南三陸町歌津地区は、約2億4,000万~2億5,000万年前の三畳紀に生息していたといわれる「魚竜(ぎょりゅう)」の世界最古級の化石や、アンモナイト、のうとう類など日本でここだけしかない化石が見つかる化石の宝庫。その化石を発信すべく、今年の夏「みなみさんりく発掘ミュージアム」がオープンしました。
「化石の宝庫」歌津に、ミュージアムオープン
古くから数多くの化石や遺跡が産出する南三陸町。震災以前にも世界最古級の魚竜化石が見つかり、「歌津」の名を冠した「ウタツサウルス」で注目を集めていました。しかし、魚竜化石などを展示していた「魚竜館」は東日本大震災で被災。貴重な資料も多くが流出してしまいました。
そんななか、震災後の高台移転などの復旧工事の現場から新たな化石や遺跡が発見。なかには新種の化石もあり、貴重な資源の大発見となりました。
歌津泊浜で漁業を営む髙橋直哉さんは震災後、化石を発見したり、研究者と出会うなかで化石のおもしろさに魅了されたと話します。「化石を見つけやすい環境で、車で20~30分の距離で、1億年分の時代を歩めるのが南三陸のすごさ」と髙橋さん。仲間とともに企画した化石発掘体験は、子どもたちを中心に大人気プログラムとなっています。また、地元の担い手として、研究者と地元の地権者等との橋渡し役も担っています。
今年の夏には、農水産物直売を行ってきた「みなさん館」内部をリニューアルし、東北大学総合芸術博物館の協力のもと、豊富な化石展示を行う「みなみさんりく発掘ミュージアム」をオープンしました。
豊富な展示とくつろぎのカフェスペース
ミュージアム館内には「古世代ペルム紀ゾーン」(約2億6千万年前)、「中生代三畳紀ゾーン」(約2億5千万年前)、「中生代ジュラ紀ゾーン」(約1億9千9百万年前)、「中生代白亜紀ゾーン」(約1億4千5百万年前)、「縄文時代」、「中世~現代」と大きく6つのゾーンに分けて、化石や民俗資料の展示・解説を行っています。
展示品のなかには、【世界最古】【日本最古】の化石も展示。実際の化石に触れるコーナーや、豊富なパネル展示による解説など、化石に詳しくなくても学んで楽しめるような作りとなっています。
また、館内には、南三陸が誇る海産物や里山で育まれた新鮮な野菜、大人気のスイーツなどお土産にもぴったりな商品が並んでいます。隣接されているカフェスペースでは、地元のお母さんたちが地元食材をたっぷりと使った料理を真心込めて提供しています。
子どもが化石の展示に夢中になっているなか、お母さんはカフェスペースでコーヒーとスイーツでほっと一休み、そんな過ごし方ができるのも魅力の一つかもしれません。
あなたも新種を発見できるかも!?
事前予約制で大人気の「化石発掘体験」も行っています。
(化石発掘体験について詳しくは下記の記事より)
「アンモナイトといった定番化石はもちろん、この地域はどんどん新しい化石が発見されている地域。もしかしたら、あなたも新種の化石を発見することができるかもしれません。そんなワクワクを感じながら、化石で歌津を、南三陸をこれから盛り上げていきたいですね」と語る髙橋直哉さん。
「地元の子どもたちにも、どんどん知ってもらって、体験してもらいたいですね。将来、地元の子どもたちのなかから化石に魅了された人が育って、有名な研究者が出るような環境になったら素敵だなと思っています」
南三陸町の新たな魅力の確立へ。ぜひ一度、「みなみさんりく発掘ミュージアム」に足を運んでみてはいかがでしょうか?
みなみさんりく発掘ミュージアム
住所:宮城県本吉郡南三陸町管の浜57-1
TEL:0226-36-2816