志津川湾って、すごい!シリーズvol.6「サケがこんなにやってくるのか」

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シリーズも6回目に突入し、季節も夏から秋に…。秋と言えば芸術?読書?スポーツ?いや食欲の秋!?今回は食欲の秋ということで志津川湾にやってくる美味しいサケについて説明したいと思う。

サケの種類について

日本では一般的にサケと言えばシロザケのことを指す。

日本で最も多く流通していて、日本人には一番馴染みのあるサケだ。スーパーなどで、販売されている商品で新巻、塩鮭、缶詰、スジコなど、おなじみの製品に使われている。南三陸町の人々にとってもとても身近な魚だ。

学術的にサケと言えばサケ属の魚を指す。

シロザケ・ベニザケ・ギンザケ・カラフトマス・サクラマス・マスノスケ・ニジマスの7種(サケ属)が代表的な種類だが、近年輸入されているサルモ属のタイセイヨウサケもサケとしている。

そもそもサケと言ったりマスと言ったり同じ仲間じゃないのか?と疑問に思わる方もいるのではないだろうか?呼び方の違いについては、サケは一生を淡水で生活するものと、一生のある時期に海で生活をおくるものとに分けられるのだが。英語では、淡水生活をおくるものをトラウトtrout(日本語訳はマス)、海に降りるものをサーモンsalmon(日本語訳はサケ)と呼び区別する。日本語でも、サケ属の中で降海する種にはサケを、サケ科の中で淡水生活をおくる種にはマスと付けた名称が使われている。
サケ、マスの名称はきわめてあいまいに用いられており、現在でも、厳密に区別されているとは言い難い状況にある。英語でも、サケ、マスの区別のあいまいさは存在している。サケ、マスは厳密に区別されていないのが実情であるが、結局のところ呼び方が違っていても同じサケの仲間という点では変わりないということだ。

南三陸で親しまれているギンザケとシロザケ

そのサケの種類のなかでも、南三陸町で親しまれているのはギンザケとシロザケである。

まずはギンザケについて簡単に説明すると、分類:サケ科サケ亜科サケ属、学名:Oncorhynchus Kisutch(Walbaum)、英名:Coho salmonと言う。体は一様に銀白色で、尾びれのつけ根がほかのサケより太いのが特徴だ。天然のギンザケは北アメリカの太平洋側に広く分布していて日本の河川ではあまり見られず、アメリカ人には釣りの対象魚として知られている。

南三陸町ではリアス式の良湾を活かして養殖が盛んに行われており、焼いて塩焼きやバター焼き、生で刺し身、揚げてフライにするなど、とても応用範囲が広い食材として人気がある。ギンザケの養殖ついてはvol.4でもふれていて、くどくなるが改めて。志津川湾はギンザケ養殖の発祥の地で、水揚げが日本一の場所なのだ!

非常に厳しいサケの一生

そしてこの時期にサケをテーマにするのは、シロザケが志津川湾に帰ってくる時期だからだ。

シロザケのことを詳しく説明しよう。

シロザケはサケ科サケ亜科サケ属の魚で、学名を:Oncorhynchus keta(Walbaum)、英名:chum salmon 、dog salmonと言う。体長約1mで、体側や尾びれに黒色点がほとんどなく、腹は銀白色をしている。

産卵期の雄は、上顎の突端が極端に下方に曲がるという大きな特徴があり、いわゆる「鼻曲がりザケ」になる。川に戻る直前の銀色に輝いているものをギンケというのだが、川を遡上していくうちに変わるのをブナケするという。

この産卵だが、彼らは母川回帰といって、生まれてから4〜5年間北太平洋で回遊して豊富なエサを食べ大きくなってから、産卵をしに生まれた川に戻ってくる。自然に生まれて自然に帰ってくる天然サケの回帰率は0.1〜0.5%と非常に低く、厳しい人生いやサケ生を送っている。

この回遊し回帰してくるという彼らの生態を活かして、南三陸町ではシロサケの孵化(ふか)放流事業をおこなっている。川に遡上してきたサケを捕まえて卵をとり、施設にて孵化させて放流し、帰ってくるサケを漁獲するという事業だ。孵化放流をおこなうと湾まで戻ってくる回帰率が4%にもなって漁獲が上がる。南三陸町は宮城県内でも有数のシロザケの生産地で、震災以前は県内1位の水揚げ量だった。

統計を見ると、ギンザケを除くサケ類は、震災前の平成20年度は3394.1tで12億9百万の水揚げ、平成21年度は3722.6tで9億77百万の水揚げがあり宮城県内1位の水揚げ量だった。この頃は放流数も1243万6千尾、1114万9千尾と非常に多かった。

この放流だが、震災の影響で平成24年度の放流数が273万6千尾に減ってしまったので、回帰してくる4 年後の平成28年度の水揚げは668tで4億24百万円となってしまっている。しかし、この放流数も平成28年度には957万1千尾と増えてきているので、今後の回帰数・水揚げ量回復を期待したいものだ。

ともあれ、こんなにもシロザケが帰ってくる湾が自分たちの目の前にある。すごいことだと思わないか。志津川湾ってすごい!

南三陸・海のビジターセンターには鮭の一生を体感できるゲームもある

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