トウキの「葉」を活用して、新たな名産品開発へ!

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震災後、入谷地域で新たな産物の開発を目指して「トウキ」の栽培が行われています。「根」の部分は漢方薬等で使われていますが、「葉」の活用はまだまだ未開拓。専門家を招いての勉強会や調理実習などで提案された今までにはなかったアレンジ料理の数々に、農家・阿部博之さんも「可能性をものすごく感じた!」と今後の展開に期待しています。

里山の新しい産物を目指して

「震災後に農業で雇用の場を生み出したい」という思いから立ち上がった南三陸農工房。震災の翌年2012年に、南三陸町に支援に入っていたアミタホールディングスより「トウキの栽培はどうですか?」と持ちかけられたことがスタートでした。当時は、トウキなんて何も知らなかった」と農工房の阿部博之さんは振り返ります。

それでも、「もしかすると里山の新しい産物になって地域おこしにつながるのではないか?まずはやってみよう!」と2012年に始まったトウキ栽培。

セリ科シシウド属のトウキ(当帰)は、「根」の部分は漢方薬として用いられ、補血、強壮、鎮痛、鎮静などの目的に配剤され、さまざまな漢方方剤に使われています。
しかし、トウキの「葉」の部分はこれまであまり活用されていませんでした。この葉の利用拡大を目的に、堀桃さん(国際薬膳食育師特級師範、調理師、かんぶつマエストロ上級など)を招いて勉強会、料理セミナーが開催されました。

古くから世界中で身近な存在だった「トウキ」

古くからトウキの魅力に気づき、世界中で栽培や活用がされてきたトウキ。中国後漢時代(日本の弥生時代)に編纂された最古の薬学書「神農本草経」に著され、後期には医学書「傷寒論」に登場していました。西洋でもトウキの同属異種が根や茎、葉などを西洋ハーブ療法で用いられていました。「天使のハーブ」とも呼ばれ、西洋では重要なハーブの一つとして認識されていました。日本では江戸時代に大和地方(奈良地域)で栽培が始まり、主に薬学の分野で活用されていきました。

トウキ葉の栄養素で特に秀でているのがビタミンE。100g中40〜50mgが含まれており、すべての食材でトップの含有量とされています。ほかにもビタミンCや鉄分、葉酸なども含まれており、「多くの効能が期待できる」と堀さんは話します。

堀さん監修のもと7品の試食が完成しました。

さまざまなアレンジに可能性を感じる

試食を終えた阿部博之さん。「こんな料理ができるの?というのが正直な感想。本当に新鮮だった」と驚いた表情で笑みをこぼします。

今までは、葉を刻んで振りかけたり、天ぷらにしたりとシンプルな料理が中心だったトウキ葉の活用。しかし、今回はさまざまなアレンジ料理が並びました。

「トウキの香りもしっかりと感じられるけど、クセがない味わいに仕上がっていて、子どもでも食べやすいと感じた。ドリンクも入谷の旬な果物とあわせたり、いろいろなアレンジができるだろうなと考えられた。ものすごい可能性を感じた時間だった」と話す阿部さん。

今後の展開を伺うと「地域で自然に楽しまれる食材としてトウキが広がっていってほしい。家庭で日常的に食べられる食材になって、それを外の人たちが面白がって、訪れる。そしてそのときには、飲食店や宿泊施設でトウキを提供する場所があって、というふうに盛り上がっていければいいな」と話しています。

今回勉強会に参加したのは、入谷地区を中心とする飲食店や生産者、食品加工を行うメンバーのみなさんでした。これまで十分に生かしきれなかった「トウキ葉」。今後の活躍に期待です!

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