はじめての方にもおすすめ! 新鮮な南三陸産ホヤの食べ方を学んできました。

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野菜ソムリエ目線の情報を織り交ぜながら四季折々の旬をお伝えする連載企画。今回は、初夏から夏にかけての南三陸の風物詩ホヤ。新鮮なホヤに出会った感動。そして、暑い夏を乗り切るおすすめメニューを紹介します。

ホヤへの考え方が180度変わりました

「えっ!なに、これ!これを食べるの?」

私が子どもの頃、はじめてホヤを見たときの印象です。ホヤとの出会いは、実家の台所でした。当時子どもだった私は、ボウルいっぱいに積まれた奇抜な形と赤々としたホヤに恐れを感じ、近づくことさえできずにいたのです。

一方、母は嬉々と手際よくさばき、その様子を見て私は、『よく調理できるものだ』と只々感心したものです。つい最近まで相変わらずホヤは実家で出されたときにのみ食べ、情けない限りですが、ホヤを触ったことさえ無かったのです。

そんなホヤとの関係が、今年4月を契機に180度転換することとなりました。
そのきっかけは、戸倉地区の漁師に志津川湾をご案内いただいたこと。南三陸町志津川湾は分水嶺に囲まれ、自然豊かな山々からミネラルたっぷりの水が注ぎこむ豊かな漁場だと知ります。

その豊かな漁場でホヤはすくすくと3年かけて育ち、こぶし大になり収穫されます。

「3年⁉」

思わず聞き返してしまうほど驚きました。ミネラル豊富な漁場でじっくり育つからこそ、南三陸産のホヤはおいしいのですね。景色に見とれながらホヤの話に耳を傾けていると、養殖中のホヤを引き上げて見せてくださいます。

「わおっ!ホヤがびっしり!」

みんなの目が引きあがるロープ一点に集中し、ホヤが見えたとたんに思わず感嘆の声が出ます。

ホヤは艶々と赤く「おいしそう」。子どものころから根付いていたホヤのイメージは、私の中で大きく変わりはじめていました。

海から引き揚げたばかりのホヤは、ぷくぷくとした弾力がありながらも固く、手に取るとどっしりとした重みがあります。これがホヤ!新鮮なホヤを目の当たりにして、ときめきが止まりません。

そして引き揚げたホヤのさば方手順と方法を説明していただきながら、目の前でささっと手際よくさばいて食べさせてくれました。

これらの体験はこれまでのホヤに対する概念を見事に覆し

『こんなにおいしいものだったの?』

強い衝撃を受けるものでした。きらきらと光るホヤは甘く、爽やかな潮の風味が口いっぱいにひろがり、生食で何もつけないホヤがこんなにおいしいものだとはじめて知った日でした。

旬のホヤ料理に挑戦!

ホヤの旬は夏の7月~8月に身が厚くなり旨味がましおいしくいただけるとのこと。というわけで、今回はホヤ料理に挑戦です!

早速、南三陸町の魚屋さんで、ホヤの仕入れです。
さすがホヤの旬の時期だけあり、殻付きホヤ・むきホヤ・蒸しホヤ・試食など、バラエティ豊かに品揃えされています。大きく立派な殻付きホヤが一個100円!少し小さめなものはいくつかまとめて200円。意外にもリーズナブル!海の町ならではの価格なのでしょうね。初めて自分でホヤを買いました。都会で求めたら、一体いくらかな?ふと気になってしまいます。

そして、店員さんにおすすめの食べ方を尋ねてみました。すると、

『なにも足さない。なにもつけない。それが一番おいしい食べ方です。』

ときっぱりと断言!何も足さず、なにもつけない、まさに船上で食べたあのスタイルなのですね。

今回はあえて、そのおいしさを追求したいと思います。

暑い夏にぴったり!【爽やかホヤ刺身】

<材料(2名分)>
殻付きほや・・・1個
大葉・・・1枚
レモン・・・適量

<作り方>殻ホヤのさばき方も一緒にご紹介!

  1. 入水口を切りホヤ水をボウルにとる。※入水口:突起のプラス部分
    盛り付け時に使います(新鮮なものに限ります)
  2. 出水口の先端を切り排泄物を出す。※出水口:突起のマイナス部分。
  3. 2つに切り、残りの排泄物を取り除き、皮から身をはがす
  4. 食べやすい大きさに切り器に盛り、ホヤ水をかける。大葉とレモンをのせて出来上がり
    <ポイント>
    ホヤをさばく時にホヤ水を捨てずにとっておき、浸して食べると磯の香りがさらに引き立ちます。

食べると、磯の香りが口いっぱいに広がり、ホヤが甘くておいしい!あの船上で食べた時の美味しさが蘇ります。今やホヤの大ファンです!

私のように、子どもの頃からのイメージのままであったり、はじめて食べた時に鮮度の落ちたものを食べてしまい、おいしくない印象のまま嫌いになってしまった方、そして食べたことのない方もいらっしゃると思います。

ホヤのおいしさを味わうには、まず素材が新鮮であること。鮮度が落ちると独特の生臭みとなり変わってしまうのです。
食べたことのない方や、嫌いになってしまっている方もぜひ一度南三陸町の新鮮なホヤを食べて欲しいなと思います。私のように漁業体験に参加したり、さんさん商店街などの鮮魚店で刺身をいただいたり、また飲食店では朝に水揚げされた新鮮なホヤを食べることができるなど、町には新鮮なホヤに出会えるスポットがたくさんあります。そしておいしい食べ方や自然豊かな産地の様子を教えてくださる人々と触れ合うことができるのも大きな魅力。南三陸町で新鮮食材と共に、町の魅力を丸ごと味わっていただきたいと願います。

おいしいだけじゃない!高い栄養も魅力のひとつ!

ホヤはおいしさだけでなく、栄養価が高いのも魅力。若返りのビタミンと言われるビタミンEや体の機能の維持・調節に欠くことのできないリン・鉄・亜鉛などのミネラルが非常に多く含まれています。ビタミンEは抗酸化作用が強く老化や動脈硬化、生活習慣病の予防に役立ち、また生きていくうえで欠かせない免疫力の向上も期待できるビタミンです。同じ抗酸化ビタミンであるビタミンCと一緒に取ることでさらに抗酸化力を高めるので、緑黄色野菜とともに摂るのがおすすめ。今回のようにビタミンC豊富な紫蘇やレモンを添えるとおいしさだけでなく栄養価がパワーアップしますのでおすすめです。

またホヤには赤血球を作るのに必要なビタミンB12を多く含み、神経機能を正常に保つ働きのある重要なビタミンのひとつ。女性に多い貧血は主に赤血球の減少より起こりますが、ヘモグロビンの材料となる鉄とビタミンB12を含むほやは貧血予防や改善が期待できる食材。血液と神経系に関わる重要なビタミンB12ですが、野菜などの植物性食品には含まれないので、ホヤなどの動物性食品から摂取する必要があります。

このようにホヤは野菜ではとれないビタミンが接種でき、組みあわせるとよりパワーアップする栄養価の高い食品なので、ぜひ暑い夏を乗り切るためにも食べたい食材です。今回はシンプルにホヤの真髄を味わうレポートをさせていただきましたが、今後さらなるホヤの新しい魅力発見レポートとレシピ紹介をするべく南三陸町をあちこち歩いてみたいと思います。ぜひ、皆さんも南三陸町の魅力を楽しみにおいでください。

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