子ども達の無病息災を祈って練り歩く、上山八幡宮の神輿渡御と稚児行列

612
25人の稚児が参加した今年の稚児行列

子ども達が煌びやかなお飾りと着物を纏い、神様やお神輿と一緒に町内を練り歩く「稚児行列」近年は新型コロナウイルスの影響により境内でのご祈祷のみとなっていましたが、今年は4年ぶりに以前の形に戻りました。お神輿を担ぎながら子ども達の様子を取材しました。

南三陸の稚児行列とは

”稚児行列”とは日本各地で行われている伝統行事の1種で、稚児(乳児・幼児の意味)が綺麗なお化粧や着物を身に纏って町内を歩き、無病息災をお祈りするものとされています。

着替えの後は子ども達も神事に参加

南三陸町の稚児行列では来年度から小学生になる子ども達を対象にしており、今年は9月17日(日)に5〜6歳の子ども達25名が参加しました。

お神輿と稚児たちの準備

会場である上山八幡宮に集まった子ども達は着物に着替え、飾りを付け、お化粧をしてもらいます。着付けには南三陸五社之氏子青年会メンバーの他に、震災当時からボランティア活動で来町しているフェローズ・ウィルのメンバーの方々にもお手伝いいただきました。

お化粧をしてもらって準備ばっちり!

それと同時並行で、男手でお神輿を倉庫から出し、台車と合わせます。

持ち上げるのも一苦労なお神輿を慎重に運びます

その後、お神輿に神様を祀る神事を行い、こちらも準備万端となりました。

神様をお神輿にお呼びします

天狗の鼻はなぜ長い?

南三陸町の稚児行列には”天狗様”がいらっしゃいます。列の前方を歩き、その赤い顔はまだ幼い子ども達から泣き喚かれることもしばしば。

暑さ対策も万全になった天狗様。立っているだけで威圧感があります。

そんな天狗様の鼻はなぜ長いのか、そもそもなぜ稚児行列に参加しているのか、疑問に思った私は禰宜の工藤真弓さんにその意味についてお聞きしました。

上山八幡宮の禰宜である工藤真弓さん(右)と、南三陸五社之氏子青年会の後藤黎亜さん(左)

「天狗様は最初に地上に降り立ったまだ幼い神様を導いたとされる神様です。その長い鼻で行き先を示し、導き、赤い顔は危険を知らせるための色とされています。稚児は神様のお遣いと言われているので、天狗様が前を歩き道を示し、危険な場所を知らせる大事な役目を持っています」

この長い鼻にも天狗様がいることにもちゃんとした意味がありました。畏怖の意味ではなく、子ども達を守る神様として参加されていたのですね。天照大神の孫である瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が地上に降り立った時の神話(天孫降臨)があり、その中に出てくる瓊瓊杵尊を導いた神様(猿田彦神)が天狗というわけです。

境内〜震災復興祈念公園へ

神事が終わり、いよいよ稚児行列が始まりました。今回は上山八幡宮からさんさん商店街を通り、南三陸町震災復興祈念公園までのコースとなります。横断歩道が目の前に出来たので、以前よりも遥かにスムーズに渡れるようになりました。

お旗持ちや塩を撒く役が先頭を務めます。
お神輿の後ろに稚児が続きます。
保護者と手を繋ぎながら歩きます。

稚児達が南三陸311メモリアル前を通る際、保護者の皆様以外にも観光で訪れていた方々から拍手や「かわいいね〜」など、たくさん声を掛けられていました。なかなか見ることのない行事に「これはなんのお祭りかしら?」と行列に付き添うスタッフに質問をする方も。年に一度の行事を偶然見れたこと、子ども達のお祭りだということを伝えると、一緒に安全祈願をしていただきました。

たくさんの人に見られると少し照れてしまいますね
中橋を渡る際は、お神輿は橋の入り口でお留守番となりました

さんさん商店街〜境内へ

復路ではさんさん商店街の中に入り、少しだけ水分補給をしてから境内へ戻りました。

観光客の皆さんもお神輿の掛け声に合わせてくれました
休憩中の天狗様とじゃんけんをして遊ぶ女の子たち

お神輿の掛け声に合わせて、フードコートで料理を待つ観光客の方々も「わっしょい!わっしょい!」と一緒にこの稚児行列を盛り上げてくださいました。神社や地元の方だけでなく、この町に訪れる方々の温かさにも触れられたお祭りとなりました。

来年からこの子ども達は小学1年生。安心安全に楽しい学校生活を送れますようにと祈りを込めて。

子ども達に優しい町でありますように

いいね!して
南三陸を応援

フォローする