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    「化石」という魅力を町内外に広めたい!地域おこし協力隊菊池優さん

    今年の春以降に南三陸町に着任した地域おこし協力隊は3名。それぞれ専門分野を活かした活動を展開しています。今回は「化石」を扱う菊池優さんにスポットをあて、南三陸町の魅力の一つである化石とどのように出会い、これからどう展開していくのかについてお話しを伺いました。

    湘南の普通ボーイから古生物学の道へ

    菊池さんの出身は神奈川県茅ヶ崎市。市内でも陸側に住んでいたそうで「茅ヶ崎出身と言うとよく『湘南ボーイだね』と言われるのですが、そんなことは全然(笑)陸側なので普通ボーイでした」

    高校を卒業し、進学したのは東京都市大学の自然科学科。自然科学分野を広く学ぶなかで「古生物学」に出会いました。「大学入学時に将来の選択肢を広げたいと思い自然科学科を選び、その中で小さい頃から興味のあった古生物学を専門にする研究室に入りました。」年間2〜3回のフィールドワークで野外調査に行き、日本の化石産地に赴くような調査をするなどアクティブな研究室だったそうです。

    糞化石の調査と南三陸との出会い

    「3年次には大量絶滅後の生物についての糞の化石の調査を始めました。」糞の化石から一体何が分かるのか、そもそも糞の化石なんて分析出来るのか?と筆者は疑問に思ったわけですが菊池さんはその魅力についてこう語ります。「糞を調べることでその生き物の大まかな大きさ、何を食べていたのかを考察できます。例えば魚の鱗が見つければその生き物は魚を食べる生き物であったとか、泥の成分が混ざっていたら泥ごと食べるような食性だったとか、その生き物の生態について知ることが出来ます。」根気がいるその観察や分析調査もある意味思い出になったそうです。

    町内には貴重な地層が身近なところにある場所も。

    研究材料として中国やアメリカの標本を扱うなど、研究資料は国内外様々だったそうです。そして国内で調査に赴いた地域の一つに南三陸町がありました。菊池さんと南三陸の縁は、学部生時代の化石調査で訪れたことから始まります。

    南三陸町の化石博士たちと協力隊としてのミッション

    南三陸町の化石と聞くと有名なのが世界最古級の魚竜化石「ウタツギョリュウ」や、2015年に国内で初めて発見された嚢頭類(のうとうるい)、そして化石のプログラムに関わる「Hookes」の皆さんです

    「正直、すごいとしか言いようがありません。特に高橋直哉さんは化石発掘プログラムのインストラクターとしても、化石の魅力を子どもたちに教えるのも非常に上手だと思いました。知識も自分より詳しいんじゃないかと思うぐらいです。」学問として古生物学を修めてきた菊池さんも唸るほど、南三陸町の化石博士たちはとてつもないパワーを持っていることが分かりました。

    菊池さんお気に入りの一枚。歌津館崎のウタツギョリュウ化石

    そんな南三陸町のポテンシャルと、卒業後は学んできたことの教育普及活動に携わるという夢が重なり地域おこし協力隊としての移住を決断しました。「理想は、これまで学んできたことを伝えることでその人の人生の選択肢を増やすことです。化石を学んだ先には研究者やインストラクターなどの道があるんだよと伝えることで、少しでも将来の可能性を広げられたらと。学問を知る、または触れるきっかけを作るなかで、関わった全員ではなくともその中の1〜2人でも関心を持ってもらえたら嬉しいです。」

    菊池さんの協力隊としてのミッションは化石の観光資源化であり、その先にある町の地域活性化がゴール。これまで町内で行われてきたことをさらに加速させる人材として活動しています。着任後は所属先の南三陸町観光協会での業務として化石の広報作成や、化石発掘体験プログラム、化石の観光コンテンツ化などに携わりながら学ぶ日々を送っています。

    新年の抱負

    南三陸町に移住して約5ヶ月。菊池さんにとって初めての1人暮らしも新鮮なことがたくさんあるようで「特に車社会が新鮮です。免許は前から持っていましたが、実家にいる頃は月に1〜2回運転すれば多い方でしたから、南三陸に来てほぼ毎日運転するのは楽しいですがこれからの季節(冬季)はちょっと怖いですね・・・気をつけて運転します。それと、自炊も来年は頑張りたいなと思ってます。」

    仕事の面での抱負については「まずは一端のインストラクターになって、直哉さんや他の方々の力になることですね。これからさらに化石の魅力を町内外に広め、地域おこしに貢献したいです。また、地域おこし協力隊としてゆくゆくは化石などの観光資源を紹介できる施設を作りたいです。もしくはそのような施設に関わることですかね。」と語りました。

    町内のイベントでは子どもたち向けのブースを出店することも

    まだまだ発掘されたばかりの”化石”というコンテンツがこれからどのように磨かれていくのか、菊池さんをはじめ化石に関わる方々の今後に期待が高まります。

     

    サウナ×自然×対話がもたらすリトリートの世界

    「森 里 海 ひと いのちめぐるまち 南三陸」。そんな南三陸町を舞台としたリトリートツアーが、9月16日(土)〜17日(日)に開催されました。ターゲットは、都心で働く20〜30代の男女。いつもと違う非日常な空間で、都会のコンクリートジャングルにはない大自然や人との繋がりを感じる1泊2日のプログラムとは!?その全貌をお伝えします。

    リトリートツアーとは

    近年至る所で目にするようになったサウナ。では、リトリートとはなんでしょうか?リトリートは、数日間日常から離れた空間に身を置き、いつもと違った体験を楽しむものとして使われています。また、本来の意味として「撤退」「退却」という軍事用語として使用。リトリートツアーは、千葉県鴨川市、館山市にて開催されてきた、非日常の中で自分自身の感情とじっくり向き合える時間となるよう、サウナや大自然に対話を掛け合わせた心も体も整わせる企画です。
    企画の主宰者は田島聡士さん。現在は、館山市の有名サウナ「Sea Sauna Shack」の店長を務めながら、コーチング指導を行っています。
    実地経験豊富な田島さん協力の元、一般社団法人南三陸研修センター主催で、南三陸版リトリートツアーを開催。南三陸の新たなコンテンツとなり得るのか、注目です。

    海をバックに対話をする参加者の皆さん

    Day1.未来につなぐ山の話〜サンセットサウナ

    晴天が広がる土曜日。関東や仙台から男女6名が志津川駅に降り立ちました。会社勤めの人、大学で学びに勤しむ人、それぞれ違う環境で生きる者たちの2日間が始まります。
    宿泊場所のいりやどに移動し、ツアーの説明が行われた後は参加者の自己紹介タイム。普段行っていること、今回のツアーに対する意気込みなどを共有します。

    リトリートツアーでは、2日間有意義な時間を過ごしていく上で、共通のルールを3つ設けております。
    ①遮らない
    →今回のツアーでは対話の場を何度か設けております。他の人が話している際は話を遮らず、最後までその人の話を聞ききることを大切にしてください。
    ②なんでもあり
    →今回のツアーでは正解不正解考えなくてOK。なんでもありのスタンスで場に入って楽しんでいきましょう。
    ③感じたことから始める
    →頭であれこれ考えたことではなく、心の底から湧き上がってくる感情や気持ちから対話してみてください。

