漁師の番屋

2月のよく晴れた日。

戸倉地区水戸辺 漁師の番屋にお邪魔しました。

2014年4月に設立された『漁師の番屋』。
水戸辺漁港近くのテントを拠点に漁業体験や浜の料理を提供しています。
番屋を切り盛りするのは代表の村岡絹子さん、そしてご主人の賢一さんです。


この日はスタディツアーの大学生約30名がいらしていました。
午前中は賢一さんの案内で戸倉の山道を歩き、震災時・避難時のお話を伺ったそうです。
筆者がお邪魔した際はフィールドワークの合間の腹ごしらえ中でした。

「この町に暮らす人には皆一人ずつドラマがあるから。
 特に若い人には色々なところで話を聴いて、その中で考えていってほしいね。
 町内には以前民泊を受け入れる家が100軒くらいあったんだ。(2015年3月現在10件程)
 うちでもやっていたんだが、震災後は再開が難しくてね。
 それでも多くの人に来てもらいたいと思って『漁師の番屋』を始めたんだよ。」(賢一さん)

この日出されたカキもホタテも水戸辺の漁師さんたちが育てたものです。
運が良ければウニやアワビも味わえるそうです。

絹子さん特製のおうどんも振る舞われました。

「わだしは口下手だから、食べさせるの専門なの(笑)。」(絹子さん)

絹子さんの料理と優しさにすっかり温まった学生さんたち。
元気に次のポイントへ移動していきました。

「町の将来のためには町の評判を良くしていくことが大事だ。
 この仕事なら町の人・海の魅力を伝え続けることができる。
 歳をとっても二人で続けるつもりだよ。」(賢一さん)

■漁師の番屋 サイト http://www.ryoushi-banya.com/

(日比谷)

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伊里前福幸商店街の助っ人たち

多くを奪った震災ののち、新たに生まれたご縁があります。
今日はその一つをご紹介したいと思います。

伊里前福幸商店街でお会いしたのは富田純一さん(写真右)とKさん(匿名希望、写真左)。
お二人とも仙台在住の男性です。

どちらも震災後に町に関わりを持ち、
最近はこちらの商店街に頻繁にお越しだそうです。
この日はフラッグとイルミネーションの修繕のためにいらしたとのこと、
楽テントでお話を伺いました。

-初めて町にお越しになったのは?

Kさん
「震災の年の4月、ベイサイドアリーナへ支援物資を運びに来たのが最初です。
伊里前地区へは2013年の10月。
知人有志と共に小学校へフットサルゴールを寄贈・設置しにきた時です。」
富田さん
「私は2014年の1月です。
それまで他の被災地域で植樹やイベントの支援をしていたのですが
関西のTwitter仲間を通じて歌津地区を知り、伊里前へ来てみたんです。」

-これまでのご活動は?

Kさん
「物資支援のほか、イベントのお手伝い。
手伝うことが楽しいので“ボランティア”という意識はないですね。」
富田さん
「町の方と外の方とをつなげるための活動を続けています。
今日はいつもと違うメンバーに協力を貰いました。
イベントの際は2年以上前から活動し続けている仲間とコーヒーやワークショップを提供し、
その模様をWebで発信したりしています。」

-通い続ける理由は?

Kさん
「志津川出身で現在故郷を離れている旧友がいまして。
彼の分まで町を助けたい、という気持ちがあります。
また、商店街の方やボランティアさんなど、ここで力を尽くす人たちに会ったことで
おれも何かしなければと感じました。」
富田さん
「伊里前に来て、馴染みの人たちと会うのが楽しみで。
今後はもっと伊里前での活動の割合を増やしていきたいですね。」

-お気に入りの場所は?

Kさん
「場所というか、イベントや催し物を楽しみに来ています。」
富田さん
「楽テントと、ラーメン屋の飛上!(笑)」

-ゴールは?

