「化石」という魅力を町内外に広めたい!地域おこし協力隊菊池優さん

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インストラクターとしてひとり立ち出来るよう努力する日々

今年の春以降に南三陸町に着任した地域おこし協力隊は3名。それぞれ専門分野を活かした活動を展開しています。今回は「化石」を扱う菊池優さんにスポットをあて、南三陸町の魅力の一つである化石とどのように出会い、これからどう展開していくのかについてお話しを伺いました。

湘南の普通ボーイから古生物学の道へ

菊池さんの出身は神奈川県茅ヶ崎市。市内でも陸側に住んでいたそうで「茅ヶ崎出身と言うとよく『湘南ボーイだね』と言われるのですが、そんなことは全然(笑)陸側なので普通ボーイでした」

高校を卒業し、進学したのは東京都市大学の自然科学科。自然科学分野を広く学ぶなかで「古生物学」に出会いました。「大学入学時に将来の選択肢を広げたいと思い自然科学科を選び、その中で小さい頃から興味のあった古生物学を専門にする研究室に入りました。」年間2〜3回のフィールドワークで野外調査に行き、日本の化石産地に赴くような調査をするなどアクティブな研究室だったそうです。

糞化石の調査と南三陸との出会い

「3年次には大量絶滅後の生物についての糞の化石の調査を始めました。」糞の化石から一体何が分かるのか、そもそも糞の化石なんて分析出来るのか?と筆者は疑問に思ったわけですが菊池さんはその魅力についてこう語ります。「糞を調べることでその生き物の大まかな大きさ、何を食べていたのかを考察できます。例えば魚の鱗が見つければその生き物は魚を食べる生き物であったとか、泥の成分が混ざっていたら泥ごと食べるような食性だったとか、その生き物の生態について知ることが出来ます。」根気がいるその観察や分析調査もある意味思い出になったそうです。

町内には貴重な地層が身近なところにある場所も。

研究材料として中国やアメリカの標本を扱うなど、研究資料は国内外様々だったそうです。そして国内で調査に赴いた地域の一つに南三陸町がありました。菊池さんと南三陸の縁は、学部生時代の化石調査で訪れたことから始まります。

南三陸町の化石博士たちと協力隊としてのミッション

南三陸町の化石と聞くと有名なのが世界最古級の魚竜化石「ウタツギョリュウ」や、2015年に国内で初めて発見された嚢頭類(のうとうるい)、そして化石のプログラムに関わる「Hookes」の皆さんです

「正直、すごいとしか言いようがありません。特に高橋直哉さんは化石発掘プログラムのインストラクターとしても、化石の魅力を子どもたちに教えるのも非常に上手だと思いました。知識も自分より詳しいんじゃないかと思うぐらいです。」学問として古生物学を修めてきた菊池さんも唸るほど、南三陸町の化石博士たちはとてつもないパワーを持っていることが分かりました。

菊池さんお気に入りの一枚。歌津館崎のウタツギョリュウ化石

そんな南三陸町のポテンシャルと、卒業後は学んできたことの教育普及活動に携わるという夢が重なり地域おこし協力隊としての移住を決断しました。「理想は、これまで学んできたことを伝えることでその人の人生の選択肢を増やすことです。化石を学んだ先には研究者やインストラクターなどの道があるんだよと伝えることで、少しでも将来の可能性を広げられたらと。学問を知る、または触れるきっかけを作るなかで、関わった全員ではなくともその中の1〜2人でも関心を持ってもらえたら嬉しいです。」

菊池さんの協力隊としてのミッションは化石の観光資源化であり、その先にある町の地域活性化がゴール。これまで町内で行われてきたことをさらに加速させる人材として活動しています。着任後は所属先の南三陸町観光協会での業務として化石の広報作成や、化石発掘体験プログラム、化石の観光コンテンツ化などに携わりながら学ぶ日々を送っています。

新年の抱負

南三陸町に移住して約5ヶ月。菊池さんにとって初めての1人暮らしも新鮮なことがたくさんあるようで「特に車社会が新鮮です。免許は前から持っていましたが、実家にいる頃は月に1〜2回運転すれば多い方でしたから、南三陸に来てほぼ毎日運転するのは楽しいですがこれからの季節(冬季)はちょっと怖いですね・・・気をつけて運転します。それと、自炊も来年は頑張りたいなと思ってます。」

仕事の面での抱負については「まずは一端のインストラクターになって、直哉さんや他の方々の力になることですね。これからさらに化石の魅力を町内外に広め、地域おこしに貢献したいです。また、地域おこし協力隊としてゆくゆくは化石などの観光資源を紹介できる施設を作りたいです。もしくはそのような施設に関わることですかね。」と語りました。

町内のイベントでは子どもたち向けのブースを出店することも

まだまだ発掘されたばかりの”化石”というコンテンツがこれからどのように磨かれていくのか、菊池さんをはじめ化石に関わる方々の今後に期待が高まります。

 

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