    挨拶が終わり、向かった先は入谷の山。株式会社佐久の佐藤太一さんが待ち受けていました。

    株式会社佐久の佐藤太一さん

    南三陸町は、三方の山が志津川湾を囲むように位置しています。町の境界と分水嶺がほぼ一致し、町に降った雨は森の恵みであるミネラル分を含んで川から海へ。そうして流れてきた栄養豊富な水が志津川湾の豊かな生態系を支える一因となっています。また、湾の水は「やませ」となって山の木を潤すという、いのちがめぐる場所に。
    木を適切に管理することで、生態系のバランス維持や土砂災害防止など、森が自然界に与える効果を知りながら、後世に残していく持続可能な林業の在り方など、人の生き方とも重なる大切な考え方を学びました。

    その後、サンオーレそではま海水浴場へ移動。ここでは、タイトルにもあるサウナの体験をします。

    サンオーレに佇むサウナ小屋

    湯縁笑の丹菊龍也さんは、将来南三陸町で銭湯開業を目論んでおり、その足がかりとして移動式サウナを運営。町の地域おこし協力隊として、サウナと何かを掛け合わせた新しいコンテンツを提供できないかと考え、今回田島さんに依頼し、イベント開催に至りました。
    サウナは、新作のサウナ小屋を設置。この日限定で、サンオーレに海を見ながら入れるサウナが現れました。組み立てに悪戦苦闘しながら、なんとか日の入り前に入ることができ、参加者もご満悦の表情。志津川湾を眼前に、自分自身と向き合いながら、参加者同士で言葉を交わしながら、1日を締め括りました。

    サウナを楽しみます

    Day2.奪い合いから分かち合いの漁業〜木の可能性

    2日目は、朝の散歩からスタートです。参加者の1人から提案いただいた「MOCKAPP(清掃ボランティアをしながら町を歩く観光スタイル)」を実施。この日、入谷地区では打囃子が行われていました。参加者は、道中見つけたゴミを拾いながら、入谷八幡神社へ。地域の行事に触れて、2日目の始まりです。

    力強く披露する舞に魅入る参加者の皆さん

    続いては戸倉地区へ移動します。戸倉で漁師をしている阿部和也さんの漁業体験。普段見れない漁師の作業現場に漁船で向かい、海産物や海のことなど様々なお話を聞かせてくれました。

    脱サラ漁師の阿部和也さん

    和也さんは、戸倉の生まれ。一度、上京してサラリーマンをしておりました。しかし、子どもと触れ合う時間が全くない状況に、この環境を変えなければと、地元へ戻り漁師になることを決意。そんな和也さん自身の体験談も、参加者に響いたことでしょう。

    船の上で海のものに興味津々

    船から戻り、今度はたみこの海パックの阿部民子さんの紙芝居を傾聴。和也さんのお母さんです。戸倉の牡蠣養殖が震災前後でどのように変化したのかを紙芝居で教えてくれました。

    たみこの海パックの阿部民子さん

    ご存知の方も多い「3分の1革命」。震災前、牡蠣の実があまり大きくならず、もっとたくさん取ろうと密植をして、水揚げまで時間もかかるようになり、牡蠣の品質自体にも影響が出るなど、悪循環となっていました。震災で、全ての養殖施設が流され、もうここで漁業をすることは叶わないと誰もが絶望の淵に立たされる状況に。それでも諦めませんでした。これまで各漁師が持っていた筏の数を、一度フラットにして、震災前の3分の1に減らすという誰もやらなかったことに挑戦。その結果、実入りは良くなり、品質も向上しました。水揚げまでの時間も短縮され、労働時間の短縮も可能に。あまり良いイメージのなかった漁師の見え方も変わり、就労を希望する若者も現れるようになりました。奪い合いから分かち合いの漁業。参加者は強く感動されていました。

    笑顔でパシャリ

    南三陸の美味しいご飯を食べて、今度は入谷地区に移動します。

    美味しい海産物にご満悦の表情

    向かった先は、YES工房。会長の大森さんから、木材加工の現場を紹介いただきました。大切に育てられた森。市場に出るまで50年ほどかかりますが、丸太1本でどのくらいの値段になると思いますか?

    YES工房会長の大森さん

    およそ5,000円です。林業家さんは、親から孫へと長い時間かけて育てても、活動を続けるだけの資金は得られず。補助金などを活用しながら、山を守ってくれています。そんな林業家さんの活動に少しでも力になれればと、地元産材を活用したものづくりを実践してきたYES工房。ショップボットなどの技術を駆使したり、体験を通して木に触れる機会を作るなど、森と人とをつなげる役割を担っています。
    ここでは、この2日間でそれぞれが感じた思いを言葉にして、杉のキーホルダーにするという体験も。キーホルダーになっていく様を、熱心に見入っていました。

    1人ひとり思いを言葉にしたキーホルダー作り

    循環型社会に取り組む南三陸町では、森・里・海がめぐる活動に積極的に取り組み人がたくさんおります。自然の資源と共鳴して、人の資源も豊富にあることが、この町の1つの魅力。この2日間で参加者も感じ取ったのではないでしょうか。

    この先へ

    今回、企画に協力いただいた田島さんからコメントをいただきました。

    Q.今回のツアーに協力いただいたきっかけは?
    「丹菊さんの熱い想いに共感したからです。最初に出会ったのは僕が企画をしていたリトリートツアーに参加してくれた時。リトリートツアーで丹菊さんと関わる中で、南三陸の地域おこし協力隊として想いを持ってシゴトしてることがすごく伝わってきました。サウナや街の特徴を活かして、南三陸にくる人たちの生き方に変化を与えるきっかけをつくりたい。という丹菊さんの熱い想いを体現できるようサポートできたらと思ったことが一番の理由です」

    Q.ツアーを開催してみてどうでしたか?
    「林業も漁業も震災を経験した南三陸だからこそ取り組んできたことがあり、その話や体験を通じて参加者の心の中で感じることもたくさんありました。そして感じたことを対話を通じて分かち合う時間をとれたことはとてもいい時間でした。ただ、ツアーにきて、観光名所や街の名産に触れてもらうだけでなく、街の人や参加者同士の対話の時間があることで、より関係性が深まったり自分の中で感じたことが深まり学びに繋がっていくツアーだったんじゃないかと思ってます」

    Q.田島さんが思う南三陸町の魅力は?
    「街の人たちが自分から自発的に街を盛り上げようとしたり、南三陸にきてくれた人にお役立ちしようとするスタンスがあったことが印象的でした。まちづくりもビジネスも何か事業を行うとき、損得の関係性になりやすい。ただ南三陸は震災復興の経験もあってか、見返りを求めず貢献しようというスタンスを感じました。ツアー内での林業や漁業体験はもちろん。ツアーの中身を考える際に下見でコミュニケーションをとっていても、街の人たちみんなでおもてなしをしてくれる。ツアーに対しても一緒に盛り上げようと関わってくれる人たちがいて、住んでる人の良さが南三陸の特徴の1つだと感じました」

    協力いただいた田島聡士さん

    今後について、主催者の丹菊さんは、「まず何より、今回ツアーを開催できたのは、協力してくださった多くの方と、ご参加いただいた方々のおかげです。至らない点も多々ありましたが、この町の資源を活かしながら、サウナを組み合わせたリトリートツアーは、町の良さを引き出しつつ、参加された方の心も変化させていく力があると感じました。より多くの方に町を訪れていただき、町の魅力を感じてもらえるよう、今後も力を入れて取り組んでいきます」

    南三陸の新たなコンテンツとなりうるかもしれない、サウナを組み合わせたこの仕掛けの行方に、ぜひご注目ください。

    お母さんもほっと一息つけるマルシェに〜BLUECANVASマルシェ〜

    普段は家事や育児、仕事に大忙しのお母さん。たまの休みにゆっくりできる場所になれたら、という思いから始まったブルーキャンバスマルシェ(略してブルキャンマルシェ)の様子をお届けします。

