く伝統イベントの入谷小学校児童による田んぼの生きもの観察。カエルやトンボ、イモリやガムシなど貴重な生きものも見つかり子どもたちも大興奮。身近な自然環境を知るきっかけになると共に、食の大切さを学ぶ時間となりました。

15年以上続く地域の伝統イベント

梅雨の合間の晴れ渡った空のもと、南三陸町入谷童子下地区の田んぼにて、入谷小学校3年生と4年生の計20名が田んぼの生きもの観察を行いました。この生きもの調査はなんと15年以上も続く入谷地区のこの時期の伝統的なイベント。新童子下集落(中山間直接支払事業)が主催、南三陸米地産地消推進協議会の共催となり、子どもたちへの食農教育を目的に地域総動員で関わるイベントです。

毎年3年生が生きもの観察を行なっていましたが、2020年は天候不順により延期となってしまったため、2021年に3年生と4年生が合同で観察をしました。

泥んこになって生きものを探す子どもたち

田植えから1ヶ月半ほど。稲が順調に青々と茂るなか、あぜ道や用水路に網を入れてすくってみると、出てくる出てくる。蝶々やトンボを追いかけて網を片手にあぜ道を走り回り、イモリを捕まえるために狙いを定めて網ですくったり。地元に住んでいて身近に自然があるとはいえ、なかなか生きものを捕まえる機会は珍しいのかもしれません。夢中になって泥んこになりながらたくさんの生きものを捕まえていきます。

トウキョウダルマガエルにニホンアマガエル、ニホンアカガエルとカエルだけでたくさんの種類が。さらにアキアカネや貴重なイトトンボ、トンボの幼虫であるヤゴもたくさん見つかりました。さらに、ガムシ、アカハライモリ、コウイムシなどたくさんの生きものを発見。かんがい用地の仕掛けには、たくさんのドジョウの姿もありました。

貴重な環境は農家さんの努力のたまもの

講師を勤めた三塚牧夫さん(ナマズのがっこう事務局長)はこの童子下集落の環境について「南三陸だけではなくて、県内でみても非常に貴重な環境が残っている場所。ほかでは観察できないような生きものが生息している」と話します。貴重な環境が残っている要因として下記の点をあげていました。

・無農薬でお米を育てている人がいること
・稲が生長する段階で「中干し」という工程をしない人がいる
・田んぼのすぐ近くに山がある
・水路などにゆるやかに水が流れている
・中山間地ならではの小さな田んぼが多くあぜ道が多い

そして「何より農家さんが田んぼをしっかりと維持してくれていること。それが食べものだけではなく生きものの環境も守っている」と話しました。

身近な環境の豊かさを知る機会に

今日観察した田んぼの豊作を願いながら、入谷地区でとれたお米を使った「おにぎり」を食べた子どもたち。身近にある田んぼで多くの生きものが暮らしていること。そしてそれらは入谷地区では当たり前でもほかの地区ではとても珍しいこと。自分たちが住んでいる環境がどれだけ豊かな環境かということを知る機会となったのではないでしょうか?

町のシンボルが絵本に!「イヌワシの棲む山」町内の小中学校へ寄贈

南三陸ネイチャーセンター友の会(会長:鈴木卓也)が国の天然記念物で町のシンボルでもある、イヌワシを題材にした絵本「イヌワシの棲む山」を製作・発行しました。子どもたちの地域学習に役立ててほしいと南三陸地域の小中学校や図書館、公民館に配布されることになり、それに先立ち先月25日、南三陸町内小中学校への寄贈式が行われました。

「イヌワシの棲む山」ってどんな山?

