津波被害からいち早い救助へ!「GPS付きライフジャケット」を開発

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東日本大震災の教訓を未来につなげようと、町と東京の企業が連携し「GPS付きライフジャケット」の開発が進められています。津波被害からいち早い救助へと期待がかかる取り組みの実証実験を取材しました。

東京の企業と南三陸町が協働し開発

津波で流された人の位置情報を把握し、いち早い救助に繋げようとGPS付きライフジャケットの開発を町と企業が協働しています。町職員の高橋一清さんの発案により、取り組みがスタートしました。

プロジェクトの主体は東京の「ガーディアン72」。開発するGPS付きライフジャケットは、災害時に自動的に起動し72時間通信可能、さらに50キロ以上離れた場所でも位置情報を把握することができます。

ガーディアン72の有馬朱美社長は「津波が襲ってきたときに急いで身に付けて、もし海に流されたとしてもその人がどこにいるか、どこに流されているのかが分かる。そうすることでいち早い救助につながる」と話します。

ガーディアン72の有馬朱美社長

実証実験を繰り返し、現場の声を反映させた商品開発

2023年10月には1回目の実証実験が開催されました。その時は志津川湾の沖合5kmほどにいるGPS付きライフジャケットを着用したダイバーの位置情報を町役場で確認し、救助に向かうことに成功。

さらに2024年2月には2回目の実証実験が開催されました。今回の実験では、ライフジャケットがどのような形であれば使いやすいのか、という点に着目し、より実践的な検証を実施。福祉施設などでの利用が検討されているため、2回目の実証実験には実際に福祉の現場に立ち、住民のサポートを続ける南三陸町社会福祉協議会からも数名参加し、現場の声を開発に反映させていきました。

低体温症やがれきからも守ることを想定された全身型ライフジャケット
高齢者施設入所者の使用を想定し、介護者と要介護者がそれぞれ着用にかかる時間を計測
高齢者施設入所者の使用を想定し、介護者と要介護者がそれぞれ着用にかかる時間を計測

参加者からは「ファスナーをかけるのに少し手間取ってしまった。この通常時で焦っていない状況でも手間取るので、気が動転している災害時だと難しいかもしれない。素材ももう少し伸縮性のあるものだと着せやすいと思う」などと具体的にフィードバックがされています。

「母親と祖母を津波で亡くしているので、自分の家にあれば良かったと感じた。幼稚園や学校、高齢者などの施設に人数分あると、いざという時に使えると思う」と手応えも感じているようです。

東日本大震災の教訓を未来へ活かす

「国内の沿岸部にある福祉施設に40万人もの方がいらっしゃる現状があり、さらにそこで介護をしている方も5万人ほどいるとされています。そういった方々がまずは自分自身の身を守り、そして入居者を守る行動をしていくことにつながっていくことが願い。東日本大震災で被災した方々の想いが詰まってこれから先の災害に対応できるものにしていきたいと思っています」と有馬社長は決意を述べます。今回の実験を踏まえ商品開発やさらなる実証実験を繰り返し、2024年夏頃の製品化を目指しているとのこと。

東日本大震災から13年の月日が流れ、あの時の教訓を未来へつなげる活動が続いています。

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