被災した町役場が再建。町民に親しまれる庁舎を目指す

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東日本大震災から6年半。全壊した南三陸町役場の新庁舎が完成し、9月3日に記念式典が開催されました。真新しい庁舎に「感慨ひとしお」と話す佐藤仁町長。「広く町民にひらかれた、共有の場」としての役場庁舎は生まれ変わりました。

町民の防災拠点としての役割

東日本大震災によって被災した南三陸町役場庁舎。これまで仮設庁舎にて業務を行っておりましたが、平成29年8月に新庁舎が竣工、9月3日には記念式典が執り行われました。

テープカットを盛り上げた大森創作太鼓旭ケ浦のみなさん

東日本大震災の教訓をもとに、標高60メートル以上の高台に建設された新庁舎。非常用発電は7日間連続で運転可能なものとなり、さらに、太陽熱、地中熱、木質ペレットなどさまざまな再生可能エネルギーを使用するなど住民の安全安心を支える拠点としての役割が期待されています。

鉄筋コンクリート3階建ての建物は震度7の地震にも耐えられる設計で、庁舎内に災害時の拠点となる「防災対策室」が備えられています。

南三陸病院やベイサイドアリーナに隣接していることも災害拠点として強みとなる

住民に親しまれる役場を目指して

また佐藤町長も「最大のこだわり」と話すのが、エントランスに広がる「マチドマ」というスペースです。

大きくとられた空間で、町民と町との間でさまざまなコト(活動)が起こることを期待している

「これまで町役場というものは、どこか敷居の高いものとなっていた。たくさんの町民のみなさんに、この場所にお越しいただいてお茶を飲んだり、楽しく、賑やかに過ごしてもらえればと思います」と佐藤町長は話します。

カフェやセミナー室を備え、パブリックビューイングなどイベントも開催できる「マチドマ」は町民が自由に使うことのできるスペース。古くから日本家屋にあった「土間」という空間のように、町民が利用できる「まちの土間」が「マチドマ」なのです。

さらに窓を大きくとり、自然光をふんだんに取り入れるなど、町民が気軽に、そして、快適に過ごせるように、との想いが新庁舎にはあらわれています。

サインは「きりこ」をモチーフに。細かなデザインにも気が配られている
南三陸でおなじみのモアイやタコのキャラクターがガラスの衝突防止サインとして活躍

公共施設として日本初の認証を取得

また南三陸町の新庁舎は公共施設としては国内初となる「FSC®全体プロジェクト認証」を取得しました。屋根を支える構造材の梁、床や壁の下地材、天井等の仕上材や家具など南三陸杉をふんだんに使用。新庁舎で使用されている93%の材が認証を取得した南三陸杉で占められています。

「『命が巡っていく循環型のまちづくりをしたい』という想いを南三陸町で聞くことができ、持続可能な町づくりをめざしてきた。そして日本で初めてのFSC®全体プロジェクト認証を取得することができた。これはまさしく復興、そして創造のシンボル。町民の想い、行政の想いが結晶となってこの庁舎に詰まっている」と審査を行ったアミタホールディングス株式会社代表取締役会長兼社長熊野英介さんが認証伝達式にて話しました。

認定証を授与するアミタホールディングス株式会社代表取締役会長兼社長熊野英介さん
公共施設としては国内初となるFSC®全体プロジェクト認証を取得

「このプロセスにあたっては、とくに建設業者の方など多くの人に多大な苦労をかけた。加工・流通過程の管理認証(CoC認証)を取得してもらうなど、多くの人の協力のおかげ成り立っている。木を使用した施設のモデルとして改めて木のよさを発信することのできるモデルとなるような施設となればいいと思います」と話す佐藤町長。

南三陸が誇る森資源のショールームとしての役割も、街の玄関口である新庁舎には求められています。

庁舎内を歩けばどこでも木を感じることができる

さまざまな人の想いを背に

「防災庁舎で被災して町がすべてなくなって、このように町が再建できるとはあのとき正直に思ってもみなかった。今日このように関係各社、全国や世界のみなさまから温かい励ましを受けながらここまでこれたんだなって改めて実感しています

残念ながら庁舎で43名の方が犠牲、行方不明となった。みなさんも今日どこかで見てくれているんだと思います。その方々の想いもともに、改めて気を引き締めなおしてがんばっていきたい。」と話す佐藤仁町長の目には大粒の涙が浮かんでいました。

今日9月3日は、南三陸町にとって大きな節目の一日。復興から創造へ。南三陸の挑戦はこれからも続いていきます。

今の気分を尋ねられて、「感慨ひとしお」と話す佐藤仁町長。涙を浮かべ、言葉をつまらせる場面も

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