超大型連休となった今年のゴールデンウィーク。町内ではさまざまなイベントが開催されました。中でも震災前ゴールデンウィーク一番の賑わいを見せた潮騒祭り。震災がありながらも地元有志によって復活を遂げ、今年で6回目を迎えました。復活した潮騒祭りの様子とボランティアに来ていた埼玉工業大学「M3ゼミ」の活動の様子をお届けします。
復活!ゴールデンウィーク恒例「潮騒祭り」
5月に入った途端、快晴の日が続いたGW。そんな中、3日〜5日に開催された「復活潮騒祭り」。震災前から旧志津川町(現南三陸町)と旧北上町(現石巻市)の水産業者などによって開催されて来たこの祭りのメインは、もちろん朝水揚げされたばかりの新鮮な海産物。漁師が自ら育てた自慢の海産物を浜値で提供していました。
しかし震災があり、一時は中断。2014年に南三陸町と石巻市の地元有志によって復活を遂げ、今年で6回を迎えました。会場設営にかかる経費は出店者が出し合い、テントや音響機材などはレンタルや持ち寄ることで行っています。今年は南三陸町・石巻市から12店舗が出店。会場には多くの観光客が訪れ、これからが旬であるホヤの詰め放題や海藻類、ホタテなどが販売され活気立っていました。
埼玉の郷土料理「煮ぼうとう」の販売に挑戦!
海産物を販売するお店が並ぶ中「埼玉工業大学」の看板が!2年前から毎年南三陸町を訪れさまざまなボランティア活動をしている埼玉工業大学「M3ゼミ」の学生たち。ちょうど1年前にも訪れ、植樹祭とお花見会のボランティアを実施しています。「何事も楽しくなければ続かない」をゼミのモットーに掲げ、学生が主体となり、訪れる度に町内で様々なボランティア活動をしています。
今回は復活潮騒祭りで2日間の営業に臨んだ学生たち。埼玉県深谷市の“郷土料理煮ぼうとう”の販売とバスソルト作りに挑戦しました。初日は思うように売れず苦戦。宣伝方法や商品の見せ方を見直し、工夫することで100食ほど仕入れた“煮ぼうとう”も2日間で完売。店の前では試食も提供され、物珍しさに足を止めて試食をして行く人も多くいました。
イベント時間に驚き!肌で感じた地域性
南三陸町を訪れるのが4回目という3代目ゼミ長の黒島大雅さん。現3年の黒島さんは1年生のときに初めて南三陸町を訪れました。群馬県出身で、東日本大震災当時もそんなに揺れることなく被害もほとんどなかったため、南三陸町もそこまで大きな被害ではないと思っていたそうです。宿泊先の震災を振り返るビデオを見て、自分が体験した状況よりも深刻だと感じ、考えを改めるきっかけとなりました。「お金を落とすことが復興」と言い、さんさん商店街で人一倍買い物をして帰ったと初めて訪れたときを振り返ります。
そんな黒島さんは一言でもお客さんと言葉を交わすことを心掛けていました。言葉を交わすことで、震災当時のことや復興への想いを聞くことができるためです。「少しずつでも知ることで次の活動に繋げていきたい」と話し、何より今回の活動で「地域性の違いを感じた」と言う黒島さん。「味付けの違いはもちろんだが、イベントの開始時間が早く、お客さんも早くから来るのには驚いた」と話します。他の学生たちも違いを感じており、バスボム作り体験を担当していた学生は、「子ども達がすごく素直で、明るく、雰囲気も何か違う」と話していました。
「教育は教えないこと」実践での学び
「学内でも課外活動をメインとしたゼミは他にない」と話す、M3ゼミ担当教員の松浦宏昭准教授。松浦先生は恩師から「教育は教えないこと」だと教わったそうです。松浦先生もその教えを大切にしており、学生が自ら考え行動することで新たな学びに繋がると考えています。学生主体のこのゼミ活動はそういった松浦先生の考えがあって実現。「大学近郊での地域連携は盛んだが、他地域との繋がりを図っていきたい。別の地域で活動することで、その地域の特性や価値観を学ぶことができる」と話し、今回の活動だけでも学生たちは地域性や価値観の違いを、身を持って感じているようでした。
ゼミ長黒島さんは「戻ってからはこの繋がりを絶やさないようまずは新入生をしっかり集めたい」と話します。継続的な活動により、ますます繋がりが増え、できることも増えているという埼玉工業大学「M3ゼミ」の活動。今年度は冬にもう一度訪れたいと話しており、これからも続く活動と繋がりに期待が高まります。
また復活から6回目を迎えた潮騒祭り。今後どのような賑わいを取り戻し、さらなる発展を遂げるのか注目です。