南三陸町市街地の復興の様子を定点観測しています。戸倉地区、志津川地区、歌津地区の3箇所の写真を公開しています。
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戸倉地区
撮影場所 [38.642969, 141.442686]
志津川地区
撮影場所 [38.675820, 141.448933]
歌津地区
撮影場所 [38°43’5″ N 141°31’19” E]
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撮影場所 [38.642969, 141.442686]
撮影場所 [38.675820, 141.448933]
撮影場所 [38°43’5″ N 141°31’19” E]
他の定点観測を見る1月24日のみなさんぽは、「月と昴」店長の内田智貴さんにタイトルコールをいただきました。インタビューでは、「海のビジターセンター」職員の畠山友美子さんに、冬でも楽しめる体験プログラムについてお話を伺いました。
「寒鱈フェスティバル アツアツ大作戦」開催中のさんさん商店街。「coffee & curry 月と昴」で「寒ダラとトマトの焼きカレー」をいただきました。タイトルコールを店長の内田智貴さんにお願いし、みなさんぽ、今日もスタートです!
さんさん商店街では、飲食店10店舗が旬のタラを使った新メニューを提供する『寒鱈フェスティバル ~第一弾 熱々大作戦~』が2月末まで開催中です。ちゃんこ、鍋、ラーメンなど、この季節にぴったりの趣向を凝らしたメニューが楽しめます!
詳しくは、さんさん商店街のホームページからご覧ください!
https://www.sansan-minamisanriku.com/
戸倉地区にある「海のビジターセンター」では、年間を通して、様々な体験プログラムを提供しています。インタビューでは、冬の間でも室内で楽しめる体験プログラムについて、ビジターセンター職員の畠山友美子さんにお話を伺いました。
ビジターセンターでは、三陸復興国立公園や周辺の自然の情報を発信し、さまざまなアクティビティを通して自然とふれあう機会を提供しています。
センターに入るとまず目を引くのが、オオワシのはく製。入口左手にはカフェのようなスペースもあり、センター長が「気まぐれで」コーヒーを淹れる時もあるのだとか。畠山さんのイチオシは、水槽のヤドカリ。「運が良ければ、宿から宿へ移動する瞬間も見られます。」 テラスには木製のテーブルといすがあり、暖かい日には海を見ながらのお弁当も楽しめます。
年間を通して豊富な体験プログラムを提供しているビジターセンター。冬に楽しめる、室内イベントも提供しています。海岸の石に海の生き物を描く、「石ころアート」、自然についての好きな文章と絵を描く「自然カルタづくり」など。「絵が不得意でもそれなりに面白くなります」とのことなので、絵は苦手だな…という方も楽しめそうですね!
パソコンやスマホでラジオが聴けるradikoでは、過去1週間以内に放送された番組を後から聴くことができます。残念ながら聞き逃してしまったという方はぜひこちらでお聞きください!
12月29日に毎年恒例の「おすばでまつり」が今年も福興市と合わせて志津川湾仮設魚市場で開催。海のそばの会場では、年越し・お正月用品を浜値で買い求める人たちでスタート前の早朝から賑わいをみせていました。
「おすばでまつり」は、震災後から南三陸の復興を象徴するイベント「福興市」と合わせて開催されている毎年恒例の年の瀬イベントです。
「おすばで」とは、三陸沿岸部で「酒の肴(さかな)」「つまみ」という意味で、南三陸の特産品である真だこ、アワビ、なまこ、いくらなどの海産物や農産品を中心とした物産テント、飲食ブースが立ち並び、年越しやお正月に欠かせない新鮮な食材を破格の安値で販売しています。
今回のおすばでまつりでは、天候もよく都市圏からのアクセス道が開通した効果もあり、朝8時30分の開店を待たずに、早朝から多くのお客さまで会場は大盛況。また、ボランティアスタッフの手慣れた販売支援もあり、売り上げも好調だった様子。
「やっぱり、海のそばは気持ちいい。これでいい年を迎えることができる。ありがたいこと」。「おすばでまつり福興市」の実行委員長の山内正文さんは話します。
