オンラインツアーで体感する”サスティナブル”。「オラツー東北」参加レポート

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コロナ禍で新しい旅のかたちが模索されています。そんななか、東北を舞台にオンラインとリアルの両方の形式で開催するツアー企画「オラツー東北」。南三陸町では「サスティナブル」をテーマに、「森・里・海」にそれぞれ焦点をあてたツアーが三回にわたって実施されることが発表されました。今回は、その第一弾イベント「森から紐解く復興の歩み サスティナブルツアー」の様子をレポートします!

南三陸杉の箸置きづくりキットが自宅に到着! 事前準備はバッチリ

今回のツアーの目的の一つは「スタディ」です。震災からの復興に関する学びはもちろん、自然とともに生きる南三陸町の人々の姿から、人間と自然との共生の鍵を、「森・里・海」をテーマに探ります。

南三陸町のイメージといえば、やっぱり海!しかし、実は町の面積の約8割は森林なのです。豊かな海を育むために欠かせない森林はFSC認証も取得しています。(詳しくはこちら

東日本大震災を経験し、自然の脅威と対峙しながら、南三陸町は自然と共生する新しいまちづくりを進めてきました。南三陸町の「森」を通して今後私たちにとって大きなテーマとなる「サスティナブル」な社会について、楽しみながら学んでいくプログラムです。

ツアーまでにパンフレットへ目を通しておくことで、当日のワクワクを高めていきます

ツアー申し込み後、事前に南三陸町に関する観光パンフレットと共に、南三陸杉を用いた箸置きづくりのキットが事前に自宅に到着しました。ツアーの後半には、このキットを用いて、実際に箸置きを自分で製作するワークショップが組み込まれているみたいです!楽しみ!

語り部講話を通して震災を学ぶ 南三陸復興祈念公園

オンラインビデオチャットツール「zoom」を利用して、イベントに参加。東京駅前からスタートし、仙台駅を経由して南三陸町まで向かいます。(もちろんすべて、画面上の移動です(笑) オンラインだと、こんな移動も1分もかからずできちゃいます)南三陸研修センターが案内人となって進行しました。

まずは、南三陸町が自然と共生する新しいまちづくりを行う大きなきっかけとなった東日本大震災について、その被害と復興の過程を振り返ります。南三陸町復興祈念公園に中継をつなぎ、南三陸町観光協会の阿部悠斗さんに語り部として公園を案内していただきました。当日は晴天に恵まれ、気持ちの良い青空が広がっているのが画面越しにうかがえます。

復興祈念公園内の祈りの丘から黙祷を捧げて、公園の散策をはじめました

歌津地区出身の阿部さん。当時中学生だった視点での避難所体験談などをお話ししていただきました。語り部の方々のお話を伺うたびに、それぞれの方が全く異なる経験をして、様々な想いを抱き、東日本大震災後の南三陸町を生きているのだということを実感します。東日本大震災の教訓を未来につなぐために、一人ひとりの経験を伝え続けることが大切だと実感しました。

復興祈念公園を巡り終えたら、中橋をわたって南三陸さんさん商店街へ向かいます。休日のお昼時、しかも良い天気ということで、お客さんで賑わっている様子が見られました。

サスティナブルな森林を維持する担い手 佐藤太一さん

東日本大震災によって多大な被害を受けた南三陸の町が、ゼロからまちづくりを行うにあたって掲げた将来像。それが、「森 里 海 ひと いのちめぐるまち 南三陸」です。(株)佐久の佐藤太一さんは林業家。入谷地区で佐藤さんが管理されている森林と中継して、森の重要な働きについて解説していただきました。

開口一番、ポーズを決めて「サスティナブル!」と呼びかける佐藤さん。本当は映像でお見せしたいところです

佐藤さんが管理している山林とそうでない山林を見比べながら、間伐などの手入れを加えつつも、森林が自然本来の力を最大限発揮できるように管理することの重要性を教えていただきました。画面越しにも、佐藤さんの管理する森林の生き生きしている様子を垣間見ることができました。

左の写真が管理されていない山林、右の写真が佐藤さんが管理する山林です。間伐が施され、太陽の光が地面まで届くことで、下草も元気に成長しているのが一目瞭然です

森には、生物多様性を保存する役割や、根をしっかりと土に張り巡らせることで土砂災害を防ぐ役割など、人間の安心安全な生活を維持するための要となる役割が多く存在します。その多面的機能を発揮するためには、森林をしっかりと管理することが欠かせません。南三陸の森はFSC認証も取得しており、正しい林業を未来にわたって続けています。