絵本を製作したネイチャーセンター友の会によると、南三陸地域にはかつて4ペアのイヌワシの棲息が確認されていましたが、2000年代に入ってからはペアの消失が相次ぎ、ここ10年でほとんど見られなくなったそうです。数を減らしている原因として、山の環境の変化があげられるといいます。翼を広げると2mほどの大きさとなるイヌワシが餌となるウサギなどを採るためには草地や伐採地が適していますが、森が管理されていないとイヌワシにとって棲みにくい環境になってしまうのだそうです。逆に言えば、イヌワシが棲む山は管理が行き届き、持続可能な地域産業としての林業が成立している証ということになります。

2019年には南三陸町を中心に林業を営む株式会社佐久と東北森林管理局とが手を取り、官民連携の取り組みとしては全国初のイヌワシの棲息環境の再生を目指す森林計画を策定しました。現在も伐採と再植林を計画的に実施し、イヌワシの狩り場となる環境を維持しようという取り組みがされています。

絵本の内容は、9歳の少年“たっくん”が“じいちゃん”に連れられて、かつてイヌワシが棲息していた山に登り、不思議な体験をするというもの。絵本を読みながら、イヌワシが棲める山にするには何が必要なのか、人の営みと自然が調和した地域づくりの大切さについて学ぶことができます。

優しいタッチで描かれる南三陸の美しい風景も印象的

地域資料としても貴重な一冊

巻末には日本のイヌワシの棲息状況や、イヌワシと関わりの深い林業の話、60年以上南三陸地域でイヌワシの研究をし、昨年6月に亡くなった立花繁信さんについても書かれおり、イヌワシと南三陸のつながりを知る上でも貴重な一冊となっています。

鈴木さんは、「小学生の頃から志津川愛鳥会に所属し、会長の田中完一先生や顧問だった立花繁信先生には鳥の見方や自然との付き合い方を教わった。絵本の内容は立花先生から教えていただいた話や、残してくださった資料をもとに書いている。イヌワシの研究を重ね、熱心に保護活動をしてきてくれた人たちがいるからこそ、地域の自然が守られてきた。それが今のFSC認証取得やラムサール条約登録など地域の環境を生かしたまちづくりに結びついている。そのことを子どもたちに伝えたい。」と話し、絵本に登場する“じいちゃん”が立花さんをモデルにしていること明かしてくれました。“たっくん”と“じいちゃん”の心温まるやり取りからは、立花さんを敬い尊ぶ気持ちが伺えます。

南三陸ネイチャーセンター友の会 鈴木卓也さん

 

地域学習に役立て、将来イヌワシと共存するまちを取り戻したい

町の小中学校を代表して絵本を受け取った南三陸町教育委員会の齊藤明教育長は「子どもたちがこの絵本を通して、自然の大切さや、自然との共存について考えながら学んでほしい。いつの日か南三陸の空にイヌワシが戻ってくるように、子どもたちと一緒にまちづくりをしていきたい。」と話しました。

南三陸町教育委員会教育長 齋藤明さん

絵本は1,000部発行され、南三陸地域の3市2町(気仙沼市、石巻市、登米市、女川町及び南三陸町)の全小・中学校、図書館、公民館に寄贈されます。

地域おこし協力隊に熊谷海斗さん着任 デジタル技術を駆使して南三陸杉の新たな可能性を探る

南三陸町の新たな地域おこし協力隊の委嘱状交付式が6月24日、町役場で行われ、秋田県出身の熊谷海斗さん(26)が着任しました。熊谷さんは今後、一般社団法人南三陸YES工房に所属し、南三陸杉を活用した製品開発やモノづくりによる体験学習や交流事業を推進する役割を担います。そんな熊谷さんに移住のきっかけや今後の意気込みについて伺いました。

YES工房で2人目の協力隊員が着任

地域おこし協力隊は、地方自治体から委嘱を受け、地域の魅力発信や特産品の開発、住民の生活支援など、地域を活性化させる活動に取り組む都市部からの移住者です。南三陸町では隊員が地域の生活になじむことができるよう、また起業・事業継承に向けたノウハウを学びながら活動に取り組めるよう、町内で活動している事業者・団体が隊員を雇用する形をとっています。熊谷さんは、今年4月に着任した佐藤豪さんに続き、南三陸杉材の製品化・ブランド化に力を入れるYES工房に所属して、活動をしていくことになります。

