よく学びよく遊ぶ!夏と冬の「寺子屋」開催 / UT-OAK震災救援団(寄稿)

3890
よく学びよく遊ぶ!夏・冬の「寺子屋」開催 / UT-OAK震災救援団(寄稿)

この記事は「UT-OAK震災救援団」より寄稿頂きました。寄稿の依頼は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。

UT-OAK震災救援団は、2011年8月から丸5年間、夏・冬休みに南三陸町での学習支援活動を行ってきました。子どもたちも学生ボランティアもよく学びよく遊ぶ、「楽しい寺子屋」を開催しました。

こんにちは、UT-OAK震災救援団です

UT-OAKは、東京大学大学院の学生が2011年4月に設立した学生ボランティア団体です。

2011年5月から志津川高校避難所での炊き出しに参加していたところ、「せっかく大学生が来ているなら、子どもたちに勉強を教えてもらえないかな」というお声がけをいただき、「寺子屋」を始めました。

8月の4週間、学生ボランティアが交替で避難所に泊まり込み、子どもたちと一緒に夏休みの宿題に取り組みました。

毎日通ってくる子どもがいたり、外国の首都名をみんなで競って唱えたり、「熱い」寺子屋でした。

その後、避難所の閉鎖とともに「寺子屋」も仮設団地集会所や公民館に場所を移し、現在は南三陸町内の3か所(志津川中学校仮設団地集会所、袖浜自治公民館、南三陸まなびの里いりやど)で開催しています。

よく学びよく遊ぶ!夏・冬の「寺子屋」開催 / UT-OAK震災救援団(寄稿)

勉強と遊びのメリハリが大事!

現在の寺子屋は1日3時間。小学生にはちょっと長めですが、45分勉強+15分休憩のメリハリをつけることで、集中して宿題に取り組んでいます。

「1時間目を始めます」「よろしくお願いします」という学校さながらのあいさつで勉強時間が始まると、みんな静かに集中。

そして、「1時間目を終わります」「ありがとうございました」というあいさつで休憩時間が始まると、子どもたちが猛ダッシュ!鬼ごっこやドッジボールが始まります。小さい子は折り紙で花や金魚を作ったり。

よく学びよく遊ぶ!夏・冬の「寺子屋」開催 / UT-OAK震災救援団(寄稿)

書道の上手さに脱帽

宿題の他にも、夏は自由工作、冬は書き初めを持ってくる子どもたちがいます。

南三陸の子どもたちは、とにかく書道が上手!「おしえて」と言われても、寺子屋の先生たちの方がたじたじです。

幸い、実家が書道教室だったり、書が趣味というメンバーがいてホッとしました。

よく学びよく遊ぶ!夏・冬の「寺子屋」開催 / UT-OAK震災救援団(寄稿)

子どもの記憶力ってすごい!大人気の国旗カルタ

いちばん古くから寺子屋を開催している志津川中学校仮設団地には、避難所時代から丸5年通い続けている「常連」の子どもたちがいます。

寺子屋のルールだって、先生たちより子どもたちの方がよく知っていてお互いに教え合ったり。子ども同士での学び合いが生まれるのも寺子屋の良さかもしれません。

そんな子どもたちに絶大な人気を博しているのが「国旗カルタ」です。

シンプルな国旗のカードなのですが、子どもたちは100を超える国の名前と国旗をどんどん憶えて、先生たちをあっさりと負かしています。

「おもしろい!」と思ったものへの子どもの記憶力はすごいですね。

よく学びよく遊ぶ!夏・冬の「寺子屋」開催 / UT-OAK震災救援団(寄稿)

理科実験を導入!科学の不思議で遊んじゃおう

「宿題だけが勉強じゃない。もっと楽しく身近な「学び」を提供できないだろうか」そんな学生ボランティアの意見を取り入れて、2015年から「理科実験」を導入しました。

ドラッグストアで買える「洗濯のり」と「ほう砂」に水を混ぜて絵の具を入れてこねると…スライムの出来上がり!

ワイングラスに水を入れてふちをそっと指でなぞると…「キィーン」という不思議な共鳴音が!

身近な素材から生み出される不思議な現象に、子どもたちの目が輝きます。

よく学びよく遊ぶ!夏・冬の「寺子屋」開催 / UT-OAK震災救援団(寄稿)

さらに、今年の夏は自動車会社に勤めるメンバーの協力で、本格的な電気自動車体験まで導入しました。

自分の手でモーターを回して発電して車を走らせる体験に、子どもたちも学生もワクワク!

よく学びよく遊ぶ!夏・冬の「寺子屋」開催 / UT-OAK震災救援団(寄稿)

南三陸のみなさんに感謝をこめて

豆粒のように小さな私たちの学生ボランティア団体が細々ながら5年半の活動を続けて来られたのは、南三陸のみなさんが支えてくれるおかげです。

避難所の一角に泊まらせていただいたり、美味しい食事を食べさせていただいたり、寺子屋で快適に使えるように集会所や公民館の環境を整えていただいたり。

「南三陸の魅力を知ってもらいたい」とメンバーをあちこちに連れて行ってくれる方や、寺子屋の休日にメンバーを船に乗せてくれる方、「帰りのサービスエリアで食べて」と手作りの漬物やおにぎりを持たせてくれる方もいます。

寺子屋が終わるとメンバーの口からは「楽しかったね」「人の温かさにたくさん触れたね」という感想が何度もこぼれます。

南三陸のみなさんと、子どもたちと、私たちボランティアの、それぞれの思いが重なって寺子屋は続いてきているのだと思います。

これから南三陸が新しいまちに生まれ変わっていく様子を見ること、そしてちびっこだった子どもたちが立派に成長していく姿を見ることが、私たちの何よりの楽しみです。

よく学びよく遊ぶ!夏・冬の「寺子屋」開催 / UT-OAK震災救援団(寄稿)

いいね!して
南三陸を応援

フォローする