脱炭素社会に向けた鍵の一つ!「ブルーカーボン」に見る志津川湾の可能性とは

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2050年までの「脱炭素社会」の実現を目指す日本。そんな中、注目を集めるのが海の植物による炭素吸収「ブルーカーボン」。ラムサール条約にも登録され、豊かな資源を誇る志津川湾だからこそ、今後地域にとって重要なキーファクターになる「ブルーカーボン」について紹介していきます。

世界的な温暖化は地域にとっても大きな影響をもたらす

記録的な高温や集中豪雨、台風など地球温暖化の影響とみられる異常気象が増える中、「脱炭素」が世界的なキーワードとなっています。2016年11月の「パリ協定」発行により、世界各国で温暖化への対策対応が本格化。日本政府は、2030年度までに二酸化炭素(CO2)をはじめとする温室効果ガスを46%減少させ、2050年までの脱炭素社会実現を目指しています。

温暖化の影響は、南三陸町にとっても他人事ではありません。ここ数年、南三陸町の海で穫れる魚種に変化が見られています。これまで獲れなかったイセエビが水揚げされていたり、タチウオ釣りがブームになるほどタチウオが北上していたり、熱帯魚が冬を越して大きく生長するなど、海水温の変化により志津川湾に生息する魚種に変化があることが分かります。そのなかでも大きな影響となっているのは、シロザケの水揚げの減少です。復興の原動力の一つともなってきた南三陸名物のキラキラいくら丼はシロザケの水揚げ減少により、中止に追い込まれてしまうなど温暖化の影響は私たちの生活とも無関係ではなく、地域経済にも大きな影響を及ぼしています。

注目を集める「ブルーカーボン」

脱炭素社会の実現に向けては、そもそも再生可能エネルギーへのシフトなどを中心にCO2排出量を「減らす」ことと、森などの働きによってCO2を「吸収する」ことの組み合わせが必要となります。

そのなかで注目を集めているのが、海の植物による炭素吸収「ブルーカーボン」です。「ブルーカーボン」という言葉が一般的になったのは2009年に国連環境計画の報告書内で登場したことがきっかけ。

そんな今まさに注目を集める「ブルーカーボン」について考えようと、南三陸ネイチャーセンター友の会主催の第24回南三陸自然史講座にて、太齋彰浩さん(一般社団法人サスティナビリティセンター代表理事)を講師として「ブルーカーボンの取説〜南三陸での活かし方〜」が開催されました。

町内の一次産業に関わるメンバーなど約10名が集まり意見交換

豊かな志津川湾に広がる可能性

2018年10月、歌津・志津川・戸倉の海域を含む南三陸町沿岸が「志津川湾」としてラムサール条約湿地に登録。海藻の藻場としては、日本国内で初めての登録になります。志津川湾の最大の特徴は藻場の多様性です。マコンブやアラメ、アカモクなどの海藻が岩場に海の森を作り、アマモなどの海藻が砂地に海の森をつくります。

絶滅危惧種にも指定されているタチアマモの草原や、冷たい海域に生長するマコンブと温かい海で生長するアラメが共存する南三陸の海は世界的にも貴重な資源の宝庫とされています。

その藻場が脱炭素に向けた鍵を握っています。

約50年で生長が止まってしまう木の場合、効率的に炭素を吸収できるのが50年ほど。腐って分解されたり燃やされてしまうと、貯留した炭素が放出されてしまいます。それに比べてブルーカーボンは、炭素の貯留される場所が泥地や、深海で放出されることがない場所。何百年何千年という単位で貯留し続けておくことが可能とされています。そもそもの吸収速度も陸上に比べ10倍早いと言われており、吸収速度の面でも、吸収の安定性においてもブルーカーボンが注目されています。

地域戦略としてどのように関わっていくのかが大切

こうした海洋資源に恵まれている南三陸町ではどのようにするのか?という議論が大切になってきます。

「この問題は、地域のエネルギーどうするの?という根本の部分への問いかけでもあると思っています。まさに南三陸の地域戦略として考えていかなければなりません」と太齋さん。

特に注目されているのが、ブルーカーボンの取り組みを評価し、その活動によって生み出されたCO2吸収分をクレジットとして売り出し、企業などが買い取る「ブルーカーボン・クレジット」の仕組みです。

CO2排出量の多い企業などが、直接CO2の排出量削減することが難しい場合、この「クレジット」を購入することで、間接的に排出量削減につながり、地域側ではクレジットの販売によってさらに活動を加速させ、持続化することができるという仕組みです。

「ブルーカーボン・クレジット」は希少性も高く、注目度も相まって、「グリーンカーボン・クレジット」取引の5〜6倍の価格で取引されているという事例からも注目度の高さが伺えます。

これまでの傾向として、単純に吸収量の多さによって購入されるのではなく、その取組自体に付随する付加価値の高さによって注目を集めていると話します。クレジットをどのように使っていくのか、意味のある使い方をしているところが選ばれる傾向にあるため、地域のプレーヤーが連携ししっかりと考え、議論していくことが大切です。

世界に誇る志津川湾をどのように活用していくのか。

それは地域の未来だけに留まらず、「脱炭素社会の実現」という現代の最重要課題の一つにも大きな意味をもたらすものになるかもしれません。

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