しかし、木価の安さや、林業の担い手不足により、放置されている森も少なくはないと言います。サスティナブルな人間社会のために、第一次産業がどうあるべきか。これは、私たち一人ひとりが真剣に向き合わねばならない問題でしょう。

実践!箸置きづくり体験 YES工房

森が果たす重要な役割について学んだ後には、お待ちかね!実際に南三陸杉を使ったワークショップを体験していきます。ワークショップの案内をしてくださるのは、入谷地区にあるYES工房の皆さん。入り口で、代表の大森丈広さんがお出迎えしてくださいました。

建物は、かつての廃校を利用しています。Yes工房は、「廃(校)工房→はい工房→YES工房」という流れで名づけられましたが、「震災後にNoと言わない!」という思いが込められています

YES工房は、震災後に地域住民の雇用と交流の場としてオープンしました。店内には名物のオクトパス君がずらりと並んでいるほか、可愛らしいまゆ細工の置き物なども置いてあります。

そして、お店をさらに進むと南三陸町でとれた木材、主に杉材を用いた木製品が並びます。お土産としてプレゼントすると喜ばれそうなオシャレなものから、子どもが喜ぶおもちゃまで、多彩なバリエーションが魅力的!最新の工作機械を用いつつ、職人の技も大切にして作られた商品です。

店内に並ぶ商品たち

そしていよいよ、ワークショップの箸置きづくり体験に入っていきます。ここからは、YES工房の製作リーダーの佐藤さんにご指導をいただきながら、参加者全員でzoom越しに一緒に作業を進めていきます。

左が代表の大森丈広さん、右が製作リーダーの佐藤さんです

それではここから、箸置きづくり体験の様子を、写真を並べながらお伝えさせていただきます!

今回のワークショップのセット内容はこちら!箸置きが2つ、紙やすりが2種類(荒削り用が1つ、仕上げに使うものが1つ)、えごま油(コーティング用)の5点セットです
荒削り用のやすりでしっかり削った後に、仕上げようのやすりで削ります。全体的にくまなく行いました
左が削る前、右が仕上げまで終わった後の様子です。右のほうが、全体的に丸くなっているのがわかるでしょうか?
左が加工を全く施していない状態で、右がコーティングのえごま油まで塗り終わった状態です。すべての手順が終わった後のほうが、温かみのある色合いになりました。えごま油を塗ることで、長く使えるようになるほか、木材ならではのやさしい雰囲気が出るようになります
左右両方とも、仕上げのえごま油まで塗り終わり、完成です!全工程で所要時間は30分ほどでした。この箸置きを使えば、いつもは抜きがちな朝ごはんも食べる気になれるような気がします!

真剣に作業を進めながらも、YES工房のお二人に時折声をかけていただき、和気あいあいと作業を進めていきました。子どもから大人まで、参加者一同とても楽しくワークショップに参加することができました!

木製品を自分の生活に取り入れることで、林業を身近に感じ、周囲の環境に対して興味を持てるような気がします。小さな一歩かもしれませんが、サスティナブルな生活への大事な一歩なのではないでしょうか。南三陸の豊かな自然と社会の源である森について、貴重な学びと経験を得ることのできた、大満足のイベントでした!

サスティナブルツアー第二弾は「里」編

そして、タイトルに「第一弾」という表記があるのにお気づきになられたでしょうか?今回は「サスティナブルツアー 第一弾 森編」ということで、10月31日(日)に第二弾のツアー「【宮城県南三陸町サスティナブルツアー第二弾】今に息づく「里」の取り組み」が予定されております!

第二弾では、古民家を舞台に「藍」の栽培について学ぶほか、再びYES工房の皆様と一緒にまゆ細工のワークショップを行う体験が予定されています。

サスティナブルを感じられる、南三陸の逸品もお土産としてセットでついてくる上、Go Toイベントの対象となっているため、お得に参加できてしまうオンラインツアーです!

申し込み方法などの詳細はこちらからご覧ください。受付締め切りは10月22日(金)18時です。忘れずにチェックして参加し、たくさんの人で盛り上がりましょう!

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