    ボート屋さんの新しい取り組み

    お客さまで賑わう1階の様子

    志津川地区の市場近くで1971年から船外機やボートの販売をしている株式会社佐藤鉄工所。敷地内に「BLUE CANVAS」という事務所を設け、2階はヨガのレッスンや休憩室、1階はプログラム前の安全講習やプログラム後のシャワーなどがあります。内装のデザインは奥様の佐藤由(ゆき)さんが手掛け、温かみのある屋内となっています。

    初めてのマルシェ作り

    そんなBLUE CANVASで10月8日(日)に開かれたのが「ブルキャンマルシェ」。

    由さん発案のマルシェでテーマは「お母さんが楽しめるマルシェ」です。
    「まず一番に、お母さんと子どもたちが楽しめるマルシェにしたい!と思いました。海遊びやいろんなことがしたいなと。でもイベントもやったことがなくて最初は不安でいっぱいでした」

    コーヒーを待ちながら、お客さまと談笑する由さん

    どうしたらマルシェができるか考えている時、協力をしてくれたのが今回の出店者でもある「癒し空間 和」さん。以前、BLUE CANVASの体験プログラムである湾内周遊船に乗ったことがあり、それがきっかけで交友関係ができました。

    「出店で参加してくれた皆さんはほとんど和さんが声をかけてくれました!町外からもこんなに出店してもらえて、イベントの基礎から一緒に作ってくれて本当に助かりましたね」

    多くの人の協力もあり、初回から大盛況となったマルシェの当日の様子をご紹介します。

    出店者紹介カフェ・WSゾーン

    BLUE CANVAS1階は、カフェスペースとワークショップブースが開かれていました。カウンターキッチンでは由さんがコーヒーを振る舞い、ほっと一息つけるスペースとなっています。

    パン工房アンジュさんのパンとジャムを試食でいただけました

    テーブルではStrig Art 糸かけ師 笹ノ森さんの「糸刺し」と「ドラゴンアート」のワークショップが体験でき、自分の好みや自身の内面と向き合い、表現できる時間を過ごせます。

    糸刺しは最初に軸となる釘を打つところから始めます

    「糸刺しは」時間や家事に追われることなくお喋りしながら没頭できるワークショップで、手先に障害がある方や高齢者でもピンや糸を変えることで作品作りが出来るようになっています。複雑に見える模様も一定の動きを重ねることで表現でき、簡単であり奥深さもあるためつい黙々と手を動かしてしまいます。

    テンションをかけて糸を張ることを繰り返すことで、幾何学的な模様になります

    出店者紹介2階リラックス体験

    2階スペースではマッサージやハンドトリートメント、町内で採れたクロモジを使った蒸留水など「癒し」がテーマとなった出店が並びます。リラックスできる香りやお話を聞きながらの施術で、少しお昼寝でもしたくなるようなほぐれた表情になる方が何人も。

    1階とはまた違う心地よさがあるスペース

     

    「癒し空間〜和〜」さんでは揉みほぐしなどの施術が受けられます
    エステティックサロン「Birthday・Eve」ではハンドトリートメントを実施
    クロモジ蒸留は時期によって香りに違いが出るため、お気に入りを探す楽しみもあります。

    日々の疲れを癒しつつ、頑張るためのエネルギー充電のためにも、自分自身の身体のメンテナンスは必要ですね。お母さんにとっては「ひとりになれる時間」ということでも貴重な機会になっていました。

    海でも遊べるマルシェ

    さて、外の漁港では親子で遊べるミニクルーズとおかっぱり釣り体験がありました。

    子どもでも気軽に体験できるおかっぱり釣り

    おかっぱり釣りは陸釣りともいい、今回は漁港の岸壁で開催されました。
    受付を済ませ岸壁に行くと、釣りが得意なスタッフから釣り竿と餌をもらい、釣り方のレクチャーを受けていざ実践!

    釣り好きのスタッフさんが丁寧に教えてくれます

    投げ入れてすぐにアジがかかりました!おもしろいようにポンポン釣れて、大人も子どもも釣りの楽しさを存分に味わえました。初心者や道具を持っていなくても楽しめるように、入念に準備してくれるスタッフさんは本当にさすがとしか言いようがありません。

    まず1匹目!この後、バケツがいっぱいになるまでお客さんたちと釣りました

    いつの間にか、先に釣っていた方が様子を見に来た方を誘って道具の使い方まで教えるなど「楽しい」を伝播させる空気になっていて、生まれて初めて竿を握った子どもの初釣果にみんなで盛り上がるなど終始和やかな岸壁になっていました。

    子どもはライフジャケットを着用し、安心安全に楽しく釣りに参加

    また、近くの船着場ではBLUE CANVASの体験プログラムで使用されているBLUE CANVAS号に乗って湾内を案内してもらうミニクルーズ体験もあり、普段なかなか乗る機会のない船に子どもも大人も興奮が隠せない様子。水面のようにキラキラした笑顔で出港していきました。

    秋晴れの気持ちがいい日に開かれました

    今回のマルシェを振り返り、今後の展望について由さんは「南三陸の自然を活かした、山と海でマルシェができたらいいなと考えています」と、すでに次回のアイディアが浮かぶほどわくわくした表情で語りました。お母さんや親子一緒に楽しめる機会が、これからも町内に広がっていくのが楽しみです。

    ▷BLUE CANVASのHPはこちらから

    南三陸高校で地域の課題解決に挑む「地域学」がスタート!地域の魅力をラップで表現したPVが完成!?

    南三陸高校の普通科地域創造系2年生が町内企業と連携し課題解決に挑む「地域学」が、今年度より開始しました。今回は「南三陸なう」をテーマにした情報発信の課題に挑む高校生の取り組みを紹介!南三陸高校の新たな取り組みとして注目です。

    南三陸高校2年生が地域の課題解決に挑む

    南三陸高校普通科では2年次より進路や興味関心によって地域創造系と文理系に分かれて授業が行われます。

    地域創造系では1次産業から6次産業の担い手や地域起業家人財の育成を目指し、大学・専門学校への進学や、公務員、民間就職など幅広い進路に対応しているのが特徴。文理系は主に大学進学希望者を対象とし、共通テストの受験にも対応したカリキュラムで、進路希望に応じて、必要な文系科目、理系科目を選択することができ、国公私立大学への進学に対応しています。

    普通科地域創造系2年生が参加する「地域学」と名付けられた授業が今年度より新しく始まりました。南三陸町唯一の高校として、町内全域を学びのフィールドと捉え、町内企業と連携した取り組みです。

    授業の流れとしては、まず連携事業者が講義で産業についてのレクチャーを実施。その後、町内でフィールドワークを行います。事業における課題を踏まえた「ミッション」を生徒に提示して、約1ヶ月ほどの期間をかけて課題解決のプランを練り、最終発表で考えたプランを提案するという流れです。

    本年度は、第一次産業として林業経営を営む株式会社佐久、第二次産業として水産加工業を営む株式会社カネキ吉田商店、第三次産業として宿泊業を営むほか、当「南三陸なう」を運営する一般社団法人南三陸研修センター、六次産業として株式会社南三陸ワイナリーが協力企業して授業が進められていきます。

    さんさん商店街をフィールドに情報発信を体験!

