南三陸町の地域おこし協力隊としてのこの度、新たに県内外から20~40代の男女4名が着任しました。そのうち、町内初の夫婦そろって地域おこし協力隊になったのが太田和慶、裕さん夫妻です。今回はさんさん商店街にある産直市場「さんさん市場」の店長となって町を盛り上げていく妻の太田裕さんをインタビューを交えながらご紹介します。
駅長に画家!?ユニークな経歴でさんさん市場に新たな風を
太田裕さんは宮城県多賀城市出身。大学で油絵を専攻し、大学院修了後は山形県舟形町の役場職員に。特産品を使った商品開発やパッケージデザインなど芸術家の視点を生かしながらまちづくりに携わり、その後、町の観光物産施設と併設する舟形駅の駅長として、施設の管理や地域の人たちの交流の場になるようイベントを手掛けてきました。現在、画家としても活躍中で、東京などで精力的に個展も開いています。
そんな太田さんは、今後、地域おこし協力隊として株式会社南三陸さんさん市場に所属し、店長として店の魅力化に尽力します。
ミッションはオリジナルブランドの開発
太田さんに与えられたミッションは、地域の農産物や海産物を活用したプライベートブランドの開発事業。これまで通り、地元産の新鮮な野菜や海産物、地域の特産品など商品を充実させるのに加えて、オリジナルの商品を開発し、店の魅力化を目指します。また、秋に予定されている「道の駅さんさん南三陸」のオープンに向け、地域の人と観光客、そして南三陸ファンの交流の場としての産直運営を任されます。前職で特産品の商品開発や、地域の人たちとの交流イベントを積極的に手掛けてきた太田さん、これまで培ってきた経験やノウハウが期待されます。太田さんが描く、さんさん市場のこれから、そして南三陸で叶えたい夢について伺いました。
太田裕さんにインタビュー
―地域おこし協力隊になろうと思ったきっかけ
「夫が南三陸で自分が描いていた理想の農業を実現したいということで、夫婦で移住を決めました。町内で仕事を探しているときに、移住定住支援センターから地域おこし協力隊のことを教えてもらいました。移住前に何度か町を訪れたときに、地域の人たちの温かさに触れ、町のことをもっと知りたいという思いがあったので、町の特産品や産業のことが知れて、地域の方と触れ合えるこの仕事に魅力を感じました。また、活動内容がカフェや直売所の運営、商品開発だったので、これまでの自分の経験がすぐに生かせそうだと思って応募しました。1年で一番忙しい、5月の大型連休中に着任し、右も左もわからぬまま、とりあえず必死に仕事を覚えましたが、スタッフのみなさんに支えられながら、今は充実した毎日を過ごしています。」
―力を入れて取り組みたいことは?
「協力隊としてのミッションでもありますが、さんさん市場にはオリジナルの商品がまだないので、地元の生産者さんや事業者さんとコラボして、新商品を開発したいです。そしてオリジナルブランドを立ち上げて、さまざまな商品展開をしながら、南三陸の魅力を発信していければと思います。魅力的な売り場作りだけではなく、遠く離れたお客様にも南三陸のファンになっていただけるよう、ECサイトやふるさと納税にも力を入れて取り組みたいです。」
―南三陸で叶えたいことは?
「任期を終えた後も南三陸に住み続けたいと思っているので、将来的にはこの町に、モノづくりをしたり、おしゃべりを楽しんだりできるカフェ兼アトリエのような場所を作れたらいいなと思っています。夫がこの町で農業をすると決めたので、カフェができたら夫が作った野菜や果物、そして新鮮な海産物を使った料理を提供できたらいいですね。今は夢を叶えるために少しずつ、勉強しています。」
地域の人にも愛される場所にしたい
地域の人の居場所づくりをしたいと将来の夢を話してくれた太田さん。それは、さんさん市場の店長としてこれから、この場所をどのようにしていきたいかという思いにもつながっていました。
「今、さんさん市場に足を運んでくださる方の多くが観光で訪れたお客様。私としてはこの場所を地域の人にもふらっと立ち寄ってもらえるような場所にしたいと思っています。地域のみなさんのニーズを聞いて商品を仕入れたり、モノを売るだけではなく、交流の場となるようなしかけも考えていきたいです。」
店長になってから、新規出荷者の開拓をしたり、提案したメニューがすでにカフェの看板メニューになるなど、店長としてめきめきと力を発揮している太田さん。今後は生産者とお客さんが直接顔を合わせるような軽トラ市などのイベントも企画したいとのこと。これからの活躍が楽しみですね。
※地域おこし協力隊
地域おこし協力隊は、地方自治体から委嘱を受け、地域の魅力発信や特産品の開発、住民の生活支援など、さまざまな方向から地域を活性化させる活動に取り組む都市部からの移住者です。南三陸町では隊員が地域の生活になじむことができるよう、また起業・事業継承に向けたノウハウを学びながら活動に取り組めるよう、町内で活動している事業者・団体が隊員を雇用する形をとっています。