入谷三山のひとつ、童子山のふもと童子下集落に子どもたちの笑い声が響いていました。15年以上続く伝統イベントの入谷小学校児童による田んぼの生きもの観察。カエルやトンボ、イモリやガムシなど貴重な生きものも見つかり子どもたちも大興奮。身近な自然環境を知るきっかけになると共に、食の大切さを学ぶ時間となりました。
15年以上続く地域の伝統イベント
梅雨の合間の晴れ渡った空のもと、南三陸町入谷童子下地区の田んぼにて、入谷小学校3年生と4年生の計20名が田んぼの生きもの観察を行いました。この生きもの調査はなんと15年以上も続く入谷地区のこの時期の伝統的なイベント。新童子下集落(中山間直接支払事業)が主催、南三陸米地産地消推進協議会の共催となり、子どもたちへの食農教育を目的に地域総動員で関わるイベントです。
毎年3年生が生きもの観察を行なっていましたが、2020年は天候不順により延期となってしまったため、2021年に3年生と4年生が合同で観察をしました。
泥んこになって生きものを探す子どもたち
田植えから1ヶ月半ほど。稲が順調に青々と茂るなか、あぜ道や用水路に網を入れてすくってみると、出てくる出てくる。蝶々やトンボを追いかけて網を片手にあぜ道を走り回り、イモリを捕まえるために狙いを定めて網ですくったり。地元に住んでいて身近に自然があるとはいえ、なかなか生きものを捕まえる機会は珍しいのかもしれません。夢中になって泥んこになりながらたくさんの生きものを捕まえていきます。
トウキョウダルマガエルにニホンアマガエル、ニホンアカガエルとカエルだけでたくさんの種類が。さらにアキアカネや貴重なイトトンボ、トンボの幼虫であるヤゴもたくさん見つかりました。さらに、ガムシ、アカハライモリ、コウイムシなどたくさんの生きものを発見。かんがい用地の仕掛けには、たくさんのドジョウの姿もありました。
貴重な環境は農家さんの努力のたまもの
講師を勤めた三塚牧夫さん(ナマズのがっこう事務局長)はこの童子下集落の環境について「南三陸だけではなくて、県内でみても非常に貴重な環境が残っている場所。ほかでは観察できないような生きものが生息している」と話します。貴重な環境が残っている要因として下記の点をあげていました。
・無農薬でお米を育てている人がいること
・稲が生長する段階で「中干し」という工程をしない人がいる
・田んぼのすぐ近くに山がある
・水路などにゆるやかに水が流れている
・中山間地ならではの小さな田んぼが多くあぜ道が多い
そして「何より農家さんが田んぼをしっかりと維持してくれていること。それが食べものだけではなく生きものの環境も守っている」と話しました。
身近な環境の豊かさを知る機会に
今日観察した田んぼの豊作を願いながら、入谷地区でとれたお米を使った「おにぎり」を食べた子どもたち。身近にある田んぼで多くの生きものが暮らしていること。そしてそれらは入谷地区では当たり前でもほかの地区ではとても珍しいこと。自分たちが住んでいる環境がどれだけ豊かな環境かということを知る機会となったのではないでしょうか?