二重虹

梅雨のある日の夕刻のこと。
町の空に大きな二重虹がかかりました。

志津川中学校校庭では
雨の中、生徒たちが虹を背に部活動に励んでいました。

「えっ、うそ!」
「すごいきれいー。」
校舎から出てきた生徒の歓声が聴こえます。
虹はゆっくりと空に溶けていきました。

この日の虹は町内広い範囲から見られたようで、
ひとしきり人々の話題となっていました。
二重虹は願いを叶えるのよ、と言う方も。
町の皆さんはどんなお願い事をしたんでしょうね。

(日比谷)

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南三陸の田んぼ

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梅雨らしいお天気が続いていた、6月初旬。

 

雨の降る中、田植え作業中の農家さんがいらっしゃいました。
近代化された農業では病気や害虫の予防・対策、有害雑草の除去などのため、
農薬が使用されるのが一般的となっていますが、
こちらの田んぼでは、健康や環境に配慮した、
無農薬、有機農法での栽培を行なっているそうです。
しかし、農薬を一切使わないという事は、作物が虫や病気、雑草などの影響で、
生育状態が悪くなったり、収穫量が減ってしまったりする恐れもあります。
特に、雑草の影響が一番深刻なものになるとのこと。
そこで、こちらの田んぼでは、除草剤の代わりに“米ぬかペレット”を撒いているのだそうです!
ただし、化学合成の農薬と違い、効果を得るには厳しいタイムリミットがあるそうです。
なんと、植え代掻きをしてから72時間以内に、
田植えを終え、米ぬかペレット散布作業を完了させないと、抑草効果が得られないそうなのです。
植え代掻きから72時間以上経ってから米ぬかペレットを撒いてしまうと、
逆に雑草の栄養となり、草の成長を助けてしまうのだとか!
なので、田植えが終わった直後に米ぬかペレット散布作業も終えなければならず、
無農薬の有機農法をする農家さんにとっては、息をつく間もない一日になるそうです。
(写真上:米ぬかペレット散布の様子   写真下:散布された米ぬかペレット)
玄米から精米する時にできる米ぬかなので、安心・安全ですよね!
そしてそれを、また田んぼに使用するなんて、うまいこと循環している、と思いませんか^^?
この日お邪魔したのは、入谷地区の田んぼだったのですが、そこには色んな生きものたちが。

カエル、アメンボ、そしてウミネコ!!

ウミネコは、名前からしても海にいるイメージだったので、
田んぼにいるということがちょっと意外でした。
みなさんのご近所の田んぼには、どんな生きものたちがいますか^^?
(高橋)
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養殖銀ザケ

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このところ震度3~4の地震が続いています。
防災用品や避難路の再確認をしておくと安心ですよ。

さて。
6月の早朝、志津川漁港にやってきました。

この季節、魚市場の主役は銀ザケです。


身が滑らかで、刺身でも塩焼きでもおいしい銀ザケ。
志津川は1976年、世界で初めて銀ザケ養殖事業を始動した
銀ザケ養殖発祥の地です。
湾内の水温・潮の流れなどが育成に向いているとされ、
『銀のすけ』『伊達のぎん』など数々のブランド銘柄を生み出してきました。

震災・津波により大きなダメージを受けた養殖事業ですが
3年が経った現在、いくつかの設備が再開しています。
今年は志津川漁港・細浦漁港あわせて
1日30トン前後の水揚げがあるそうです。

養殖は主に、北海道で育てた稚魚を
志津川湾で大きく成長させる方法が取られています。
稚魚が志津川湾に届いてからが、養殖業者さんの技術の見せ所。
餌や飼育環境、水揚げ後の〆方に至るまで各社こだわりを持っています。

「うちの銀ザケは歯ごたえが違うんだよ。」
「丁寧に血抜きするから臭みがなくて、刺身に最高。」
「食べ比べたら分がっから!」

揚がってきた銀ザケは魚屋さんや飲食店に卸されるほか、
水産加工会社で切り身等に加工され、全国に出荷されます。

銀ザケの水揚げは8月まで続きますが、旬は6月後半だとのこと。
まさにこれからです。

(日比谷)

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(日比谷)

