地域資源プラットフォームとは?南三陸らしさが輝くまちづくり

平成28年度より「南三陸地域資源プラットフォーム」設立に向けての動きが始まりました。地域資源を活用した南三陸ブランドを推進していくための同取り組み。南三陸らしさってなんだろう?から議論している準備委員会を覗いてきました。

南三陸ブランドってどういうもの?

南三陸町は森里海の豊かな恵み人と人との強いつながりのある町です。平成27年度には森林国際認証であるFSCと水産養殖国際認証であるASCの世界初の同時取得地域にもなりました。自分たちの持つ資源と向き合い環境や社会に対して責任を持って持続可能な産業を行う、世界でも先進的な町でもあるのです。

こういった町の魅力をより深めていくことで、南三陸町そのものがブランドとして高い評価を得れば、産品の市場価値向上や交流人口増加及び移住促進につながっていくことでしょう。さらに効率的・効果的に実現していくために中間支援機関が必要になってきます。それが地域資源プラットフォームです。今はまだ明確でない南三陸ブランドを確立し、適切に管理しながら、地域資源を発展・育成することが主な役割。平成29年度に構築し、30年度から始動することを目標に、現在は準備委員会で「南三陸ブランド」の定義付けや組織体制について議論しています。

地域資源プラットフォームとは?—南三陸らしさが輝くまちづくり
同プラットフォームのイメージ図

南三陸町地域資源プラットフォーム設立準備委員会に潜入!

地域資源プラットフォームとは?—南三陸らしさが輝くまちづくり
会議は町役場の一室で行われている

同委員会は設立までの期間、プラットフォームのあり方を議論し、町長に提言していきます。今年度中は全5回の委員会が予定されています。

地域資源プラットフォームとは?—南三陸らしさが輝くまちづくり
最知副町長を会長として、FSC・ASC認証を取得した森と海の事業者はもちろん、バイオマスや農業といった里の事業者、学識者、公募委員と多種多様なメンバーが集まっている

今回お邪魔したのは2回目の会議。主な議題は自然環境活用センターの課題と可能性、地域資源プラットフォームが目指す方向性の確認、地域資源プラットフォーム機能と役割イメージという3つです。

これまでの町の取り組みの振り返りや国内外の他地域のケーススタディも進めながら、南三陸らしい資源や課題、今後南三陸に必要なもの、新事業や深めるべき事業の提案など、それぞれの立場からアイデア出しをしていきました。

地域資源プラットフォームとは?—南三陸らしさが輝くまちづくり
第1回で委員が挙げた「南三陸町の現状・課題・可能性」 震災後生まれた応援団やボランティアとのつながりも大きな可能性だ
地域資源プラットフォームとは?—南三陸らしさが輝くまちづくり
同プラットフォームの役割は何か。右寄りの付箋は民間ベースで進めるイメージ、左寄りの付箋は行政ベース、中間のものが同プラットフォームで取り組むべきことのイメージ ※あくまでもアイデア出しの段階のイメージ
地域資源プラットフォームとは?—南三陸らしさが輝くまちづくり
あったらいいな、できたらいいなと思うこと、またその課題もどんどんブレスト

普段別々のフィールドで活動する委員たちは互いの話を興味深く聴いていました。一人一人の町への思いが伝わってくる議論で、町の可能性が多角的に見えてくる・・・あっという間に2時間の会議が終了しました。

目指すのは官でもない民でもない南三陸らしい組織のカタチ

プラットフォームは、具体的にはどのようにまちづくりに関わってくるのでしょうか。同委員会事務局の南三陸町役場企画課 太齋彰浩さんにお話を伺いました。

—今回設立を目指しているような中間支援機関の存在がまちを動かした事例はあるのでしょうか?

もちろんありますよ。震災前、年間1,200人ほどの観光客が南三陸町にやってくるダイビング産業があったのですが、自然環境活用センターという機関があったからこそ生まれたビジネスでした。

それまで海の産業は漁業しかなく、知らない人が海に入るのは密漁と判断されるようなことでした。しかしダイビングは写真を撮るくらいで漁業とは競合しません。自然環境活用センターが海に入って調査活動をしていく中でダイビングについての認知が漁師の間で広まり、事業化のために間に入って調整して、ダイビングポイントが解放されるまでになりました。官の信用を持ちながら民の事業を展開していける存在は重要ですね。

—なるほど、今はまだ無い産業を生み出していく可能性も期待できそうですね。では反対にプラットフォームの現状の大きな課題はありますでしょうか?