南三陸町長から委嘱状を受け取る熊谷さん

「南三陸杉×デジタルファブリケーション」新たな取り組みの担い手に

今回、熊谷さんが担うのは「デジタルファブリケーションで南三陸杉の振興と交流を図るプロジェクト」。デジタルファブリケーションとはデジタルデータをもとにモノづくりをする技術のことで、3Dプリンターやレーザーカッターなどのデジタル工作機械を使って、設計したデータを木材や金属などの様々な素材から切り出して製品を作り上げます。

熊谷さんは東北工業大学でプロダクトデザインを専攻し、卒業後は仙台で住宅や家具を作る会社に就職。デジタルファブリケーションの機材オペレーターとして木製家具のデザインや製作を手掛けてきました。この経験を生かし、デジタルファブリケーションを取り入れた南三陸杉の新たな製品作りの担い手として活躍が期待されています。

パソコンの傍らデジタルファブリケーション機材を扱う熊谷さん

熊谷海斗さんに意気込みを聞きました!

―地域おこし協力隊員になろうと思ったきっかけは?

YES工房の阿部忠義さんとの出会いが大きいです。工房の機械を使わせてもらうために、南三陸には何度か足を運んでいました。会うたびに阿部さんの町に対する熱い思いを聞いて、自分の周りにはこれまでこんなに熱い大人いなかったなーと思って。阿部さんだけじゃありません、出会う人たちみんながどうすれば町がもっとよくなるか、おもしろいアイデアを次々と出して、実際に行動に移したりしているんですよね。一緒に何か作ったらおもしろそう、自分の持っている技術が生かせるんじゃないかと思って決めました。

―力を入れて取り組みたいことは?

南三陸杉で作る工房製品のブランド力を上げること。これまでは復興を応援する意味で製品を手に取ってもらう部分もあったと思いますが、製品そのもので勝負できる魅力的で使い心地のいいデザインのものを作りたいです。デジタルファブリケーションは人の手では作り出せないような複雑な形も表現できるので、これまで見たことのないような新しい製品を作って、南三陸杉のPRにつなげたいです。

―南三陸町で叶えたいことは?

南三陸杉で持続可能なまちづくりの仕組みができないか、可能性を探りながらいろんなことに挑戦してみたいです。魅力的な製品を作るのはもちろんですが、未利用材を活用して水車を作ってエネルギーを生みだしたり、杉の炭から電池を作ってエネルギーを蓄えるなど、作ったエネルギーを町の中で循環させるアイデアを形にできないかと考えています。将来、子供たちが地域資源を生かした循環型のまちづくりができるように、少しでも力になりたい。そのための体験学習の場も積極的に作っていきたいです。

今後は仙台と南三陸を行き来しながら活動

今月11日、仙台市内のファッションビルの一角にYES工房のアンテナショップがオープンしました。熊谷さんは、店の運営に携わりながら、南三陸杉を使った製品の販売促進や販路開拓を行います。今後は仙台と南三陸を行き来しながら、協力隊員の活動をするそうです。

「デジタルファブリケーションの魅力は時間や場所にとらわれないこと。仙台のアンテナショップにいながらでもパソコンがあれば新しい製品の設計をすることができます。そのデータを工房に送れば製品を形にすることができるんです。」

行き来しながらの活動は大変じゃないですかとの質問に「移動することがリフレッシュになっています。南三陸でモノづくりしているときは一日があっという間に過ぎてしまいます。自分の肌に合っているかもしれませんね。」と笑顔で話してくださいました。

2021年6月30日/定点観測

南三陸町市街地の復興の様子を定点観測しています。戸倉地区、志津川地区、歌津地区の3箇所の写真を公開しています。

戸倉地区

撮影場所 [38.642969, 141.442686

パノラマ

志津川地区

撮影場所 [38.675820, 141.448933

パノラマ

パノラマ

パノラマ

パノラマ

歌津地区

撮影場所 [38°43’5″ N 141°31’19” E

パノラマ

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震災後10年、人々の価値観の変容を描いた動画が映像コンテストで大賞を受賞!

