一本松に代わる入谷の新たなシンボルへ。サクラを植樹

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入谷地区のシンボルだった一本松が樹の寿命により今年4月に伐採。新たなシンボルとして、震災後南三陸町でサクラの植樹を行うLOOM NIPPONがサクラを寄贈。5月12日に、一本松があった場所で、地域住民・支援者が集うなか植樹が行われました。

地域のシンボル・入谷一本松

南三陸町の里山・入谷地区で長くシンボルとして存在していた「一本松」。樹齢は300年以上とも言われ、樹高約15m、根本周は約4m、根張りは直径約10mとも言われるほどの大木(南三陸町VIRTUAL MUSEUMより)。

秋の風物詩入谷八幡神社例大祭の際に、神社から下った神輿が休憩する御休み場でもありました。この場所から神社に向かって祝詞を上げ「入谷打囃子」が演じられる、地域のシンボルでした。

一本松のふもとで行われる入谷打囃子の奉納(写真提供:一般社団法人南三陸研修センター)

しかし町内広く被害が及んでいる松くい虫の影響や、樹齢を重ねたことによる寿命などを理由に数年来、樹が衰えていました。さまざまな専門家も交え、樹の延命措置を図ろうともされましたが、倒木の恐れがあることなどから4月に根本から伐採。

伐採される一本松(写真提供:一般社団法人南三陸研修センター)

「平成の終わりとともに、入谷の大きな区切りのできごと」と地元住民もせきりょう感を漂わせていました。

新たなシンボルへ桜を植樹

それに代わる新たな樹木として、約4mのソメイヨシノが2本、かつて一本松があった土地に植えられました。LOOM NIPPONの支援者や町内の関係者が多く詰めかける中、「入谷地区の新たなシンボルとして末永く成長し続けてほしい」との願いを込めながら参加者が順番に土をかけていきました。

早ければ来年にも花を咲かせるという桜。秋の例大祭のときのみならず、春にもこのシンボルのふもとで町民が顔を合わせ、憩いの場となり、「令和」そして次の時代でのシンボルとして地域内外から愛されることが期待されています。

植樹前に行われた神事

サクラの樹を寄贈したのは、震災後、南三陸町内でサクラの植樹活動を継続して実施している一般社団法人LOOM NIPPON。

「Love Of Our Motherland」の頭文字をとった「LOOM」。郷土を愛する心をあわせ、大きな被害を受けた被災地を支援したいという想いが込められているといいます。

2012年から始まった「SAKURA PROJECT」も8年目。これまでに約1200本の桜を町内に植樹してきました。そうした活動が評価され、LOOM NIPPON代表の加賀美由加里さんは、「日本さくらの会平成31年度全国さくら功労者」にも選定。

「南三陸の桜が、桜名所100選に選ばれ、美しい南三陸に少しでも多くの観光客が訪れてほしい」と今後の希望を話す加賀美さん。LOOM NIPPONでは、震災から20年となる2031年までに3000本の桜の植樹を目標に活動を続けていく計画です。

植樹を行うLOOM NIPPON代表の加賀美由加里さん(写真右)

植樹祭を記念してコンサート開催

植樹に先だって、南三陸町ベイサイドアリーナを会場に、「桜植樹祭記念コンサート」が開催されました。

記念コンサートには朝の情報番組「ZIP」の2016青空キャラバン・パーソナリティのセレイナ・アンさんをはじめとして、南三陸町のコーラスグループ「コール潮騒」の合唱、「大森創作太鼓」、「入谷婦人会」、「友美会」によるトコヤッサイが披露されるなど会場を盛り上げました。

「第一回目の植樹祭を戸倉中学校で開催してから8年目を迎えられたことを、関係者のみなさまのご協力に御礼申し上げたい」と述べるのは佐藤仁町長。予想よりもだいぶ早く植樹した桜のもとでお花見をできるとは思ってもいなかったと、昨年開催された植樹祭の花見のことを振り返り、目を細めていました。さらに、「現在工事を進めている震災復興祈念公園でも桜を植えて公園を整備していきたい」と今後の展望を話しました。

成木になるまで30年と言われるサクラ。10年、20年と、これから成長をしていく南三陸の町と共に、サクラも大地に深く根を張り、大きく、太く育っていくことでしょう。

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