そうですね、本当にこれからの組織なので課題だらけではありますが、平成32年度以降の予算をどうやって確保していくかは大きな問題かと。平成31年度までの予算がある4年間でブランド化への道筋をつける必要があり、どういう組織体がふさわしいのかを委員会で答えを出さなくてはなりません。どうやって、官でも民でもない組織を作るのかは非常に難問ですが、非常に面白い試みでもあります。ぜひ、ご期待ください。

—ありがとうございました。

(ライターあとがき)

委員会では様々な立場の人たちが出会い、町の課題や魅力を再発見していました。プラットフォームの重要性はさることながら、担い手として自覚のある委員たちが学び合い議論し合うプロセスの中に、南三陸ブランドを輝かせていく何かがすでに垣間見えたような気がします。こちらもまだ始まったばかり、委員会が出す南三陸ブランドの定義を楽しみに待ちましょう。

森づくりで地域の暮らしを守りたい、ANAこころの森活動紹介(寄稿)

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この記事は、南三陸町復興応援大使の方より寄稿いただいた記事です。

南三陸町復興応援大使の望月と申します。今回は、ANAが南三陸町で行っているこころの森プロジェクトの紹介をさせていただきます。

ANAは震災後、避難所にお風呂の給湯のボランティア活動を行ってきた南三陸町との絆を大切にしていこうと、持続可能な地域・社会に新たな価値を提供できる活動を模索した結果、豊かな森づくりが始まりました。

こころの森とは?

まずはこちらの写真をご覧ください。

入谷地区の里山風景
入谷地区の里山風景

こころの森がある南三陸町入谷地区の風景を皆さんに見ていただきたいと思います。

入谷地区は南三陸町の一番奥まった山側に位置していて、森あり川あり、晴れた日には太平洋が一望できる本当に素晴らしい里山です。

私たちは2012年7月に持続可能な活動を模索し、入谷生産森林組合、南三陸森林組合の皆様のご理解をいただき、ここ入谷の地に10ヘクタールの森林をお借りすることができました。この森で年に2回社員ボランティアが参加して森林の整備活動を行っています。その際にでる間伐材を使って地元の方々の雇用創出につながるお手伝いをしたり、参加してくれた社員たちにも震災の教訓を忘れないよう地元の語り部さんに当時の状況を伝えてもらうような活動を継続してきました。

その甲斐あって、当初はうっそうとした未間伐の森林が、森林組合や南三陸町の皆様のご協力を経て遊歩道のある素晴らしい森に変貌しました。

入口は南三陸町入谷、看板が目じるし

沢山の方々にこころの森に遊びに行ってとお声掛けをしてきたのですが、どこにあるの、どうやって行くのと言った問い合わせが多かったのが実態でした。そんな中、南三陸森林組合さんのアイデアで入口に看板を作ろうと言うことになり写真のようなでっかい看板を作成しました。(正直、恥ずかしいくらい目立ちます!)

国道398号線、通称本吉街道を志津川から上っていくと右側に写真のようなでかい看板がありますので、そこを右折してください。入ったところがこころの森の入口です。登米の方から来てもトンネルを越えてすぐ左側にこの看板が見えますので間違えようがありません。

入口から入って200メートルくらい進むと正面にこころの森の案内板があります。しかし、こころの森は10ヘクタールもありますので案内板を通り越してひたすら上ってください。さらにつづら折りの道を上がっていくとログハウスが見えてきますので、そこに車を止めてください。

ここから山の散策スタートです。

こころの森の入り口(本吉街道からそのまま入れます)
こころの森の入り口(本吉街道からそのまま入れます)

4年間の取り組みでこんなに変わったよ!

2012年7月に入谷生産森林組合と協定を締結したときの森は、杉とヒノキ、赤松がうっそうと生えている、いわゆる未間伐の森でした。

間伐が行われる前の森の状態(樹間が狭い)
間伐が行われる前の森の状態(樹間が狭い)

上の写真の通り、樹間が狭く薄暗いイメージがありました。現在は下の写真のように杉とヒノキはきっちり間伐され、赤松は松くい虫により枯れ始めた木を伐採して理想的な森に近づいています。

間伐で明るい森に変わりました
間伐で明るい森に変わりました

2015年4月から環境省が認定しているカーボン・オフセットクレジット制度であるJ-クレジットを森林吸収型で初めて認証取得しました。また、今年度はWWFが推進している、森林の環境保全に配慮し、地域社会の利益にかない、経済的にも継続可能な形で生産された木材に与えられるFSC(Forest Stewardship Council)を取得できる見込みです。

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僅か4年の間で皆の努力が実を結び大きな変化となりました。

森の役目ってすごいよ!