    今回は、「南三陸なう」をテーマに行われた地域学の模様をレポートします。まず講義では、「情報発信とは」「編集力とは」というレクチャーを行ったのちに、南三陸なうの変遷や狙い、現在の課題感を提示しました。そして最後に「10代から20代にヒットする 南三陸町の資源を生かした 情報発信コンテンツを企画」というミッションを提示して講義は終了しました。

    後日行われたフィールドワークでは、南三陸さんさん商店街を拠点にしながら、半日間で動画の企画・撮影・編集の一連の流れを体験しました。

    まずは企画の考え方について。ターゲットを設定し、企画コンセプトやメッセージを考え、内容を考えていくという手順をチームごとに体験。時間の都合上、南三陸さんさん商店街内や周辺エリアでの撮影となるため制限があるなかでも試行錯誤しながら意見を出し合い企画を考えていた姿が印象的でした。

    次に、考えた企画をもとに実際に撮影に挑戦します!

    YoutubeやTikTokで日常的に動画に触れているとはいえ実際に撮影するとなると一筋縄ではいかないもの。それでも楽しみながら魅力を伝えようと協力し合っている様子が伺えました。さらに撮影した素材を簡易的に編集をするというステップを体験しました。そして実際に当日完成した作品はこちら!

    企画から編集まで2時間半ほどとは思えないクオリティに驚かされます。また何よりも生徒たち自身が楽しみながら、自分たちの町の情報発信をしていることが印象的でした。

    より魅力的なPRのために熟考しプレゼンを披露

    講義・フィールドワークを終え授業時間を使って最終プレゼンの準備をしていきます。そしていよいよ最終発表。緊張の面持ちのなかそれぞれのチームから提案があります。

    「コクガンなどの希少な鳥が飛来する地域なのでバードウォッチング企画。Instagramと連動させて撮影した写真はInstagramで投稿していく」

    「さんさん商店街や周辺の食べ歩き動画企画」

    「南三陸の旬の食材を活用したレシピ動画」

    などの企画案だけではなく、中高生の間でも流行っている「ストリートスナップ動画」を南三陸でもできないか?という提案や、高校魅力化を中高生に向けて発信するためにTikTokを活用して在校生自身が楽しんでいる動画をあげよう!と実際に動画を作成してサンプルを提案してくれるチームもありました。

    そんななか一際異彩を放っていたのがチーム「INUWASHI」。南三陸のスポットや食をオリジナルのラップに乗せて披露するという動画を制作しました。自分たちが楽しみつつ町の魅力をPRする見事な動画は講師陣からも大好評!南三陸公式Youtubeチャンネル「南三陸なう」チャンネルに掲載されているのでぜひご覧ください!

    地元企業と連携し地域の課題解決のアイディアを出す地域学。受動的な学びではなく自らの関心テーマも踏まえ、能動的に考え行動していく経験を踏めることは、今後の進路や進学、そして社会人生活において非常に有意義になると感じました。また自分たちの故郷の魅力を改めて知るきっかけになるこのカリキュラムに今後も期待が膨らみます。

    AIアバターとビジネスマナーを学ぶ!?南三陸高校で体験会を開催

    南三陸高校の「ビジネス基礎」授業内において、ビーモーション株式会社の生成AIシステムを利用した「AIアバターで学ぶ ビジネスマナー講座」の体験会が開催されました。最新技術をうまく活用しながらスキル獲得につなげていく取り組みにぜひ注目ください!

    最新技術を活用しながら学びを深める情報ビジネス科

    南三陸高校の情報ビジネス科ではサイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させる社会Society5.0の到来を見据え、AIが発展する次世代の社会に対応できる人財の育成を目指し、さまざまな取り組みを行っています。ドローンを使った映像制作や3Dプリンタ・レーザー機を使った商品開発、タブレットを使用した商品デザインなど様々な体験を通して情報発信力を身に付け、また、民間企業と連携した国際標準資格のLinuxの資格取得を目指すなどの特徴的なカリキュラムを持っています。

    そんななか「AI」を理解するということが大きな鍵になっており、授業の中でも積極的に活用したり学びの機会を作っています。

    今回の「AIアバターで学ぶ ビジネスマナー講座」も情報ビジネス科の五十嵐先生が「コロナ禍を経て未来のPRや接客に“アバター”や“AI”を学ぶことは大事なのではないか」と考え、活用できるシステムがないか検討していたところから縁がつながって実現しました。

    AIがビジネスでどのように活用されているのか?

    授業冒頭では「AIは現在のビジネスでどのように活用されているのか?考えてきたことを発表してみましょう」と五十嵐先生から生徒たちに投げかけます。すると生徒たちは

    「農家の生産需要予測」
    「コールセンターの自動化」
    「自動翻訳」
    「トレンド予測」
    「データ活用」

    などにAIが積極的に活用されていると発表していきます。

    また、生徒たちにとっても身近になっている「Chat GPT」についてもどのような点が得意で、苦手なことはどんなことか、しっかりと活用の方法を考えていかなければならないと話していきます。

    さらに、自分だったらどんなビジネスにAIを使っていきたいか、どんなことに便利に使えそうかをディスカッションしていきました。

    「文章やメールの作成」
    「大量の情報を集める時」
    「アイディア出し」
    「接客業」

    などといった現在活用されているようなアイディアから
    「AIロボットが高齢者の話し相手になるのではないか」
    といった未来のAI活用方法のヒントになるような事例まで議論されていきました。

    AIアバターと会話しながら実践的にビジネスマナーを学ぶ!

    AIについてディスカッションし、学びを深めたのちに、授業後半ではこうしたAIのビジネスへの活用の一端でもある「ビジネスマナー講座」を実際に体験することになりました。

    AIアバターとの音声対話によるロールプレイングなどを通してビジネスマナーを学びながら、AI技術の理解を深めることを目的とした、実験的な取り組みになります。

    パソコン上に現れるAIアバターと会話をしながら「来客編」「電話編」にチャレンジ。

    電話編では「受付役」「発信者役」を選択することができ、相手側をAIアバターが担います。ややこしい敬語やマナーなどを実践を通して学べることで楽しみながら身につけることが出来ます。体験した生徒たちからも笑顔で楽しみながら学習している姿が印象的でした。

    ビジネスマナーに関するミニテストも実施可能

    AIなどの最新技術を常に取り入れながら学びや活用の機会を提供し、人財育成に取り組む南三陸高校。さまざまなツールを活用した新たな学習へのチャレンジが始まっています。

    大学生が密着!ハマーレ歌津夏祭り!/東北文化学園大学インターン生寄稿記事

    仙台育英が甲子園で準優勝というニュースから数日経ち、宮城県はとても賑わっています。そんな中、歌津夏祭りが行われ、さらに熱気が溢れました。今回はその歌津夏祭りの様子を、私たち東北文化学園からインターンシップとして参加している学生2名で紹介していこうと思います。

    みんなが主役の夏祭り

    晴天に恵まれ日差しがギラギラと照りつける中、ハマーレ歌津夏祭りが開会しました。開会式では、実行委員長の小野寺さんを始め6人の方々の挨拶から始まり「歌津夏祭りは、誰もがスターになれる場所。いい思い出になるように」と、集まった地域の方々もこのイベントの主役ですというメッセージが。開会宣言には、この夏祭りには欠かせないポストくんも登場してくれました。

    「ポストくーん!」とステージから声をかけた観光協会の佐藤さんと大石さん

    ポスト君とは、2011年3月11日の東日本大震災の大津波で南三陸町歌津から流され、2012年12月28日までの1年9ヵ月もの長い時を経て西表島までたどり着いたポストのことです。その後、2013月8月11日に計2年5ヵ月の旅を終え、無事に故郷である歌津に帰ってくることが出来ました!そして、この歌津夏祭りは、このポストくんをお祝いするお祭りなのです。