山内さんは南三陸で鮮魚と水産加工品の製造販売会社、株式会社ヤマウチを営んでいますが、震災による津波で店舗や工場、自宅、代々みんなで築いてきたすべてを失った人のひとり。
「おすすめは真だこ、アワビ。お正月商品が2割安く買えるよ。いい品物が多い」とインタビューの合間にも、お客さんや知り合いの人たちに次々と声をかけられ、笑顔で対応、忙しそうな様子です。
「例年より来場者が多いみたいですね。昨年ベイサイドアリーナからこちらの会場に移って、海のそばで開催できるようになったこと、毎年おすばでまつりが続いてくれることが嬉しいです」と話すのは、南三陸町観光協会の千葉裕美さん。「買い物だけではなく、その場で飲食できるのも魅力。地元の味を楽しんでもらいたい」と期待を語りました。
会場内では、海沿いの厳しい寒さの中、楽しそうに会話しながら試食・試飲をして歩く老若男女の活気で溢れていました。
日本有数のたこの産地である志津川湾。真だこが今年は驚くほど豊漁だったこともあり、町の水産会社のブースの前には、たこ・たこ・たこ…の山。
早速、たこの試食をやっているブース前に並んでみると、「右が水だこ、左が真だこ!食べ比べてみて!」と勧められ、爪楊枝で一切れづつ口に入れてみると、確かに違いを感じることができました。お醤油をつけなくとも、両方とも美味しい。
「水だこ」と「真だこ」の違いは「水だこ」は真だこに比べて大きく、水分を多く含み、柔らかい。「真だこ」は引き締まっていて、歯ごたえがあり、噛めば噛むほど味が出てくるのが特徴とのこと。
普段の食生活では、たこの違いや魚介類について仙台在住の筆者にとっては興味をもったことがなかったこともあり、こういった地域のイベントで漁業関係者と直接話せる機会は貴重だと感じました。
会場の一角に長蛇の列をなしているブースでは、今回のイベントの目玉である南三陸町新メニュー「さんこめし」限定100食のモニター試食会がおこなわれる模様。周囲の人たちの間で「サンドウィッチマンが来るらしい」という口コミの広がりもあったせいか、配布前から並んで待っている人たちのドキドキ・わくわくしている気持ちが伝わってきました。
「さんこめし」とは、南三陸の豊富な海の幸である「たこ・穴子・はらこ」の3種類の具材が一つの丼に入った新メニューです。
「ウニが終わった冬場の閑散期に提供できる新しい名物メニューを考えていた」と話すのは弁慶鮨二代目 の菅原賢さん。キラキラ丼を共通メニューとして提供している飲食店同士が集まった試食会で「たこをつかった名物商品がほしい。いくら・あなご・たこを一つにしたらどうか」というアイディアが実現されました。
菅原さんに「さんこめし」に対する想いを聞くと「南三陸に住みたくても住めない、何かの事情で土地を離れている人たちに食べてほしい。うちの町にはこういうものがあるんだって、ほかの人に自慢したくなるような。ふるさとの誇りになる自慢の味にしていきたい」と熱く語ってくれました。
「3個の食材の存在感がなくならず、ぷちぷちした歯ごたえ!ごはんの味付けも美味しい!」
「たこ飯・穴子飯・はらこ飯が一度に食べられて贅沢。具も大きくて味がしっかりでている」
モニター試食は30分で配布が終了。早くも店内販売を心待ちにしている人たちも。海の幸に恵まれている南三陸だからできる新名物丼なのでしょう。
南三陸町新名物丼「さんこめし」はさんさん商店街等の飲食店で1月下旬から提供開始予定。キラキラ丼に次ぐ、南三陸を代表する大ヒットメニューの予感。これからの展開が楽しみですね。
1月17日のみなさんぽは、株式会社はなぶさの佐藤孝範さんにタイトルコールをいただきました。インタビューでは、ネイチャーセンター準備室の阿部拓三さんに、いよいよ今週末開催のラムサール条約シンポジウムについてお話を伺いました。
仮設魚市場での寒鱈福興市、さんさん商店街での寒鱈フェスティバルと、南三陸は今まさに鱈のシーズン! 株式会社はなぶさの佐藤孝範さんに鱈のタラコ煮をご紹介いただき、1月17日のみなさんぽは始まりました。
南三陸で映像制作を手がける佐藤さん。タラコ煮に合う料理を伺うと、「ご飯の上に乗せ、ガッとかき込むのがおススメです!」と、とびきりの笑顔で美味しさを伝えてくれました!