南三陸町の森は分水嶺になっていて、山に降った雨は一旦森に蓄えられます。蓄えられた水は森の豊かな養分を含んで川に流れます。その川の水は田んぼや畑の作物を育て、さらに川を伝って南三陸の志津川湾に流れ込みます。豊饒な海は南三陸の大切な水産資源であるタコ、ウニ、牡蠣、ホヤ、アワビ、ホタテを育て、ワカメやアマモなどの海草の成長にも影響していると聞いています。

下記の写真を見ていただければ、南三陸でよく言われている“森里海”の連携がお分かりになると思います。ぜひ一度南三陸町にお越しいただきご自身で体験してください。

森から流れる水が豊かな海を作ります
森から流れる水が豊かな海を作ります

私たちの目指すもの

南三陸のこころの森で私たちが目指しているのは、

「豊かな森は二酸化炭素を吸収するだけではなく雨を堰き止め、人々の暮らしを守ります。そして豊かな森に育まれた水は志津川湾に流れ込み豊かな海を作ります。古来より続く自然と人の営みを皆で守り、こころの森を次の世代へつないで行くことが私たちのできること」だと考えています。

つまり、FSC認証とも重なってきますが、持続可能な自然を守っていくこと、そして南三陸町のシンボルであるイヌワシがいつの日かこころの森に来てくれることを目指しているのです。

南三陸の森は林業関係者の皆様の熱い思いでFSC認証を取得され、大きく変貌しようとしています。こころの森も同じように整備が進み、野生の動植物と共存できる場所になって欲しいと思っています。

豊かな森のために
共存できる森に

こころの森に遊びに来て!

ここまで読んでいただければ、南三陸の森がどれだけ素晴らしいかお分かりになられたと思います。

森の中にはゆっくり歩いても30分ほどで回ることのできる遊歩道を作ってありますので、興味がある方でしたらぜひ一度歩いてみてください。稜線からは遠く美しい志津川湾を眺めることができますし、南三陸の森を俯瞰することも可能です。

また、森ではいろいろなアクティビティーも体験することが可能です。シーズンによってできることは変わってきますが、植樹の体験から企業や学校単位での森林体験を行うことができます。

私たちのこころの森は皆さんに森の魅力を体験していただけるよう、いつも皆さんがお越しになることをお待ちしております。

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(団体での見学、植樹体験、森林体験については、南三陸森林組合(0226-46-3119)にお問い合わせください。)

※森に入る際には火気厳禁ですので、喫煙などは遠慮くださいますようご協力よろしくお願いいたします。

引き出物やお歳暮におすすめ!「南三陸のカタログギフト」

「私の生まれた地域のことを知ってほしい」という思いから生まれた「南三陸のギフト」。大切な人への贈り物にぴったりの品です。南三陸町観光協会の千葉裕美さんに、このカタログギフトにかける思いを伺いました。

地元のいいものを贈るカタログギフト

結婚式の引き出物として、お世話になっている人へのお歳暮に。

「私の地元はこんな町です」「こんなにすてきなもので溢れています」「こんなすばらしい人たちがいます」

送った私たちが、自然とうれしくなり、そして誇らしくなる。

そんなカタログギフトが南三陸にできました。それが『南三陸町のギフト』。

2016年10月から販売を開始した『南三陸町のギフト』には、作り手と産品が描かれた10枚のポストカードサイズのカードが入っています。ギフトを受け取った方が、その中からお好きな商品を選んで申し込むと、旬の時期に作り手から直接商品が届きます。

引き出物やお歳暮におすすめ!「南三陸のカタログギフト」

商品ではなく、ストーリーで魅せる

南三陸町観光協会の産業振興部門として、南三陸町内はもとより全国各地で南三陸の産品を営業・販売する千葉さん。日本全国で聞いた温かい声。震災から5年以上たってなお続く支援の輪を実感したことも数え切れません。しかし、ある悩みを抱えていたと話します。

