子育て改革のキックオフ!ニーズ調査結果共有会

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会場に集まったのは関係者、役場担当者、社会福祉協議会の方など

女性支援を行うNPO法人ウィメンズアイが、町内の子育て環境に関するアンケート調査を実施。5月11日(木)にその結果共有会を生涯学習センターにて開催しました。子育て世代から寄せられた要望や本音、それを支える方々の取り組みや想いを聞きました。

アンケート調査の経緯説明

今回の調査の背景には、2022年2月に南三陸町で暮らす子育てママたちが子育て世代へ実施したアンケートがあり、これには300を超える意見が集まり要望書として町に提出。
この時のアンケートでは、当時町内になかった子育て世代が求める預かりサービスの不足などが意見として多く挙がっていました。

この調査を受け、これまでも女性支援の活動を多岐にわたり行ってきたウィメンズアイは昨年6月「南三陸子そだてハッピープロジェクト」を開始。ママたちへ子育ての現状について話を聞くことと同時に、町へ子育て環境の支援や取組についてのヒアリングを行ってきました。Womens’ Eye » 「南三陸子そだてハッピープロジェクト」を開始しました。 (womenseye.net)

それらを踏まえ、子育てのニーズをデータとして可視化することを目的に、南三陸町と共催で新たに「南三陸町の子育て環境に関わるニーズ調査」を2023年2月20日から3月6日まで実施。保育所や幼稚園などを利用していない保護者にはお母さんたち同士で声がけをし、138名(町内126名)分の回答が得られました。今回、調査結果をまとめた結果の共有と意見交換会が開かれることとなりました。

現状について話すウィメンズアイの栗林さん

調査結果の共有と見えてきたニーズ

一時預かりや子育て支援センターなどの事業は町内ですでに実施されていますが、利用可能な時間帯や曜日、受け入れ可能年齢や使用理由の緩和など、ユーザーである子育て世代からの率直な意見が調査結果を通して見えてきました。さらに、「施設の予約方法を電話だけでなくLINEなど簡単なツールでも出来るようにしてほしい」「病児保育の受け入れもお願いしたい」など、少し手が届かないところの改善点を求める声も。

調査結果を受け、子育てを取り巻く環境の変化を共有する

全体で見ると約半数以上の家庭が、同居家族(祖父母や両親)と暮らしていても子どもの預かりのニーズがあることがわかりました。昔は「同居家族や親戚がいるからこまっていない」という風に言われてきましたが、同居に関わらず「子どもを預けてもいい、一人で抱えこまなくてもいい」という子育てに変わってきていることを理解する必要があるように見えました。

自由記述から見えた本音

アンケートの最後に設けた自由記述欄には想いあふれるたくさんのコメントが寄せられました。

その中でも、屋内で子どもたちを遊ばせられる施設を望む声が多く、雨天時などに遊ばせられる場所がないことや、既存施設も保護者の同伴の必要なく自由に集まって利用したいなどの意見が目立ちました。このような要望は、アンケートとは別にお母さんたちへヒアリングをした際にも同じ意見が多かったとのこと。新しいモノを求めるというよりは、今あるものを使いやすく開放してほしいといった内容でした。子どもにとって安心安全な場所が充実することで、経済効果を町内で循環させることや移動にかかる親への負担を軽減できる効果が期待されます。

また、ウィメンズアイの栗林さんが特に大切だと感じたのは「子育てを応援する機運と環境を求める声」と説明。「実際に町で子どもたちとその家族の笑顔に出くわす一方で、こういう意見を聞くと、子育て世代の孤立や助けを求める声は目に見えない部分でまだまだ存在するんじゃないかと」

町内で様々な支援が生まれることで改善していければと、今後の支援策での打開を検討していました。具体的には子育てママたちが集まって話せる居場所作りや、イベントの実施が増えていければと話します。

遊べる場所や子育てに関する補助など様々な意見が集まった

ママたち同士で支え合う「あずかりあいっこ」

これまで寄せられたアンケートの回答から見る子育て世代の悩みや意見をもとに、ウィメンズアイでは「あずかりあいっこ」というサービスを試験的に始める計画です。

ママ友同士の預かり合いの事例からヒントを得て、自分たちでできる預かり合いの仕組みにした取り組み。子どもの預かり合いを登録した親子同士で行うもので、預ける理由は問わないとのことです。アンケートで得られた情報を元に、より使いやすく、安心して子どもを預けられるようサポートメンバーの募集や社会福祉協議会とも連携をとっていくそうです。

理由問わず子どもを預けられるあずかりあいっこ

この取り組みをする上で目指しているのは「この預かり合いを通して、利用者と協力者である住民が育っていくことで、ファミサポ(*)の実現につながるとよい。この町にこうした仕組みが無かったので子どもを預けることに躊躇する声もあるが、普通に預けられる、預かれる空気感が醸成されたらいいなと思います。パイロット事業をする中で失敗があれば見直しをしながらもまずは実践したい」と栗林さんは話します。

(*)ファミサポ:ファミリー・サポート・センター事業
「お子さんを預かってほしい方(利用会員)」と「お子さんを預かることができる方(協力会員)」が、お互いの信頼関係のもとに行う子育て支援活動です。会員になるためには、入会説明会に参加し、登録を受けることが必要です。(仙台市せんだいのびすくナビより引用) 仙台すくすくサポート事業(ファミリー・サポート・センター事業) │ せんだいのびすくナビ (mamafre.jp)

当事者とそれを支える地域の声

この日、会場に集まったのは事業関係者以外にも役場保健福祉課の職員や復興庁の担当者、町議会議員など様々でした。会の後半では意見交換の時間が設けられ、調査結果を聞いて感じたこと(青付箋)各々が考えるこの町で子育てをする魅力(赤付箋)について話し合いました。

子育てをしていないと気付かないこと、良い施設はあるのにそれを自分たちが使いこなせていない、など当事者を含めより多くの人に今の現状を知ってほしいという青の付箋と、自然が豊かな環境で子育てができる喜び、安心できる顔の見える関係性などが魅力として挙げられました。

書いた付箋を模造紙に貼りカテゴリごとに分ける参加者
参加者が書いた付箋をまとめたものがこちら

町議会議員の後藤さんは会の終了後に感想で「集まったママさんたちが、ただ自分たちが大変なので誰か何とかしてくれと訴えているわけではないということをずっと感じていて、出来ることは自分たちでやります。でもここはどうしても足りないと思うということを素直に言ってくださっている。やってくれ、いや出来ないの対立ではなく、一緒にこの町で子育てをし、もっと子どもが増えたら嬉しいよね、みんな幸せだよねと感じていることが重要だと思うので、同じ方向を向いて歩めるはずだと。そういう意味で温かくて良い会だったと思いました。今後ともお役に立ちたい」と、会に参加したことで改めてママさんたちの気持ちがわかったと話しました。

付箋に書かれた意見を元に意見交換を進める

「今日がキックオフになれたら」と栗林さんは会の終わりに述べ、南三陸町での子育てがより充実したものに向けて変えていこうとする当事者とそれを支える方々の熱意に触れられた時間でした。

 

▽今回の調査結果は以下のリンクから閲覧できます
Womens’ Eye » 南三陸子そだてハッピープロジェクト「南三陸町の子育て環境に関わるニーズ調査」結果公開 (womenseye.net)

▽3月に実施した「あずかりあいっこ」の説明会開催ポスター

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