南三陸は化石の宝庫。化石発掘体験ってこんなにおもしろい!

南三陸町で化石発掘ができるって知っていましたか? 歌津地区ではこれまで、爬虫類の一種「魚竜」やアンモナイトなどさまざまな化石が見つかっています。この夏は、化石の魅力に触れ、化石発掘を体験してみましょう!

魚竜化石発見の地で、古代の海に思いを馳せる…

南三陸町観光協会では、「海しょくにん」による、化石発掘体験プランを実施しています。南三陸町歌津地区は、実は化石の宝庫。約24000万~25000万年前の三畳紀に生息していたといわれる「魚竜(ぎょりゅう)」の世界最古級の化石が発見されたのです! そんな魚竜をはじめとする化石にまつわる話や、同時代の海に生きた生き物の化石について学び、化石発掘を体験するプランに参加しました。

まずは歌津館崎の魚竜化石産地の石碑前に集合。親子参加が多く、宮城県外からやって来た家族も。当日の流れについて説明があった後、講師である高橋直哉さん(海しょくにん)が歌津地区と化石について、そして魚竜の話をしてくれました。

魚竜化石産出地の館崎は天然記念物に指定されている
「魚竜は海の中の爬虫類の一種で、イルカのような形をしていたと言われています」と高橋さん
説明後、魚竜の化石が現地保存されている場所のほうへ移動
現地保存されている化石群は、修復のためカバーで覆われており見られず…
「あ、これ化石かな!」と声を上げる子どもたち

レア度の高い化石を目指して、いざ発掘開始!

魚竜の地を見学した後は、化石発掘体験場所へ。発掘を始める前に、高橋さんがイラストを使ってどんな化石が出るのかを紹介してくれました。レア度を星の数で表示。アンモナイトは星3、魚と魚竜はもっともレアな星5です!

熱心に説明を聞く子どもたちに「星5のレアな化石を狙ってがんばってください!」と高橋さん
化石に詳しい牧口貴久さんからのレクチャーも

さぁ、いよいよ発掘開始! 軍手をし、それぞれ思い思いの場所へ…。「化石かな?と思うものを見つけたら、僕や牧口さんのところに持ってきてくださいね」と高橋さん。みんな必死に探し始めます。果たしてどんな化石が見つかるのでしょうか…?!

化石発掘体験場所は通常は立ち入りができない私有地。体験のため特別に許可をもらっている

アンモナイト、魚、嚢頭類… 続々と化石発見!

「見つけた!」 開始早々に声が上がり、子どもたちが次々と牧口さんのところに石を持ってきます。「お、嚢頭類(のうとうるい)だね」と星4つの化石が出たかと思えば、その後すぐに魚の化石も。アンモナイトも続々と発見されます。まさに化石の宝庫!

子どもたちが持ってきた石を調べる牧口さん
嚢頭類(のうとうるい)と見られる化石
筆者もアンモナイトの化石を発見!

発掘体験は約1時間。子どもも大人もすっかり夢中になっていました。特に子どもは目がよいのか、かなりの数の化石が見つかりました。発掘した化石は、最後に各自1つ選んで持って帰ることができます。残念ながら見つけられなかった人は、講師やほかの参加者が発掘したものをもらってもOK。

どの化石を持って帰ろうか真剣に吟味する参加者たち

化石発掘体験後、「楽しかった!」「またやりたい!」と話す子どもたちがたくさん。私自身も取材を忘れるほど?化石掘りに集中してしまいました(笑)。ちゃんと見つかるので、達成感もありますし。ロマンとわくわく感にあふれる化石発掘体験、おすすめです!

「ぱぱみたいなりょうしになる!」/高橋芳雅くん

古くより森里川海のつながりの中で生きてきた南三陸の人々。その中で代々受け継がれてきた産業、なりわい、そして人々の暮らし。このまちは、祖父母、そして父母の姿は、子どもたちの目にどのように映しだされているのだろう。子どもたちから見た南三陸の世界を描いて行きます。

海で育ち、海で遊ぶ

今回は歌津地区泊浜の漁師、高芳丸船長の高橋芳喜さんの長男、高橋芳雅(よしつね)くんのところにお邪魔してきました。

学校が休みの日曜日朝7時。芳雅くんと一緒に、父芳喜さんの船に乗せていただきました。目的は大好きな釣り。

天気は快晴、波も穏やか。とても気持ちのよい朝でした。

船に揺られて15分。到着した場所で、芳喜さんがなにやらロープを上げ始めました。ロープの先には、ぎゅうぎゅうにひしめきあう、大きなホヤ。4年ものの自慢のホヤは手のこぶしよりも大きく、プリプリでした。