今月20日にベイサイドアリーナで開かれる「ラムサール条約シンポジウム」には、あの「さかなクン」が登場します! インタビューでは、「ラムサール条約」やシンポジウム当日のイベントについて、ネイチャーセンター準備室の阿部拓三さんにお話を伺いました。
「ラムサール条約」の正式名称は、「特に水鳥の生息地として、国際的に重要な湿地に関する条約」。南三陸町では、震災前から登録に向けた活動に取り組んできました。阿部さんも、研究調査などに長く関わってきました。
今年10月にドバイで開かれる国際会議で承認されれば、志津川湾が正式に条約登録地となります。しかし、「登録された後が重要です」と阿部さんは言います。「ラムサール条約の三本柱は『保全・再生』、『ワイズユース』(産業や漁業に活かす)、『学習』(教育に活かす)。ただ守るためだけの条約ではないのです」。
シンポジウム当日は、ネイチャーセンター友の会が行う子どもワークショップ、志津川高校自然科学部の調査発表会など、自然や環境について楽しく学べるサイドイベントも開催されます。「海とともに生きるまち 南三陸町」で、海や環境について学びを深める日にしたいですね。
【ラムサール条約シンポジウム】
日時:2018年2月20日(土) 10:30~16:00
場所:南三陸町ベイサイドアリーナ
詳しくはこちら↓(南三陸町役場ホームぺージ)
http://www.town.minamisanriku.miyagi.jp/index.cfm/8,16767,111,357,html
パソコンやスマホでラジオが聴けるradikoでは、過去1週間以内に放送された番組を後から聴くことができます。残念ながら聞き逃してしまったという方はぜひこちらでお聞きください!
今回紹介するお嫁さんは、南三陸町の志津川地区から歌津地区へ嫁いだ阿部(旧姓:伊勢)清美さんです。清美さんは約10年間地元の食品加工会社へ勤務して、優しい旦那様と出会い、そして現在は目の大きくて可愛いかずま君(小1)と、笑顔でみんなを癒してくれるきりと君(2歳)の二児のお母さんです。
清美さんは南三陸町の志津川地区から歌津地区へお嫁に来て、旦那様の両親、旦那様、子どもたちの6人家族で生活しています。
知人の紹介で知り合い、4年間の交際を経て清美さんが27歳の時に結婚しました。
10年間ほど食品加工の会社に勤務していましたが、嫁ぎ先は漁業を営んでおり、生活がガラッと変わりました。同じ南三陸町内でもたくさんの異なる文化や習慣があることに気づきました。結婚当初は戸惑いもありましたが、今は毎日子どもたちと楽しく過ごしています。
嫁いでよかったことは、ほぼ毎日のように、新鮮でおいしい海の幸を子どもたちに食べさせてあげられることです。
逆に大変だったことは、同じ町内出身なのに、浜の言葉(方言)が分からなかったことです。結婚当初は、まったく分からずに、外国語かと思いました(笑)
南三陸町は昔ながらの『まわりの大人みんなで子育てをする』という文化のところ。
長男が家のワカメの手伝いに行ったはずなのに、気づくと他の家のワカメの作業を手伝っていたり(笑)。周りの大人がしっかりと見てくれているし、褒めてくれる。みんなで子育てをするという意識が見られるところです。
もちろん子どもたちが悪いことをしたら、ちゃんと叱ってくれるので、息子にとっては周りの大人みんなが親であり、祖父母のような存在という環境がとてもありがたいですね。
大変なところは、町内に子ども服を取り扱っているお店が一軒しかないことですかね。そのお店にサイズがない場合は、車で30分以上かけて出かけないとお店がないのがとても大変です。
和真(かずま)君は「和」は和む、人に好かれる。「真」は輪の中心という意味があるので、息子には常に人に好かれ笑顔に包まれていてほしいという思いから付けられました。
希吏斗(きりと)君の名前は、何個かあった候補の中から兄である和真君の直感で決まったそうです。
「希吏斗」の「希」は、『誰かに「希」望を与えられる人になって欲しい』 との意味を込められているそうです。
いつもみんなを笑顔にしてくれてありがとう。にぃにも希吏斗も大好きだよ。
1月10日のみなさんぽは、東北学院大に通う新成人、佐藤美南さんのタイトルコールでスタートしました。インタビューでは、合格祈願グッズ「オクトパス君」でおなじみ、「YES工房」の山内幸枝さんにお話を伺いました。
成人の日直後の今回、タイトルコールは志津川出身の大学生、佐藤美南さん。成人の誓いを尋ねると、「人から必要にされる大人になりたい」と語ってくれました。南三陸産の特別純米酒「おら酒 戸」で乾杯しながら、「みなさんぽ」スタートです!
