南三陸町復興祈念公園とその周囲で活動を行なっている「さんサンポートプロジェクト」。6月の同じ週に“草刈り”と“椿の植樹”が南三陸町震災復興祈念公園で行われました。町内外の人にとって様々な想いが集まるこの場所を地域の手で育んでいく、一緒に考える機会となった様子を取材しました。
活動①復興祈念公園除草活動〜南三陸町社会福祉協議会〜
震災復興祈念公園やその周辺の回遊性のある使い方、活かし方を出し合っていくさんサンポートプロジェクトの活動の一環で、昨年から園内の草刈りが始まりました。
元気なお姉様方がエネルギッシュに地域を牽引する南三陸町社会福祉協議会が開催に協力。
「結の里」を中心に地域の高齢者支援や、コロナ禍には町を離れて暮らす学生に食糧支援などを行ってきました。南三陸なうでは毎年「走らない大運動会」などを取材しています。
そんなパワフルな社協のみなさんが率先して地域の方を巻き込み、この草刈りがある種の「集いの場」になっていると聞いたので、私、なうライター佐藤も草刈り道具を手に参加してきました。
黙々作業よりもお喋りを
6月5日(月)の朝9時。復興祈念公園の駐車場にはすでに大勢の方々が集まっていました。天候不良により本来予定されていた2日(金)から延期となったものの、45名の方が参加。
今回は草刈機では刈りにくい箇所をピックアップして3班に分かれての作業となります。
植えられた椿を覆い隠すかのように生えてきた雑草たちを、皆さん“口を動かしながら”丁寧に取り除いていきます。
「黙々やっても楽しくないからね。集まって喋る時間になってて楽しいよ」
日中の日照りで疲れが出始めたときについ無口になっていたのか、隣にいたお母さんからそう声をかけられ顔を上げると、周りの方々は作業しつつも世間話に花を咲かせ、笑いながら作業を進めていました。
和気藹々とお喋りしながら公園を綺麗にしていくなかで、普段顔を合わせない人ともお話語りをする。こうした交流が住民をつなぎ、こうした機会に顔を合わせることでコミュニケーションからコミュニティが生まれていくのでしょう。
南三陸町社会福祉協議会の佐藤德憲会長も「草刈りも楽しんでもらいひとつのコミュニケーションとすることで、気持ちにゆとりを持ちながら楽しみながら、地域に貢献することに繋がっていると私は思います」と話し、この場が地域づくり、コミュニティの場であり、地域の方が町に関わる機会にもなっていると話します。
活動②椿の植樹〜南三陸椿くらぶ〜
草刈りの際にさんサンポートプロジェクトの工藤真弓さんから「今度、椿の植樹をするよ」と情報をいただいたので6月8日(木)に取材に訪れました。植樹する場所は復興祈念公園内の「みらいの森」。
元々こちらに植えていた椿43本の内、9本が除草剤などの影響で枯れてしまったので、上山八幡宮で育てていた実生の苗木を植樹することになったそうです。
南三陸椿くらぶの皆さん
椿のお世話や植樹を担当しているのは「南三陸椿くらぶ」の皆さん。園内で合流し話を聞いていると「久しぶりだね〜」「元気してた?」という会話が。気になったので話を聞いてみると今日が数ヶ月ぶりの再会とのこと!
「私たちは震災後の仮設住宅が一緒で、その頃からこうして活動しているんです」
真弓さん曰く、震災後に避難された先が隣町で、そこの仮設住宅で一緒になり活動を始め、仮設生活が終わりそれぞれ別々の場所で暮らし始めても定期的に集まっているのだそう。
とあるお母さんは震災前に志津川地区で活動していた「切子くらぶ」の頃からの付き合いだそうで、「今は旦那さんの仕事も隣町だからそっちに住んでてでなかなか頻繁には帰って来れないけど、こうしてくらぶの集まりの時に帰って来て、みんなの顔見ると懐かしくなるね」と語ってくれました。
約12年間。仮設住宅のころから続くコミュニティが大好きだと皆さん口を揃えており、小さくても自分達にできることをこつこつ積み重ね、人の輪を大事にしてきた結果なのではと、一生懸命椿を愛でるお母さんたちの姿を見て思いました。
ひととひとを繋ぐ場所
草刈りと椿の植樹、偶然にも同じ週に同じ場所で行われた活動に参加し、コミュニティが持つ人を繋げる力、関係性を育む力、生きる活力を養う力をたくさんの人と共有することが出来ました。
なによりも、こうした活動を継続してきた社会福祉協議会と椿くらぶの皆さん、それらを繋ぎより地域に寄り添える形を作り始めたさんサンポートプロジェクトの皆さんの弛まぬ努力にただただ敬服するのみです。
こうした活動が地域を綺麗にそして豊かにしていることを、町を訪れる多くの方々にぜひ知っていただき、想いを寄せてもらえればと思います。