「触っても平気?」「触って見たい!」

ロープの先に着いたホヤを恐る恐る触る芳雅くん。

ホヤのロープからとったのは、『エラコ』

今回はこれを釣りの餌にするそうだ。

「ホヤ上げすると水がかき混ぜられて、魚がよく釣れるようになる」

芳喜さんの話を「なるほど」と思いながら聞く。

ホヤをあげたら早速釣りを開始。餌をつけてもらい、いざスタート。手慣れた手つきで、リードを海に垂らしていく芳雅くん。

この日の狙いは、ネウ(アイナメ)とカレイ。

他の釣竿にはあたりが続く中、芳雅くんの釣竿にはなかなかあたりがこない。

「パパつれなーい」

すぐに飽きる。

「地面をトントンって叩いて、ゆっくりスーって引き上げるんだよ」

「よしつねーーー。竿!」

飽きては他のものに興味を示し、父になんども促され、釣竿を握る。

そんなことを繰り返すこと1時間。

 

 

「ほら、引いてるぞ!」

芳雅くんの竿が引いている。

「あ、きた?きた!!」

「ネウかな?ネウかな??」

「つれたーーーー!」

満面の笑みで釣った魚を見せてくれる。

その後も何度もあたりがかかる。

芳喜さんも嬉しそう。

2時間ほど釣りをすると、カゴはネウとカレイでいっぱいになった。

父の背中を見て、海に親しむ

「ねえねえ。質問していい?」

岸に帰る途中、芳雅くんにそんな質問を投げかける。

「えーーー」

「あ。そのノートなに書いてあるの?」

「芳雅くんが話したことだよ」

「見せて!」

「じゃあさ、私がこれに書くから、読んで答えて!」

「いいよ!」

「う み は す き で す か」

「すき!」

「ど ん な と こ ろ が す き ? 」

「さかながいるところ!」

「た の し い の は な に を し て い る と き ? 」

「つり!」

「パ パ が う み で し ご と を し て い る の は ど う で す か ? 」

「ついていきたい」

「お お き く な っ た ら な に に な り た い ?」

「ぱぱみたいなりっぱなうみのりょうしになりたい」

「道を逸れなければそれでいい。自分もそうだったけど、あとを継げと言う気はない。自分にとって海は遊ぶところ。稼ぐところ。それをちょっとしたことでもお手伝いしてくれたら嬉しい」

そう話す父、芳喜さん。

海で働く父の姿、そして海に対する思い。

言葉で言わずとも、それをしっかりと受け止め、受け継ぐ義雅くん。

子どもの頃から海と触れ合い、自然の中に溶け込みながら暮らす。南三陸の漁師の歴史は、きっとこうやって続いてきたのだろう。

夏~秋は、さらにパワーアップした神割崎キャンプ場へ!

夏休み、そして気持ちのよい行楽シーズンの初秋といえばキャンプ! キャンプといえば神割崎キャンプ場ですね! 「手ぶらでキャンプ」や「手ぶらでBBQ」のお手軽プランも人気で、今年も町内外から多くの人が訪れそうです。神割崎キャンプ場の“今”を紹介します!

気軽な「手ぶらでキャンプ」「手ぶらでBBQ」が人気!

太平洋を望むキャンプ場として人気の神割崎キャンプ場。海に面したフリーサイト、横に車を停められるオートサイト、ログキャビンがあり、キャンプのスタイルに応じて利用できます。昨年からは、もっと気軽にキャンプを楽しんでもらおう!と、「手ぶらでキャンプ」のプランも始まりました。

これは、まさに文字通り手ぶらでキャンプが楽しめるプラン。キャンプに必要な寝袋、マット、ランタン、イス・テーブルセット、BBQセット(食材、機材、食器類)などを、すべてキャンプ場で用意してくれます。重い荷物を持ってくる必要はなく、テントの設営も不要なので、アウトドア初心者でも安心。キャンプ用品や食材の追加持ち込みもOKです。

「手ぶらでキャンプ」で利用できる神割崎キャンプ場のフリーサイト(第一キャンプ場)。到着時にはすでにテントとイス・テーブルセットが設置されていて楽チン!

BBQのみの「手ぶらでBBQ」プランもあります。日帰りでの利用でも、キャンプ場宿泊中の利用でもOK。「BBQがしたいけど準備が大変…」「海を見ながらBBQをしてプチアウトドア気分を楽しみたい」といった人におすすめです。こちらも食材の追加が可能なので、町内で海鮮を仕入れてきてもいいですね。

食材、機材一式、食器類がついて2000円(別途キャンプ場の入村料が必要) ※食材は、仕入れ状況により内容が変更となる場合あり(写真提供:南三陸町観光協会)

レンタル品の充実でキャンプがさらに楽しくなる!

