集え、起業家!Next Commons Lab南三陸が始動。

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持続可能な社会をつくるプロジェクト「Next Commons Lab」が南三陸町で始動! チャレンジする起業家を募集します。どのような取り組みなのでしょうか? 5月14日に東京・銀座で行われた説明会におじゃましました。

「Next Commons Lab」って何?

人口減少、長時間労働、格差の拡大……。急速に変化する社会において、さまざまな問題が顕在化しています。それらを解決するための方策がいろいろと取られていますが、なかなか変わらないのが現実。そうであれば、今あるものを変えようとするのではなく、「社会構造そのもの=オペレーティングシステム(OS)を新しくつくろう!」 ――この発想が「Next Commons Lab」(以下NCL)のスタートでした。

さまざまな領域で活動するメンバーが集まり、プロジェクトを通じて地域社会と交わりながら、“ポスト資本主義社会”の新たな共同体をつくる。そのプラットフォームとなるのがNCLです。具体的には、「地域おこし協力隊」の制度を利用して起業家を誘致し、個人・自治体・企業の協働により、地域においてイノベーションを多面的に進めることをめざしています。

NCLは、遠野を皮切りに、南三陸、奥大和など、今年中に全国10か所で始動予定。2020年までの3年で、100拠点・1000人の起業家を創出することが目標です。NCLに参画するということは、単なる起業ではなく、全国で水平展開するネットワークに参画するということなのです。

第一号NCLが立ち上がった遠野では、83名がエントリーし、現在15名がラボメンバーとして活動中。南三陸では、「あらゆる資源が循環する社会」をテーマとして掲げ、地域資源を活用したプロジェクトを担う10名の起業家を募集します。

NCLの全体像について説明する「Next Commons Lab」代表の林篤志さん

「Next Commons Lab南三陸」のめざすものは?

NCL南三陸は、南三陸特有の豊富な海洋資源や森林資源、そして東日本大震災とその復興の過程で地域に蓄積されたさまざまなリソースを活用し、それらの資源が循環する持続可能な社会づくりをめざしています。

NCL南三陸のビジョンを語る事務局の山内亮太さん(株式会社ESCCA代表)

NCL南三陸のビジョンは、「すべての生き物が活き活きと育つ持続可能な環境・自然循環型社会」というもの。これは、「森・里・海・ひと いのちめぐるまち 南三陸」という、第2次南三陸町総合計画で打ち出された町の将来像にもとづいています。NCL南三陸では、上記のビジョンを実現するため、アカデミックな要素も取り入れながら、起業家とともにプロジェクトの方向性を定め、事業創造を推進していきます。

循環型の取り組みをめざす南三陸のプロジェクトの相関図(引用:NCL南三陸WEBサイト)

NCL南三陸:森のプロジェクト

NCL南三陸では、8つのプロジェクトで10名の起業家を募集します。“森”に関連するプロジェクトは次の3つ。

①山からつくるまちのプラットフォーム

FSC認証の南三陸杉を活用して、小型店舗用のモジュールハウスを開発。建築家の隈研吾さんがバックアップし、1年目は隈研吾都市建築設計事務所にてインターン。

②エナジーフォレスト 森の力を活かしきる1

ペレットエネルギーの普及と低コストストーブの開発に挑戦し、エネルギーの地産地消を目指す。

③エナジーフォレスト 森の力を活かしきる2

杉の有効成分で新しい商品を開発するなど、山の素材の新たな可能性を事業化。

プロジェクトパートナーとして①~③で一緒に事業を立ち上げる、合同会社MMR代表社員の佐藤太一さん(写真提供:一般社団法人南三陸研修センター)

NCL南三陸:里のプロジェクト

次に、“里”に関連する3つのプロジェクトを見ていきましょう。

④サスティナブルワイナリー

南三陸産のブドウでオリジナルのワインを開発し、森里海を連携させた食文化を創造。1年目は秋保ワイナリーでインターンを行い、ブドウの栽培から醸造、販売までを学ぶ。2020年に南三陸町にワイナリーをつくることをめざす。

