この記事は「南三陸高校ジュニアインターンシップ」に参加した学生より寄稿頂きました。
9月12日から9月14日の3日間、南三陸町を訪れていた立教女学院小学校の6年生のみなさんと2日間行動を共にしました。立教女学院小学校では、毎年スタディツアーとして6年生が南三陸町に訪れているそうです。今回は、地元南三陸高校生である私たちが同行したこの2日間の事についてお伝えしたいと思います!
はじめに
私達は南三陸高校の2年生です。南三陸高校では毎年ジュニアインターンシップで南三陸町内の事業所において職業体験を3日間体験します。
その中で、私たち2人は「南三陸まなびの里いりやど」でお世話になることになりました。いりやどでは宿泊業務の他に、全国各地から来る学生や社会人の研修サポート、そして南三陸町の情報発信事業をしています。私たちはその業務の一端を体験させていただきました。3日間のインターンシップ期間中にちょうど「いりやど」に滞在し、南三陸で研修を行っていた立教女学院小学校さんのスタディツアーに2日間同行させていただき、残り1日で記事を書くことになりました。
「読者の皆様に伝わるような記事にできればいいなぁ」と思い、書かせていただきました。是非読んでいただけたら幸いです。
絶対に風化させてはいけない震災
東日本大震災で大きく被災した旧大川小学校に行き、語り部活動をしている三條さんから震災当時のお話を聞きました。実際に校舎や周りの建物があった場所を見て回り、震災当時を追体験しているような感覚で地域の人の思いを感じました。
小学校側にある新北上大橋の近くまで行き、川からの津波の影響がどれほど酷かったのか真剣に聞いている様子でした。津波がどこまで登ったのか、どのようにして校舎が崩れていったのか。当時の悲劇を見聞きして実感しているようでした。
津波が来るなんて誰もまだ想定していなかった時に、自転車で登校していたことや、中庭でお花見給食をしていたことなど、平和だった小学校の日常のお話。裏山に逃げていれば、と何とも言えない悔しさと悲しさに涙する小学生も見受けられました。
実際に裏山に逃げたことを想定して登りました。そこまで急斜面というわけでもなく、「小学生でも簡単に登れるような山だよね」という声も。助かった人の話を聞き、自分たちがもしこの状況に陥ってしまったらどうするべきか深く考えていました。
伝承館で見たのは、小学校付近の写真や地域住民の人たちの思いなどがまとめてあるパネル。三條さんに質問をして詳しく話を聞いている小学生もいました。
その後、大川小学校からバスに乗り、旧戸倉中学校と震災復興祈念公園に向かいました。そこで語り部をしていただいたのが一緒に同行していた佐藤慶治さん。旧戸倉中学校では、高台にあるにも関わらず、建物の一階まで波が到達してきたことを聞き、小学生はとても驚いていた様子でした。
震災復興祈念公園では、被害を受けた防災対策庁舎の残されていることの意味について考えながら見ていました。
昨年オープンした「南三陸311メモリアル」で震災ラーニングプログラムを視聴しました。途中何回か話し合いができる時間が設けられており、話し合いながら他の人の意見も取り入れます。考えを共有しながら震災についてさらに理解を深めていました。
海と向き合い、考える
南三陸の豊かな森里海をフィールドに、様々な体験活動を行い、震災からの復興や自然との共生を学びました。
南三陸・海のビジターセンターに向かい、センター長の平井和也さんに、志津川湾に生息しているかわいい生き物の紹介や、海の環境問題についてのお話を聞いた上で、実際にビーチクリーンを全員で実施。たった30分ほどでペットボトルや缶、ビニール、発泡スチロールのほか、漁業用のロープや縄などのゴミがたくさん出てきました。
「一見綺麗な海岸だけど、よく見るとペットボトルや缶などのゴミがたくさんある」
「海のゴミが増えてしまうと海の生き物たちにも影響されちゃう」
拾ったゴミの半分以上が海で捨てられたものではなく、私たちが住む町から川に流され、海へとたどり着いたものでした。