    圧巻のオープニング

    会場を沸かせる素晴らしい演奏をした合同バンド

    ステージ発表トップバッターは歌津中学校さんと南三陸高校さんの合同バンド。定番曲や子どもも知っている人気の曲を披露し、見ているお客さんも笑顔で聞き入り、音楽に合わせ手拍子を打つなどオープニングから会場を湧かせていました。その後、アンコールも含め最後までやり遂げていた姿がとてもかっこよく、トップバッターとして勢いのあるパフォーマンスとなりました。

    タイムアタックチャレンジ「牡蠣殻つみつみ」を楽しんでいる様子
    ラムネ一気飲み大会はなんと警察官の圧勝!
    南三陸高校の軽音部の演奏では、顧問の先生も参加するバンドもあった
    デングリー(メンコ)大会決勝は兄弟対決に!
    歌津魚竜太鼓は心振るわせる演奏を披露
    南三陸ダンススクールの発表は元気いっぱい&大人顔負けのテクニックで会場を盛り上げる

    その後も、ステージ横では牡蠣殻積みや豆運び競争、ラムネ一気飲みなど参加型のイベントが行われ、地元の警察官も参加するなど大いに盛り上がっていました。そしてステージの大トリはBEGINの比嘉栄昇さんが結成したY.A.B(ヤファイアン・アッチャーズ・バンド)というバンドが務め、満席の状態で行われた演奏は会場一丸となってまさに「みんながスター」を体現する時間となりました。

    歌津夏祭りに仲間を連れて駆けつけてくれたBEGINの栄昇さん

    夏の終わりの花火

    夏祭りもそろそろフィナーレ。ポケットから携帯を取り出し、花火の撮影をしている人がたくさん見られました。

    今年もたくさんの人が見上げた花火

    来場したお客さんに今年の夏祭りの感想を伺うと、賑わいが戻ってきていることや、新型コロナウイルス明けでもたくさんの人が来ているといった様々な声を聞くことができ、とても楽しそうな表情で答えてくださいました。

    来年はどんなお祭りが見られるのか。歌津町もより一層盛り上がっていくことに期待したいと思います。

    編集後記

    今回のインターンシップを通して、同じ仕事場で働く人との接し方や、働くことに対する大変さなど学ぶことがとても多く、すごく勉強になりました。インターンシップが始まる前は不安と楽しみ両方の気持ちがありましたが、南三陸町の方々に支えられ無事に終わることができました。そして、南三陸は自然豊かで人々が温厚な良い地域だなと思いました。
    東北文化学園 平野

    今回のインターンシップを通して私は、人と人との繋がりや、人の温もりをとても感じることができました。また運営の方々のお祭りに対する熱意を感じることができ、大変貴重な経験をさせていただきました。南三陸町は海の幸がとても美味しく、大変魅力的に感じました。この美味しさは内陸の方では味わうことができないので、より多くの人にこの美味しさを知っていただき、南三陸町がより発展することを祈ります。

    東北文化学園 加藤

    インターン生の平野くん(左)と加藤くん(右)
    加藤くんが撮影したかがり火祭りの一枚

     

    地元南三陸高校生がレポート! 立教女学院小学校 南三陸スタディツアー2023

    この記事は「南三陸高校ジュニアインターンシップ」に参加した学生より寄稿頂きました。

    9月12日から9月14日の3日間、南三陸町を訪れていた立教女学院小学校の6年生のみなさんと2日間行動を共にしました。立教女学院小学校では、毎年スタディツアーとして6年生が南三陸町に訪れているそうです。今回は、地元南三陸高校生である私たちが同行したこの2日間の事についてお伝えしたいと思います!

    はじめに

    私達は南三陸高校の2年生です。南三陸高校では毎年ジュニアインターンシップで南三陸町内の事業所において職業体験を3日間体験します。

    その中で、私たち2人は「南三陸まなびの里いりやど」でお世話になることになりました。いりやどでは宿泊業務の他に、全国各地から来る学生や社会人の研修サポート、そして南三陸町の情報発信事業をしています。私たちはその業務の一端を体験させていただきました。3日間のインターンシップ期間中にちょうど「いりやど」に滞在し、南三陸で研修を行っていた立教女学院小学校さんのスタディツアーに2日間同行させていただき、残り1日で記事を書くことになりました。

    「読者の皆様に伝わるような記事にできればいいなぁ」と思い、書かせていただきました。是非読んでいただけたら幸いです。

    絶対に風化させてはいけない震災

    東日本大震災で大きく被災した旧大川小学校に行き、語り部活動をしている三條さんから震災当時のお話を聞きました。実際に校舎や周りの建物があった場所を見て回り、震災当時を追体験しているような感覚で地域の人の思いを感じました。

    北上川を見ながら当時の様子の話を聞く小学生

    小学校側にある新北上大橋の近くまで行き、川からの津波の影響がどれほど酷かったのか真剣に聞いている様子でした。津波がどこまで登ったのか、どのようにして校舎が崩れていったのか。当時の悲劇を見聞きして実感しているようでした。

    旧大川小学校の話をする三條さん

    津波が来るなんて誰もまだ想定していなかった時に、自転車で登校していたことや、中庭でお花見給食をしていたことなど、平和だった小学校の日常のお話。裏山に逃げていれば、と何とも言えない悔しさと悲しさに涙する小学生も見受けられました。

    避難場所になるはずだった裏山

    実際に裏山に逃げたことを想定して登りました。そこまで急斜面というわけでもなく、「小学生でも簡単に登れるような山だよね」という声も。助かった人の話を聞き、自分たちがもしこの状況に陥ってしまったらどうするべきか深く考えていました。

    伝承館で三條さんに詳しく質問

    伝承館で見たのは、小学校付近の写真や地域住民の人たちの思いなどがまとめてあるパネル。三條さんに質問をして詳しく話を聞いている小学生もいました。

    その後、大川小学校からバスに乗り、旧戸倉中学校と震災復興祈念公園に向かいました。そこで語り部をしていただいたのが一緒に同行していた佐藤慶治さん。旧戸倉中学校では、高台にあるにも関わらず、建物の一階まで波が到達してきたことを聞き、小学生はとても驚いていた様子でした。

    防災対策庁舎を見上げる小学生

    震災復興祈念公園では、被害を受けた防災対策庁舎の残されていることの意味について考えながら見ていました。

    昨年オープンした「南三陸311メモリアル」で震災ラーニングプログラムを視聴しました。途中何回か話し合いができる時間が設けられており、話し合いながら他の人の意見も取り入れます。考えを共有しながら震災についてさらに理解を深めていました。

    海と向き合い、考える

    南三陸の豊かな森里海をフィールドに、様々な体験活動を行い、震災からの復興や自然との共生を学びました。

    南三陸・海のビジターセンターに向かい、センター長の平井和也さんに、志津川湾に生息しているかわいい生き物の紹介や、海の環境問題についてのお話を聞いた上で、実際にビーチクリーンを全員で実施。たった30分ほどでペットボトルや缶、ビニール、発泡スチロールのほか、漁業用のロープや縄などのゴミがたくさん出てきました。

    戸倉地区の海岸でビーチクリーンを実施
    平井さんのお話を真剣に聞く小学生たち

    「一見綺麗な海岸だけど、よく見るとペットボトルや缶などのゴミがたくさんある」

    「海のゴミが増えてしまうと海の生き物たちにも影響されちゃう」

    拾ったゴミの半分以上が海で捨てられたものではなく、私たちが住む町から川に流され、海へとたどり着いたものでした。

    ポイ捨てされたペットボトルや飛ばされたビニール袋が日光で劣化し、海洋生物の生態系を破壊するマイクロプラスチックになってしまいます。

    「マイバックをなるべく持参したい」「どうしたら海のゴミを0にしつつ、きれいな海を保てるかな」など講話とビーチクリーンを通じて環境のことを学びつつ、いろいろな解決案を出しあっていました。

    みんなで記念撮影

    ビーチクリーンのあとは「たみこの海パック」代表の阿部民子さんに手作りの紙芝居で海藻について教えていただき、南三陸の海藻をたっぷりと使ったオリジナルの「ふりかけ作り」を体験しました。普段何気なく食べている海藻がおいしく食べられるようになるまでの過程や海藻の旬などを知ることができました。

    海藻について紙芝居をしてくれている民子さん

    南三陸自慢の資源であるわかめやめかぶ、ふのりやのりなどの海藻をたっぷりと使ったふりかけ作り体験。塩蔵わかめの芯抜きを一生懸命しつつ、「おいしい!おいしい!」と味見しながら楽しそうに作っていました。世界で一つだけのオリジナルのふりかけで試食用のおにぎりを作り、みんなで味わって食べました。

    「おかわりしたい!もっとたべたい」と喜ぶ子どもたち。南三陸の資源をつかってできた自作のふりかけは、とっておきのお土産になったようです。

    ふりかけ作りを楽しんでいる小学生

    オリジナルペンスタンド作りと入谷の美味しいりんご!

