学びと出会い。米日の高校生が南三陸で過ごした4日間。

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「TOMODACHI米日ユース交流プログラム」 で、アメリカと日本の高校生12人が南三陸町を訪れました。レジリエンス、持続可能性、コミュニティなどをテーマに視察や交流を実施。高校生たちはどんな体験をしたのでしょうか?

「TOMODACHI米日ユース交流プログラム」って?

「TOMODACHIイニシアチブ」って知っていますか? 東日本大震災後の復興支援から生まれ、公益財団法人米日カウンシルージャパンと在日米国大使館が主導する官民パートナーシップです。教育、文化交流、リーダーシップなどのさまざまなプログラムを通して、日米の次世代リーダーの育成を目指しています。

そのひとつに「TOMODACHI米日ユース交流プログラム」があります。これは、日米の高校生が双方向での交換留学を通し、異文化に対する気づきや理解を深め、社会起業家としての精神や地域コミュニティに対する社会貢献のあり方を学ぶもの。ワシントンD.C.の公立高校、東北出身のTOMODACHIプログラム経験者、神奈川県の慶応湘南藤沢高校から参加者が選ばれます。

2018年は7月14日〜8月14日に実施され、ワシントンD.C.の高校生6名、東北の高校生3名、関東の高校生3 名の合計12名が参加。東北プログラムでは南三陸町も訪問し、視察・研修を行い、地域の人々と交流を深めました。参加した高校生たちは、南三陸町で何を見て何を感じ、どんな学びや気づきを得たのでしょうか…?

「TOMODACHI米日ユース交流プログラム2018」の参加高校生たちとスタッフ・関係者のみなさん。2018年8月13日に東京で行われた発表会にて

 

南三陸町でレジリエンスと持続可能性について考える。

「TOMODACHI米日ユース交流プログラム2018」では、まず日本の高校生たちがワシントンD.C.を訪れ、約2週間滞在。その後ワシントンD.C.の高校生たちと一緒に帰国し、東京および東北で約2週間のプログラムを行いました。東北プログラムでは、気仙沼、南三陸、松島を訪問。被災地で、レジリエンス、持続可能性/自然との共生、地域社会の発展などについて学びを深めました。

南三陸町には8月6日から4日間滞在。1日目に佐藤町長から復興の道のりや「持続可能なまちづくり」について話を聞き、2日目は「海と森の持続可能性」をテーマに、戸倉地区の漁師・村岡賢一さんと、入谷地区で林業を営む佐藤太一さんを訪ねました。

「漁師の番小屋」にて、村岡さんから話を聞く参加者たち
おいしい海鮮バーベキューのお昼ごはんをいただいた後に記念撮影
南三陸町は海のイメージが強いが、林業も主要産業のひとつ。南三陸杉は国際的なFSC認証を取得している

 

3日目は、オクトパス君グッズを製作する「入谷YES工房」、生ごみから液肥やエネルギーをつくるバイオガス施設「南三陸BIO」、地域リソースを活用して持続可能なまちづくりに取り組む「Next Commons Lab南三陸」のサステナビリティ・センターを訪問・見学しました。

「入谷YES工房」の前で、オクトパス君の生みの親である阿部忠義さんと記念撮影
2015年10月に開設したバイオガス施設「南三陸BIO」
メタン発酵を行う巨大なタンクの前で

 

4日目は、終日ポータルセンターにてディスカッションやワークショップ。レジリエントで持続可能なコミュニティをつくるにはどうすればよいか…。「レジリエンス」「自然との共生」「コミュニティづくり」の3グループに分かれて、アクションプランづくりを行いました。

アイデアを出し合い真剣に話し合う高校生たち
各グループがまとめた内容をシェアし、互いにアドバイスし合った
ホワイトボードを使って案を説明。夕食直前まで話し合いは続いた

 

高校生たちが学んだこと、感じたこと。そしてこれから。

東北プログラムを終えて東京に戻った高校生たちは、2日間の準備を経て、8月13日に発表会を行いました。プログラムを通しての気づき、発見、学び、出会いなどについて、スライドや動画を使ってプレゼンテーション。南三陸町で作成に取り組んだ、「レジリエンス」「自然との共生」「コミュニティづくり」各テーマのアクションプランも発表しました。

発表会でプレゼンテーションを行う日米の高校生たち
南三陸町での活動について説明する東北の高校生(右)

発表を終えた高校生たちに話を聞きました。仙台市の高校に通う3年生の田村渓一郎さんは、「ワシントンD.C.に行ってから日本に戻ってきたことで、今までと違った目で自分の国や地元を見るようになりました。外からの視点が加わったことで、新たな気づきがたくさんありました」とのこと。同じく仙台市の高校に通う2年生の中鉢乃杏さんは、ホストファミリーとの交流やシェアハウスでの共同生活がよい経験になったようです。お二人に南三陸町の印象を聞いたところ、「食材のすばらしさ・おいしさです。特にウニや牡蠣など新鮮な海の幸は最高でした!」と口をそろえて答えました。

また「南三陸町でもっとも印象深かったのは“人”です」と答えたのは、ワシントンD.C.の高校生Carlos Ramirez(カルロス・ラミレス)さん。「今なお町は複雑な状況下にありますが、それでも人々は笑顔と希望を忘れていないことに感銘を受けました」と話しました。

左から、仙台市の高校に通う中鉢乃杏さんと田村渓一郎さん、福島県いわき市の高校生松本楓花さん、ワシントンD.C.の高校生Carlos Ramirez(カルロス・ラミレス)さん

日本側でプログラムをコーディネートしたCommon Earth株式会社の葉山志乃布さんは、次のように話します。「このプログラムは今年で6年目になりますが、復興のステージが変わるにつれて、学びのテーマやフォーカスも少しずつ変えています。今年の特徴は、『“グローバルコミュニティ”の観点からどのように社会変革を起こせるか?』ということを念頭に、プログラム後にも日米で協働してプロジェクトに取り組めるように工夫したことです。アクションプランを発表して終わりにならないように、具体的なファーストステップも考えてもらいました。これからの日米のコラボレーションが楽しみです!」

またアメリカ側のコーディネーター、Sally Schwartz(サリー・シュワルツ)さんは、「アメリカの高校生たちにとっては、東京よりも東北のことのほうが心に残っています。特に東北の人々の温かさに感動していました。オープンかつフレンドリーで、自分の感情を正直に話してくれたみなさんに感謝しています」と話しました。

事後にも交流が続くのがこのプログラムの特徴。今回南三陸町を訪れた高校生たちが、いつか再び町に来てくれますように…!

プログラム最終日、1か月を振り返り、別れを惜しむ高校生たち

 

 

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