杉とクロモジのルームスプレーで、山の価値・魅力を伝えたい

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南三陸町で林業を営む株式会社佐久は、山の価値を発掘・創造し、その魅力を伝えることに力を入れています。その一環で、山林の未利用材を活用したルームスプレーを開発。企画した大渕香菜子さんに話を聞きました。

山の香りで、ひとときの癒しを届ける

2019年5月から株式会社佐久で仕事を始めた大渕香菜子さん。小さい頃から植物が大好きで、さまざまな植物の宝庫である山の価値や魅力をもっと伝えていきたいと、株式会社佐久で企画・開発を行っています。「私は山を歩くときに嗅覚を大事にしているんです。山の香りにはリラックス効果があるので、香りを生かした商品が作れないかと考えました」と大渕さんは話します。

注目したのが、香りのよいクロモジと、南三陸にたくさんある杉です。「山に癒しを求める人は多い。そのような方たちに、ひとときのリラックス効果を提供できたらと、ルームスプレーを開発することにしました」

クロモジの枝と杉の葉を持参してくれた大渕さん

「一から自社で作るため、蒸留はハードルが高かったので、ハーブをアルコールに浸けて有効成分を抽出する『ハーブチンキ』と同じように、クロモジと杉を3か月ほどアルコールに浸けて香りを抽出しました」と大渕さん。試行錯誤の末に完成したルームスプレーは「リフレッシュエアーミスト」と名付けられ、2019年8月に発売されました。

さわやかな香りのルームスプレーが完成。容器のラベルは、クロモジの枝(右)と杉の葉(左)をデザインした

多様性を守るため、山の価値や魅力を発信

「このルームスプレーの開発では、クロモジや杉の葉などの未利用材を活用して、そこから価値が生まれることを伝えたかったのです。ルームスプレーはあくまで手段のひとつ。山には杉や檜以外にもさまざまな植物が生息していて、多様性の宝庫です。山の多様性を守るためには整備が必要ですが、林業の現状が厳しいこともあり、きちんと手入れされない山が増えています。杉・檜以外の林産物も価値につながり、山主に利益が還元されれば、整備される山が増えるのではないか…。そのために、山の価値を発信していきたいと思っています」と大渕さんは力を込めます。

さまざまな植物の宝庫である下草が特徴的な南三陸の山林を案内する大渕さん

「南三陸の山はきちんと手入れがされていて、さまざまな植物が生えています。私にとっては宝探しができる山なんです!」と目を輝かせる大渕さん。その魅力を伝えるため、山歩きツアーも企画・実施しています。「山菜採りツアーなど、季節ごとの山歩きツアーを作っていきたいと考えています」。

「商品開発に関しては、次は蒸留に挑戦して精油を作ったり、南三陸産の広葉樹苗木を山採りの苗木として出したりしたいと考えています」と意気込みを語ってくれました。

みなさんも、宝物を探しに、山に出かけてみませんか?

山の魅力、山の癒しがギュッと詰まったルームスプレーで、手軽に山林浴を楽しもう

インフォメーション

「リフレッシュエアーミスト」
価格:2,500円(税抜)
販売場所:「NEWS STAND SATAKE」(さんさん商店街内)、「南三陸まなびの里いりやど」

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ライター 小島 まき子
ライター、編集者/通訳案内士。ひと・まち・食・旅をテーマにした取材・執筆および書籍編集を行う。東日本大震災をきっかけに東北沿岸部を訪れるようになり、なかでも南三陸町に魅了され、つながりを深めている。ソーシャル&エコ・マガジン『ソトコト』で東北の“いま”を発信する連載記事「ソトボラ新聞」を執筆中。通訳案内士として、訪日外国人に南三陸の魅力を伝えるツアーづくりが目標。