【環境大臣賞(地域コミュニティ部門賞)受賞】生ごみの再資源化への地域一丸となった取り組みを評価

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環境に優しい社会の実現に取り組む個人や団体を顕彰する環境省主催の「グッドライフアワード」で、「『森里海ひといのちめぐるまち』の実現を目指して〜産学官民が連携した生ごみの再資源化〜」が地域コミュニティ部門で環境大臣賞を受賞。生ごみやし尿汚泥を、電気、液肥に変換するバイオガスプラント南三陸BIOなど資源循環型の環境保全活動が評価されました。

多角的な連携で事業発展。地域コミュニティ部門で表彰

2015年10月に稼働したバイオガス施設「南三陸BIO」。町内の家庭や事業所から出る生ごみや、し尿汚泥などをメタン菌によって発酵処理して、バイオガスと液体肥料を生成するリサイクル工場です。

住民一人ひとりが分別という手間をかけるということが必須のシステムであるため、主体的に住民が循環の輪に加わっているほか、副産物である液体肥料の農地散布に地元企業である運送会社が参画したり、地域住民が町内の保育所や小中学校などに啓発活動を行ったり、地元高校生がどのようにしたら協力をより得られるかということを考え行動したり、地域外の企業が知見を生かして連携をするなど、多角的な関わりあいにより事業を発展させてきました。それが今回、環境省主催の「グッドライフアワード」で「地域コミュニティ部門」での表彰につながったのです。

「このように地域で取り組んでいるということを評価されたことが非常にうれしい」と南三陸BIOを運営するアミタ株式会社の野添幹雄さんは話します。

地元高校生も主体的に啓発活動に参加

地域一丸となった取り組みを象徴するのが地元志津川高校の活動です。

志津川高校が毎年開催している「志高まちづくり議会」。


その中で、「南三陸BIOの認知向上」という提案がありました。「正直認知度はまだまだ低い。より一層生ごみを分別協力してもらうために、啓発チラシを作って広報を強化したほうがよいのではないか」という提案が高校生からあったと振り返る野添さん。

「実際にその提案があったあとから、まずは高校生に取り組みを知ってもらい体感してもらおうと授業での連携を深めていきました。南三陸BIOのシステムを学ぶだけではなく、副産物の液体肥料を実際に使って作物を栽培するなど、循環型の取り組みを体感してもらいました。そうして啓発チラシを一緒に作成していったんです」

町内の保育所などで南三陸BIOの取り組みを分かりやすく紹介する紙芝居を行なっている上山八幡宮の工藤真弓さんも、高校生が主体的に関わっていくことのメリットが大きいと話します。

「地元の高校生が関わっていると地域もうれしくなる。今後は、高校生が町内の保育所に行って紙芝居を読むなど、伝承を下の世代に落とし繋いでいくことができたらよい。多世代で同じ目標に向かって走っている様子を発信したい」と工藤さんは話します。

高校生が有言実行した地域のエコシステムを体感する循環授業の様子をお届け

副産物の液体肥料で栽培された「めぐりん米」も人気

液肥散布を行うのは、地域で運送業を営む山藤運輸。「森里海ひといのちめぐるまち」という南三陸町が掲げたビジョンに運送会社としてどのように参画できるかを考えた末に、液肥散布という新規事業への参入でした。

今では量が足らないほど地域農家からも好評な液肥活用を行うにあたっては、地域から「ありがとう」と言われることが多くなったと山藤運輸の佐藤克哉さんも話します。

「地域全体が当事者になって関わり合いながらよい町を作っていこうということ。まだまだ課題もあるけれど、これまで地域ぐるみでやれたことが今回評価されたと思う。それを誇りに思ってこれからもよい町を作るために取り組んでいきたい」

2021年には、液体肥料を活用して栽培されたお米「めぐりん米」も商標登録。資源循環の取り組みをブランド価値として高めていくためにも大きなきっかけとなるかもしれません。

地域外からも循環の輪に参画

南三陸の循環システムには町外の企業も参画しています。その一つがNECソリューションイノベータ株式会社。アミタ株式会社と協力し、ICTを活用して生ごみの回収状況を可視化するシステムや、資源回収拠点に掲示された感謝状の有無による回収状況の比較や効果の測定などに取り組んできました。

「南三陸の取り組みは素晴らしい取り組みだと感じており、将来的により一層波及していくのではないかと考えている。その取り組みに共感し、可能性を感じています」とNECソリューションイノベータ株式会社イノベーション推進本部の日室聡仁さんは話します。

「いのちめぐるまち」の実現に向け加速

このように町内外の多くの人が主体的に関わることで実現されるエコシステムが南三陸BIOの特徴です。

「生ごみ収集の計画値にはまだ達していない。これを機会にこの取り組みを一層多世代に広めて、主体的に関わっていく人を増やしていきたい。まだまだ伸びしろはたっぷりある」と話す野添さん。

東日本大震災からまもなく11年。今回の環境大臣賞の取得をひとつのきっかけとして、あの時の反省や教訓から生まれた全町民が主役となるエコシステムが、より一層大きな輪となって広がっていくことが期待されます。「いのちめぐるまち」の実現に向けて、これからも歩みを止めることはありません。

 

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