これまで30回以上、毎月第2日曜日に開催している戸倉漁師の会。震災後、漁師達が自ら会を立ち上げ、開催しています。新鮮な海産物が市場に出回る価格よりも安く、漁師達の手売りで提供されており、毎月多くのお客さんで賑わっています。
支援してくださった方々に恩返しをしたい
今回、取材をさせて頂いたのは以前、南三陸なうで行山流水戸辺鹿子躍についてお話を伺った村岡賢一さんです。なんでも村岡さんはこの漁師の会の広報を務めているとか。
Q:開催のきっかけを教えてください!
A:震災があってから企業からの支援を多くいただきました。そんなふうに支援してくれた方々に恩返しがしたい、復興していることをアピールしたいと思って考えた結果、イベントを開くことにしました。感謝の気持ちをイベント開催することで、届けられたなと思っています。
Q:会のメンバーは一から集めたのですか?
A:戸倉の漁師達みんなに声をかけました。声をかけた中で集まった人達で立ち上げ、漁師の会を開催しています。
安さと新鮮が売り!口コミで広がり賑わい見せる会
取材に伺った、第32回の時も朝から多くのお客さんが足を運んでいました。仙台や大崎の方から来たという方、なかには県外からわざわざ来たという人も。ピークとしては10時から12時にかけての時間がもっともお客さんが多いようでした。
Q:お客さんは何を見て来てる方が多いですか?
A:最初はテレビを観て来たとか、SNSでという人が多かったかな。最近はリピーターの方が多いです。もちろん、紹介できましたという人もいて、口コミでまだまだ広がっている感じです。
Q:やっぱり新鮮で安いからたくさんのお客さんが来るのでしょうか?
A:そうじゃないですかね。市場より安く、しかも新鮮なものが食べられるわけですからね。お得意さんになると、別で注文いただいたりもしています。美味しいって言ってくれたり、また来てくれるとこっちも嬉しいですしね。
Q:毎回無料コーナーというのがありますけど、なにを提供しているのですか?
A:毎回旬のものを提供しています。今回(32回)はシュウリ貝(別名:ムラサキ貝)の味噌汁。1月とかは餅つきしてみなさんに提供しているので、様々ですね。
海産物はもちろん、無料コーナーも数に限りがあるので、お目当てのも物がある場合はお早めに訪れた方がいいそうです。取材時は冷凍の塩ウニや蒸しホヤなども販売されていました。もちろんその場ですぐ食べることができるような、焼き牡蠣、牡蠣おこわ、たこ焼きなど盛りだくさん。会場はちょっとしたお祭りのような賑わいをみせていました。
これから牡蠣のシーズンですが今年の出来栄えは?
Q:今回(32回)のメインは牡蠣でしたが、今年の身の入りはどうですか?
A:身の入りは例年より悪い感じで、身も小ぶりなものが多いね。でもまだまだこれからが季節だから、良くなっていくでしょう。
Q:牡蠣はこれから冬の間はずっとあるのですよね?
A:状況にもよるけど6月頃までは牡蠣はあるかな。あとはもう少しするとわかめ、ふのりとか新ものの海藻類も出てくるよ。あとはアワビなんかもあるね。
Q:村岡さんの好きな牡蠣料理は?
A:なんでもおいしいけど、焼き牡蠣かな。春になったらフライの方がいいね。出始めの牡蠣と春の牡蠣では味は違うからね。
この日、村岡さんは焼き牡蠣を販売。販売されていた牡蠣は小ぶりという割には大きくプリプリとしていました。震災前だと出荷するまでに最低でも3年はかかっていたにも関わらず、震災後は早ければ1年で出荷できるほどに志津川湾の環境が大きく変化したそうです。そのため提供されていた牡蠣も含め、市場に出荷している戸倉の牡蠣は2年ものから1年ものがほとんどです。
漁師達の楽しみ・息抜きの場に
Q:これまで漁師の会を開催してきてどうですか?
A:楽しいね。漁師はどうしても同じことの繰り返しだけども、漁師の会があることでちょっと違った息抜きみたいな感じになっています。何よりお客さんに直接、販売できてお話しできるのが楽しみです。別に利益を求めて開催しているわけではないので、本当漁師達の息抜きの場って感じです。
Q:今後もこの会を続けていきたいですか?
A:もちろん。お客さん来るうちはやっていきたいね。
Q:次の世代の若手漁師達にもこの会に参加してほしいですよね?
A:そうだね。若い人達いればもっと盛り上がるかもしれないしね。なんなら、月1回のところ、2・3回に増やしてそれで生活できるようになったら尚更いいよ。なにより若い人達にも、楽しみながら漁師をやってもらいたいな。だから漁師の会に限らず、いろんな働き方を見つけて、楽しみながら仕事をしてほしいね。
今後の漁師達の活躍にも注目
震災後、漁師達の業務環境の改善がなされ、ASC取得につながりました。業務環境にゆとりが持てたことで、こうしたイベントを開催して、楽しみながら働くことが出来るようになったのではないでしょうか。一次産業はよく3K「きつい・汚い・危険またはカッコ悪い」などと言われマイナス的なイメージでした。しかし、近年その3Kをプラスのイメージに変えようと全国的に活動が広まりつつあるそうです。今後、一次産業へのイメージがどのように変化し、漁師達がどのように活躍していくのか楽しみです。
漁師の会開催は第2日曜日となっています。12月のみ年末23日の開催となります。
夏にはウニ、ホヤ、穴子、ホタテ、冬には牡蠣、わかめ、メカブ、アワビなど季節により様々な海産物が市場より安く購入することができます。ぜひ皆さん一度足を運んでみてはいかがでしょうか?開催情報や旬のお知らせはFacebookで更新しているとのことです。戸倉漁師の会Facebook要チェックです!
戸倉漁師の会Facebook
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