Kさん
「ありません。
地域の人たちと、人と人との関わり合いを続けたいと思っています。」
富田さん
「私もありません。
願わくば10~15年後、再建した町の商店街で皆と笑いあいたいですね。」
Kさん
「ああ、それいいねえ!」
富田さん
「文化財や自然もさることながら、ここの魅力は人なんですよね。
もっと多くの人にこの良さを伝えて、歌津の人に会いに来てもらいたいですね。」


歌津と伊里前の魅力をひとしきり語ってくださったお二人。
イルミネーションの点灯を確認し、商店街の人々と挨拶を交わし、
車一台に乗りあわせて帰っていかれました。
次のお祭りでまたお会いできますね。

■富田純一さん運営T-Network Planning サイト http://t-net.club/jp/swift.cgi

(日比谷)

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歌津地区 町営枡沢復興住宅

本日は歌津地区から、完成したばかりの町営枡沢復興住宅の様子をお伝えします。

(クリックで拡大)

完成2015年1月、入居開始2015年2月2日、戸数20戸
復興みえる化 災害公営枡沢住宅
http://www.town.minamisanriku.miyagi.jp/index.cfm/6,4206,81,316,html

名足小入口交差点の北西に広がる新興住宅地。
町営枡沢復興住宅はその奥に建っています。

3階建20戸。
2月2日の入居開始からまだひと月足らずですが、
既にいくつもの暮らしが始まっているようです。

お邪魔してみると、建物の周りを緑の小道が囲んでいました。

共有スペースにはベンチやウッドデッキが用意されています。

隣の小山にはたくさんの若木が植えられていました。
桜か桃か、遠目なのでちょっと自信がないのですが
春のお花見が期待できそうです。

ご近所さんは仮設住宅と戸建のお宅、福祉施設などなど。
モダンなデザインの建物も多いようです。

今回は少しお邪魔しただけでしたが
お洒落で落ち着いた街並み、という印象を受けました。
皆さんの新しい暮らしが快適でありますように。

(日比谷)

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さんさん商店街3周年

今日2月25日は南三陸さんさん商店街のオープン記念日です。
大雪のセレモニーから3年、仮設商店街はすっかり町の賑わいの発信地となりました。


商店街には現在33店舗が軒を連ねています。(2015年2月時点)
この3年、南三陸キラキラ丼などの名物で町の魅力を発信しつつ
いくつもの新規スポットを呼び寄せてきました。

商店街を軸にJR志津川駅やポータルセンター・モアイ像・
復興まちづくり情報センターなどなど、今や周辺全てが集客エリアです。
被災地視察やスタディツアーのバスも頻繁に訪れます。


また、商店街の魅力の一つに「元気の出るイベント開催」があります。
2月21日・22日に開かれたオープン3周年記念イベントでは
美味しい出店や福引を楽しむ人々の姿が見られました。


22日には隣接会場にて『志津川湾牡蠣まつり福興市』『南三陸町手づくりマルシェ』も開催。
多くの来場客が商店街と会場を行き来し、休日を満喫していました。




飽きさせない仕掛けにリピーターも多いさんさん商店街。
賑わいづくりへの取り組みにより、
2014年には経済産業省「がんばる商店街30選」への選定、
2015年には「観光王国みやぎおもてなし大賞」奨励賞の受賞など
高い評価を受けました。

仮設商店街の姿は将来の本設商店街の姿につながるものでもあります。
町の方の憩いの場所として、また来町の方への入口として
今日もやすらぎと賑わいを生み出しています。

(日比谷)

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シロザケ 稚魚の放流

春めいてきました。
水尻川河口近くの南三陸町営さけ・ますふ化場では
シロザケの稚魚の放流が始まっています。

南三陸の水揚げ高の中でも最も大きな割合を占めるシロザケ。
かつては町内4施設から稚魚が放流されていましたが
全てが津波によって被災しました。
現在は緊急復旧された1施設のみでふ化・放流を行っています。

放流の季節は2月~3月。
今年は400万尾を数回に分け放流の予定です。
稚魚の2/3は石巻市の北上川、
1/3はここ水尻川ほか町内の河川で捕えたサケから採卵されたものです。
(採卵の様子はこちら)

