南三陸町歌津の田の浦地区では月に1度“お茶っこ会”が開かれています。縁側日和と名付けられたこの時間は、地域の方にとって大事な「役割のある憩いの場」となっていました。
地域のお茶っこ会、縁側日和とは
2024年3月3日(日)に南三陸町歌津の田の浦地区で開催された『縁側日和』は、所謂“地域のお茶っこ会”です。このお茶っこ会と呼ばれる活動は東日本大震災以降サードプレイス(職場や自宅とは異なる、居心地の良い第3の居場所)として多くの地域で行われるようになった活動の一例であり、当時は仮設住宅などで暮らす方々が震災前の日常を感じられるものでした。
縁側日和の活動は昨年10月から始まり今回が6回目。毎月第3日曜日に開催しており、その日は道路沿いにのぼりを掲げてお知らせしています。
特別な「何でもない時間」
前述したとおり、いつもの縁側日和は「住み慣れた地域で暮らしたい」という参加者の意見を汲み、震災前のご近所付き合いのような活動を開催してきました。みんなで集まりご飯を食べつつ、最近の出来事や懐かしい話に花を咲かせる。何でもないその時間が、いかに大事だったかを教えてくれたのは震災でした。
そうした日常をまた紡ぐように「おせっかい」が大好きな運営メンバーでこの活動が始まりました。
お客さんは高校生
今回は初めて地域の外からお客さんを招きました。声をかけられたのは昨年、全国募集で南三陸高校に入学した生徒たちです。
縁側日和代表の三浦日和(ひより)さんは「外から来た子たちに、この町のご飯と地域の方を知ってもらいたいと思いご招待しました。これがきっかけで高校生や町の学生が顔を出してくれるようになったら嬉しいです」と話し、この日はお母さん方お手製のタコ飯とけんちん汁、ハンバーグやお漬物が並び、料理も楽しみつつお母さん方も普段なかなか話すことのない高校生との会話を楽しみました。
縁側日和がもたらす地域への効果
震災後から南三陸町を訪れ、地域活動を研修している地域福祉研究所の本間先生は今回の縁側日和の活動の感想で「ここはただ集まるだけではなくお母さんたちが“役に立つ”場にしている。誰かの役に立っている瞬間が人が一番輝くもの。それらが楽しく生きる活力にも繋がっていると感じています。この場を作る上で年齢や特別なスキルは関係ありません。そして、お母さん方がやっていること(料理や準備など)を見ると分かる通り、特別なことじゃなくていいんです。それでも誰もが誰かの役に立てるのです。」と述べ、誰もが関われる、優しい支え合いの形がここにありました。
これからもこの縁側日和では「なんかいいなぁ」と思える居場所作りが、地域の方が集まってお茶を飲む日常の延長線にある幸せとして続いていくでしょう。