    南三陸の杉について真剣に聞く小学生

    可愛いオクトパス君グッズをたくさん作っているYES工房さん。はじめに南三陸杉についてご説明いただき、山の役割や海との関連性を学びました。豊かな自然に囲まれている南三陸の恵みを感じ、木材に対する見方が変わりました。

    組み合わせるのが少し難しい!オリジナルペンスタンド

    次は立教女学院の紋章が入ったペンスタンド作り!YES工房の大森丈広さんに教えていただきながら、楽しそうに体験していました。自分で作ったお土産は世界に1つの宝物ですね。

    りんごの見極め方を教えている阿部さん

    南三陸町入谷地区にある童子山に登り、りんご畑で収穫体験をしました。なんと、無肥料でこんなに甘くて美味しいりんごを作っているそうです。りんごを作っているのは阿部博之さん。美味しいりんごの見極め方を教えていただき、色や凹凸を見て、小学生は好きなりんごをその場で丸かじり!

    りんごを丸かじりする小学生。

    「こんなに美味しいりんご食べたことない!」「もう一個食べたい!」と笑顔でりんごを味わっていました。お土産で2個持って帰れることになり、ガッツポーズをして喜ぶ小学生もいました。

    この3日間をふりかえって

    3日間を通して小学生の皆さんとスタディツアーに同行してみて、地元に住む自分達が知らなかったところに気付かされて改めて南三陸町って良い町だなと実感できました。また普段できないりんご園でりんごを丸かじりしたり、旧大川小学校の当時のお話を現地で聞かせてもらうなど貴重な体験ができてほんとうに嬉しかったです。スタディツアーで積極的に話しかけてくれた小学生たちや先生方には感謝の気持ちでいっぱいです。 3日間本当にありがとうございました。

    普通科 2年 阿部愛弓

    この3日間は私にとってとても充実したものでした。旧大川小学校には初めて訪れたのですが、その場の空気感に圧倒され、語り部さんのお話も聞くことができ、実際に行かないと感じられないことをたくさん得られました。普段このような機会はなかなか無いので貴重な体験だったと思います。自分に落とし込んで考えることができ、改めて震災の恐ろしさを実感しました。小学生と共に私達もビーチクリーンに参加してみて、自分の知らないところでこんなに海にゴミが流れているのだと驚きました。自分の町にもっと積極的に貢献していきたいと思えました。その日、小学生が「お昼一緒に食べましょう!」と言ってくれて、その後もみんなで海を見たり楽しい時間を過ごしました。真剣な表情で体験をしている小学生の姿を見る場面が多かったので、自然を感じて無邪気に遊んでいる場面を見れて嬉しい気持ちになりました。またいつか南三陸町に遊びに来てほしいです。インターンシップの業務以外にも心に残る色々な体験ができたことにとても感謝しています。これからの生活に、この3日間で学んだことを活かしていきたいと思います。ありがとうございました。

    普通科 2年 西城真凛

    それぞれのスキルで地域を盛り上げる!地域おこし協力隊活動報告会(後編)

    南三陸町で活躍する「地域おこし協力隊」は現在9名、これまで培ってきたスキルを活かしそれぞれの職場で奮闘しています。8月に行われた報告会にて、各自の現状と今後への意気込みを取材しました。(全2回に分けた内の後編)

    報告⑤ギンザケのASC取得に向けて〜吉岡優泰さん〜

    協力隊の中で最も若手、21歳の吉岡さんは宮城県漁業協同組合志津川支所の協力隊2年目。南三陸町が養殖の手法の発祥地して知られるギンザケのASC取得に向けた活動をしています。

    頭にカメラをつけてギンザケの養殖場の現場を撮影した動画を公開

    認証取得の目的としてはサステナブルな漁業の証明、他地域との差別化、南三陸のギンザケのブランド化と価値向上とし、その達成率は現在70%だという。課題として、ギンザケを育てるための飼料や配合の規格がネックになっているそうで「ASCはオランダの認証になるため飼料などの規格が日本と異なっている。餌を変えると今度は現在使っているギンザケの商標と名前が使えなくなってしまう」とのことで、あと少しのところで足踏みしてしまっている状態とのこと。

    すぐすぐには解決出来ないものと割り切り、吉岡さんはASCと並行しながらMEL認証取得という新しい目標を追加で立てました。こちらは養殖漁業に関する国際認証制度で、日本発の認証。日本の海洋環境や養殖業の多様性を活かしつつ、南三陸町では2024年3月、来季の水揚げ前に取得予定を目指しています。

    吉岡さんは膨大な認証手続きの作業をしつつ、実際にギンザケ養殖の現場にも参加し、ギンザケの選別や水揚げにも関わっています。

    <今後の展望>
    ・MEL認証取得の先、付加価値をどれだけ付けられるかを考える

    養殖銀鮭でASC認証取得を目指す!地域おこし協力隊 吉岡優泰さん

    報告⑥養殖ワカメのブランド化〜西城俊行さん〜

    三陸ダイニングで活動する協力隊1年目の西城さんは、これまで長年宮城県庁にて勤務し、その中で漁業に関わる業務を経験してきました。その経験を活かし、南三陸町で育つ養殖ワカメのブランド化に取り組んでいます。

    ワカメの価値を生産者さんと一緒に上げていきたいと話す西城さん

    全国的な生産者(漁業就業者)の担い手不足や高齢化、沿岸漁業の取得が減少していることをデータで説明した上で、西城さんの活動が目指すところは「取得増加と単価のアップを狙う事業展開」とし、ワカメのJAS認証取得(化学肥料に頼らない、自然界の力で生産された食品の認証)に向けた動きを始めました。

    ワカメ生産者との認証に関する勉強会や認証機関との講習会を開講し、認証の申請を10月に見据え「孫の代までどのように人を残していくべきか、漁業生産者と一緒に考えていく」と話しました。

    <今後の展望>
    ・国際交流協会の活動への参加。台湾・韓国・タイなどを中心とした交流を通じて海外への販路開拓を目指す

     

    報告⑦空間リノベーションと南三陸杉の振興〜熊谷海斗さん〜

    YES工房2人目の協力隊員である熊谷さんは、前半でお話しした佐藤さんと同じく木材の地域振興やモノづくり学習の他に、地域産材を活用した製品開発や販売促進活動を行っています。