震災後の南三陸町で生活する人々の価値観の変化を描いた動画「Changing Minamisanriku-震災から10年の変革-」(一般社団法人南三陸研修センター企画、株式会社はなぶさ制作)が一般社団法人東北映像製作社協会が実施する「東北映像フェスティバル2021映像コンテスト地域振興コンテンツ部門」で見事大賞を受賞しました。制作に携わったお二人に作品に込めた思いを伺いました。

震災10年で人々の価値観はどのように変わったのか?

「Changing Minamisanriku-震災から10年の変革-」は南三陸に生きる人たちの心の変化をインタビューでつづった映像作品です。14分間の映像には震災をきっかけに南三陸に移住して人生が変わった女性、震災後の町で新たな夢を見つけた若手就農者とその師匠、漁業を担う女性と漁師になるためにUターンしてきた息子が登場。震災によって多くのものを失いながらも“本当に大切なものは何か”に気づかされたこの10年の変化を語ります。

こちらの動画は南三陸町で企業や大学向けの研修を実施している一般社団法人南三陸研修センターが研修プログラムの教材動画として企画し、株式会社はなぶさ(南三陸町志津川)が制作しました。

全体構成とインタビューを担当した安藤仁美さんは「価値観の変化をテーマにしたいと言われたとき、町並みや産業など目で見てわかりやすい変化とはまた違った、深いところが描けるのではないかと思いました。心の変化をわかりやすく描くために、あらゆる年代や立場の人にインタビューしました。」と話します。

「特に印象的だったのはUターンをして家業を継いだ漁師の阿部和也さん。“家族との時間を大切にしたい”という自分の望むライフスタイルをかなえるため、サラリーマンを辞めて漁師に。この町で幸せそうに暮らす彼を見て、家業を継ぐというイメージがガラッと変わりました。」とインタビューを通して、新たな視点に触れることができたとも話していました。

価値観の変化を映像で表現する難しさ

映像を見ていると、インタビューに合わせて映し出される、そこでの暮らしを切り取った南三陸の美しい風景が印象に残ります。

撮影・編集を担当した佐藤孝範さんは「テーマには共感できたし、伝えたいメッセージもはっきりしていましたが、目に見えない“人の価値観の変化”をどうやって映像で表現するか、最初は悩みました。でも、何度も取材を重ねるうちに町の人たちの言葉そのものに力があると確信できたので、キーワードになる言葉を拾い、それに合わせた映像を丁寧に撮影するよう心掛けました。言葉に力があるからこそシンプルな編集が効果的にメッセージを伝えてくれたと思います。」と制作当時を振り返ります。

そんな丁寧な取材と高い映像技術で描いた点が高く評価され、今回の映像コンテストでの大賞受賞につながりました。昨年の同コンテストでの優秀賞に続き、今年はついに大賞を受賞したことについて佐藤さんは、「あまり賞とかにはこだわらないので、気にしていなかったのですが…、やっぱり大賞は嬉しかったですね。」と笑みをこぼしていました。

受賞作品の発表はオンラインで行われた。大賞の受賞が決まった瞬間、喜ぶ佐藤さん。(写真提供:はなぶさ)

これから先の10年を生きるヒントに

映像は「次の10年でどんな変革がおこるだろう?」というメッセージが投げかけられて終わります。

この動画の概要欄には

震災で失ったものは計り知れません。
しかし、震災によって気付かされたことも多くあります。
“本当に大切なものは何か?”“生きるとは?”
極限状態のなかでそんな問いを繰り返し自問してきた南三陸だからこそ、

“価値観の変化”が生まれたのかもしれません。
何よりも混沌としたこの時代。
この「価値観の変化」こそがこれからを生き抜く大切なヒントになるのではないか?

というメッセージが添えられています。

南三陸町に生きる人たちの“価値観の変化”に私たちがこれからを生き抜く大切なヒントが隠されているかもしれません。

移住者あつまれ!「ミナミサンリク移住カフェせきらら」開店!最初のお客様は埼玉県移住者のみなさん

南三陸町に移住した人たちがざっくばらんに本音トークを繰り広げるライブ配信コンテンツ「ミナミサンリク移住カフェせきらら」の第1回目の配信がYouTubeLIVEで6月11日(金)に行われました。南三陸ライフを満喫する移住者たちの、率直なトーク飛び交う現場を取材しました。

「ミナミサンリク移住カフェせきらら」とは?