「今年4月からは、レンタル品も充実させたんですよ!」と話すのは、神割崎キャンプ場のスタッフ、南三陸町観光協会の遠藤勝史さん。アウトドアチェア、焚き火台、ツーバーナーなど、アウトドア好きな人向けのグッズもリーズナブルにレンタルできます。

神割崎キャンプ場の今年のウリを説明する遠藤さん
左から、アウトドアチェア(500円)、シュラフ(500円)、ツーバーナー(2500円)、焚き火台(1500円)

「僕のおすすめは自立式ハンモックです。木陰で昼寝をしたり、夜に星を眺めたり…。とっても気持ちがいいですよ!」と遠藤さん。数に限りがあり、なかなか人気なので、早めの問合せ・予約がベターです。

ハンモックに揺られてのお昼寝は至福のひととき…(写真提供:南三陸町観光協会)

おつまみにぴったりのテイクアウトメニューも!

神割崎キャンプ場では、管理棟(神割観光プラザ)内にあるレストランも人気。南三陸町の海の幸・山の幸を取り入れたオリジナルメニューが楽しめます。今年4月、タコカツ串やタコの唐揚げなどのテイクアウトメニューも登場しました。

「キャンパーさんがキャンプ場での食事にプラスできるように、小腹が空いたときに手軽に食べられるようにと、テイクアウトメニューを始めることにしました。南三陸名物のタコをはじめ、ホヤアイスやめかぶアイスなどユニークなご当地アイスもありますよ」と、レストランを担当する南三陸町観光協会の佐藤照実さんは話します。

「オクトパス君をイメージしたオリジナルの『オクトパチュ〜ドリンク』も用意しています」と佐藤さん
タコカツ串、クジラの竜田揚げ、タコ唐揚げなど、南三陸町らしいメニューがそろう

「手ぶらでキャンプ」「手ぶらでBBQ」に加え、レンタル品の充実やテイクアウトメニューの登場など、ますますパワーアップした神割崎キャンプ場。この夏、遊びに行ってみませんか?

第3話 妊娠報告、いつするか?誰からするか?

移住者夫婦である筆者が、南三陸町で妊娠、出産を経験し、子育てに奮闘する中で「え、これって〇〇だったの?!」と感じたことを綴っていく連載企画。今回は人によっては頭を悩ませる問題、「妊娠報告」について書いていきます。

何はともあれまずは職場へ

【これまでのお話はこちら】
「第1話 決断の時は意外と早い!どこで産むか問題(前編)」
https://m-now.net/2018/05/baby-1.html ‎
「第2話 決断の時は意外と早い!どこで産むか問題(後編)」
https://m-now.net/2018/06/baby-2.html

前回の記事「意外と決断の時は早い!どこで産むか問題」では、妊娠発覚と同時にいろいろ決断すべきことがあって焦ったよ、という話を書かせていただきましたが、これも人によっては頭を悩ませる問題かもしれません。そう、妊娠報告です。

世間一般的には、安定期と言われる5ヶ月ごろまで待って周囲に報告するパターンが多いのかもしれません。順番も、身内から徐々に範囲を広げて…と、なんだか密やかに恭しく、「ご報告」していくようなイメージがありました。

が、仕事をしているとそうも言っていられません。医師に妊娠を告げられて、生まれるのが1月だとわかったとき、頭をよぎったのは、「うわぁ、年度内か…」ということでした。その年度から新たにチャレンジした事業で、県の補助事業として採択決定したばかりだったのです。職場は少数精鋭、一人抜けたら当然人員は補充しなくてはなりません。早めに妊娠したことを職場に報告して、すぐに手を打つことが最も迷惑をかけない策だと思い、妊娠発覚したその足で夫と二人、私の職場に向かいました。

涙の報告行脚

報告したのは、まずは現場を切り盛りしている上司、そして代表理事と理事2名。この4名は、仕事のことを抜きにしても、親の次にまず最初に報告するというのは、夫とは自明のことでした。思い返せば、結婚式の招待状を持って行くのも、この4人から。上司と二人の理事に至っては、「私たち結婚を前提に付き合ってます」という報告までわざわざしに行ったくらい、公私ともにお世話になっている、いわば南三陸のお父さんのような存在なのです。