ポイ捨てされたペットボトルや飛ばされたビニール袋が日光で劣化し、海洋生物の生態系を破壊するマイクロプラスチックになってしまいます。
「マイバックをなるべく持参したい」「どうしたら海のゴミを0にしつつ、きれいな海を保てるかな」など講話とビーチクリーンを通じて環境のことを学びつつ、いろいろな解決案を出しあっていました。
ビーチクリーンのあとは「たみこの海パック」代表の阿部民子さんに手作りの紙芝居で海藻について教えていただき、南三陸の海藻をたっぷりと使ったオリジナルの「ふりかけ作り」を体験しました。普段何気なく食べている海藻がおいしく食べられるようになるまでの過程や海藻の旬などを知ることができました。
南三陸自慢の資源であるわかめやめかぶ、ふのりやのりなどの海藻をたっぷりと使ったふりかけ作り体験。塩蔵わかめの芯抜きを一生懸命しつつ、「おいしい!おいしい!」と味見しながら楽しそうに作っていました。世界で一つだけのオリジナルのふりかけで試食用のおにぎりを作り、みんなで味わって食べました。
「おかわりしたい!もっとたべたい」と喜ぶ子どもたち。南三陸の資源をつかってできた自作のふりかけは、とっておきのお土産になったようです。
オリジナルペンスタンド作りと入谷の美味しいりんご!
可愛いオクトパス君グッズをたくさん作っているYES工房さん。はじめに南三陸杉についてご説明いただき、山の役割や海との関連性を学びました。豊かな自然に囲まれている南三陸の恵みを感じ、木材に対する見方が変わりました。
次は立教女学院の紋章が入ったペンスタンド作り!YES工房の大森丈広さんに教えていただきながら、楽しそうに体験していました。自分で作ったお土産は世界に1つの宝物ですね。
南三陸町入谷地区にある童子山に登り、りんご畑で収穫体験をしました。なんと、無肥料でこんなに甘くて美味しいりんごを作っているそうです。りんごを作っているのは阿部博之さん。美味しいりんごの見極め方を教えていただき、色や凹凸を見て、小学生は好きなりんごをその場で丸かじり!
「こんなに美味しいりんご食べたことない!」「もう一個食べたい!」と笑顔でりんごを味わっていました。お土産で2個持って帰れることになり、ガッツポーズをして喜ぶ小学生もいました。
この3日間をふりかえって
3日間を通して小学生の皆さんとスタディツアーに同行してみて、地元に住む自分達が知らなかったところに気付かされて改めて南三陸町って良い町だなと実感できました。また普段できないりんご園でりんごを丸かじりしたり、旧大川小学校の当時のお話を現地で聞かせてもらうなど貴重な体験ができてほんとうに嬉しかったです。スタディツアーで積極的に話しかけてくれた小学生たちや先生方には感謝の気持ちでいっぱいです。 3日間本当にありがとうございました。
普通科 2年 阿部愛弓
この3日間は私にとってとても充実したものでした。旧大川小学校には初めて訪れたのですが、その場の空気感に圧倒され、語り部さんのお話も聞くことができ、実際に行かないと感じられないことをたくさん得られました。普段このような機会はなかなか無いので貴重な体験だったと思います。自分に落とし込んで考えることができ、改めて震災の恐ろしさを実感しました。小学生と共に私達もビーチクリーンに参加してみて、自分の知らないところでこんなに海にゴミが流れているのだと驚きました。自分の町にもっと積極的に貢献していきたいと思えました。その日、小学生が「お昼一緒に食べましょう!」と言ってくれて、その後もみんなで海を見たり楽しい時間を過ごしました。真剣な表情で体験をしている小学生の姿を見る場面が多かったので、自然を感じて無邪気に遊んでいる場面を見れて嬉しい気持ちになりました。またいつか南三陸町に遊びに来てほしいです。インターンシップの業務以外にも心に残る色々な体験ができたことにとても感謝しています。これからの生活に、この3日間で学んだことを活かしていきたいと思います。ありがとうございました。
普通科 2年 西城真凛