海外のシェフが南三陸で新たな料理を開発!
海外のシェフが南三陸町に約1ヶ月間滞在して、南三陸町の食材を活用した料理を開発するシェフインレジデンス。その料理のお披露目会が9月27日に開催されました。会場には地域住民約40名が参加。お披露目会の様子とシェフ達の声をお届けします。
海外シェフが南三陸町に
海外からシェフを招き、新たな食の魅力開発を目指す取り組み「シェフインレジデンス南三陸」が9月9日から行われました。今回が初めてとなるこのプログラム。多くの海外シェフが興味を持ち、その中から選ばれた3名のシェフが今回プログラムに参加しました。
27日のお披露目会では、プログラムに関わった地域の住民ら約40名が参加。冒頭にこのプログラムの企画者である岩田康弘さんから、シェフの紹介やプログラム内容の説明がありました。
南三陸の魅力「山と海」を料理で表現
3名のシェフはそれぞれ出身国も違い、得意としている料理や分野も様々。そんな中、1人2品を目標に料理を作りました。
プログラムの前半は、生産現場の視察、家庭にお邪魔して地域食を味わい、交流するなど、地域を知るための様々なプログラムを実施。
プログラム後半の21日からは、キッチンに入り、27日のお披露目会に向けて、試作が繰り返されました。ぎりぎりまで試作を続けていたため、お披露目会のメニューが決まったのは前日でした。
お披露目会では、デザートも含め、合計8品の料理を提供。プログラムを通して感じた、南三陸の魅力、“山と海の近さ”を料理で表現したと言います。シェフのみなさんが一番意識したことは、料理によって食器を使い分けることと話していました。シェフのみなさんの母国ではプレートに何品もの料理を盛り付けが当たり前。しかし、日本ではお店に限らず、家庭でも料理によって食器を使い分けるなど、見た目や盛り付けがバラエティーに富んでいると話していました。
【お披露目会当日のメニュー】
「ホタテ、きゅうりと梨」(左上)
「梨とメカブのスパゲッティ」(左中央)
「ムール貝と枝豆クラフティ緑のスープ」(中央上)
「カンパチのタルタル、鶉の卵」(右上)
「豆のペースト&お米クラッカー」(左下)
「ポーチドエッグサクサクポテトとネギ りんごマスタード添え」(中央下)
「なすのパルミジャーナ」(右下)
「焦がしいちじくと梅クリーム」
家庭の料理スキルの高さにシェフのみなさんは驚き!
シェフのみなさんは南三陸町の自然の豊かさや豊富な食材に驚いていました。ティアナさんは「母国では新鮮な魚介類を手に入れることはできない。生産者と出会い、生産現場を知ることが出来たのは大きい」とプログラムを振り返ります。また「各家庭の料理スキルが高い」と感じたそうです。例えば家庭で魚を一から捌く技術は、母国の家庭では持っていない技術だと言います。
南三陸で食のブランディングを目指す
企画者である岩田康弘さんは「食文化の発展は、人の移動や土地の気候、郷土によって発展してきた」と話します。中でも地域の食文化は独自の発展をしており、海外から見てもブラックボックスだと言います。そこで地域に海外のシェフを呼ぶことで、どのような化学反応が起こるのかという想いから、シェフインレジデンスを企画しました。また世界的に循環型社会や環境負荷軽減に関心が高いこの町の取組みを、海外のシェフに伝えることで南三陸町を世界に発信することも目指しています。
今後の活動について伺うと、「シェフのみなさんが創作した料理のレシピを資料として残し、地域の人が作れるように伝えていきたい」と話していました。レシピを公開することで、一般家庭でも楽しみながら料理して欲しいという想いがあります。いずれは家庭で海外のシェフの料理が楽しめるような地域としてのブランディングも岩田さんは考えているようです。
豊かな自然、豊富な食材がある南三陸町。食を魅力化し、新たな町のブランドとなっていくのか。今後の活動に注目です。
南三陸を多くのライダーが疾走!「ツール・ド・東北2019」
震災後、東北の復興を後押しするためにと始まったサイクリングイベント「ツール・ド・東北」。第7回を迎え、今年も全国各地から多くのライダーが集まり開催されました。イベント収益の一部は、サイクルツーリズムを後押しするための基金に積み立てられており、南三陸町もご支援いただいております。当日の様子を合わせてお届けします。
震災復興を支援するサイクリングイベント「ツール・ド・東北」
「ツール・ド東北」とは全国的にサイクルツーリズムが広がりを見せている中で、東日本大震災後の2013年から宮城県石巻市をメイン会場に開催されているサイクリングイベントです。主催はYahoo!株式会社と河北新報社。「東日本大震災からの復興支援と、震災の記憶を未来に残していくこと」を目的に、大会規模を発展させながら10年間継続することを目標に開催しています。
例年2日間にわたり、各コース開催していましたが、今年は来年度に向けた新コース視察のため、1日目はメイン会場でのイベントのみと、2日目はライドイベントのみと集約し開催されました。昨年度は、2日間で3649名のライダーが全国から参加。今年は過去最多となる、3973名のライダーが全国から参加しました。
地域のお母さんが活躍!