「すみません、ちょっとお話ししたいことがあって、いまから二人で伺ってもいいですか?」と電話した時点でだいたい用件は察したようで、面と向かって「実は今日病院に行ってきまして…」と言うあたりで顔がほころび、「8週目と言われました」と言うと満面の笑みで喜んでくれました。「よかったな!!」と言ってがしっと手を握られた時には、それまで妊娠した実感なんてなかったのが、その笑顔を見て思わず涙が出てしまいました。そして、最後には「あんだも父親になるんだからますますかしぇげよ!(働けよ!)」と夫の背中をばしんと叩く、というやりとりを4回リピート。

どの方も自分の孫ができるかのように喜んでくれて、4件回る頃には、「迷惑かけるから早く報告しなくちゃ」という思いから、「このうれしいニュースを一番に伝えられてよかった」という思いに変わっていました。

田舎の噂の伝わるスピードは早い

その後は、会った人からタイミングを見て報告していったのですが、こちらが言う前に「体調はいいの?赤ちゃんは順調?」と聞かれるパターンの多いこと。田舎なので噂の広まるのが早いのは言わずもがなですが、仮に風の噂で聞いてたとしても、直接言われるまで知らないふりしよう、とかそういうの無いんですよね。おかげで、誰からどの順番で報告していこうなんていう心配は無用でした。南三陸らしいなあと思いました。案外、このオープンな雰囲気のおかげで、妊娠中ストレスなく過ごせたのかもしれません。

妊娠中の周囲の反応で、子育ての意識は変わる

ハッピーなニュースなので、報告するともちろんみんな喜んでくれて、それだけでもとても嬉しいものなのですが、特に母親世代の方からの言葉はありがたかったなと思います。

「いつでも子守してけっからねー!」

と、何人の人から言われたことか。

あと、一番感謝しているのは職場の上司です。

スタッフが一人抜けて、新たに人を採用することは大きな負担であるはずなのに、「地域の宝を産み育てることだから、とにかく自分の身体を優先して」と言ってくれて、かなり気が楽になりました。

あなただけで子育てしようと思わなくていいんだよ。あなたは地域の宝を生むんだよ。という言葉をシャワーのように浴びたおかげで、今さほどストレスをためることなく子育てができているのだと思います。

結の里・みんな食堂、開店。40名以上が集い、カレーづくりで交流。

地域住民はもちろん、たくさんの町民が集う「結の里」で、ミニ食堂グループが企画した初の「交流カレーづくり」が開催され、地域の人々の交流の場が生まれていました。

たかがカレー!されどカレー!!

子どもから大人まで年代を問わずに参加者を募り、住民らによってあらかじめ決められたメニューを参加者同士で調理し、ともに夕食を囲む機会を生み出す「みんな食堂」。7月13日の金曜日、午後4時半スタート!と呼びかけたのですが、30分前にはたくさんの住民が集まっていました。「みんな食堂」と書かれた、手作りのれんが雰囲気を醸し出しています。

阿部東夫南三陸町社会福祉協議会会長から「初めての開催だが、こんなに集まってくれてうれしい。このような機会をこれからもつくるので交流を深めてほしい」とあいさつの後、管理栄養士から夏の食中毒予防を含めた注意点などの助言をいただき、いよいよ4つのグループに分けてスタートです。

初回のメニューは、どんなに日中暑くても汗を拭きながらでも食べたい!と老若男女ファンの多い「カレーライス」です。それぞれのご家庭で味のこだわりや作り方に違いはあるのでしょうか?

本日のメニューは「夏野菜カレー」です。

43名の参加者は、ほぼ主婦の皆さん。食材となる野菜(なす・ピーマン・じゃがいもなど)のカットなど下ごしらえはお手のものです。ただ、数少ない男性参加者の包丁さばきには、容赦ない的確な指示が飛び交いました。爆笑しながら……

快晴ながら風が強くなってきたので、デッキから屋内(えんがわカフェ)に移動しての煮込み作業に移りましたが、すでにグループごとに違いが見えてきました。

「ほやチーム」と「いかチーム」は、野菜と肉を同時に鍋に投入、じっくりコトコト煮込むようです。「わかめチーム」は肉だけを最初軽く炒めた後、取り出して冷ましています。後半投入なのでしょうか。「たこチーム」は、肉はほったらかしの状態、野菜だけグツグツ煮込み始めました。肉を投入するタイミングが気になります。

およそ15分程度の煮込み時間、手持ち無沙汰になった頃から会場内は世間話の会話が弾んできました。今回の「カレーづくり」は、単なる料理教室ではなく、このような住民同士の交流が最大の狙いだったと主催者のスタッフは目を細めて眺めていました。

工夫と隠し味は・・・

肉を一緒に煮込まないのは、アクをすくう手間を少なくするためだとか、野菜の味を際立たせるためだとか、こっそり教えてもらいましたが、あるベテランさんからはこんな言葉も。

