羊毛であそぼう!子どもの遊び場 さとうみファームで草木染め体験

4016
柵の外に咲いているシロツメクサを差し出すと、羊たちは喜んで近寄ってきます。

歌津町寄木地区の〝海の見える丘“にある羊牧場『さとうみファーム』では、4〜12月までの第4土曜日に「羊毛とあそぶ2018」が開催されています。6月はウール工房にて「羊毛の草木染め」が行われました。

羊と触れ合える 子どもの夢牧場『さとうみファーム』

山のほうから聞こえてくる「メェ〜、メェェ〜」という鳴き声の先に足を運んでみると、白くもこもこした姿の羊たちが身を寄せながら寝そべっていました。人懐っこいようで、羊舎の木の柵に身を乗り出して、エサを与える素振りをみせると、ゆっくりと歩きながら近づいてきます。子供たちでも手を伸ばしたら、羊の弾力あるもこもこした背中に触れることができました。人を怖がる様子はなく、頭を撫でると気持ちよさそうな顔を見せてくれます。

羊毛の1gから約5mの糸ができ、1頭の羊から2着ほどのセーターが作れるそうです。

移住女子たちが憧れる「羊と三陸の暮らし」

今回の「羊毛の草木染め」のワークショップには、気仙沼市唐桑町からきた女性2名が参加していました。神奈川県と岐阜県から移住してきており、現在シェアハウスで一緒に暮らしているルームメイトだそうです。20代のおふたりは「羊を飼うのが夢!」「ニットがすごく大好き。作り方が見てみたかった」と話してくれました。

ワークショップ参加者は、今回の移住女子のように、常に面白そうなことをインターネット探しているアンテナの高い人たちばかり。近隣に住む地元の人よりも、仙台・松島・石巻・一関といった離れたところから来る参加者がほとんどだそうです。

「かわくわ丸の半島移住女子によるPen.turn~ペンターン女子の休日~」メンバーのふたり。

羊毛を大自然の染材で色付ける

草木染めで使用する染材は、びわの葉、ウリハダカエデの樹皮でした。葉を手に取って香りを嗅いでみると、紅茶の葉のような甘い香りがしました。また、横にあるバケツには、ぬるぬるとした濃い焦げ茶色のホンダワラ(海藻)の染材もありました。

ウール工房担当で、羊毛ワークショップの講師をしている千葉もと子さん。
「ウールの前処理では、原毛を水に漬けておいてから、脱水します。バケツいっぱいに染液10ℓを用意して、40℃くらいにしたまま、軽く上下返ししてきます。そのあと、80~85℃くらいまで加熱したら火を止め、蓋をしたまま放冷、一晩放置。翌日、3回洗い、30秒脱水後、乾燥。という一連の作業をしていきます」と説明してくれました。

真っ白ではなく、少し黄色くなっている羊毛は、染材を使って茶色やグレーに着色される。
羊毛は温度変化に弱く、ダメージを受けやすいので、自然に冷めるのを待たなくてはならない。

燃費よし!簡単・便利なロケットストーブの魅力

長時間、じっくりと火にかけておかなくてはならないウール染め。ガスを使用することになると、ガス代が非常に高くなってしまうのが難点。そこでウール工房では、燃料費を抑えるためにペール缶で作ったロケットストーブを必需品としています。近くの野山で拾ってきた杉の細い枝や松ぼっくりを燃料に火をおこします。少量の木を燃やして簡単・安全に着火、火の番ができる。しかも煙たくないのが特徴。焚き付け用の燃料にする枝や葉を拾いに行けば山もきれいになりますし、いいことづくめですね。

南三陸に移住してきた石井ひろこさん。ペール缶で作るキッチン・ロケットストーブの普及活動をしている。

南三陸の豊かな自然を学べる観光牧場を目指して

現在市場に出回っている羊毛は海外産がほとんどであり、羊の飼育から糸紡ぎまで行う牧場は、国内ではかなり珍しいそうです。

「羊たちの命をいただくのだから、肉だけでなく毛も皮も、丸ごと無駄にせず活用したい」そう考えた一般社団法人さとうみファーム代表理事の金藤克也さんは、ウールを活用する知識や経験を持ったスタッフを募集。2015年の冬に織り作家の千葉もと子さんがウール工房担当として仲間入りしました。

「震災で遊び場を失ってしまった子どもたちがのびのび遊べて、思いっきり走り回れる牧場を作っていきたい」という想いのもと、さとうみファームで働くスタッフには、県外からの移住者も多いそうです。

牧場内の施設は、ほとんどが手作り。自分たちで間伐した木材を活用し、遊具やウッドテラス等の施設をスタッフが一から作っているそうです。そんな手作り感いっぱいのさとうみファームでは、眼下に広がる寄木湾でのシーサイドBBQや、シーカヤック体験などもおこなっています。子どもはもちろん、親子、友達同士で、大人も一緒に笑顔があふれる遊び場になりそうですね。

 

オンラインショップで手織りのブローチ、ニット帽などオリジナルグッツを販売。SOLDOUTも目立つ。

いいね!して
南三陸を応援

フォローする