「ミナミサンリク移住カフェせきらら」は南三陸町移住・定住支援センターと町公式メディア「南三陸なう」が共同企画し、毎月11日にYouTubeLIVEにて座談会を実施、南三陸町に集うさまざまな移住者の姿をお伝えするライブ配信コンテンツです。

震災後、復興や新たなまちづくりにまい進する南三陸町には全国から多くのUIターン者が集っています。移住した人たちが南三陸への移住を決めたきっかけや、実際に町で暮らしながら感じている魅力、時には不便さなども率直に話してもらいながら、移住者にとって南三陸町がどんな町なのかを伝え、移住を考えている人の参考にしてもらいたいというのが狙いです。

自らも移住者であり、このカフェの店長を務める藤田岳さんが毎回テーマに合った3人の移住者をゲストに迎え、移住者ならではの率直なせきららトークを繰り広げます。

左:カフェオーナで移住・定住支援センターの上野英律さん         右:カフェ店長の藤田岳さん

第1回目のトークテーマは「なぜ埼玉県民が南三陸に惹かれるのか?」

第1回目のテーマは「なぜ埼玉県民が南三陸に惹かれるのか?」。南三陸町移住・定住支援センターによると、2016年の開設から今年5月まで、関東地域から支援センターを通じて移住してきた人は全部で25人、うち埼玉県からは8人と関東1都6県の中で最も多いそうです。

埼玉県から移住してきたゲスト3名

昨年の5月に移住した辻正紀さんは「南三陸町は海のイメージが強かったが、林業にも力を入れていると知り、興味を持った。」と、様々な移住ツアーに参加する中で南三陸杉の魅力に触れ、移住を決めたと話していました。現在は藍染や木工製品を手掛けながら林業の勉強中だそうです。

今年の4月に移住した横川裕紀さんは大学時代にボランティアサークルで毎年南三陸町に訪れていたことがきっかけで移住。現在は南三陸町の観光協会に勤めています。

昨年10月に東京の会社から赴任という形で移住した西田早織さんは、「埼玉県民も南三陸町の人たちも、相手に合わせてコミュニケーションをする姿勢があると思います。コミュニケーションの取り方が似ているので心地よく過ごしやすいのかな。」と南三陸町に惹かれる理由について話していました。

南三陸町と埼玉県の意外なつながりが知れるクイズも登場

後半には南三陸町と埼玉県に関連するクイズも登場。南三陸町と埼玉県との意外なつながりに驚きながら、ゲストのみなさんは全問正解を目指し挑戦しました。

移住者たちの本音を聞いて移住・定住の判断材料に

企画した南三陸町移住・定住支援センターの上野英律さんは、「移住者に町での暮らしを率直に語ってもらうことで町を立体的にイメージしてもらえるのではないかと企画しました。ゲストをテーマでくくることで毎回違った視点で町の魅力が伝えられると思います。配信を見ながら、“この人と友達になってみたい!”って思う人がいたらぜひ町に足を運んでほしいです。町と人をつなぐきっかけになれば。」と話していました。

 

移住者の本音を聞き出す「ミナミサンリク移住カフェせきらら」、次回は7月11日(日)午後8時からYouTube「南三陸なうチャンネル」でライブ配信の予定です。テーマは「アウトドア系移住者」。南三陸町全体を遊びのフィールドとして楽しんでいるアウトドア好きの移住者に、海も山も遊び尽くす魅力いっぱいのアウトドアライフを紹介してもらいます。

次回の配信もお楽しみに!

