3年ぶりの開催!立教女学院小学校の南三陸スタディツアーを大学生がレポート/東北文化学園大学インターンシップ寄稿記事

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9月12日から9月14日の3日間、南三陸町を訪れた立教女学院小学校6年生33名と行動を共にしました。今回はインターンシップとして、東北文化学園大学通っている私たち2人が一緒に活動したことについてお伝えしていきたいと思います。ぜひ最後まで読んでください!

はじめに

私たちは東北文化学園大学現代社会学科現代社会学部社会福祉学専攻の2年生です。今回私たちは南三陸研修センターでのインターンシップで「南三陸まなびの里いりやど」に宿泊しながら、立教女学院小学校のスタディツアーに3日間同行させていただきました。

いりやどは、震災後に作られた施設で、宿泊業務の他に若い世代が集い学びの拠点となる施設を運営しています。震災後に立教女学院が南三陸への支援を続けていただいたことをきっかけに、南三陸町との交流が始まりました。2014年から毎年開催されていたスタディツアーは、新型コロナウイルスの影響があり2年間は遠隔で行われていましたが、今年はさまざまな感染対策を行ったうえで、3年ぶりにリアルツアーを開催することができました!

私たち2人は、スタディツアーに同行させていただきながら、南三陸町の農業、漁業、林業の他に東日本大震災の被害と今までの歩みを立教女学院小学校の児童と一緒に学びました。その様子をレポートします!

「何よりもまず自分の命を守る」ことを教わった震災学習

1日目には、石巻の旧大川小学校と南三陸町の旧戸倉中学校と南三陸震災復興祈念公園に向かいました。旧大川小学校では、三條すみゑさんに東日本大震災当日に起きた出来事をお話していただきました。皆さんは大川小学校のことを知っていますか?大川小学校は、東日本大震災での犠牲者が多く出た学校です。なぜ多くの犠牲者が出てしまったのかを三條さんに話していただきました。その話を小学生は真剣に見聞きし、なぜこのようなことが起こってしまったのか、これから生きていく上で大切なことを学んでいる様子でした。

大川小学校のできごとを三條さんから聞く子どもたち

その後バスに乗車して海岸沿いを北上。南三陸町の旧戸倉中学校と南三陸震災復興祈念公園に向かい、佐藤誠悦さんに東日本大震災の実際の体験をお話していただきました。元消防職員の佐藤誠悦さんは、東日本大震災では消防隊員の指揮隊長。震災での悲劇やどのような気持ちで救助を行ってきたかなどを話していただき、「何よりも自分の命が大事だ」と子ども達に力強くメッセージを送っていました。小学生達は、東日本大震災の時の記憶がないために実際に何があったのか、本当に大切なことは何かをしっかりと学んでいる様子でした。

熱いメッセージを送る佐藤誠悦さん
真剣に耳を傾ける子どもたち

なぜ豊かな海が育まれるのかを探る体験学習

2日目は、南三陸の豊かな森里海をフィールドに、さまざまな体験活動を行い、震災からの復興や自然との共生を学びました。

朝早くから歌津泊浜漁港に向かい漁業体験を実施。南三陸の主産業である漁業の現場を実際に漁師さんに案内していただく貴重な時間となりました。実際に船に乗りながらウミネコに餌をあげたり、沖合でわかめの養殖場を見たり南三陸の豊かな海を満喫。さらに、漁師さんが手書きの紙芝居で森と海の関係、世界三大漁場の一つとされる三陸沖の豊かさについて、南三陸町とSDGsの繋がり、資源循環のこと、さらには地球温暖化など現在の課題についても教えてくださいました。

次に南三陸・海のビジターセンターに向かいました。そこではセンター長の平井和也さんに、環境についてのお話を聞いたうえで、実際にビーチクリーンを全員で実施。たった1時間ほどでペットボトルや缶、ビニール、発泡スチロールのほか漁業用の網やロープなどさまざまなゴミが出てきました。

戸倉地区の海岸でビーチクリーンを実施
たった1時間で拾ったゴミ

「一見きれいな海岸だけどよく見ると小さなゴミがたくさんある」
「落ちているゴミを拾っても処分して燃やす時にお金がかかってしまい、いいことをしているのにおかしいと思う」
「海をきれいにするだけじゃなくて自分たちが住んでいる場所をきれいにしないといけない」

拾ったゴミは海で捨てられたものだけではありませんでした。私たちが住む町から川に流され海へとたどり着いたゴミがたくさんありました。ビニール袋が風に飛ばされ日光で劣化してマイクロプラスチックとなることなども学んだ子どもたち。

「ビニール袋を使わずにエコバッグを使っていきたい」「なるべくペットボトルを買わずに水筒を持っていったほうがよい」など講話とビーチクリーンを通じて環境のことを学んでいるようでした。