晴天の中、開催された第7回「ツール・ド・東北」。町内には3カ所のエイドステーション(休憩所)が設けられ、三陸の食材を活用した食事が提供されました。なかでも多くのライダーが立ち寄ったのは、神割崎エイドステーション。早朝から地域のお母さんがカレーやおにぎりを準備して、疲れたライダーのみなさんを受け入れていました。おにぎりには三陸ワカメごはんと、具材に銀鮭フレーク。カレーには南三陸名産であるタコとホヤがトッピングされていました。
芽吹き始めた、サイクルツーリズムの芽
年々参加者が増えている「ツール・ド・東北」。イベントで得た収益の一部は「ツール・ド・東北基金」として積み立てられています。積み立てられた基金は、自転車を活用した東北地方の観光振興やサイクリングロードの整備など復興活動の助成金として活用されています。
南三陸町でもこの助成金を活用しており、2018年から新たな観光コンテンツとして開発された「みなチャリ!」は、この「ツール・ド・東北基金」を活用しています。
「みなチャリ!」は、昨年の5月5日「自転車の日」に開始したプログラムです。スタッフの案内を受けながら、里山や町内を自転車で巡る観光コンテンツになっています。プログラムで使用される自転車は「ツール・ド・東北基金」からの助成金で購入しています。
▼「みなチャリ!」詳細はこちら
「ツール・ド・東北」の開催により、広がりを見せつつあるサイクルツーリズム。町内でも、週末になると自転車乗りを見かけることが多くなってきました。「ツール・ド・東北」によって撒かれた種が今、南三陸町でも芽吹き始めています。今後の更なる、自転車文化の発展と活用が期待されています。
世界最古級も、日本最古も!歌津に「化石ミュージアム」オープン
南三陸町歌津地区は、約2億4,000万~2億5,000万年前の三畳紀に生息していたといわれる「魚竜(ぎょりゅう)」の世界最古級の化石や、アンモナイト、のうとう類など日本でここだけしかない化石が見つかる化石の宝庫。その化石を発信すべく、今年の夏「みなみさんりく発掘ミュージアム」がオープンしました。
「化石の宝庫」歌津に、ミュージアムオープン
古くから数多くの化石や遺跡が産出する南三陸町。震災以前にも世界最古級の魚竜化石が見つかり、「歌津」の名を冠した「ウタツサウルス」で注目を集めていました。しかし、魚竜化石などを展示していた「魚竜館」は東日本大震災で被災。貴重な資料も多くが流出してしまいました。
そんななか、震災後の高台移転などの復旧工事の現場から新たな化石や遺跡が発見。なかには新種の化石もあり、貴重な資源の大発見となりました。
歌津泊浜で漁業を営む髙橋直哉さんは震災後、化石を発見したり、研究者と出会うなかで化石のおもしろさに魅了されたと話します。「化石を見つけやすい環境で、車で20~30分の距離で、1億年分の時代を歩めるのが南三陸のすごさ」と髙橋さん。仲間とともに企画した化石発掘体験は、子どもたちを中心に大人気プログラムとなっています。また、地元の担い手として、研究者と地元の地権者等との橋渡し役も担っています。
今年の夏には、農水産物直売を行ってきた「みなさん館」内部をリニューアルし、東北大学総合芸術博物館の協力のもと、豊富な化石展示を行う「みなみさんりく発掘ミュージアム」をオープンしました。
豊富な展示とくつろぎのカフェスペース
ミュージアム館内には「古世代ペルム紀ゾーン」(約2億6千万年前)、「中生代三畳紀ゾーン」(約2億5千万年前)、「中生代ジュラ紀ゾーン」(約1億9千9百万年前)、「中生代白亜紀ゾーン」(約1億4千5百万年前)、「縄文時代」、「中世~現代」と大きく6つのゾーンに分けて、化石や民俗資料の展示・解説を行っています。
展示品のなかには、【世界最古】【日本最古】の化石も展示。実際の化石に触れるコーナーや、豊富なパネル展示による解説など、化石に詳しくなくても学んで楽しめるような作りとなっています。
また、館内には、南三陸が誇る海産物や里山で育まれた新鮮な野菜、大人気のスイーツなどお土産にもぴったりな商品が並んでいます。隣接されているカフェスペースでは、地元のお母さんたちが地元食材をたっぷりと使った料理を真心込めて提供しています。
子どもが化石の展示に夢中になっているなか、お母さんはカフェスペースでコーヒーとスイーツでほっと一休み、そんな過ごし方ができるのも魅力の一つかもしれません。
あなたも新種を発見できるかも!?