 

「ミナミサンリク移住カフェせきらら」アーカイブ映像

vol.0「南三陸移住の今を知る」

 

vol.1「なぜ埼玉県民が南三陸に惹かれるのか?」

「オリンピックを環境について考えるきっかけに」南三陸でキャンドルナイトリレー開催

6月12日に南三陸さんさん商店街で、東京オリンピックをきっかけに環境について考える機会を作ろうと「2020キャンドルナイトリレー」が開催されました。新型コロナウイルスの感染拡大によりオンライン開催となりましたが、南三陸町民のインタビューや点灯式など盛りだくさんの内容で開催されました。

継続的に南三陸で活動する学生サークルが企画

2020キャンドルナイトリレー」は、「持続可能性」という観点で活動している全国の学生団体やサークルと協力して、全国の会場で開催していくイベント。開幕まで1ヶ月ほどと迫った東京オリンピックをきっかけに環境や持続可能性について考えるきっかけを作ろうと企画されたものです。北は北海道から南は九州まで全国9会場で開催。新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、オンライン開催へと移行している会場も多く、南三陸会場でも、南三陸さんさん商店街でオンライン開催となりました。

▼アーカイブ映像はこちらから

南三陸会場のキャンドルイベントを企画したのは、早稲田大学学生環境NPO環境ロドリゲスに所属する学生のみなさんです。環境ロドリゲスとは、7つの企画に分かれて活動している早稲田大学最大の環境サークル。「学生が主体となり多様なアプローチから環境問題の解決に貢献する」という理念をもとに活動しています。そのうちの1チームでは震災後、南三陸町での活動を展開してきました。これまで南三陸町内の水産加工会社と協力して、「鮭のうろこ」を使ったストラップや、「めかぶの粘液」を使ったスムージーなどの商品開発など本来捨てられてしまうものを利活用する企画を行いました。またほかに福興市の出展サポートなども行うなど町民と継続的な関係を築いてきました。

南三陸を通じて環境に対する取り組みのきっかけを

「2020キャンドルナイトリレーin南三陸」は6月12日にYoutubeLIVEでのオンライン配信イベントとして開催されました。イベント内では、南三陸町でバイオマス事業を展開する株式会社アミタや、歌津地区で養殖業を行う金比羅丸・高橋直哉さん、民宿を営むニュー泊崎荘の高橋宮倫子さん、入谷地区で宿泊施設やモノづくり工房を営む阿部忠義さんら多くの町民がインタビュー出演しました。

さらにオンラインでキャンドル作りワークショップを開催し、全国各地の参加者とともに南三陸町のことを考えながら楽しい時間を過ごしました。

「震災を機に町全体で持続可能なまちづくりを行なっている南三陸の取り組みの紹介を通して、みなさんが環境に対する取り組みを始めるきっかけとしたい」とイベントにかける想いを話します。

廃油を使ったキャンドルで「2020」の文字を描く

夕刻には、南三陸さんさん商店街で、スタッフが事前に作成したキャンドルをオリンピック開催予定だった昨年の「2020」の形に並べて点灯しました。このキャンドルにはさんさん商店街のマルセン食品の廃油を使用したほか、志津川中学校の給食で出たデザートカップを再利用して作られました。さらに地元小学生が描いたイラスト付きの彩り鮮やかなキャンドルを、さんさん商店街事務局の佐藤潤也さんがオンラインで繋ぎながら点灯しました。

「コロナ禍ということもあり、県をまたいだ往来が難しいと思いますが、このイベントをきっかけに、南三陸町のことを知り、新型コロナウイルスが落ち着いたら訪れていただき、おいしいものや美しい自然を見て、南三陸の魅力に触れていただければうれしい」と話しました。

また対面開催ができずに使用することができなかったキャンドルやイラストは、新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着いたら、リアルでのイベントを開催し使用する予定とのこと。今後の情報は環境ロドリゲスのSNSなどをチェックしてみてください。

 

里山を包む幻想的なホタルの光は、農家の暮らしがあるからこそ。

南三陸町入谷地区でホタルの幻想的な光が里山を包んでいます。ゆらゆらと点滅しながら舞う姿に思わずうっとりと心癒されます。天然のホタルの観察が貴重な今、なぜ南三陸町ではホタルが観察できるのか?その秘密を農学博士のむかっち博士に伺いました。