レディース外来

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本日は梅雨の晴れ間となりました。
昨日から続いた雨に、海岸近くでは一部の道路が浸水しているようです。
どうぞご注意ください。

医療の現場では今、
現在の町でできるだけの安心を生もうという動きが広がっています。
今回はそんな1つ。
南三陸診療所『レディース外来』へお邪魔しました。

通されたのは病棟2階の独立した診察室。
ここならリラックスして相談できそうです。

レディース外来は今年1月、内科の一部門として開設されました。
当初は月に2回だった診察は4月から週1回に増え、
20代から90代まで広い年代の女性を受け入れてきたそうです。

「女性の身体にはサイクルがあるから。
 週1回診察日を設けることで、体調に合わせて来所しやすくなる。
 事実、4月以降の来所者数は増加傾向にあるんだよ。」

そうお話しくださったのは中村幸夫先生。
長く被災地医療に携わっていらした医師であり、
レディース外来設立の立役者です。

レディース外来には女性特有の症状に悩む人はもちろん
心や体、様々な問題を抱えた女性が訪れるのだそうです。
南三陸の女性を診てお気づきになったことは?と伺ったところ、
中村先生の返答は「喫煙者が多い」でした。

「ここへ来れば卒煙指導もしてあげられる。」
そんな相談まで乗ってもらえるんですね。

また、レディース外来には
助産師の資格を持つ看護師も所属しています。

「お茶っこ気分で気軽に来ていいんですよ。
 ちょっとした相談が、
 乳房ケアなどの重要な治療につながることもあるんです。」
(看護副部長 高橋るり子さん:写真左)

妊婦健診の受け入れも始まりました。
町内には現在産婦人科がなく、
妊婦さんたちはこれまで健診の度に遠くの病院へ通う必要がありました。

「先日は「レディース外来ができたから町にいることにしたんです!」っていう
 若い妊婦さんが来所されたんです。
 嬉しかったですねえ。」(高橋さん)

南三陸診療所では27年度の新病院完成に向け、
婦人科や助産師外来の設立を目指して準備を進めているとのこと。
それまで当面のあいだは『レディース外来』の活躍が見られそうです。

お話しさせていただいたスタッフさんは皆、
優しくて頼もしい方ばかりでした。
女性の不安も和らぎそうですね。

(日比谷)

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きっずるーむボイス

とある早朝、志津川地区田尻畑。
菊畑に囲まれたコンテナハウスから電子ピアノの音が聴こえてきました。

ここは一時託児施設『きっずるーむボイス』。
運営する一般社団法人VOICE代表理事、
小川紗絵子さんにお話を伺いました。

長崎県出身の保育士 紗絵子さんは
2013年6月、初めて南三陸を訪れました。
託児所のボランティアとして活動する中で
若いお母さんたちの抱える悩みを知ったのだそうです。

「お母さん方の働き方はパート勤め・シフト勤務・家業手伝いなど様々です。
 町にはいくつかの保育所・幼稚園があるのですが、
 預かり時間が平日日中に限られていたり
 雇用形態によって入所のしやすさが違うなど、
 お母さんの多様なニーズに応えるのに充分とは言えない、と感じました。」

育児環境は人口の増減にも直結します。
お母さんと子どもたちを助けたい。のんびりしている時間はない。
2014年3月、紗絵子さんはたった一人で
『一般社団法人VOICE』を起ち上げました。

「今の主な活動内容はお子さんの一時預かりです。
 例えばお母さんの勤務時間と幼稚園の通園時間のあいだの隙間保育ですね。
 今日来てくれている5歳の女の子は、
 こちらで2時間お預かりした後で幼稚園へお送りします。」

女性が集まる場での託児スペース作りなど、単発のお仕事も引き受けています。
お母さんたちと談笑しながら子どもを見守る姿は
まるで親戚のお姉さんのようです。


故郷から1,500km離れた土地で20代の女性が起こした事業。
周りの誰もが紗絵子さんを心配しますが
彼女の目線はあくまでもお母さんと子どもたちに向けられています。

「ママたちのため、子どもたちのために
 私にできることはこれしかないと思っています。
 ママたちの不安が取り除かれる日がくるまで
 この町で頑張っていくつもりです。」