「材料もルーも同じなら肉をどのタイミングで入れたってそんなに変わんないよ!」

では、隠し味が決め手になるのではないか?!各グループの仕上げ工程をチェックしてみました。

「お母さん、それ何入れたんですか?」

「あ、これ?コーヒー!!」

インスタントコーヒーをお湯で溶いて、味を調えるんだとか。でも、この方法は他のグループでもやっていましたが、隠し味のひとつなのでしょうね。。

今回は市販の甘口カレールーを使ったので、辛さを増すスパイスをどのくらい入れるのかは好みにもよりますが、夏野菜たっぷりの甘~いカレーづくりイベントは大盛況、お楽しみの試食会へと進みます。

大勢で 食べるからこその おいしさかな

「普段どおりに出来ましたか~?」

「はーい」

「皆で食べるとおいしいですよね~!」

「はーい」

「隠し味はなんですか~?」

「愛情!!」

半ば強制的に言わせた感もありますが、笑顔が溢れ和気あいあいと会食する光景は新しい地域のコミュニティ作りの一端も垣間見られました。

「料理は好きなんだけど一人だとつまらない。このように大勢だと楽しいしおいしいよね」と、隣に座った女性が笑顔で話してくれました。

うちらのカレーも食べてみて!!と自信作の披露の場にもなりました。

ミニ食堂グループ(実行委員長=大山たつ子さん)では、「みんな食堂」と称し、住民交流のため様々な仕掛けを考えたいと語っていました。

今回のカレーづくりでは「ほっとばんく入谷」のメンバーも駆けつけてお手伝いされたように、企画の段階から住民や様々な活動団体の方々を交え話し合う大切さを強調しています。

次回は、どんなメニューに挑戦するのか今から楽しみですね。

結の里 とは

子どもから高齢者まで町民の皆様が誰でも気軽に集い、ふれあう福祉と交流の拠点となるよう平成30年4月27日にオープンしました。今後は、地域住民や各種団体(NPO法人)等が協議会を組織し、さらに楽しく活用できるよう考えていく予定です。

この拠点の愛称については、たくさんの方々から応募があり、施設一帯を「結の里(ゆいのさと)」、屋内のコミュニティラウンジを「えんがわカフェ」、災害公営住宅の集会所とをフラットにつなげるデッキを「リアスふれあい広場」と決まりました。

今後も季節にあわせたさまざまな行事が開催されていく予定です。機会があればぜひ覗いてみてはいかがでしょうか?

2018年7月31日/定点観測

南三陸町市街地の復興の様子を定点観測しています。戸倉地区、志津川地区、歌津地区の3箇所の写真を公開しています。

写真をクリックまたはタップすると大きくなります

戸倉地区

撮影場所 [38.642969, 141.442686

パノラマ

志津川地区

撮影場所 [38.675820, 141.448933

パノラマ

パノラマ

パノラマ

パノラマ

歌津地区

撮影場所 [38°43’5″ N 141°31’19” E

パノラマ

他の定点観測を見る

羊毛であそぼう!子どもの遊び場 さとうみファームで草木染め体験

歌津町寄木地区の〝海の見える丘“にある羊牧場『さとうみファーム』では、4〜12月までの第4土曜日に「羊毛とあそぶ2018」が開催されています。6月はウール工房にて「羊毛の草木染め」が行われました。

羊と触れ合える 子どもの夢牧場『さとうみファーム』

山のほうから聞こえてくる「メェ〜、メェェ〜」という鳴き声の先に足を運んでみると、白くもこもこした姿の羊たちが身を寄せながら寝そべっていました。人懐っこいようで、羊舎の木の柵に身を乗り出して、エサを与える素振りをみせると、ゆっくりと歩きながら近づいてきます。子供たちでも手を伸ばしたら、羊の弾力あるもこもこした背中に触れることができました。人を怖がる様子はなく、頭を撫でると気持ちよさそうな顔を見せてくれます。

羊毛の1gから約5mの糸ができ、1頭の羊から2着ほどのセーターが作れるそうです。

移住女子たちが憧れる「羊と三陸の暮らし」

今回の「羊毛の草木染め」のワークショップには、気仙沼市唐桑町からきた女性2名が参加していました。神奈川県と岐阜県から移住してきており、現在シェアハウスで一緒に暮らしているルームメイトだそうです。20代のおふたりは「羊を飼うのが夢!」「ニットがすごく大好き。作り方が見てみたかった」と話してくれました。