揺らめく幻想的な光景

暗闇のなか幻想的な黄緑色の光が点滅しながら揺らめく幻想的な光景。南三陸町入谷地区では6月中旬頃より用水路脇や田んぼで淡い光を放ちながら舞うホタルの姿が確認できます。ジメジメとした夜に飛ぶ幻想的な姿はまさに初夏の風物詩。その幻想的な光景を目にしようと地域住民らが訪れています。

写真提供:一般社団法人南三陸研修センター(2020年撮影)

ゲンジボタル・ヘイケボタルが主に飛び交う南三陸では、年によって若干の変動はありますが、例年6月中旬から7月上旬にかけてはゲンジボタル。7月中旬から8月上旬にかけてはヘイケボタルが里山を舞う姿が確認できます。かつては多くの場所で確認できたとされるホタルですが、都市化など環境の変化によって天然のホタルを見られる場所はなかなか多くありません。そんななか、南三陸では入谷地区のほか、戸倉地区や歌津地区でも飛ぶ姿を確認することができます。それはなぜか?入谷地区の生き物調査などを行う向井康夫さん(農学博士・通称:むかっち博士)に伺いました。

農業という生業を維持することがホタルの生息につながっている

「ゲンジボタルは浅く流れが緩やかな川や用水路で成長します。さなぎになるときに陸にあがるのですが、コンクリートで護岸工事をしていると陸に上がることができません。草が生え、やわらかい土があって陸に上がることができるかどうかがホタルの生育にとって大事な要素となります。ヘイケボタルは田んぼなどの流れのない湿地が生息場所となっているので、それが維持されていることが大切です」

ホタルというときれいな清流に生息しているようなイメージがありますが、そんなことはなく、「どちらかというと人々の暮らしに隣接した場所に生息している」とむかっち博士は話します。

例えば、ゲンジボタルがエサとするのはカワニナという巻貝で、カワニナは藻類を食べています。藻類が生えるためには、田畑から肥料が少し流れてきたり、生活排水が少し入っているほうがよいそう。ヘイケボタルも田んぼを維持管理していくことが自然と生息につながっているのです。

「農業という営みをしていく上で、必要な場所を管理していくことによって、ホタルの生息に必要な環境を自然と維持することができているんです。里山の入谷地区でとくにホタルが見られるのは、自然と密接に関わり、田畑を維持する農家がいるからこそ」とむかっち先生は話します。

環境との共生を目指した震災後のまちづくり

分水嶺に囲まれ、循環型のまちづくりを行う南三陸町では、山ではFSC国際認証を、海ではASC国際認証を取得するなど環境に配慮した取り組みが世界的評価にもつながってきました。2018年には、志津川湾がラムサール条約湿地にも登録されるなど震災後の取り組みが成果を見せ始めています。

里でも、無農薬無肥料のお米作りや、なるべく農薬を使用しない減農薬栽培、生ゴミを分別回収しメタン発酵させるバイオガス施設「南三陸BIO」の副産物として生まれる液体肥料を使った栽培など環境に配慮した取り組みへの挑戦が行われています。

震災後に取り組んできたまちづくり。そのこともホタルの生息に少なからず影響を及ぼしているのかもしれません。

写真提供:一般社団法人南三陸研修センター(2020年撮影)

ホタルを鑑賞する際のマナー

ホタル鑑賞の際には下記のことに注意してください。

・光は厳禁
ホタルはデリケートな生き物で強い光を嫌うので、車のヘッドライトなどを向けないようにしましょう。懐中電灯やカメラのフラッシュも控えること。

・生息エリアを汚さない
川が汚れるとホタルが棲めなくなるので、ゴミは持ち帰ること。

・私有地に立ち入らない
近隣住民の迷惑になるような大声や、私有地への立ち入りはしないこと。

・ホタルを捕まえない
ホタルの寿命は短いので捕まえて持ち帰ったりしないこと。

 