「震災前は1000万単位だったから、まだまだだよ。」

産業振興課水産業振興係 及川浩人さんはそう話します。


飼育池の一つを開放すると、体長5センチの稚魚たちが流れ出しました。

稚魚たちは水尻川を下り、海へ泳いでいきました。


ふ化場は現在、小森地区でも再建が始まっています。
また及川さんによると
町内復旧工事が進めば現在の施設も移転する必要があるのだそうです。
3~4年後、故郷の景色は変わってしまうと思われますが
サケたちが安心して戻ってきてくれるような川でありたいものです。

(日比谷)

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おらほの酒つくりプロジェクト 続報

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オリジナルの酒作りを通し
交流人口の増加や6次産業化等を目指す『南三陸おらほの酒つくりプロジェクト』。
(過去の紹介記事はこちら→田植え、稲刈り)

着手からおよそ1年、南三陸町復興推進ネットワークより
念願のお酒が本日発売!との報告が入りました。


精魂込めて育てたひとめぼれは県内の老舗蔵元『中勇酒造』の協力を得て
しぼりたて生原酒に生まれ変わりました。
名付けて「おら酒」。

【限定】特別純米しぼりたて生原酒 「おら酒」
紹介ページはこちら

試飲した方の感想では「さっぱりとして香り高く、お米の味が感じられる」と高評価。
ラベルデザインも自分たちで手掛けました。
限定3,000本、発売1か月も前から予約の申し込みが相次いでいるそうです。

ここまで長い道のりでしたが
その時間をこそ楽しんでしまうのが「おらほの酒つくりプロジェクト」です。
メンバーたちは2月中旬に酒蔵見学会を開催、完成間近の「おら酒」に対面しました。

(写真提供:南三陸おらほの酒づくりプロジェクト)

一行は巨大なタンクを前にこれまでの道のりを思い起こし、
お酒への思いを募らせたそうです。

そして遂に発売となった「おら酒」。
3月には新酒を味わう交流会も予定されているとのこと。
きっと大勢で飲むのが似合うお酒です。

■一般社団法人 南三陸町復興推進ネットワーク
サイト http://www.373net.org/

(日比谷)

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戸倉のいま(2015年2月)

冬なのに大して寒くない気がする、と思って調べたところ
今年2月の気温は例年に比べ2~3度暖かいようです。
薄曇りの日、
戸倉地区の折立から水戸辺・波伝谷を走りました。

防潮堤や橋の再建・住宅工事など、国道398号沿いには看板が立ち並んでいます。


迂回道の工事も進んでいます。
もうすぐルート変更されそうな箇所がいくつか見受けられました。

オーイング菓子工房Ryoさんの周りも工事中でした。
お店に入るには山道を回り込む必要があるようです。

さわやか公園のモアイがいなくなってる、と思ったら・・・

旧戸倉中学校隣に引っ越していました。


モアイの視線の先には折立の風景。
西(左)側の奥は戸倉団地に続いており、大型車両がひっきりなしに出入りしています。

新しい街の形が徐々に表れつつある戸倉地区。
春にはまた違う風景が見られそうです。

(日比谷)

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戸倉 波伝谷地区 松崎団地(2015年2月)

戸倉地区波伝谷 松崎団地の造成が完了しました。

現在の風景をお伝えします。


造成完了2014年12月26日、戸数19戸

復興見える化 戸倉 波伝谷地区 松崎団地

http://www.town.minamisanriku.miyagi.jp/index.cfm/6,4198,81,318,html
(造成の様子はこちら)




国道398号からの眺め。


2014年4月
2014年9月

2015年2月


団地入口。


2014年9月

2015年2月


団地内の交差点からの眺め。

中央通りに沿って住宅15戸と集会場が建つ予定です。


2014年9月

2015年2月


戸倉神社への参拝道ももうすぐ開通しそうです。


2014年9月

2015年2月


西の高台からは波伝谷の海・山の様子が一目でわかります。


2014年9月

2015年2月


撮影中、自宅を再建予定だというご夫婦にお会いしました。

もともとこの地域にあった自宅を津波で失い、

今は山向こうの仮設住宅にお住まいだそうです。



「今も畑はこっちにあるんだけど、通うの大変でな。

 家が建ったらずいぶん楽になるわ。」


待ち遠しいですね。

(日比谷)

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石巻地域若者サポートステーション

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震災からもうすぐ4年。
整備の進む町内では津波の痕跡も消えつつあります。
が、心の傷はこれから表面化していくのではと言われています。