高校生の時には、震災で途絶えていた「トコヤッサイコンテスト」の復活立ち上げ人を担った佐藤さん。大学卒業後は、町役場で働き、若者が帰ってきやすい環境を作りたい、と夢を語ってくれました。
今週末は大学入試センター試験が開催され、いよいよ受験シーズン本番。合格祈願グッズ「オクトパス君」でおなじみ、入谷地区の「YES工房」山内幸枝さんにお話を伺いました。
入谷中学校の特別教室を改装して作られたYES工房。歴史を感じる木造建築です。
南三陸名産のタコをモチーフにした「オクトパス君」は、「置くと(試験に)パス」する縁起物としておなじみです。ぬいぐるみだけでなく、巾着、お菓子もあり、受験生には文鎮や五角形鉛筆が人気だとか。
2017年末には新商品、「貯金多幸(ちょきんだこ)」もデビューしました。
1月14日(日)まで仙台うみの杜水族館でオクトパス君の特設ブースが設けられているのですが、13日(土)にはオクトパス君が遊びに行く予定とのこと。
自身が受験生だった時には時計を忘れてしまったこともあるという山内さん。「オクトパス君とともにパスするように、応援してます!」とエールをいただきました!
受験のお守りや新生活の贈り物に、「オクトパス君」はいかがでしょうか?
Yes工房について、詳しくはこちら↓
http://ms-octopus.jp/project/introduce.html
パソコンやスマホでラジオが聴けるradikoでは、過去1週間以内に放送された番組を後から聴くことができます。残念ながら聞き逃してしまったという方はぜひこちらでお聞きください!
12月2日に戸倉復興公営住宅の集会所で東北ユースオーケストラによる有志演奏会が開催されました。当日は公営住宅に住む、住民約30名が来場し、会場は普段聞くことができない、バイオリンや金管楽器のハーモニーに包まれました。
公営住宅の集会所に響く美しい音色。それを奏でているのは東北ユースオーケストラのみなさんです。
東北ユースオーケストラは、震災を機に設立された「こどもの音楽再生基金」をきっかけにはじまった活動。「戦場のメリークリスマス」などで世界的にも有名な坂本龍一さんを音楽監督として、福島県、宮城県、岩手県の被災3県出身の小学3年〜大学4年生の約100名で結成されました。
団員の多くが内陸部出身のため、津波の被害を経験した団員は少ないとのことですが、震災への思い入れが強く、音楽を通して「心の復興」の手助けになればとの思いで活動しているそうです。そのためオーケストラ団員100人ほどによるホールでの演奏会のほか、各地域を周り、有志演奏会を実施しているとのこと。
こういった演奏会は、被災した団員自身の傷を癒すとともに、多くの人との交流を通じた「成長の場」ともなっています。
今回、戸倉復興公営住宅での演奏会開催にあたり、南三陸町で学生ツアーを企画・運営している学生団体Project Mが協力。3カ月ほど前から下見や打ち合わせを繰り返し、Project Mが会場のセッティングをするなどして12月2日の開催に至りました。
当日は公営住宅の住民ら30人ほどが来場。東北ユースオーケストラ団員は中学生から大学生までの5人が出演。バイオリンやチューバ、トロンボーンなど普段目にすることのない楽器の音色に来場者は聞き入っていました。演目は季節に合わせた、クリスマスメドレーや各楽器によるソロ演奏、その他、“ふるさと”や復興支援ソングで有名な“花は咲く”が演奏され、来場者は口ずさみながら鑑賞していました。
演奏会後、地域住民と交流会も行い、団員は震災当時の話や今の生活状況などを聞いていました。また、住民側からも「いつからやっているの?」「この楽器はどれくらいするの?」「重さは?」などの質問もあり、時折驚きの声も上がりながら楽しいひと時を過ごしていました。
今回の演奏会でリーダーを務めた、福島県出身、福島高校1年の山﨑優子さんは「どれだけの人が集まってくれるか心配だったが、たくさんの人に来ていただいてよかった。何より来てくださった方々が笑顔で帰っていかれたのは一番嬉しかった」と話していました。山﨑さんは、中学校時代に先生の紹介でユースオーケストラに参加。「活動で経験したことや聞いた話をいろんな人に伝えていきたい」とも話していました。
神奈川大学3年の冨澤悠太くんは「同じ学生同士で作り上げたイベントだったので成功してよかった。南三陸町でも定期的に演奏会を実施していきたい」と話していました。年明け2月に南三陸町内でまた演奏会を実施する予定とのこと。詳しい時間や場所はこれから詰めていくそうです。
その他、3月31日には仙台市にある、東京エレクトロンホール宮城にて “東北ユースオーケストラ演奏会2018”を開催。音楽監督である坂本龍一さんも出演予定とのことでした。