地元中学生が桜を植樹。「絆」の象徴・松原公園がさらなる憩いの場に。

南三陸町志津川地区の松原公園内に志津川中学校1年生が桜の樹5本を植樹しました。この樹は震災以来南三陸町をサポートしていただいた「レンドリース・ジャパン」の寄贈によるもの。来春には花を咲かす見込みで、町民の新たな憩いの場としてお花見をする光景が今から待ち望まれます。

新たな憩いの場として復旧した松原公園

かつて南三陸町志津川地区の海岸近くにあった松原公園。陸上トラックや遊具などがあり、部活動などのスポーツはもちろん、親子連れや散歩コースにも最適な町民が気軽に集まることのできる憩いの場としてありました。しかし、東日本大震災によって被災。

かつての町民の憩いの場であった松原公園は、2019年夏に内陸の志津川中学校下(志津川助作)に移転復旧しました。

移転してからは、スポーツ少年団や部活動での使用、2019年秋には「南三陸スポーツフェスティバル~スポフェス~」が開催、さらには新しく整備された高台造成地からの散歩コースになるなど、町民から親しまれる場所となりました。また2020年にはレンドリースジャパンが松原公園内に「レンドリーステラス」と名付けたあずまやを寄贈。より一層、活用の幅が広がる公園となりました。

震災から10年の絆の証。松原公園に新たな憩いの場「レンドリーステラス」誕生。

 

震災以来サポートを続けたレンドリース・ジャパンが桜の樹を寄贈

心地よい春風が吹く5月13日、町民の新たな憩いの場となった松原公園に、地元志津川中学校1年生が桜の樹(ソメイヨシノ)5本を植樹しました。この桜の樹は、東日本大震災以降、「南三陸サポートプロジェクト」として南三陸町で支援活動を展開してきた建設会社レンドリース・ジャパンから寄贈されたものです。

植樹祭当日には、レンドリース・ジャパンのアンドリュー・ガウチ社長らも駆けつけ、中学生とともに植樹を行いました。

植樹祭に駆けつけたアンドリュー・ガウチ社長(右端)

「7年間で約600名のスタッフがボランティア活動を実施しました。東日本大震災による喪失感と悲しみは計り知れないものだったと思います。しかしボランティアで訪れる度に、南三陸町の皆さんの強い心にとても驚かされました。みなさんといっしょに植えた桜がきれいな花を咲かせ、花見しながらレンドリースのことを思い出してもらえたらうれしい」とアンドリューさんは話します。

志津川中学校1年生50人が力を合わせて植樹

地元造園業者の指導のもと、今年入学をした志津川中学校1年生50人が、高さ約5メートルの成木5本の植樹作業を行いました。チームに分かれ作業を行う中学生たちからは自然と笑みがこぼれ、コミュニケーションも自然と活発化。「自分たちで植えた桜の樹がきれいに咲いてほしい。春になるのが楽しみ」と思わず声をはずませます。

「震災前の松原公園にも桜の樹があって花見をしていたのを昨日のように思い出す。来年の春に、町民のみなさんが震災前と同じようにこの松原公園で花見をする光景が見られればうれしい」と話すのは佐藤仁町長。この日植えた桜の樹は、樹齢約30年の成木で来春にも花を咲かす見込みです。

満開の桜のふもとでみなさんでお花見できることを楽しみに

「今日皆さんといっしょに植えた桜はずっとこの場所で歳を重ねて大きく成長していく。町の成長とみなさんの成長を見守るシンボルのような存在になっていったらうれしい」とレンドリース・ジャパンの「南三陸サポートプロジェクト」を開始した当初から活動を共にしてきた松川さんは感慨深く話します。

震災から10年を迎え、今回の活動をもってレンドリース・ジャパンの南三陸でのプロジェクトはひと区切りを迎えます。しかし、その間に築かれたレンドリース・ジャパンのスタッフと南三陸町民の絆が途絶えることはありません。

昨年完成した「あずまや」で安らぎの時を過ごしながら、桜の樹の成長を見守り続けていきたいと思います。いつか大輪の花を咲かす桜のふもとで、町民とレンドリース・ジャパンのみなさまと10年間の活動を懐かしみながら花見ができることを楽しみに。