ワークショップ参加者は、今回の移住女子のように、常に面白そうなことをインターネット探しているアンテナの高い人たちばかり。近隣に住む地元の人よりも、仙台・松島・石巻・一関といった離れたところから来る参加者がほとんどだそうです。

「かわくわ丸の半島移住女子によるPen.turn~ペンターン女子の休日~」メンバーのふたり。

羊毛を大自然の染材で色付ける

草木染めで使用する染材は、びわの葉、ウリハダカエデの樹皮でした。葉を手に取って香りを嗅いでみると、紅茶の葉のような甘い香りがしました。また、横にあるバケツには、ぬるぬるとした濃い焦げ茶色のホンダワラ(海藻)の染材もありました。

ウール工房担当で、羊毛ワークショップの講師をしている千葉もと子さん。
「ウールの前処理では、原毛を水に漬けておいてから、脱水します。バケツいっぱいに染液10ℓを用意して、40℃くらいにしたまま、軽く上下返ししてきます。そのあと、80~85℃くらいまで加熱したら火を止め、蓋をしたまま放冷、一晩放置。翌日、3回洗い、30秒脱水後、乾燥。という一連の作業をしていきます」と説明してくれました。

真っ白ではなく、少し黄色くなっている羊毛は、染材を使って茶色やグレーに着色される。
羊毛は温度変化に弱く、ダメージを受けやすいので、自然に冷めるのを待たなくてはならない。

燃費よし!簡単・便利なロケットストーブの魅力

長時間、じっくりと火にかけておかなくてはならないウール染め。ガスを使用することになると、ガス代が非常に高くなってしまうのが難点。そこでウール工房では、燃料費を抑えるためにペール缶で作ったロケットストーブを必需品としています。近くの野山で拾ってきた杉の細い枝や松ぼっくりを燃料に火をおこします。少量の木を燃やして簡単・安全に着火、火の番ができる。しかも煙たくないのが特徴。焚き付け用の燃料にする枝や葉を拾いに行けば山もきれいになりますし、いいことづくめですね。

南三陸に移住してきた石井ひろこさん。ペール缶で作るキッチン・ロケットストーブの普及活動をしている。

南三陸の豊かな自然を学べる観光牧場を目指して

現在市場に出回っている羊毛は海外産がほとんどであり、羊の飼育から糸紡ぎまで行う牧場は、国内ではかなり珍しいそうです。

「羊たちの命をいただくのだから、肉だけでなく毛も皮も、丸ごと無駄にせず活用したい」そう考えた一般社団法人さとうみファーム代表理事の金藤克也さんは、ウールを活用する知識や経験を持ったスタッフを募集。2015年の冬に織り作家の千葉もと子さんがウール工房担当として仲間入りしました。

「震災で遊び場を失ってしまった子どもたちがのびのび遊べて、思いっきり走り回れる牧場を作っていきたい」という想いのもと、さとうみファームで働くスタッフには、県外からの移住者も多いそうです。

牧場内の施設は、ほとんどが手作り。自分たちで間伐した木材を活用し、遊具やウッドテラス等の施設をスタッフが一から作っているそうです。そんな手作り感いっぱいのさとうみファームでは、眼下に広がる寄木湾でのシーサイドBBQや、シーカヤック体験などもおこなっています。子どもはもちろん、親子、友達同士で、大人も一緒に笑顔があふれる遊び場になりそうですね。

 

オンラインショップで手織りのブローチ、ニット帽などオリジナルグッツを販売。SOLDOUTも目立つ。

はじめての方にもおすすめ! 新鮮な南三陸産ホヤの食べ方を学んできました。

野菜ソムリエ目線の情報を織り交ぜながら四季折々の旬をお伝えする連載企画。今回は、初夏から夏にかけての南三陸の風物詩ホヤ。新鮮なホヤに出会った感動。そして、暑い夏を乗り切るおすすめメニューを紹介します。

ホヤへの考え方が180度変わりました

「えっ!なに、これ!これを食べるの?」

私が子どもの頃、はじめてホヤを見たときの印象です。ホヤとの出会いは、実家の台所でした。当時子どもだった私は、ボウルいっぱいに積まれた奇抜な形と赤々としたホヤに恐れを感じ、近づくことさえできずにいたのです。

一方、母は嬉々と手際よくさばき、その様子を見て私は、『よく調理できるものだ』と只々感心したものです。つい最近まで相変わらずホヤは実家で出されたときにのみ食べ、情けない限りですが、ホヤを触ったことさえ無かったのです。

そんなホヤとの関係が、今年4月を契機に180度転換することとなりました。
そのきっかけは、戸倉地区の漁師に志津川湾をご案内いただいたこと。南三陸町志津川湾は分水嶺に囲まれ、自然豊かな山々からミネラルたっぷりの水が注ぎこむ豊かな漁場だと知ります。

