台湾政府職員が南三陸町で防災・減災に関わる視察を実施

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台湾の台北市の防災関連職員6名が60日間という長期にわたり宮城県・福島県・東京都を訪れていました。南三陸町では11月29日から12月3日までの5日間滞在。東日本大震災という未曾有の大震災をどのように乗り越えてきたのか、反省や教訓も踏まえさまざまな意見交換を実施し防災減災の学びを深めていました。

志津川高校防災クラブとの意見交換

台湾の台北市の防災関連職員6名が11月29日から12月3日までの5日間南三陸町に滞在。佐藤仁町長との交流から被災現場の視察、10月にオープンした震災伝承施設「南三陸311メモリアル」を訪問し東日本大震災の爪痕を学んだほか、南三陸消防署や、志津川高校、志津川中学校など学校現場を訪問。さらには南三陸町職員との意見交換会を実施しました。

12月1日(木)には宮城県志津川高等学校を訪問し、防災クラブに加入する生徒との交流を実施。

南三陸町唯一の高校にある防災クラブとして、大きな被害を受けた東日本大震災の記憶を繋いでいき、震災での被害を少しでも減らしたい。そのために他地域や次世代の人に伝えていくということを理念に活動している防災クラブの活動紹介を行いました。

「何よりも命を守るということ。生き抜くということが大切だと考えている。たとえ多くのものを失ってしまっても命さえあれば新たなスタートを踏み出すことができる」と高校生たちから力強いメッセージがありました。

「幼少期ではあるが経験した震災の記憶」「震災を経験していないさらに若い世代や友達に対してはどのように伝えていくのか」「防災クラブに入ったきっかけ」など活発に意見交換を実施。話題は高校生が取り組む防災訓練へ。消防と連携して行われる応急手当法や防災講話だけではなく、先日は炊き出し訓練を実施。落ちている枝などを薪木として活用し、防災食を作る訓練など高校生が実践さながらの訓練を行っていることに台湾のみなさんも関心している様子が伺えました。

幼い頃から抱いていた人命救助の最前線にたちたいという思いがあるので防災クラブに加入したという小野寺海大さん(右)は高校1年生ながら防災指導員の資格を取得。その思いと行動力に思わず拍手が沸き起こっていました。

志津川高校では南三陸町と友好関係にある台湾との交流を重ねてきましたが、ここ数年は新型コロナウイルスの影響により実施できない状況にありました。特に3年生に関しては入学後ずっとコロナ禍という状況。三浦俊介さん、久保田鏡さんは生徒会活動でオンラインで台湾のみなさんと交流を図ったそうですがリアルで会うのは初。「やっぱりリアルで交流できるのは非常に楽しかった。とても面白い時間でした」と高校生にとっても充実した時間となったことが伺えます。

大震災を最前線で乗り越えた職員から防災を学ぶ

12月2日には、南三陸町役場にて行政職員との意見交換会を開催。

意見交換会冒頭では台湾の紹介から始まり、台北市の地理的な特徴や、災害リスクのシェアなどがありました。具体的には海に面していないため津波被害のリスクは少ないが、地震、水害、土石流などの防災における重要エリアが人口密集地域と重なっていることなどがあげられました。人口規模などは違えど未曾有の大震災を最前線で乗り越えてきた南三陸町職員のみなさんとの意見交換から少しでも学びを得たいとこの場が設けられました。

消防や都市計画、警察、交通から合意形成のあり方や自治体連携や復旧事業について、具体的かつ濃密な意見交換を実施。

「水源に津波で潮が入ってしまい水道の復旧に時間を要してしまった。飲用の水道を生活用水専用として復旧できたところから通すという異例の判断を実施した」

「先発医薬品と後発医薬品(ジェネリック医薬品)との照合が困難だった」

など通常の訓練では想定しにくい状況も経験者だからこその視点をシェア。震災時の成功体験だけではなく困難だった事例、反省点なども含め率直にお話をして学びのある時間となっていました。

南三陸町も台湾も地震をはじめとした災害リスクが多くある地理的環境。今後とも有益な情報交換を続けていき、両地域での防災減災へとつなげていくことが期待されます。

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