『きっずるーむボイス』が明るい声の弾ける場所となるよう、願ってやみません。

■一般社団法人VOICE facebookページ
 https://www.facebook.com/voice0531

(日比谷)

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志津川のいま(2014年6月)

東北も例年より早い梅雨入りとなりました。
霧雨降る志津川の風景をお伝えします。

以前何枚も立っていたきりこパネルは
ポータルセンター前などに移設されました。
この時期、八幡川周辺はクローバーの花盛りです。

奥に見えるのは志津川地区西団地の造成現場。
志津川高校の向こうが伐採されている様子が分かります。

180度向きを変えると上の山方面です。
公園や保育所へ続く坂道が形を変えていました。

十日町側の道が封鎖されており、
また五日町側から入るルートも変わっているので
お越しの際は注意が必要です。

45号線を北へ移動。
磯の沢橋から三陸道工事の進捗を見ることができます。
道路の形がはっきりとしてきました。

その先の商工団地を入ると、志津川東団地予定地。
変化の様子を比較してみましょう。

東工区 上:2013年10月、下:2014年6月


西工区 上:2012年11月、下:2014年6月


近辺の商工団地にもこれまでのような仮設の建物だけでなく、
本設店舗が増えているようです。

変化のスピードを増す志津川地区。
新しい町の輪郭が徐々に表れてきています。

(日比谷)

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新装開店!ランチ&カフェ リッチ―

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今日は、久しぶりに町の飲食店さんのご紹介です。志津川の沼田地区にある“ランチ&カフェ リッチ―”さん。

沼田の商工団地通りを通る度に気になっていたのですが、5月29日にオープンしたということで、早速お邪魔してきました!明るく、広々とした店内は、仕切られたスペースもあるのでご家族連れやお友達同士でもゆっくりできます^^

奥には小上がりスペースも。お昼寝したくなっちゃいそうです…。

カウンターやテラスもあって、オシャレな感じがしますねぇ♪

お店は、店主の佐々木長司さん、奥さん、娘さん、パートさん数名で営業しているとのこと。“ランチ&カフェ”ですが、昼間だけではなく夜も、お酒や一品料理などを提供し、営業しているそうですよ^^

以前は、JR志津川駅の駅前にお店を構えていたリッチ―さん。お弁当屋さん、運転代行、物産市への出店など、様々な事業をしていたそうです。そして店主の長司さんは、元々漁師さんだったとのこと。色々な経歴をお持ちのようです!

震災後、現在の場所で営業をスタートさせたのは2011年の7月。リッチ―さんの沼田での営業は、簡易的な建物やテントで、アイスやかき氷、軽食などの販売から始まったそうです。それから3か月後の10月には、プレハブで食堂を営業するようになりました。

そうして、仮設店舗での営業を約3年続けてきたリッチ―さんは、めでたく本設店舗の開店を迎えたのです。

「町の方々に気軽に来ていただきたいですね。テラスも利用できるようにしていきたいし、カフェメニューも増やしたい。開店したばかりなので、まだまだこれからですけどね。」と、亜里沙さん(長司さんの娘さん)は語ります。

お食事はもちろんですが、ちょっとお茶っこしに来ましたーと、休憩がてら立ち寄ることも大歓迎だそうです♪

町にまたひとつ、新たなくつろぎの場ができました^^

■ランチ&カフェ リッチ―
住所 : 志津川字沼田126-11
電話 : 0226-46-6036
定休日 : 不定休
営業時間 : ☆昼の部 11時~14時 ★夜の部 17時~21時

*詳しいお店情報(お休み等)はコチラ

 

子ども広場にこま~る 続報

久しぶりに、障がいを持つ子どもたちの遊び場
『子ども広場 にこま~る』へお邪魔してきました。
前回訪問から1年。
『にこま~る』と利用者さんたちはどうしているでしょうか。