その豊かな漁場でホヤはすくすくと3年かけて育ち、こぶし大になり収穫されます。

「3年⁉」

思わず聞き返してしまうほど驚きました。ミネラル豊富な漁場でじっくり育つからこそ、南三陸産のホヤはおいしいのですね。景色に見とれながらホヤの話に耳を傾けていると、養殖中のホヤを引き上げて見せてくださいます。

「わおっ!ホヤがびっしり!」

みんなの目が引きあがるロープ一点に集中し、ホヤが見えたとたんに思わず感嘆の声が出ます。

ホヤは艶々と赤く「おいしそう」。子どものころから根付いていたホヤのイメージは、私の中で大きく変わりはじめていました。

海から引き揚げたばかりのホヤは、ぷくぷくとした弾力がありながらも固く、手に取るとどっしりとした重みがあります。これがホヤ!新鮮なホヤを目の当たりにして、ときめきが止まりません。

そして引き揚げたホヤのさば方手順と方法を説明していただきながら、目の前でささっと手際よくさばいて食べさせてくれました。

これらの体験はこれまでのホヤに対する概念を見事に覆し

『こんなにおいしいものだったの?』

強い衝撃を受けるものでした。きらきらと光るホヤは甘く、爽やかな潮の風味が口いっぱいにひろがり、生食で何もつけないホヤがこんなにおいしいものだとはじめて知った日でした。

旬のホヤ料理に挑戦!

ホヤの旬は夏の7月~8月に身が厚くなり旨味がましおいしくいただけるとのこと。というわけで、今回はホヤ料理に挑戦です!

早速、南三陸町の魚屋さんで、ホヤの仕入れです。
さすがホヤの旬の時期だけあり、殻付きホヤ・むきホヤ・蒸しホヤ・試食など、バラエティ豊かに品揃えされています。大きく立派な殻付きホヤが一個100円!少し小さめなものはいくつかまとめて200円。意外にもリーズナブル!海の町ならではの価格なのでしょうね。初めて自分でホヤを買いました。都会で求めたら、一体いくらかな?ふと気になってしまいます。

そして、店員さんにおすすめの食べ方を尋ねてみました。すると、

『なにも足さない。なにもつけない。それが一番おいしい食べ方です。』

ときっぱりと断言!何も足さず、なにもつけない、まさに船上で食べたあのスタイルなのですね。

今回はあえて、そのおいしさを追求したいと思います。

暑い夏にぴったり!【爽やかホヤ刺身】

<材料(2名分)>
殻付きほや・・・1個
大葉・・・1枚
レモン・・・適量

<作り方>殻ホヤのさばき方も一緒にご紹介!

  1. 入水口を切りホヤ水をボウルにとる。※入水口:突起のプラス部分
    盛り付け時に使います(新鮮なものに限ります)
  2. 出水口の先端を切り排泄物を出す。※出水口:突起のマイナス部分。
  3. 2つに切り、残りの排泄物を取り除き、皮から身をはがす
  4. 食べやすい大きさに切り器に盛り、ホヤ水をかける。大葉とレモンをのせて出来上がり
    <ポイント>
    ホヤをさばく時にホヤ水を捨てずにとっておき、浸して食べると磯の香りがさらに引き立ちます。

食べると、磯の香りが口いっぱいに広がり、ホヤが甘くておいしい!あの船上で食べた時の美味しさが蘇ります。今やホヤの大ファンです!

私のように、子どもの頃からのイメージのままであったり、はじめて食べた時に鮮度の落ちたものを食べてしまい、おいしくない印象のまま嫌いになってしまった方、そして食べたことのない方もいらっしゃると思います。

ホヤのおいしさを味わうには、まず素材が新鮮であること。鮮度が落ちると独特の生臭みとなり変わってしまうのです。
食べたことのない方や、嫌いになってしまっている方もぜひ一度南三陸町の新鮮なホヤを食べて欲しいなと思います。私のように漁業体験に参加したり、さんさん商店街などの鮮魚店で刺身をいただいたり、また飲食店では朝に水揚げされた新鮮なホヤを食べることができるなど、町には新鮮なホヤに出会えるスポットがたくさんあります。そしておいしい食べ方や自然豊かな産地の様子を教えてくださる人々と触れ合うことができるのも大きな魅力。南三陸町で新鮮食材と共に、町の魅力を丸ごと味わっていただきたいと願います。

おいしいだけじゃない!高い栄養も魅力のひとつ!

