「走らないんだよ〜!」と言われてもつい走りたくなってしまう運動会も今年で6回目。コロナという壁を色んな手で乗り越えながら続けてきた運動会に密着してきました!
旬を取り入れたユニークな種目たち
海水浴場や夏祭りで大いに盛り上がった南三陸町にも、少し肌寒い秋風が吹き始めた10月4日。第6回走らない大運動会が開催される志津川東第2復興住宅「中央広場」には朝から職員と委員が集まっています。
テント以外にも受付には消毒と検温機が設置され感染対策もバッチリ!コロナ禍でも工夫を凝らしながら絶えずイベントを開催してきた経験値を活かしてスムーズに進められていました。
そしてこちらが今回の運動会種目たち。恒例のものもあればしっかり旬のものを取り入れた種目もあり、「何するやつなんだべ?」「わがんべげっど、面白そうだなぁ」と受付を終えた参加者からは
すでに好評のようでした。こうしたちょっとした工夫にもセンスが光ります。
それではいよいよ「走らない運動会」始まり始まり〜!
大人の本気の聖火台&ペヤング体操!?
こちらもこの運動会の恒例行事かつちょっとしたサプライズの聖火点灯。
あさひ幼稚園の先生お手製のブルーインパルスを背に、少し怪しげな聖火台へ園児たちがたいまつを持って進みます。
「聖火、点灯―!」園児たちが松明の火を聖火台に灯すと・・・
(勘の良い読者の皆様はすでにお察しの通りかと思いますが)
出ました!走らない運動会名物!派手派手な衣装で聖火になりきった高校生と園児たち、そして最も燃え上がっていた職員さん!点灯した園児たちもあまりの激しさに一時ぽかんと空いた口が塞がらなくなっていましたが、その様子に他の参加者は大笑い。
会場中を炎のごとくあたためた後は運動前の準備体操!
音頭を取ったのは志津川高校の根本先生。ペヤングとコラボし日本中で志津川旋風を巻き起こしたのも記憶に新しいですが、今回はなんと「ペヤング体操」を披露!
焼きそばをすするように腕を大きく回してにいち、に、のさんしー!
皆さんも笑いながらペヤング体操を覚えていきます。
聖火も灯され、身体もほぐし、それでは競技開始です!
競技前半戦
トップバッターとなるのは新種目の「祝!!白河越え」です。甲子園で優勝した育英高校が、初めて優勝旗を東北地方に持ち帰ったことから発想を得た競技ですね。
新聞紙を丸めて作った棒を使い輪っかを先頭から後ろまで、今度は後ろから先頭に戻し野球ボールを模った台に輪っかをかけるリレーになっています。
輪っかをパスする時のちょうどいい間隔や声がけなどを練習するチームや、とにかく速さを求めるチームなど様々でしたが、共通していたのは園児への「一緒に頑張ろうね!」という声がけでした。
ほとんどの種目に園児や学生も一緒に参加しますが、ルールや動作がシンプルで身体能力で差が出にくい内容となっており、ここにも職員の皆さんの「走らず楽しむ」ための工夫が見られました。
競技後半戦
競技の合間にはあさひ幼稚園による演技の発表もありました。園で練習してきたパフォーマンスに
見ていたおじいちゃんおばあちゃんからも黄色い歓声があがっていました。
― 毎年園児の発表がありますけど、やっぱり和みますね
「ほんとにね〜。あたしたちもあんな歳の頃あったよね〜」
「ほんとめんこい(かわいい)ごだなぁ」と微笑む人生の先輩方。
普段なかなか接することのない年代と一緒に交流ができる機会としても、毎年の楽しみに胸をワクワクさせる時間としても、参加者の皆様にとって「見て楽しむ」種目として今年も大人気でした。
コミュニティを作る・守る・育てていくこと
会の終わりに社会福祉協会の局長にお話を伺いました。
― 今年も大変お疲れ様でした。まずはシンプルに今回の感想をお聞かせください。
「徐々に地域のイベント、になってきたと感じるね。一年に一度のこの日が認知されてきたかと。
園児もいいね。毎年来てもらえて嬉しい限りです」
― 今後も継続していく中で、改善したい点はありますか?
「他の園の参加や違う地区での開催を考えています。(中央広場のような)場所があればね、それぞれの地区ごとで出来れば地域性も出るだろうし、もっとコミュニティに寄り添える形にできたらいいなと思っています」
「また、今年も志津川高校の学生にお世話になりました。来年度から全国募集が始まり、校名も南三陸高校に変わるということだけれど、変わってからもぜひ参加してほしいです。地域との交流の場としてこれからも継続していきます」
秋晴れの中、走らずとも盛り上がる運動会はどんどん地域の一風景としてこの町の中に馴染み、秋の実りのように広がっていくのでした。