「商品を売るだけで、本当に伝えたい南三陸のよさを伝えきれていないのではないか」(千葉さん)

そんなモヤモヤした思いを抱いていた時、一つのカタログギフトが目にとまりました。そこには、作り手の顔はもちろん、その商品の背景、ストーリー、思いが滲み出ていたのです。それこそ、株式会社地元カンパニーが制作する『地元のギフト』でした。

「どうしたら生産者の商品にかける思いを、多くの人に届けることができるだろうか」という彼女が考え続けた問いの答えが、そこにありました。

引き出物やお歳暮におすすめ!「南三陸のカタログギフト」
思わず目を引くポストカードサイズのギフト

カタログからにじみ出る生産者の人柄

「やっぱり作り手さんこそが、いちばんのブランド」

3日間で10の生産者を制作スタッフとともに周っていくなかで千葉さんはその思いを強くしました。

「自分の商品のこと、会社のこと、そしてなによりも町を愛している、ということが伝わってきたんです」

今回のカタログギフトは南三陸が誇る山の幸・海の幸を中心にした10の商品が並べられています。それぞれのカードには生産者のその商品にかける思いが掲載。方言混じりの会話文からは、作り手の人となりや風土が伝わってきます。

「カタログギフトが完成して、初めて手にしたときは、涙が出るほどうれしかったんです。だけど、これがはじまり。まだまだ紹介しきれないほどの、魅力溢れる産品が町にはあります。それらをより広めていきたいですね」(千葉さん)

引き出物やお歳暮におすすめ!「南三陸のカタログギフト」
作り手の人柄がにじみ出るかけ合いに心がほっこり

引き出物や贈り物、景品にどうぞ

結婚式の引き出物や内祝いとして。お世話になっている人へのお歳暮や贈り物に。さらには、会社の忘年会の景品やイベントの商品として。さまざまな用途でご利用いただける、このカタログギフト。町内でもさっそく、結婚式の引き出物として使われています。せっかく贈るならゆかりのある土地のものを送ってみてはいかがでしょうか?

インフォメーション

≪内容≫
カードケース(120✕160✕厚み10mm)に、生産者と産品が描かれた10枚のカード(ポストカードサイズ 105✕148mm)が入っております。ギフトを受け取った方が、その中からお好きな商品を選んで、同封のハガキでお申込みいただくと、旬の時期に生産者から直接商品が届けられます。

価格は3,838円(税抜)

≪購入方法≫
①南三陸ポータルセンターまたはみなみな屋にてご注文いただく。電話またはメールでもご注文いただけます
※電話:0226-47-2550(担当 千葉)
※メール:post@m-kankou.jp

地元カンパニーのホームページから購入いただく。

「逃げ出した」町の「健康づくり」で恩返し/阿部代子さん

南三陸に生きる⼈を巡り、⼀巡りしていく連載企画「南三陸ひとめぐり」。第7弾は、震災での苦難を乗り越え、南三陸町でノルディックウォーキングやダンベル体操を企画している阿部代子さんに迫ります。

大切な人、故郷を飲み込んだ大津波

2011年3月11日、東日本大震災による大津波。それは、阿部代子さんの大切な人、そして生まれ育った故郷を丸ごと飲み込んでいった。

当時、病気を患っていた代子さん。病気の治療にも効果的と聞いていたノルディックウォーキングの講習を4月から受けようとしていた矢先のことだった。そして、体力をつけることを勧めてくれた最愛の旦那さんを失った。

「あの時期のことは正直あまり覚えていないんです。ただただ呆然と、いたずらに毎日が過ぎていきました」と代子さんは話す。

しばらくして、ノルディックウォーキングのことがふと彼女の頭をよぎった。

「大切な人が失われた町、荒廃してしまった生まれ育った町から逃げ出したい」と、逃げ場所を求めるように、仙台で行われていた講習に足を運んだ。

「自分のことを知らない人のなかにいたかったんです。町にいたら、よくも悪くもみんな知り合い。そのことに少し疲れてしまっていたんだと思います」(代子さん)

そのとき出会い、今もお世話になっているという講師の武田陽子さんは代子さんとの最初の出会いを鮮明に覚えている。

「何をするにも力が入っていない様子で。地に足がついていない、ふわっとした状態とはこのことをいうんだって。今の明るい様子はまったく想像できなかったんです」

体の健康が心に彩りを取り戻す

全身を使った有酸素運動のノルディックウォーキング。公園や山あいなど自然豊かな場所を仲間との会話を楽しみながら歩く時間。自分の体力に無理なく続けられる運動。その魅力に次第に引き込まれていった。