東北の各地域で定期的に行っている有志演奏会。それでも東北ユースオーケストラの認知度はまだまだ低いと話していました。今後も継続的な活動をしていく中で“心の復興”の手助けや、東北に限らず全国や世界に音楽を通して東北のことを発信してもらいたいです。また音楽の力が地域の課題でもある、コミュニティ形成の新たな“きっかけ”になっていくことを期待しています。
東北ユースオーケストラ http://tohoku-youth-orchestra.org
Project“M” https://www.facebook.com/ProjectM-1738680696367360/
南三陸に生きる⼈を巡り、⼀巡りしていく連載企画「南三陸ひとめぐり」。第20弾は「平成29年度南三陸町成人式」の実行委員長千葉秀くん。中学1年生のときに起きた大震災。変わりゆく町とともに激動の年月を過ごしてきました。
今年、152名の南三陸町の若者が成人式を迎える。1997年4月2日から1998年4月1日に生まれた人が対象となる今年の成人式。東日本大震災が、育ってきた故郷を襲ったのは、彼らが中学1年生のとき。もっとも多感な時期に襲った大災害。中学・高校という人生においてもかけがえのない期間、そして進学や就職といった人生の大きな節目は、変わりゆく町とともにあった。文字通り、激動の時代を生き抜いてきた若者たちが、晴れて新たな門出となる成人式を迎える。
そんな南三陸町の成人式の実行委員長を務めるのは歌津地区出身の千葉秀くん。
現在も町内に残っている人を中心に20名ほどが実行委員となったなかで、歌津、志津川、入谷、戸倉地区それぞれ出身の新成人1名ずつが代表となり、実行委員長、副実行委員長を選出した。実行委員長を務めることになった千葉くんは「じゃんけんで負けたから選ばれただけですよ」と謙遜するが、周囲は納得の表情だ。
東日本大震災が襲ったのは千葉くんたちが中学1年生のとき。高台にある中学校から、眼下に見える町中にあった自宅が流されていく光景を目の当たりにした。
「なんだか現実のことのように感じられないというか。そのときはただ帰る家がなくなっちゃったけどどうしよう、くらいにしか考えられなかった」と話す。
通っていた中学校がそのまま避難所となり、友だちや知り合いもいっしょの日々を過ごした。「みんなといっしょだったことがとても心強かった」
小さいときから外遊びが大好きで、学校ではサッカー部に所属していた千葉くん。体力には自信があった。大人たちにまざって、支援物資の運搬や仕分けや、薪割りなど汗を流した。
しばらくすると、地元の海水浴場のビーチクリーンのボランティアにも参加するようになった。小さいときから泳いでいた思い出が詰まった海水浴場。がれきで埋め尽くされてしまったその浜を復活させたいという想いで、友人らにも声をかけた。
「美しい砂浜を復活させて、自分たちがそうだったように子どもたちが自由に遊びまわれる砂浜にしたい」と、砂浜に混ざった細かな異物までていねいに取り除く地道な作業を続けた。千葉くんは小学生などのボランティアをまとめるリーダーも経験。遠くから訪れたボランティアには震災前の南三陸町の町並みや、震災体験などを語り部として話すようになった。
「震災前は話したこともなかった町の大人たち、遠くからのボランティアなど、年下も年上もつながりが広がったんです。そうして人の出会いを重ねていくなかで。この町のよいところは“人がよいところ”なんだなって改めて思ったんんです」と千葉くんは話す。そして、「小さいときから海で釣りをしたり、泳いだり、この町が好きだった。景観が大きく変わってしまってもこの町が好きという想いは変わらなかったです」と続けた。
高校を卒業して就職先を探す際にも進学や就職で町を離れていく同級生が多いなか、千葉くんは町内にこだわった。現在は町内の土木建築工事を行う企業に勤めている。防波堤工事やテトラポッドの製造など町の復興工事に直接的に関わる仕事だ。
「なんでもこなすことのできる上司がいま身近でいちばん尊敬できる人。自分も大型免許をとって早くいろいろな仕事を任されるようになりたい」と新成人としての目標をたてる。
町内に残る若者は少ない。だからこそ、苦楽をともにした同級生が一同に会する成人式は貴重な機会となる。「久々のみんなとの再会を明るく楽しく過ごせたらいいなと。暗く、しんみりというよりは明るく盛り上げたいですね。今からみんなに会えるのが本当に楽しみ」と話す。
南三陸町に残った人も、町を離れなければならなかった人も、震災からの大きな壁をともに手を取り、支え合い、乗り越えてきたかけがえのない仲間だ。
南三陸も未来に向けて、一歩ずつ歩みをすすめるように、ここで育った子どもたちも新たな門出を迎える。南三陸で育ったということを誇りに、そしてともに壁を乗り越えてきたという経験を胸に、全国各地でそれぞれの道を歩み、活躍していく新成人の姿が今から楽しみで仕方ない。