    アンテナショップの展示の紹介

    販売促進活動として仙台でアンテナショップの設置や、空間に馴染む棚として自由に組み立て、カスタマイズができる”和ら木”の開発を行い、その中で機械によるモノづくりのオートメーション化(デジタルファブリケーション)を進めています。パソコン上で製図した物が実際にイメージ通りに動くかどうかを検証し、計算が出来た状態で出力し制作する様子の一部を公開しましたが、会場からは「今はこんなことも出来るのか!」と驚きの声があがっていました。

    言葉だけでは分かりづらいですが、熊谷さん曰く「機械なので、一度作ると同じものを作ることが楽になる。職人さんだけの技術ではなく、1人がたくさんものを作れる仕組み。これから(高齢化などで)生産者が減っていく中で必要な技術だと考えています」と、先進的なモノづくりの一つの形として今後も活用していきたいと話しました。

    <今後の展望>
    ・家具・什器の設計・開発

    地域おこし協力隊に熊谷海斗さん着任 デジタル技術を駆使して南三陸杉の新たな可能性を探る

    報告⑧「さんさん市場」魅力化推進プロジェクト〜太田裕さん〜

    前半で発表した太田和慶さんと裕さんは夫婦で南三陸に移住しました。裕さんはこれまで山形県や岩手県で職員や駅のスタッフを経験し、南三陸町ではさんさん市場店長/さんさん魅力化推進員として活動しています。

    さんさん市場になくてはならない人になった裕さん

    裕さんの発表では自身がさんさん市場の店長になり、どのようにスタッフと協力しながら品揃えを充実させたか、出店している地域の方とのコミュニケーションについて取り組まれてきたことをお話し、町内出荷者さんの商品は150品目増加、25人になった出荷者さんのデモンストレーションとして実際に店舗で実演、魅力をお話ししてもらうといった場づくりを行ってきました。

    また、町内外のイベントに出店するなど、町外にどんどん町の魅力を広げる活動も行っています。課題としては冬場の閑散期が挙げられましたが、こちらの対策としてふるさと納税商品の増加、消費者向けのECサイトを作成中など店舗以外での購入ルートを構築する予定とのことでした。店舗の方は店内のディスプレイを見やすく、主な購買層である主婦の目線で改良しているそうです。

    <今後の展望>
    ・9割町外なので地元の方にも気軽に来てもらえるような商品・場づくり
    ・生産者産と共同企画、商品づくり、地域の困りごとを聞いて還元していきたい
    ・色々な方にヒアリングしここでしかできないコト・モノ作りをしたい

    さんさん市場にオリジナルブランドを!地域おこし協力隊 太田裕さん

    報告⑨地域資源を生かした新しいコンテンツ作り〜丹菊龍也さん〜

    最後の発表者は南三陸研修センターで活動する丹菊さん。当日会場に来られないということで、なんと事前に録画したものでの発表となりました。

    録画したものですが、随所に小ネタを仕込んできた丹菊さん

    協力隊としては1年目の丹菊さんですが、高校、大学時代からボランティアや地域実習などで頻繁に町を訪れ、卒業後も地域の人との縁を紡ぎながら自身のサウナを持ち込んでのイベントや南三陸なうの動画編集などで活躍していました。

    現在は南三陸研修センターにて企画・研修部門のスタッフとして日々業務にあたりながら、地域おこし協力隊としてのミッションである「オンラインとリアルを融合した地域資源を生かした新しいコンテンツ作り」をメインに活動中。

    新型コロナウイルスの蔓延を機に町内でも様々なオンラインコンテンツが作られましたが、今やオフラインも外からの人が戻りつつあるなかで、両者の良いところどりをしたコンテンツ開発を目指しています。

    最近ではサウナを活用した「サウナリトリート」といったプログラムで県外から参加者を集め、南三陸の震災後のまちづくりに関わる方々との交流を生み出す機会を作りました。(後日南三陸なうにてご紹介します)

    大正大学地域創生学部 第1期生20名 南三陸町へ(寄稿)

    <今後の課題>
    ・農林水産に関わる地域人材の育成プログラム
    ・サウナを活用したイベントの定期開催

    以上が今回発表した9名のレポートになります。それぞれが取り組むミッションや活動の先に「未来の南三陸」の姿が浮かび上がってくるような発表でした。まだまだ活かしきれていない地域資源があること、それを磨こうと奮闘する協力隊員の活動を地域一丸となって共に伴走していきましょう。

     

    それぞれのスキルで地域を盛り上げる!地域おこし協力隊活動報告会(前編)

    南三陸町で活躍する「地域おこし協力隊」は現在9名、これまで培ってきたスキルを活かしそれぞれの職場で奮闘しています。8月に行われた報告会にて、各自の現状と今後への意気込みを取材しました。(全2回に分けた内の前編)

    隊員の活動を町内の方々へ伝える場

    8月4日(金)に南三陸町役場にて開かれた報告会には、地域おこし協力隊の皆さん以外にも、行政側の地域おこし協力隊担当である役場企画課、今年度から地域おこし協力隊の活動フォローにあたる南三陸町移住・定住支援センターが参加しました。

    まず進行を務める南三陸町移住・定住支援センターの上野さんが「今日の時間を通じて協力隊の活動に興味が出た、協力や応援がしたいといった気持ちになると僕らも嬉しいですし、協力隊の皆さんももっと頑張りたいという気持ちにもなります。みんなで今日のこの場を作っていきましょう」と、聴講で来た地域の方々に呼びかけ、活動の推進には地域との共同があってこそとのメッセージがありました。

    協力隊員の報告は各プロジェクトのゴールと現状、今後の展開についてとなっており、本記事では9人中前半4人分となります。

    報告①海藻の新しい魅力〜山口清緒さん〜

    株式会社阿部伊組で地域おこし協力隊として活動する山口さんは、任期3年目。「海藻を、新たに」というビジョンのもと、これまでの活動として新商品である海藻バターの魅力向上と海藻を使った新商品の開発、海外への展示会に参加するなど町内外どころか国内外で勢力的に活躍してきました。

    海藻の奥深さ、おもしろさについて語る山口さん

    「海藻が未来を変える」と海藻が持つ可能性について話し、スーパーフードとして世界から注目されるようになった海藻ですが、所属するSEASONで主力の「まつも」はまだ知名度も低く、これからの展開に期待ということですが「まずは海藻をもっと楽しく食べてもらいたい」という山口さんの思いでお菓子に海藻を混ぜたチップスの開発などを進めています。

    <今後の展望>
    ・事業の継続
    ・来年から歌津にカフェを展開予定とのこと

     

    報告②木育を通じた学びの形とは〜佐藤豪さん〜

    2人目はYES工房で地域おこし協力隊として活躍している佐藤豪さん。佐藤さんも任期3年目と隊員として最後の年になります。

    数多くのワークショップを手掛けてきた佐藤さん。実際に現場で聞ける生の声が大事と話します

    佐藤さんは「デジタルファブリケーションで南三陸杉の振興と交流を図るプロジェクト」を掲げ、木材振興を目的として木工教室の開催やモノづくり体験などのワークショップを町内外で数多く開催してきました。

    開催する中で参加する子どもたちの木に対する気持ちの変化はありましたか?という会場からの質問には「そもそも木に触るのが初めてというお子様もいて喜んで触ってくれている、握っている、日常では体験できない触感がいい刺激になっているのでは」と、自身も直近で変化を見れることが楽しいと話しました。

    <今後の展望>
    ・イベントには積極的に参加、他の仕事も手につけていきたい

    YES工房に新規協力隊員着任!南三陸木材のさらなるブランド化推進へ/佐藤豪さん

    報告③念願の農業と地域貢献〜太田和慶さん〜

    協力隊1年目の太田さんは山形県の出身。農業がやりたい!と南三陸に繋がり移住し、現在は山藤運輸で液体肥料の散布の仕事をしつつ、自身の農業の他にも耕作放棄地の解消活動や子どもたちへの環境教育活動、定住や移住の推進活動に取り組まれています。