事前予約制で大人気の「化石発掘体験」も行っています。
(化石発掘体験について詳しくは下記の記事より)
「アンモナイトといった定番化石はもちろん、この地域はどんどん新しい化石が発見されている地域。もしかしたら、あなたも新種の化石を発見することができるかもしれません。そんなワクワクを感じながら、化石で歌津を、南三陸をこれから盛り上げていきたいですね」と語る髙橋直哉さん。
「地元の子どもたちにも、どんどん知ってもらって、体験してもらいたいですね。将来、地元の子どもたちのなかから化石に魅了された人が育って、有名な研究者が出るような環境になったら素敵だなと思っています」
南三陸町の新たな魅力の確立へ。ぜひ一度、「みなみさんりく発掘ミュージアム」に足を運んでみてはいかがでしょうか?
みなみさんりく発掘ミュージアム
住所:宮城県本吉郡南三陸町管の浜57-1
TEL:0226-36-2816
【Youtube】化石博士と行く!2億5千万年前の日本最古の化石探し #1
2019年10月31日/定点観測
南三陸町市街地の復興の様子を定点観測しています。戸倉地区、志津川地区、歌津地区の3箇所の写真を公開しています。
写真をクリックまたはタップすると大きくなります
戸倉地区
撮影場所 [38.642969, 141.442686]
志津川地区
撮影場所 [38.675820, 141.448933]
歌津地区
「南三陸人と集う一日」で、鳥居が再建された荒島を見学。
志津川湾に浮かぶ小さな島、荒島。島の入口に立つ大鳥居が津波で流失しましたが、2019年7月13日に再建されました。観光協会主催のツアーに参加し、島を所有する佐藤家の佐藤太一さんに荒島を案内してもらいました!
南三陸のシンボル、志津川湾に浮かぶ荒島へ。
荒島は、志津川湾に浮かぶこんもりとした緑の島。サンオーレそではま海水浴場の桟橋を歩いて渡ることができます。島の頂には荒嶋神社があり、弁才天の島として漁業者から信仰されてきました。
荒島はユニークな植生で知られています。タブノキなどの常緑樹林、杉などの針葉樹林、そして落葉広葉樹林の3種類の森が小さな島に共存。タブノキが自生する北限の地でもあります。
今回参加したのは、南三陸町観光協会が主催する「南三陸人と集う一日」というプログラム。南三陸町で活躍するさまざまな人(=南三陸人)を講師に迎え、それぞれの取り組みについて話を伺うというもの。2019年7月28日には、林業を営む株式会社佐久の専務理事、佐藤太一さんを講師に迎えて荒島見学ツアーが行われました。
サンオーレそではま海水浴場桟橋入口で集合し、注意事項など説明を受けた後、荒島に向かいます。まずは再建されたばかりの鳥居前で話を聞きました。
荒島の入口にあった大鳥居は、東日本大震災の津波で流失しましたが、寄付金を募って再建を果たし、2019年7月13日に再建記念式典が行われました。津波の脅威を後世に伝えるため、残った根本の部分は撤去せずに残されています。
さぁ、いよいよ荒島に上陸です。ちょっとした探検気分…!
荒嶋神社を参拝し、植生豊かな鎮守の森を歩く。
登っていくと、島の頂にある荒嶋神社に到着しました。弁才天を祀っていたお宮に合祀して、昭和36年に新装されたのが今の社殿です。
荒嶋神社を後にして、さらに進んでいきます。植林されたスギや、漢方薬に使われるキハダなど、さまざまな樹木を眺めつつ…。
荒嶋神社を見学し、森を散策して、帰路につきます。「来るたびに違った表情を見せてくれるのが荒島の魅力。自由散策できますので、ぜひまた遊びに来てください」と佐藤さん。観光協会の内木さんもすっかり荒島ファンだそうです。
荒嶋神社のことやユニークな植生について、佐藤さんに詳しく案内してもらいながらの荒島見学ツアーに、参加したみなさんは大満足の様子。荒島の魅力を体感するとともに、南三陸人・佐藤さんとの交流を深めることができたプログラムでした。