ひとつひとつの筋肉を意識して、ゆっくりと、動き出すその運動は、全身の眠っていた筋肉を覚めさせるような感覚だった。

「いろんなところに行って、歩いて。全国各地に仲間ができて。その出会いによって、前向きになれていきました」(代子さん)

「逃げ出した」町の「健康づくり」で恩返し/阿部代子さん
全国各地を仲間とともに歩いた(写真提供:阿部代子さん)

「やっぱり南三陸はいい町だ!」

しばらくすると、志津川自然の家や歌津公民館、入谷公民館といった南三陸町内の施設から「ノルディックウォーキングをやってみたい」という声が代子さんのもとに届いた。その背景には長引く仮設住宅での生活による運動不足などの問題もあった。代子さんは迷わず引き受けた。それは、逃げ出した町への彼女なりの恩返しだった。そして、ノルディックウォーキングを通して、生まれ育った故郷のよさをまた再発見した。

「山と海が近くて、自然にあふれている。歩きながら実感できる山あいの稜線の美しさはすばらしい。頭では理解していた南三陸のよさを、再認識しました」

「逃げ出した」町の「健康づくり」で恩返し/阿部代子さん
「ノルディックウォーキングを通して見た南三陸はひと味違う光景だった」(写真提供:阿部代子さん)

ひとりひとりの体の健康は、町の元気の源に!

代子さんは現在ノルディックウォーキングのほかにも、より気軽に体力づくりができるダンベル体操も月に1回のペースで企画している。

まずは自分の体力作り。それが自身の健康につながる。体が健康だと、心も充実する。そうした人たちが集まれば、楽しい空間になり、元気な町になる。自分自身の体験によってそのことに気づいた。

「私が自分のためだけにはじめたことが、いいことだらけだったことに気づいたんです。私自身、高齢者3名を抱えながら生活している現状。これからどんどん高齢になるこの町で、私がきっかけを作って、元気な町になっていったらいいなと思って活動をしています」

小難しい政策や、理論ではない。自分自身、そしてごくごく身近な人の健康。それが伝播していく。静かな水面に、代子さんが投じた小さな石。その波紋がゆっくりと、でも確かに広がっている。

「逃げ出した」町の「健康づくり」で恩返し/阿部代子さん
写真提供:阿部代子さん

インフォメーション

ダンベル体操は月に1回開催!次回は12月15日(木)第一部 13:45〜15:15、第二部 18:45〜20:15南三陸ポータルセンターにて開催しています。

詳細・ノルディックウォーキングの実施情報は阿部代子さんのFacebookなどで確認ください。

阿部代子さんFacebook:https://www.facebook.com/shiroko.abe?fref=ts

〈11月30日放送〉みなさんぽ

「オープニングコール」は、キリン絆プロジェクトの須賀香菜美さんから始まり、「まちのひと」は南三陸牡蠣クラブについてのお話です!

そして、今週のイチオシのコーナーはアストロテック「ARTAIRE ETOIREシリーズ」です!

オープニングコール

キリン絆プロジェクトの須賀香菜美さん

 

まちのひと

南三陸牡蠣クラブについてのお話です!

今週のイチオシ

南三陸町に工場を構える「株式会社アストロテック」の、ALTAIRE ETOIRE(アルタイル・エトワール)シリーズです。

アストロテックは、南三陸町で電子部品の製造を行っていましたが、津波で工場も機械も流されてしまいました。その後、LOOM NIPPON(ルームニッポン)という支援団体との出会いから、それまで全く未経験の分野であったバッグの製造にチャレンジ。誰一人従業員を解雇することなく、復活を遂げました。

アストロテックのバッグの中でも、そのものづくりにかけるこだわりを象徴しているのが、こちらの「アルタイル・エトワール」のシリーズ。レザーを編み込んだ上品かつ目を引くデザインが特徴です。編み込みはすべて職人さんたちの手作業。電子部品で培った、ミリ単位のものづくりへのこだわりが光ります。ブランド名である「アルタイル・エトワール」は、震災の夜、真っ暗な夜空を見ながら迎えを待ち続けた子供たちの話をきっかけに、星に願いをこめる、という意味で名付けられたそうです。

大人気のトートバッグを始め、商品は全て受注生産となっており、発送まで1ヶ月から2ヶ月待ちとのこと。ネットショップのほか、銀座のサンモトヤマでも販売しています。復興への想いと、ものづくりへのこだわり、そして上質なデザイン。クリスマスや大切な記念日の贈り物に、こんなバッグはいかがでしょうか?