放課後の時間、入谷公民館。
一見去年と同じように見えますが・・・。

より活動的になった子、お仕事に就いた子。

ずいぶん・・・大きくなった子・・・。

どの子も頼もしい成長ぶりを見せてくれました。

人と関わることで社会性を育んできた彼ら。
お出かけの機会も増えました。
こちらは6月1日に仙台で開催された『とっておきの音楽祭2014』の様子。



全国から300以上の団体が出演する中
チーム『にこまる48』はお揃いのTシャツで登場。
南三陸の名曲『おすばでサンバ』に合わせた軽快なダンスでストリートを沸かせました。


2013年2月に発足したNPO法人奏海の杜(かなみのもり)は
今年度も『にこま~る』と在宅障がい者支援を継続しているそうです。
町内全域を対象とする活動に、
送迎車の走行距離は1年間で7万kmを超えたと言います。

「これからは、法律に基づいた事業となって活動を続けます。
 安定的に続けることで、様々な声に応えていきたいと考えています。」
 (副理事長 太齋京子さん)

町の復興と共に歩んでいく『にこま~る』、奏海の杜。
またお邪魔させてください。

■NPO法人 奏海の杜 ブログ
 http://blog.canpan.info/hsc_kenpoku/

(日比谷)

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おらほの酒づくりプロジェクト

「オリジナルのお酒が作れたらなあ。」なんて、
お酒好きなら一度は考えたことがあるんじゃないでしょうか。
町内では今年、南三陸町復興推進ネットワークが窓口となって
有志による『おらほの酒づくりプロジェクト』が進んでいます。

プロジェクトはこの春、
戸倉地区の休耕田3反を舞台にスタートしました。
「おいしいお酒を米から作ろう!」との呼び掛けに
学生ボランティア、酒屋さん、地元の若者などなどが集合。
ほとんどが農業初心者です。


「娘の成人の記念に親子で参加しました。」
「仕事を休んで県外から来ました。」
「とにかくお酒が好きで好きで。」

作業は丹念な草取り・石拾いから始まりました。
5月以降は休日ごとに数十名が駆けつけ、
代掻き(しろかき)などの田んぼ作業に精を出しています。


5月31日には手作業での田植えを体験。



「まっすぐ植わらないよー。」
「大丈夫、育っちまえばわがんね。」

農家さんにも「今時どこも機械だっちゃ。」と笑われつつ、
この日なんとか2反分の稲を植えることができました。

「いやー。なったねえ、田んぼに。」
「2ヶ月前は原っぱだったんだぞ。よくここまで来たなあ。」

歌津地区で始めた4反にも
6月中に大勢のボランティアさんが田植えに入る予定だそうです。
肥料の一部に液肥を使用するなど
町内の他プロジェクトとの連携も試みています。

『飲みニケーション』なんて懐かしい言葉もありましたが
飲む前から濃すぎるほどの交流を生み出している、酒米の田んぼ。
秋には刈り入れが、そして冬には待望の新酒の完成が待っている(はず)。
皆で杯を交わす日が、今から待ち遠しいですね。

■一般社団法人 南三陸町復興推進ネットワーク サイト
 http://www.373net.org/

(日比谷)

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ウニの開口

「あれ、もう寝るの?」、「明日開口だから早起きしなきゃ。」こんな会話を耳にしたことはありませんか?
『開口』とは、一部の海産物に対する解漁期間のこと。
「この日この時間だけ採っていいよ!」と制限することで、ウニやアワビ・海藻といった希少な海の幸を守っています。

開口日はどうやって決まるの?

開口日は海産物の生育状況をもとに漁業組合が決定、告示を行います。

2014年6月4日は今年初のウニの開口日でした。袖浜漁港では早朝の2時間のあいだ、朝もやに浮かぶ十数隻の船を見ることができました。

ウニを採ることができるのは漁業権を持つ方のみ。船上からこんなカギ針で釣り上げるのだそうです。

今年は例年に比べてウニの数が多い、と漁師さんは言います。

「肝心なのは身の入りだね。この辺りは岩やテトラポットの間に海藻が多いから、身の太った、色のいいウニが育つんだよ。」

こってり味のウニはあっさり味の海藻を食べて育っているんですね。
なんだか不思議な話です。

カゴいっぱいに揚がったウニはこの日、町の食卓を賑わしたようです。ウニの開口は年に数回のみ。盛夏の産卵時期を前に、ますます味が濃くなるそうですよ。