ホヤはおいしさだけでなく、栄養価が高いのも魅力。若返りのビタミンと言われるビタミンEや体の機能の維持・調節に欠くことのできないリン・鉄・亜鉛などのミネラルが非常に多く含まれています。ビタミンEは抗酸化作用が強く老化や動脈硬化、生活習慣病の予防に役立ち、また生きていくうえで欠かせない免疫力の向上も期待できるビタミンです。同じ抗酸化ビタミンであるビタミンCと一緒に取ることでさらに抗酸化力を高めるので、緑黄色野菜とともに摂るのがおすすめ。今回のようにビタミンC豊富な紫蘇やレモンを添えるとおいしさだけでなく栄養価がパワーアップしますのでおすすめです。

またホヤには赤血球を作るのに必要なビタミンB12を多く含み、神経機能を正常に保つ働きのある重要なビタミンのひとつ。女性に多い貧血は主に赤血球の減少より起こりますが、ヘモグロビンの材料となる鉄とビタミンB12を含むほやは貧血予防や改善が期待できる食材。血液と神経系に関わる重要なビタミンB12ですが、野菜などの植物性食品には含まれないので、ホヤなどの動物性食品から摂取する必要があります。

このようにホヤは野菜ではとれないビタミンが接種でき、組みあわせるとよりパワーアップする栄養価の高い食品なので、ぜひ暑い夏を乗り切るためにも食べたい食材です。今回はシンプルにホヤの真髄を味わうレポートをさせていただきましたが、今後さらなるホヤの新しい魅力発見レポートとレシピ紹介をするべく南三陸町をあちこち歩いてみたいと思います。ぜひ、皆さんも南三陸町の魅力を楽しみにおいでください。

志津川湾って、すごい!シリーズvol.3 「マリンアクティビティたのしいぜ」

2018年10月のラムサール条約登録を目指す、志津川湾。そんな豊かな志津川湾の魅力に迫る連載企画第3弾。今回は少し視点を変えて、”志津川湾って、アクティビティもすごい!”というところをお伝えしようと思います。

志津川湾でできるマリンアクティビティ

スノーケリング、カヤック、SUP(サップ)。
ご存知の方はいるかな?やったことのある人はまだまだ少ないだろうが、実はこれ、ぜんぶ志津川湾でできてしまう。

沖縄ではよく聞くけれど、東北の海でもできるの?!なーんて驚かれることも多いのだが、志津川湾でも十分楽しむことができるものなんだ。

スノーケリング

スノーケリングは、スノーケルで水面から空気を吸えるようにして、マスクをつけて海の中をのぞきつつ、足にはフィンをつけてバタ足のようにして移動する、まるで気分は人魚?!なアクテビティだ。海の中が浅ければ、海の底までも見えちゃって、そこには小さな魚が行き交っていたり、ヒトデやナマコが横たわっていたりする。カラダ全体で海の中を実感したいならこれがベストだ!

カヤック

カヤックは、小舟のようなものに座って乗り、パドル(舟でいうとオールみたいなもの)で水を左右交互につかんで漕いで進むもの。座っているから水面がすごく近くて、海との一体感はハンパない。パドルを漕ぐことをパドリングするというのだが、パドリングが上手になればちょっとした遠出もできてしまう、とても魅力的なアクティビティなのだ。

SUP(サップ)

SUP(サップ)とは、正式にはスタンドアップパドルボードというアクティビティだ。長いサーフィンボードのうえに立って乗り、これもパドルを漕いで進む。カヤックとは違って立って、しかも板のようなものの上に乗るのだから、バランスを取るのがかなり難しい。しかし逆にそんなところがアクティブでもあって、波を感じてみたいのならSUPがおすすめだ。

ただ、立っていると風をまともに受けるから流されやすい。時に、風にあらがってパドリングできる力も必要だから、体験できるのは中学生以上となっている。

海であそんで、海を知る

海の中に潜ったり、海の上に座ったり立ったりできて、志津川湾を色々な角度から楽しむことができるこんなアクティビティたちが勢ぞろいしている。

どれも一見すると難しそうだが、ガイドがついて最初はしっかり練習するので、初心者でも充分楽しめる。

スノーケリングで、海藻が生いしげる海の森を探険してワクワクしたり、カヤックで、水面すれすれを漕げば、海の中をピューっと泳ぐ魚たちやそれを狙う上空の鳥たちに心を奪われ、SUPで風を感じながら海の上に立てば、どこまでも広がる あおーい海と空が目に飛びこんできて、癒される。

こんな夢のような時間が、志津川湾にはあるんだ。すごい。

海であそんで、海を知る。さぁ体験してみよう、志津川湾で。

志津川湾でマリンアクティビティ、たのしいぜ!