株式会社アストロテックネットショップ

〈11月23日放送〉みなさんぽ

「オープニングコール」は、高長醸造元の高橋長泰さんから始まり、「まちのひと」は農漁家レストラン松野や松野三枝子さんで2016年11月24日福興市in仙台についてのお話です!

そして、今週のイチオシのコーナーは山清「タコぷりん」です!

オープニングコール

高長醸造元の高橋長泰さん

まちのひと

農漁家レストラン松野や松野三枝子さんで2016年11月24日福興市in仙台についてのお話です!

今週のイチオシ

さんさん商店街にお店を構えるお菓子屋さん「菓房 山清」(かぼう やませい)の、タコぷりんです。

タコぷりんという名前を聞いて、どんなものを思い浮かべますか?実はこの商品、プリンという名前ですが実はキッシュ。卵や生クリームといった材料がプリンと同じだからと、プリンと名付けたそうです。テレビ等でも紹介され、リピーターも多いのだとか。南三陸町産のタコを使用し、タルト生地にホワイトソースとともに流し込み、こんがり焼き上げています。レンジで温めてお召し上がりください。おやつにはもちろん、朝ごはんやおかずの一品としてもオススメです。

お買い求めは、南三陸さんさん商店街の店舗の他、登米市、石巻市、気仙沼市にも店舗があります。
電話でのご注文も承っています。電話番号は0220-34-7397です。これからのパーティシーズンにもぴったりです。ぜひ食べてみてくださいね!

解説!南三陸町バイオマス産業都市構想とは?

平成25年度に南三陸町が掲げた「バイオマス産業都市構想」 南三陸町に関わる方なら一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。環境にやさしいだけじゃない!南三陸の目指すまちづくりをご紹介します。

バイオマスはBIO(生物資源)MASS(量)の略

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志津川にあるバイオガス施設「南三陸BIO(ビオ)」

バイオマスとは、「再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」を指します。石油のような化石資源は、再利用が困難であったり、燃焼によって地球温暖化の要因となる二酸化炭素を排出したりしますが、バイオマスは再生可能でカーボンニュートラル(排出される二酸化炭素と吸収される二酸化炭素が同じ量)な資源です。

バイオマスは大きく分けて3タイプ!

  1. 【廃棄物系バイオマス】廃棄される紙や家畜排泄物、食品廃棄物、建設発生木材、製材工場残材、下水汚泥などを利用する廃棄物系バイオマス。
  2. 【未利用バイオマス】稲わら・麦わら・もみ殻などを利用する未利用バイオマス。
  3. 【資源作物】さとうきびやトウモロコシなどエネルギーや製品の製造を目的に栽培される資源作物。

環境にやさしく災害につよいまちづくりのシステム

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南三陸町バイオマス産業都市構想の概念図

バイオマス産業都市とは、経済性が確保された一貫システムを構築し、地域の特色を軸とした環境にやさしく災害に強いまちづくりを目指す地域のことです。

現在国では、2013年度から5年間に約100 地域(各都道府県に2 地区程度)のバイオマス産業都市構想を目指し、関係府省が共同で地域を選定して支援する予定です。(関係府省:内閣府、総務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省)

南三陸町では、震災以後ともに持続可能なまちづくりを考えてきたアミタホールディングス株式会社とパートナー協定を結び、主に2つの取り組みが進められています。

一つは生ゴミからバイオガスと液肥を製造し、エネルギーや畑の肥料として還元するというバイオガス施設での取り組み。

もう一つは、木質ペレットを使う生産し、ボイラーやストーブ用などに供給して熱利用していく取り組みです。南三陸町は8割近くが山林で、放置されている山が多いため、課題となっていた利用されていない資源が豊富です。

資源の持続可能性と地産地消型のエネルギーを考えることは地球規模での課題であり、災害時にも役立つ備えとなります。

生ゴミがエネルギーと肥料に!バイオガスの仕組み

2015年10月、バイオガス施設「南三陸BIO(ビオ)」が完成しました。町内の家庭や事業所から出る生ごみや、し尿、汚泥などを発酵処理し、バイオガスと液体肥料を生成するリサイクル工場です。

