南三陸の手織りレザーバック/株式会社アストロ・テック

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先日、町内の事業者である(株)アストロ・テック 佐藤秋夫代表の元を訪問した。

震災前は、志津川小学校の近くで医療器具や防災無線などの電子部品を製造していた。小ロット・多品種、手仕事で付加価値をつけるという事業領域で、品目数は約150にも及んでいた。

震災後、バッグのOEM製造受託、自社製品の製造販売(ネット販売のみ)事業を開始した。やはり事業領域は手仕事でじっくりといいものを作って付加価値をつける、というところ。
自社で製造販売するオリジナルバックは、デザインを一般公募した。約500点の応募の中から投票で1位を選び商品化。
販売は受注生産で在庫は持たない。ヤフーのショッピングサイトで直販しているが、現在2~3ヶ月待ちというほど人気がある。

手仕事=非効率というイメージがあるかもしれない。しかし手仕事には、お客様の好みに対応できる(小ロットでオリジナル商品が作れる)職人の技に味がある(人の作ったものなのでぬくもりがある)人の雇用が生まれる(オートメーション工場は人がいらない)働く人が誇りを持てる(分業制ではなく一人が最終形までやりきる生産方式)
といった良い部分がある。

現在、佐藤代表を入れて17人を雇用しており、全て正社員とのこと。

佐藤代表は、アストロ・テック社を立ち上げる前は地元の会社で働いていた。当時50~60人の部下がいたが、会社の業績が悪化しリストラを担当。その時の負い目から、その会社を退社した佐藤代表が立ち上げたのが、アストロ・テック社であった。

アストロ・テック=明日をとるという意味だそう。

震災で大きな被害を受けたアストロ・テック社。しかし、佐藤代表は当時23人いた社員を一人も解雇しなかった。「下を向いていてもしょうがない。たとえ1,000円でも自分で稼いで食っていこう。自分は生かされた。命さえあればなんとでもなる。」震災後1ヶ月も経たない4月3日に、登米市内で事業を再スタートし、被災した工場跡地から使えるものを拾って、やれることから手を付けた。

当初は8人で再スタートをきったが、もちろんお金がない。ないお金をかき集めて社員の前で「今のありったけのお金はこれだけだ」と見せて、1人5万円ずつ手渡し、佐藤代表も5万円ということで均等に配分した。

なぜ震災後に畑違いのバッグを作ろうとされたのか。


「それはわからない。ご縁でそのような話があり雇用が作れると思い、始めた。」
お話を伺い感動した私は、なにかアストロ・テック社の商品が欲しくなり、名刺ケースを譲っていただいた。


LOOMというのは、‘Love Of Our Motherland’の略で、震災の夜、真っ暗な夜空を見ながら迎えを待ち続けた子供たちの話をきっかけに星に願いを込め誕生したブランド。

売上の一部は、南三陸町に20年かけて3,000本の桜を植樹する資金として使われるという。

佐藤代表が目指すのは「進化する復興」。ただ震災前に戻るのではなく、それを越える復興を成し遂げたいのだという。

株式会社アストロ・テック
住所:宮城県本吉郡南三陸町入谷字桜沢 357-7-1
電話:0226-46-1531
FAX:0226-46-1532
Mail:asutoro@wave.plala.or.jp

アストロ・テック社のレザーバッグ
ブランドLOOM

 

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