海水浴場の国際認証「ブルーフラッグ」取得を目指しているサンオーレそではま海水浴場。認証取得に向けて8月20日に町民有志らがビーチクリーン活動を実施しました。ゴミから見える志津川湾の「今」についてお伝えします。
そもそもブルーフラッグってなに?
ブルーフラッグとは「きれいで安全で誰もが楽しめる優しいビーチ」をコンセプトに、1985年にフランスで誕生しました。フランスの海岸沿いの自治体が実施した下水処理と海水浴場の水質への取り組みに対してブルーフラッグ認証が授与されたのが、始まりです。1987年にFEEE(現:FEE)により、ヨーロッパ議会にブルーフラッグのコンセプトが紹介され、ブルーフラッグプログラムとして開始されました。
ブルーフラッグ認証プログラムは、SDGsの17ゴール全てに関連しており、FEE(国際環境教育基金)・UNEP(国連環境計画)・UNWTO(国連世界観光機関)などの連携のもと、世界各国でブルーフラッグプログラムを推進しています。
日本における認証機関は、一般社団法人JARTAが実施しており、2016年4月に、神奈川県鎌倉市「由比ヶ浜海水浴場」と福井県高浜町「若狭和田海水浴場」がアジア初の認証取得、2022年4月現在の認証ビーチは6か所あります。
この国際認証取得には、①水質 ②環境教育と情報 ③環境マネジメント ④安全性・サービスの4分野、33項目の認証基準を達成することが必要です。取得後は、毎年の審査を通じて、ビーチの持続可能な発展を目指しています。
サンオーレそではまがある志津川湾は2018年にラムサール条約に登録。豊かな自然環境を持続させるだけではなく、環境教育の場としての活用を検討してきました。町の目指す方向性と合致する国際認証の取得により、町の大切な資源である志津川湾を未来に繋いでいく狙いがあります。
ゴミを集めるだけではなく、それを分類して志津川湾の今を探る
そんな「ブルーフラッグ認証」の取得に向けて、志津川湾ビーチクリーン活動が8月20日(土)に開催されました。早朝にも関わらず、親子連れなど町民有志約20名が参加。
今回のクリーン活動では、30分間海水浴場周辺のゴミを集め、その後、みなさんが集めたゴミを分類毎に仕分け、ワークショップ「ゴミから見える志津川湾の今」を行いました。
今回のクリーン活動では、ペットボトルや缶といったゴミの定番に加え、志津川湾ならではのゴミも発見されました。
みなさん、下の写真のものが何に使われているかご存知ですか?
正解は、牡蠣養殖に使われているスペーサーと呼ばれるものです。
南三陸町の特産の一つである牡蠣。その牡蠣養殖では、ホタテの殻の中心に穴を開けたものを針金で束ねます。束ねるときに、殻同士がくっつかないように殻と殻の間にこのスペーサーを入れるのです。このスペーサーは、殻を束ねたものが脱落して流れ出してしまったか、浜に寄せておいたものが流れ出してしまったかはさておき、結果、ゴミとしてサンオーレそではま海水浴場に流れ着きました。
これは、漁業資材使用者だけでなく、その資材を使わざるを得ない背景を考える必要が我々の責任としてあるのではないでしょうか?
さて、こちらの丸が二つ付いている物体の正体をみなさんは、ご存知でしょうか?ヒントは、夏の海水浴場のアクティビティと関係があります。
正解は、シュノーケルとマスク(ゴーグル)部分をつなぎ合わせる「シュノーケルキーパー」です。
落ちている不思議なものの正体が判明すると、スッキリしますね。
学びと並行することで持続可能な取り組みへ!
このように、ただゴミを拾うだけでなく、「これはなんの部品なのか」「なぜ同じものがたくさん流れ着くのか」など疑問を解消できるワークショップがあることで、「じゃあどうしたらいいか」という考えるきっかけとなります。
そのきっかけをもとに、「じゃあなぜ生分解性プラスチックにしないのか」そして、「仕入れで値段が上がれば、売値もその分高くなる。今まで100円だったものを200円になっても、みんないつも通り買ってくれるのだろうか。やっぱそれは難しいのか」と、一人一人、考えを膨らませることが持続可能なビーチを作り上げるうえで、とても重要になってきます。
ブルーフラッグ取得はあくまで手段に過ぎません。その過程を通して、町民や観光客が持続可能なビーチのあり方を考え、行動していくことが未来へと繋がっていくのです。今後もビーチクリーン活動は継続して実施していくとのこと。ぜひ多くの方のご参加をお待ちしています。