分別された生ごみは回収され、南三陸BIOに持ち込まれます。ここにはメタン菌という菌がいて、その菌の働きでバイオガスと液肥が生まれるのです。

住民一人ひとりの分別からエコタウンを作っていく取り組みはなかなか実施しにくく、南三陸町民の意識の高さは全国でも先進例として注目されています。

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南三陸の生ごみ分別の表 住民の協力により、南三陸BIOでは異物混入率1%という高い精度で動いている

生まれたバイオガスは南三陸BIO運営に必要な電力をまかない、余剰分は非常用電力として蓄えたり売電したりすることができます。今後、温室ハウス、足湯・温浴施設、ロードヒーティング、農産物等の乾燥施設などの近隣施設で余剰温水を活用していくことも視野に入れています。

また、同時に生まれる液肥は、化学肥料とは全く異なる地域循環型の肥料です。そうして栽培された農産物は、循環型・環境保全型の農産物としてブランド化を図っていくことができます。

循環型エネルギー!木質ペレットの可能性

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木質ペレット 木材を乾燥させて細かく砕き、圧縮して成型している

南三陸町には、FSC認証も受けた立派な森林があります。その町の資源を活用できるのが木質ペレットです。燃料となる木材は、今まで使われていなかったものや森の保全のために出た間伐材など。昔は間伐材も売れましたが、今は木の価格が下がっていて間伐作業も経済的に苦しい側面がありました。

木質ペレットの生産・供給により地産地消型の新たな産業が生まれることで、森林の保全の後押しになり、さらに新たな雇用にもつながっていくことが予想できます。

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引用:南三陸町バイオマス産業都市構想の概要 平成25年12月19日より

そうして生まれたペレットは二酸化炭素の排出が大きな問題になる化石燃料などに代わる、エネルギー源と成ります。町ではエコで災害に強いストーブとしてペレットストーブの普及し始めました。ペレットからの軽射熱による遠赤外線効果と炎による癒し効果で心も体もあったまるという嬉しい作用も期待できるようですよ。

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町役場や病院、宿泊施設など公共的な場に設置されており、一般家庭での購入も進んでいます

バイオマスがもたらす町の未来

バイオマスによるまちづくりは、単なる自然環境保全の取り組みではありません。

これまでコストをかけて処理していた廃棄物をエネルギーと資源に代え、町内の使われてなかった木質資源を財に代え、地域内で資源と経済が循環する地産地消のエコシステムが生まれています。今後は、酪農や養殖の分野でもバイオマスによる取り組みが進んでいきます。一次産業の基盤ができれば、産業、観光といった分野で、まちの付加価値を高める取り組みとしてブランド化を仕掛けることも可能です。

そして何より多様な主体や町民一人一人の協力で成り立つ自立分散型のまちづくりの姿は、これからの世界をリードするライフスタイルとなっていくことでしょう。

まだまだバイオマス産業都市構造の取り組みは始まったばかり。何世代にも受け継がれていく町の文化として成熟していくことを、楽しみにしています。

2016年11月20日/定点観測

南三陸町市街地の復興の様子を定点観測しています。戸倉地区、志津川地区、歌津地区の3箇所の写真を公開しています。

写真をクリックまたはタップすると大きくなります

戸倉地区

撮影場所 [38°38’41” N 141°26’13” E

2016年11月20日/戸倉地区
2016年11月20日/戸倉地区

志津川地区

撮影場所 [38°41’12” N 141°26’34” E

2016年11月20日/志津川地区
2016年11月20日/志津川地区

歌津地区

撮影場所 [38°43’5″ N 141°31’19” E

2016年11月20日/歌津地区
2016年11月20日/歌津地区

他の定点観測を見る

リピーターも増加! 南三陸応縁団のおでって体験レポート

南三陸町に関わる人々と町民を結ぶ交流プログラム「南三陸応縁団」。特徴のひとつが、南三陸町での農作業や水産加工、各地で行われる物産展などでの「おでって」(お手伝い)です。おでって体験をレポートします!

南三陸応縁団に入って「おでって」になろう!