    やりたかった農業ができて日々楽しさと難しさに直面しているという太田さん

    地域資源を活用した肥料の実験(漁師さんからもらった牡蠣殻など)や、製造過程で温室効果ガスを出さない肥料である液肥の取り組み、南三陸ワイナリーとタッグを組んで耕作放棄地でのワイン用ぶどうの植樹等の活動も展開しており、町の農家さんからも「やっていることと町の課題がマッチしている。外の人にとって興味があることをやっているように見える」とコメントをもらっていました。

    「地道な活動が南三陸を訪れるきっかけになってほしい」と自身が移住に至った経緯から、今後の移住者に向けた取り組みを行っていきたいと話しました。

    <今後の展望>
    ・移住定住を推進する上で希望者が求める”南三陸ならでは”のプログラム(衣食住、職種などの紹介)が必要
    ・町の農地活用(果樹)

    液肥を使った農作物のブランド化を目指す 地域おこし協力隊 太田和慶さん

    報告④環境×観光による復興後の地域活性化〜小林翔吾さん〜

    秋田県出身で協力隊2年目。前職ではアパレルの営業や介護福祉施設のコンサルなど様々で、地域おこし協力隊としてサスティナビリティセンターで活動しています。

    過去の仕事の経験を活かしてバシバシ裏方もこなせる小林さん

    里海里山ウィークス2022の企画・運営やいのちめぐるまち学会第1回大会の企画・運営などイベントの事務局として活躍し、学会への新規会員の入会や町内店舗への参加者の誘致などの結果に繋がりました。
    また、環境教育研修や町内の小〜高校の環境教育学習講座への同行、企業研修の受け入れや志津川湾の調査活動にも参加するなど、南三陸の環境をテーマにした事業へ積極的に参加しその魅力を町内外に伝えています。

    <今後の展望>
    ・里海里山ウィークスや学会の規模を拡大しての開催
    里海里山ウィークス2023開催予定!
    ・サスティナビリティーセンターの事業を通じて環境についてより学び、よりわかりやすく伝えられるようになりたい

    新たなまちづくりの担い手「地域おこし協力隊」に4名が着任 今後の活躍に期待

    以上が前半4名の報告となります。次回は後半5名の報告のレポートとなります!

    脱炭素社会に向けた鍵の一つ!「ブルーカーボン」に見る志津川湾の可能性とは

    2050年までの「脱炭素社会」の実現を目指す日本。そんな中、注目を集めるのが海の植物による炭素吸収「ブルーカーボン」。ラムサール条約にも登録され、豊かな資源を誇る志津川湾だからこそ、今後地域にとって重要なキーファクターになる「ブルーカーボン」について紹介していきます。

    世界的な温暖化は地域にとっても大きな影響をもたらす

    記録的な高温や集中豪雨、台風など地球温暖化の影響とみられる異常気象が増える中、「脱炭素」が世界的なキーワードとなっています。2016年11月の「パリ協定」発行により、世界各国で温暖化への対策対応が本格化。日本政府は、2030年度までに二酸化炭素(CO2)をはじめとする温室効果ガスを46%減少させ、2050年までの脱炭素社会実現を目指しています。

    温暖化の影響は、南三陸町にとっても他人事ではありません。ここ数年、南三陸町の海で穫れる魚種に変化が見られています。これまで獲れなかったイセエビが水揚げされていたり、タチウオ釣りがブームになるほどタチウオが北上していたり、熱帯魚が冬を越して大きく生長するなど、海水温の変化により志津川湾に生息する魚種に変化があることが分かります。そのなかでも大きな影響となっているのは、シロザケの水揚げの減少です。復興の原動力の一つともなってきた南三陸名物のキラキラいくら丼はシロザケの水揚げ減少により、中止に追い込まれてしまうなど温暖化の影響は私たちの生活とも無関係ではなく、地域経済にも大きな影響を及ぼしています。

    注目を集める「ブルーカーボン」

    脱炭素社会の実現に向けては、そもそも再生可能エネルギーへのシフトなどを中心にCO2排出量を「減らす」ことと、森などの働きによってCO2を「吸収する」ことの組み合わせが必要となります。

    そのなかで注目を集めているのが、海の植物による炭素吸収「ブルーカーボン」です。「ブルーカーボン」という言葉が一般的になったのは2009年に国連環境計画の報告書内で登場したことがきっかけ。

    そんな今まさに注目を集める「ブルーカーボン」について考えようと、南三陸ネイチャーセンター友の会主催の第24回南三陸自然史講座にて、太齋彰浩さん(一般社団法人サスティナビリティセンター代表理事)を講師として「ブルーカーボンの取説〜南三陸での活かし方〜」が開催されました。

    町内の一次産業に関わるメンバーなど約10名が集まり意見交換

    豊かな志津川湾に広がる可能性

    2018年10月、歌津・志津川・戸倉の海域を含む南三陸町沿岸が「志津川湾」としてラムサール条約湿地に登録。海藻の藻場としては、日本国内で初めての登録になります。志津川湾の最大の特徴は藻場の多様性です。マコンブやアラメ、アカモクなどの海藻が岩場に海の森を作り、アマモなどの海藻が砂地に海の森をつくります。

    絶滅危惧種にも指定されているタチアマモの草原や、冷たい海域に生長するマコンブと温かい海で生長するアラメが共存する南三陸の海は世界的にも貴重な資源の宝庫とされています。

    その藻場が脱炭素に向けた鍵を握っています。

    約50年で生長が止まってしまう木の場合、効率的に炭素を吸収できるのが50年ほど。腐って分解されたり燃やされてしまうと、貯留した炭素が放出されてしまいます。それに比べてブルーカーボンは、炭素の貯留される場所が泥地や、深海で放出されることがない場所。何百年何千年という単位で貯留し続けておくことが可能とされています。そもそもの吸収速度も陸上に比べ10倍早いと言われており、吸収速度の面でも、吸収の安定性においてもブルーカーボンが注目されています。

    地域戦略としてどのように関わっていくのかが大切

    こうした海洋資源に恵まれている南三陸町ではどのようにするのか?という議論が大切になってきます。

    「この問題は、地域のエネルギーどうするの?という根本の部分への問いかけでもあると思っています。まさに南三陸の地域戦略として考えていかなければなりません」と太齋さん。

    特に注目されているのが、ブルーカーボンの取り組みを評価し、その活動によって生み出されたCO2吸収分をクレジットとして売り出し、企業などが買い取る「ブルーカーボン・クレジット」の仕組みです。

    CO2排出量の多い企業などが、直接CO2の排出量削減することが難しい場合、この「クレジット」を購入することで、間接的に排出量削減につながり、地域側ではクレジットの販売によってさらに活動を加速させ、持続化することができるという仕組みです。

    「ブルーカーボン・クレジット」は希少性も高く、注目度も相まって、「グリーンカーボン・クレジット」取引の5〜6倍の価格で取引されているという事例からも注目度の高さが伺えます。

    これまでの傾向として、単純に吸収量の多さによって購入されるのではなく、その取組自体に付随する付加価値の高さによって注目を集めていると話します。クレジットをどのように使っていくのか、意味のある使い方をしているところが選ばれる傾向にあるため、地域のプレーヤーが連携ししっかりと考え、議論していくことが大切です。

    世界に誇る志津川湾をどのように活用していくのか。

    それは地域の未来だけに留まらず、「脱炭素社会の実現」という現代の最重要課題の一つにも大きな意味をもたらすものになるかもしれません。