地域おこし協力隊に熊谷海斗さん着任 デジタル技術を駆使して南三陸杉の新たな可能性を探る

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南三陸町の新たな地域おこし協力隊の委嘱状交付式が6月24日、町役場で行われ、秋田県出身の熊谷海斗さん(26)が着任しました。熊谷さんは今後、一般社団法人南三陸YES工房に所属し、南三陸杉を活用した製品開発やモノづくりによる体験学習や交流事業を推進する役割を担います。そんな熊谷さんに移住のきっかけや今後の意気込みについて伺いました。

YES工房で2人目の協力隊員が着任

地域おこし協力隊は、地方自治体から委嘱を受け、地域の魅力発信や特産品の開発、住民の生活支援など、地域を活性化させる活動に取り組む都市部からの移住者です。南三陸町では隊員が地域の生活になじむことができるよう、また起業・事業継承に向けたノウハウを学びながら活動に取り組めるよう、町内で活動している事業者・団体が隊員を雇用する形をとっています。熊谷さんは、今年4月に着任した佐藤豪さんに続き、南三陸杉材の製品化・ブランド化に力を入れるYES工房に所属して、活動をしていくことになります。

南三陸町長から委嘱状を受け取る熊谷さん

「南三陸杉×デジタルファブリケーション」新たな取り組みの担い手に

今回、熊谷さんが担うのは「デジタルファブリケーションで南三陸杉の振興と交流を図るプロジェクト」。デジタルファブリケーションとはデジタルデータをもとにモノづくりをする技術のことで、3Dプリンターやレーザーカッターなどのデジタル工作機械を使って、設計したデータを木材や金属などの様々な素材から切り出して製品を作り上げます。

熊谷さんは東北工業大学でプロダクトデザインを専攻し、卒業後は仙台で住宅や家具を作る会社に就職。デジタルファブリケーションの機材オペレーターとして木製家具のデザインや製作を手掛けてきました。この経験を生かし、デジタルファブリケーションを取り入れた南三陸杉の新たな製品作りの担い手として活躍が期待されています。

パソコンの傍らデジタルファブリケーション機材を扱う熊谷さん

熊谷海斗さんに意気込みを聞きました!

―地域おこし協力隊員になろうと思ったきっかけは?

YES工房の阿部忠義さんとの出会いが大きいです。工房の機械を使わせてもらうために、南三陸には何度か足を運んでいました。会うたびに阿部さんの町に対する熱い思いを聞いて、自分の周りにはこれまでこんなに熱い大人いなかったなーと思って。阿部さんだけじゃありません、出会う人たちみんながどうすれば町がもっとよくなるか、おもしろいアイデアを次々と出して、実際に行動に移したりしているんですよね。一緒に何か作ったらおもしろそう、自分の持っている技術が生かせるんじゃないかと思って決めました。

―力を入れて取り組みたいことは?

南三陸杉で作る工房製品のブランド力を上げること。これまでは復興を応援する意味で製品を手に取ってもらう部分もあったと思いますが、製品そのもので勝負できる魅力的で使い心地のいいデザインのものを作りたいです。デジタルファブリケーションは人の手では作り出せないような複雑な形も表現できるので、これまで見たことのないような新しい製品を作って、南三陸杉のPRにつなげたいです。

―南三陸町で叶えたいことは?

南三陸杉で持続可能なまちづくりの仕組みができないか、可能性を探りながらいろんなことに挑戦してみたいです。魅力的な製品を作るのはもちろんですが、未利用材を活用して水車を作ってエネルギーを生みだしたり、杉の炭から電池を作ってエネルギーを蓄えるなど、作ったエネルギーを町の中で循環させるアイデアを形にできないかと考えています。将来、子供たちが地域資源を生かした循環型のまちづくりができるように、少しでも力になりたい。そのための体験学習の場も積極的に作っていきたいです。

今後は仙台と南三陸を行き来しながら活動

今月11日、仙台市内のファッションビルの一角にYES工房のアンテナショップがオープンしました。熊谷さんは、店の運営に携わりながら、南三陸杉を使った製品の販売促進や販路開拓を行います。今後は仙台と南三陸を行き来しながら、協力隊員の活動をするそうです。

「デジタルファブリケーションの魅力は時間や場所にとらわれないこと。仙台のアンテナショップにいながらでもパソコンがあれば新しい製品の設計をすることができます。そのデータを工房に送れば製品を形にすることができるんです。」

行き来しながらの活動は大変じゃないですかとの質問に「移動することがリフレッシュになっています。南三陸でモノづくりしているときは一日があっという間に過ぎてしまいます。自分の肌に合っているかもしれませんね。」と笑顔で話してくださいました。

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