「南三陸応縁団」に入ると、団員向けの交流イベントや限定ツアーなどに参加できるほか、全国各地で開催される物産展や、南三陸町の農業や水産加工の現場での「おでって」(お手伝い)活動に参加することができます。おでっては、これまでの災害支援ボランティアに代わるもの。しかし、単にマンパワーを求めるのではなく、南三陸町を知り、町民との交流を深め、継続して町に足を運んでもらうためのきっかけとなることを目指したしくみです。

おでって募集の情報は南三陸応縁団のウェブサイトに掲載。通年のものと季節に応じたもの、単発のイベントなど、さまざまなおでってがあります。ウェブサイトをチェックして、興味のあるおでってを見つけたら申し込んでみましょう。

南三陸応援団ウェブサイトのおでって情報
南三陸応援団ウェブサイトのおでって情報

おでっての申し込み~参加の流れは以下の通り。

  1. 希望するおでっての実施2日前までに、南三陸応縁団のウェブサイトから申し込む。
  2. 南三陸応援団事務局より受入可否の連絡が来る。
  3. おでって当日、9時10分~9時25分の間に南三陸町観光協会ポータルセンター(南三陸町志津川字御前下51-1)で受付を行う。
  4. 活動先が決まり、オリエンテーションを受けたら、自分で活動先まで移動する。

参加するおでってによって格好や必要なものは違いますが、基本的に動きやすい服装で、長靴、軍手、昼食、飲み物を持っていきましょう。なお、おでって参加にあたっては、自分が住む地域の社会福祉協議会で事前にボランティア保険へ加入しておくことが義務付けられています。

南三陸農工房での農作業おでって

では、おでって活動の様子を覗いてみましょう。通年でおでってさんを受け入れている「南三陸農工房」におじゃましました。南三陸農工房は、ネギをはじめとするさまざまな農作物を手がける農業生産法人。毎日のようにおでってさんを受け入れ、「農を通じた交流」を行っています。農工房でのおでって活動は、基本的に農作業。取材時、おでってさんたちはトマトの剪定を行っていました。

この日のおでってさんは3名。静岡からやって来た男性と女性、そして青森の男性。青森の男性はリピーターで、頻繁に農工房に通っているそうです。

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毎年夏に南三陸を訪れているという静岡の男性。この前日は牡蠣生産組合でおでってをしていた
農工房おでってリピーターの青森の男性。さすがの慣れた手つきで、どんどん作業を進めていく
農工房おでってリピーターの青森の男性。さすがの慣れた手つきで、どんどん作業を進めていく

お楽しみは畑でいただくお昼ごはん

農工房でのおでって活動のお楽しみはランチタイム。体を動かした後に畑のそばでいただくお昼ごはんは、ほんとうにおいしい! おでってさんはお弁当を持参しますが、農工房のスタッフが採れたて野菜で一品作ってくれることも。この日はかぼちゃの煮物とお漬物、みずみずしいスイカを出してくれました。「このまかないが楽しみで。すっかり胃袋をつかまれましたね」と青森の男性は笑います。

ハウスのそばにあるコンテナ内でお昼休憩。農工房スタッフ(右)とのおしゃべりも楽しい
ハウスのそばにあるコンテナ内でお昼休憩。農工房スタッフ(右)とのおしゃべりも楽しい
個人のおでってに加え、団体・企業・学校など大人数を受け入れることも
個人のおでってに加え、団体・企業・学校など大人数を受け入れることも

おでっての魅力は町の人との交流・つながり

静岡の男性に、おでって活動の魅力を聞いてみました。「ひとことで言うと人とのつながりですね。おでって活動には、単なる観光では味わえない町の人と交流があります。人とのつながりができるからこそ、また来ようと思いますね」。いろいろなおでって活動の中から、自分が興味のあるものを選ぶ楽しみもあるそうです。

一方、青森の男性は「何といっても新鮮でおいしい野菜が食べられること!」と強調。そして「自分が世話をした野菜たちの成長を見るのも楽しみですね」と、農工房でのおでってならではの醍醐味を話してくれました。

マンパワーを提供するだけでなく、町の人とつながり、町と関わりを深めることができるのが、南三陸応縁団のおでって活動の魅力。(そして、おいしいものが食べられる!かも) おでっての受け入れ先は増えてきており、おでってと組み合わせた独自のツアーも行われています。

観光とはまた違った、より深い交流・つながりができる南三陸応縁団のおでって活動。あなたも参加してみませんか?

インフォメーション

おでって募集ページ