「南三陸ワインプロジェクト」は今年4月にワインブドウ植樹祭を開催。500本もの苗木を全国から集まったボランティアとともに植樹した(写真提供:南三陸ワインプロジェクト)

⑤オーガニック3.0

無農薬ササニシキの栽培をベースに、オーガニックな農業経営モデルの確立をめざす。株式会社docomoとの連携により、ICT活用による低コスト&低リスクの有機栽培にチャレンジ。

内陸部に広がる里山をフィールドに持続可能な農業をめざす(写真提供:一般社団法人南三陸研修センター)

⑥巡る風土料理レストラン

循環型の食に関する取り組みを集約・発信するイタリアンカフェ・レストランをつくる。ASC認証の牡蠣やオーガニック農産物など、南三陸の素材を使用した独自のメニュー開発も。モジュールハウスやワイナリーのプロジェクトとも連携し、新たな南三陸の食文化の拠点作りに挑む。

ASC認証を取得した牡蠣(写真提供:一般社団法人南三陸研修センター)
1年目は、山形県鶴岡市のイタリアンレストラン「アル・ケッチャーノ」のオーナーシェフ、奥田政行さんのお店でインターンを行う。奥田さんは、5月14日の説明会で特別講演を行った
Special Kick Off Eventでは奥田シェフの手により、南三陸の素材がおしゃれにイタリアンに変身した。写真は「ホヤとシドケ」

NCL南三陸:その他のプロジェクト

その他のプロジェクトとして、サステナビリティセンターと自由提案枠があります。

⑦サステナビリティセンター

持続可能な地域社会をつくるための研究センターを立ち上げ、森、里、海、まちの連関や、地域資源の強みを科学的・経済学的な研究アプローチで調査・解明。NCL南三陸の各プロジェクトの推進サポートも行う。

海のイメージが強いが、森里海のそれぞれの資源が豊富にある南三陸町(写真提供:一般社団法人南三陸研修センター)

⑧プロジェクトの自由提案

設定された①~⑦以外で、独自のプロジェクト・事業計画を提案。NCL南三陸のビジョンに沿う内容で、独自の視点・経験・技術と、南三陸の地域資源やネットワークを活用してプロジェクトの設計を行う。(例:南三陸杉の高付加価値化、牡蠣殻の有効活用、インバウンドなど)

説明会では、各プロジェクトの紹介後に、関心のあるテーマに分かれて質疑応答の時間が設けられた

地域の未来をともに創造する仲間を募集!

NCL南三陸では、以上8プロジェクトで10名の起業家を募集しています。説明会には、「自分でワイナリーをやりたい」「日本の伝統文化を広めたい」「都会と地域の人材マッチングを手がけたい」など、さまざまな志をもった人が参加しており、質疑応答で各プロジェクト担当者に熱心に質問していました。

しかし、なかには「興味はあるけど経験がないので…」と不安な様子の人も。そんな人に向けて、事務局の山内さんは「バックアップ体制が万全なので、未経験でも大丈夫ですよ」と話します。

「大切なのは情熱と継続性。新しいチャレンジは大変なこともあるでしょうけれど、プロセスを楽しんでほしいですね」と山内さん。

また、NCL代表の林さんは、「明確なビジョンとパッションがあり、自分で何かをつくっていくことにワクワクできる人を求めています」と呼びかけました。

プロジェクトパートナーと直接話せたことで、「一歩踏み出す決心がつきました!」という参加者も

各プロジェクトの募集について

仮エントリーいただいた方に本エントリーのご案内をお送りします。

また、エントリーにあたっては各プロジェクトの方向性を自由に解釈、アレンジして自分なりの企画書にして提出していただくことも可能です。

1次募集のエントリー締め切りは5月31日(⑥「巡る風土料理レストラン」のみ5月21日)。応募の詳細はウェブサイトで確認できます。「南三陸に新しい価値を生み出し、ワクワクするまちを一緒につくる」ことに興味のある人・共感する人は、ぜひ検討を!

募集要項やプロセスの詳細は下記のHPをご覧ください。

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