ビーチクリーンのあとは、子どもたちは南三陸の海藻をたっぷりと使ったオリジナルのふりかけ作りを体験しました。そこでは、たみこの海パック・阿部民子さんに手作りの紙芝居で海藻について教えていただき、普段何気なく食べている海藻の旬や資源管理のこと、養殖過程などを知ることができました。

話を聞いた後に、南三陸自慢の資源であるわかめやめかぶ、ふのり、のりなどの海藻をたっぷりと使ったふりかけ作り体験を行いました。塩蔵わかめを主にしながら、味見しながら楽しそうに作っていました。最後には自作のふりかけでおにぎりを作り、味わって食べていました。できあがったふりかけは世界で一つだけのオリジナルのふりかけ。「家族で食べる!」と南三陸の資源を使ってできたとっておきのお土産となったようです。

山の養分だけで育つりんごを丸かじり

2日目の最後には、童子山の中腹にあるりんご畑に行きりんごの収穫体験を行いました。りんご畑で阿部博之さんに陸の豊かさは海の豊かさに繋がることを教えていただきました。

お土産に2つりんごを収穫して持って帰れることに!おいしいりんごの見極め方を教わった子どもたちは目を皿のように真剣な表情でりんごを厳選して収穫をしていました。

真剣な表情でりんごを見定めます

なんとこのりんご園は数十年にわたって肥料を施していないといいます。山本来がもつ養分だけで育ったりんごを、その場でガブっと丸かじり。「スーパーのりんごより全然おいしい!」「今まで食べたりんごでいちばんおいしい」など大好評。

里の魅力をたっぷりと伝えてくれた阿部博之さん

「良い山」を育むために生まれた木材を使ったモノづくり体験

3日目は、モノづくり学習館とYES工房に行きました。YES工房は震災後に南三陸町の雇用と交流の場として、旧入谷中学校の建物を再利用しオクトパスくんや木工製品、繭細工などを制作し、南三陸町の魅力を発信しています。モノづくり学習館では大森丈広さんに山の役割として、二酸化炭素の吸収率UPと保水と土砂災害を防ぐことと生物多様性があることを学びました。そんな「良い山」にするために生まれた木材を活用したオリジナルの南三陸杉ペンスタンド作りを体験しました。

ストーリーを考えながらパーツを組み合わせていく子どもたち

なぜ全国的に放置された山が増えているのか?最後に50年育てた杉の価格を質問した大森さん。子どもたちからは「100万円!」「20万円!」などの声が上がる中、正解はなんと約5,000円ほど。子どもたちからもその安さに「えー!」と驚きの声があがっていました。良い森を作ることが豊かな海につながる。ただ木の価格が安く、放置されている山が増えてしまっている。そんなジレンマを感じていました。

山の大切さを伝えていただいた大森丈広さん
完成したオリジナルのペンスタンド

森里海が密接に連環する南三陸町。立教女学院小学校の子どもたちが楽しそうに、そして、しっかりと学んでいる様子を見ていると、単純な観光や震災学習ではなく、豊かな自然環境を生かした体験学習旅行としての南三陸のもつ可能性の大きさを改めて実感する機会となりました。

この3日間を振り返って

インターンシップに参加した油井陽花さん(前列左から2番目)と熊谷茉海さん(前列左から3番目)

陸前高田市出身の私は今回南三陸町でお話をしていただいた方々と同じように東日本大震災で被災したのですが、震災の体験や大川小学校で起きた出来事を実際に聞いて心が痛くなりました。また、今回立教女学院の子ども達と行動を一緒にしてみて子ども達の素直な感想を直接聞いて学ぶ事ができました。初めて会ったのにも関わらず、話しかけてくれたりカメラに向かってピースをしてくれた事で仲良くなれた気がしてとても嬉しかったです。将来子どもと関わる仕事に就きたいと思っているのですが子どもと関わる機会はあまりなかったので貴重な体験になりました。今回お世話になったいりやどの皆様、立教女学院の子ども達、スタディツアーでお話をして下さった沢山の方々、本当にありがとうございました。

東北文化学園大学現代社会学部現代社会学科社会福祉学専攻  2年 熊谷茉海

 

この3日間、立教女学院の子どもたちと一緒に行動して南三陸町のことを学び、自分とは違った意見や感想を持っているのを率直に感じることができました。南三陸町は私の地元の近くでありながら、知らないことも多く初めて知ることばかりでした。それと同時に南三陸町の良さを改めて知ることができました。その上で私たちには何が求められ、何ができるのかを常に考えさせられました。子どもたちも経験を通して、今まで知らなかった知識が増え将来像を確立する手助けになったのではないかと思います。そんな立教女学院の貴重な体験に同行させていただき、とても学びの多い経験となりました。今回お世話になりましたいりやどのの皆様、立教女学院の皆様、スタディツアーでお話していただきました講師の皆様、本当にありがとうございました。

東北文化学園大学現代社会学部現代社会学科社会福祉学専攻  2年 油井陽花

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