今回は石巻地域若者サポートステーション南三陸出張所
常駐カウンセラーの石川清守さんにお話を伺いました。

「石巻地域若者サポートステーション(以下サポステ)は
主に15~39歳の若年者を対象とする支援機関です。
2014年1月の設立以来、自立に悩む若者をサポートしてきました。」

この場合の“自立”とは“無就業状態からの脱出”のこと。
就職のほか、専門学校へ進学する方もいるそうです。

「引きこもりや学校中退・心身のハンディキャップなど、自立へのハードルは様々です。
サポステでは“インテーク”と呼ぶ相談会で悩み事を聴き出し、
コミュニケーションの練習や心の相談、就業のための訓練など
 相談者に合わせたプログラムを組んでいます。」

南三陸に出張所ができたのは去年の7月のことです。
石川さんはここで数名の利用者さんを担当されています。

「どの方も最近1~2年間に引きこもり状態となっています。
 震災直後、災害廃棄物処理場など短期の仕事に就いたけれど
 その雇用が終わった後は目標を見つけられないまま、というケースが見られます。」

そのため、気持ちが前向きになるようなプログラムを用意しているとのこと。
地域の企業等と連携したジョブトレーニングは
働く楽しさを感じられる、と好評だそうです。


(写真提供:石川清守さん)

「訓練が有意義なのはもちろんなんですが、まず“外に用事を作る”ことが大事です。
 ここに顔を出すだけでも
 早起きし、それなりに身なりを整え、家族以外の人と話すという工程が要ります。
 生活の乱れを直すことが“社会で役に立てる自分”につながるんです。」

設立から1年、全体で数十名の若者を卒業させた石巻サポステですが
石川さんは「見えるところに手が届いただけ」と言います。

サポステの利用には利用者側からの接触が必要です。
これまではご家族などの勧めで来る方が多かったのですが
差し伸べる手がない方も大勢いると考えられています。
特に成人の場合、一人一人の生活状態を把握する手段は少なく
引きこもりの実数は「まず分からない」ものなのだそうです。

「自らSOSを出せる方はほとんどいません。
 あなたの周りに支援が必要な方がいらしたらぜひご一報ください。」

■石巻地域若者サポートステーション 南三陸出張所
開所時間 10:00~17:00
開所日 月曜~金曜(祝祭日除く)
住所 〒986-0726 南三陸町志津川字磯の沢32
 NPO法人ワーカーズコープ南三陸事業所内
電話 0226-25-8551
メールアドレス minami-sanriku@roukyou.gr.jp
石巻地域若者サポートステーション サイト http://ishisapo.roukyou.gr.jp/

(日比谷)

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ワーカーズコープ移動販売車 続報

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昨日の津波注意報は解除されました。
気象庁の発表によると、1週間ほど大きな余震が起こる可能性があるそうです。
車のガソリンと携帯電話の充電は満タンにしておきましょう。

さて。
2月のよく晴れた日、志津川地区大森。

志津川漁協志津川支所の仮事務所前で移動販売車が開店しました。
職員の方たちがお昼ご飯を買いに集まります。

地域で仕事を作り出そうと奮闘するNPO法人ワーカーズコープ南三陸事業所。
移動販売はその活動の一環です。
一昨年秋のご紹介後も、着々と活動実績を積み重ねています。

昨夏には自分たちの車も手に入れました。
週1回だった販売日は3回に増え、
現在は曜日別に入谷・戸倉・志津川の各地区を回っています。
商品展開も陳列も、一層おいしそうになっていました。


地産地消の精神は変わっていません。
一番人気の大根ボールには自分たちで育てた大根がたっぷり。

「大根ボールの作り方?企業秘密(笑)。」
「お煮しめや酢豚の野菜も、キノコ以外はうちほの畑で採ったのよ。」

商品を勧める声に喜びがこもります。
自分たちで野菜を育て、お総菜を作り、販売するスタッフさんたち。
行政からの助成が3月で終了しますが、と伺ったところ、

「続けます。頑張るよ。」

とのこと。
自立に向け歩みを進めています。

(日比谷)

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