青森県から福島県まで、約700キロのロングトレイル「みちのく潮風トレイル」。「南三陸ルート」の約38キロの開通を記念し、ウォーキングイベントが開催されました。満開のつつじが咲き誇る田束山から里山の入谷地区に抜けるトレイルコースの雰囲気を写真たっぷりでレポートします。
世界中で人気を集めるロングトレイル
「ロングトレイル」という言葉をご存知でしょうか?
健康と自然志向のライフスタイルへの関心が高まっていることを背景に、アメリカやニュージーランド、ヨーロッパなどでは、この「ロングトレイル」の整備が進み、多くの人々を惹きつけています。また、国内においても長野県と新潟県にまたがる信越トレイルなど、コースが次第に整備されてきています。
観光旅行などと異なり、ゆっくりと歩きながらその土地の自然に触れ合い、さらにはそこで暮らしを営む地域の人々と交流を育むロングトレイル。数時間のコースから数日、数カ月を要するコースもあるなど目的やスキルにあったコースを選べることから老若男女問わず人気を高めています。
青森から福島までつながる「みちのく潮風トレイル」
「みちのく潮風トレイル」とは、青森県八戸市から福島県相馬市までの海岸線を中心に設定される700キロを超えるロングトレイルコースです。環境省が復興支援の目的で整備をすすめています。
その最大の魅力は、海の景観をダイナミックに感じるスポットが豊富にあること。複雑に入り組むリアス式海岸ならではの美しい景観、恵み豊かな三陸沖の漁場、その豊かな漁場を支える里山など、見どころがたくさんあります。
そこにある、森、里、川、海のつながりから生まれた美しい自然と、そこで紡がれてきた物語。厳しい寒さの冬に耐え、幾度も自然の驚異にさらされながらも、立ち上がってきた人々の暮らしに触れ、「人と自然」「人と人のつながり」を感じることができます。
38キロに及ぶ「南三陸ルート」が4月に開通
現在「みちのく潮風トレイル」は、全700キロのルートのうち、現在500キロほど開通しています。宮城県内においては女川町、石巻市の一部がすでに開通していましたが、2017年4月30日に「南三陸ルート」の約38キロが開通しました。
「東北といえども700キロ移動すると楽しめる景観がまるっきり変わってくる。岩手の北部などは崖の上を歩くようなルート、岩手県南部から宮城県は半島を歩くようなルートが楽しめるのが特徴」と環境省職員の黒田和真さんは話します。
「南三陸ルート」は、気仙沼から石泉地区に抜けるポイントを起点とし、かつて修験者が歩いていた「行者の道」の登山道から南三陸最高峰の霊山「田束山」を経由し、のどかな里山の景観が広がる入谷地区へ。さらに志津川に抜け海岸線に沿って戸倉地区の景勝地・神割崎へとつながっていくルートです。複雑に入り組むリアス式海岸の海を楽しむだけでなく、豊かな山林を楽しむことができます。
開通記念ウォーキングイベントを開催
5月21日(日)には「みちのく潮風トレイル開通記念ウォーキングイベント」(主催:南三陸町、環境省)と題したイベントが開催され、南三陸ルートの一部を体験しました。参加者は「すでに開通している他の『みちのく潮風トレイル』ルートも歩いたことがある」というベテランから、「数年ぶりに山にきました」という方まで、町内外から25名ほどの参加者が集まりました。
雄大な太平洋を眼下に望み、満開のつつじが楽しめる田束山山頂からウォーキングイベントはスタート。美しい新緑の山を下っていきながら、入谷地区を目指す約12キロの道のりを楽しみました。
歩くことで気付く、南三陸の新たな魅力
「田束山からの景色は『お見事!』のひと言だし、道中もさまざまな草木があっておもしろかった」と感想を話す参加者。ゆっくりと歩きながら旅することで、普段気にしていなかった小さな生き物や花、かすかに聞こえる鳥の鳴き声などに気づくようになります。
四季の移ろいのなかで、日々姿を変えていく植物、大自然に生きる野生動物の姿。豊かな恵みをもたらす三陸の海。そして、南三陸に暮らす人々の知恵。東日本大震災の被害と復興の状況を垣間見ながら、歩いて旅する南三陸。これまで南三陸を訪れたことがない方はもちろん、何度も南三陸を訪れている方、そして南三陸に住む人々にとっても、歩くたびに新発見があるのが「みちのく潮風トレイル 南三陸ルート」なのかもしれません。
動画でイメージ
インフォメーション
みちのく潮風トレイル HP
http://tohoku.env.go.jp/mct/
●みちのく潮風トレイル 南三陸ルート 問い合わせ
南三陸町商工観光課 0226-46-1385(代表)
一般社団法人南三陸町観光協会 0226-47-2550