自由に表現しよう! 東京の学生がアートワークショップを実施。

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2018年8月30日~9月10日に、南三陸町の幼稚園や学童保育、社会福祉施設などで、東京の学生たちがアートワークショップを実施しました。どんな活動が行われたのでしょうか? リーダーの松尾美沙さんに話を聞きました。

惑星、宇宙船、UFO…。あさひ幼稚園に宇宙空間が誕生!

暗くなったホールで、糸で吊るした作品を懐中電灯で照らして楽しむ子どもたち

「このワークショップでは、『宇宙には何があるか知ってる?』という問いかけから始め、子どもたちに自由な発想で自分が作りたいものを作ってもらえるように心がけました」と松尾さん。宇宙をテーマにしたのは、「企画・サポートする側の私たちも見たことがないものだったから」とのこと。「子どもたちに自由に発想してもらうには、私たちも固定観念・既成概念にとらわれてはいけないと思ったのです」と話します。

「最初は見本通りに作ろうとする子どもたちが多かったのですが、工夫を促すちょっとした声かけや、自由にやっていいよ、ゆっくりマイペースでいいよという雰囲気づくりによって、次第に子どもたちものびのびと作品作りに取り組むようになり、うれしく思いました」。子どもたちの変化を目の当たりにし、松尾さんの心に残るワークショップになりました。

「何を作ろうかなぁ」。用意されたさまざまな材料を吟味する子どもたち
松尾さんらの声かけによって、子どもたちの発想は次第に豊かになっていった
思い思いに作品を作る子どもたちと、それを見守りサポートする大学生
鑑賞タイムにはユニークな宇宙空間を楽しんだ

多くの人にアートの楽しさを伝えたい! その想いが原動力。

松尾さんはもともと、東北沿岸部にはよく足を運んでいました。南三陸との関係を深めるきっかけになったのは、大学の卒業制作で使う被災木を南三陸から取り寄せたこと。そのときお世話になった南三陸研修センターの阿部忠義さんに声をかけてもらい、2018年3月に「アーティストインレジデンスプログラム」で南三陸に滞在し、仲間の学生8人と一緒に町内10か所でアートワークショップを行いました。2回目となる今回は8か所で実施。2回続けて行ったところもあります。

伊里前保育所で行った「とうめいお絵かき」では、透明のシートにクレヨンで絵を描いた
透明シートの下に色画用紙を入れると、また違った見え方に。子どもたちはカラーセロファンにも興味津々

ワークショップはすべて内容が異なります。まず訪問先でヒアリングを行い、どんなワークショップがよいかを検討。ひとりの学生が中心になって企画を考え、当日の運営は全員で協力して行います。終わった後は振り返りをして、また次のワークショップの準備に取りかかる…。滞在中は大忙しです。

歌津学童では「夢のドリームハウス」と題して段ボールの家を制作。写真は、友達が作った段ボールハウスをみんなで鑑賞している様子
志津川保育所では「ストロービーズでなにしてあそぶ?」というワークショップを実施。たくさんのストローにテンションが上がる子どもたち

最後の2日間には、南三陸さんさん商店街の「NEWS STAND SATAKE」で、「こ~んなこどもたちとであえたよ。展」と題した展覧会を行いました。「町の人たちに伝えたい」と、ワークショップ中の写真や完成した作品を店内に展示し、活動の様子を紹介。ワークショップに参加した子どもたちやその家族の人たちが見に来てくれました。

「NEWS STAND SATAKE」の壁にはカラフルな写真や作品が飾られた
展示会では「ゆらゆらモビールづくり」のワークショップも同時開催。色とりどりの作品が生まれた

「アートワークショップを2回行って、幼稚園の先生方が日々の活動にアートを取り入れるようになられたりと、手ごたえを感じています。町全体で展開する活動だったので、おもしろかったし達成感も大きいですね。来年春から教員になるので、今後の活動は私が関わっている『NPO法人こどもアート企画motto』に引き継ぐつもりです。そしていつか、自分の生徒を南三陸に連れてきて活動したいです…!」と話す松尾さん。

南三陸が少しずつアートな町になっていくかも…? そう考えると、何だかわくわくしますね。

「反省することも多々ありますが、南三陸のみなさんに支えられて、最高の活動になりました」と振り返る松尾さん

 

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