多分にもれず少子高齢化の進む南三陸町。子どもたちや子育て世帯が増えるよう、どんな子育て支援政策がとられているのでしょうか?実はなかなか手厚かった、町の子育て支援についてご紹介します。
子どもの減少する南三陸町
日本国内において少子高齢化が、大きな問題となっていることはご存じだと思います。
南三陸町においても同様に人口減少と少子化・高齢化が進み、「南三陸町人口ビジョン」によれば、2040年には町人口は8,109人に、特に15歳未満人口は2010年の2,158人から大きく落ち込み、わずか514人と予想されています。
参考:南三陸町人口ビジョン
町の未来の存続を左右する大きな課題を前に、町では「南三陸町総合戦略」の策定をはじめ、子育て支援についてもさまざまな取り組みを行っています。
参考:南三陸町総合戦略
子育て世代である若者が町を離れる理由の1つに「子育てしにくい」というのが挙げられますが、南三陸の子育てサポートはどのようになっているのでしょうか?
町保健福祉課の阿部好伸さん・佐々木由貴さんにお話を伺ってきました。
実は、南三陸町の保育料は国基準の半額!!
―まず、子どもが生まれてからの流れについて教えてください。
子どもが生まれると、年齢に応じて「保育所」や「幼稚園」などの教育・保育施設等に入所・入園し、その後小学校へ入学となります。
―「保育所」「幼稚園」「認定こども園」っていろいろと種類があってちょっと分かりにくいですよね。
町内には現在8ヵ所の教育・保育施設があり、町立の認可保育所が3ヵ所、認定こども園が町立1ヶ所・民間1ヶ所、事業所内保育所2ヵ所・私立の幼稚園が1ヵ所です。
それぞれ対象年齢や設置の目的が異なり自由に選択することができますが、学区内の施設に通い、そのままお友達と小学校へ入学する、という選択を取るご家庭が多いようです。
―保育料も選択条件の1つになりますよね。
私立を除き、国の新制度スタートを受け保育料が一律となっていて、保護者の住民税額に応じて町が設定をしています。
子どもの年齢や保育の必要性に応じて支給認定区分というものがあり、その区分によっても金額が異なるのですが、国の基準の半額ほどとなっていて、実はとても安いんですよ。
さらに、多子世帯は2番目の子は半額、3番目以降はなんと無料となります。
―なんと!ちなみに、これらの施設の定員に空きはあるのですか?
現在3~5歳児については待機児童はいませんが、3歳未満児について待機児童が発生しています。
―共働き家庭も増えていますから、小さなお子さんを持つ家庭は大変ですよね。
一時預かりや病児預かりを行っている施設がないことも課題ですね。
保育所・こども園など以外に利用できる施設
―保育所とこども園以外にはどんな施設があるのですか?
町内の保育施設へは最も低年齢で10ヶ月から入所できますが、それ以前から利用したいという声も多く、未就園児のお子さんを持つご家庭には、たくさんの遊具やおもちゃ・絵本で自由に遊ぶことができる「子育て支援センター」のご案内をしています。
―保健福祉課のあるケアセンターの2階にある部屋ですね。
「子育て支援センター」は志津川・歌津・戸倉に各1ヵ所の計3ヵ所。加えて月に1回「入谷ひろば」として、入谷公民館の和室で遊びの広場を提供しています。開館時間は毎週月~金曜日の10:00~15:00です。
―誰でも利用できるんですか?
町内の方に限らずどなたでも利用できますが、託児や預かり保育ではなく施設開放ですので、保護者さんも一緒に遊びにいらしてください。ママカフェやおたのしみ会など、定期的に楽しいイベントも開催されています。
―今後、復興事業で新規に予定されている施設もありますか?
今後予定されている施設としては、平成30年度の予定で志津川中央地区に志津川保育所の新築移転、平成29年度から志津川地区放課後児童クラブ(学童)が志津川小学校内の空き教室へ移転、さらには歌津小学校学童の設置も予定されています。
志津川中央地区には図書館機能も備えた生涯学習センターも設置されます。
施設以外に、利用できる支援
―施設以外にも、行政のサービスなどで利用できるものはありますか?
「子育て世帯応援券支給事業」や子ども医療費の助成、児童手当の給付など、経済的な支援も様々行っています。
―なるほど。詳しくお聞きしたいので別途記事にします!
そのほか、保健福祉課内の健康増進係では、お子さんの定期検診時に絵本の配布をおこなっています。
3ヶ月児健診・7ヶ月児健診・1歳6ヶ月児健診・2歳6ヶ月児健診の計4回に、それぞれの年齢に合った絵本がもらえます。
—小さいことですが保護者にとってはうれしい、あたたかい支援ですね。
こうした支援の情報を網羅した子育てハンドブックを制作中
―いろいろな支援がありますが、町民のみなさんはちゃんと情報を得られているでしょうか?
町広報などでも様々な支援について案内しているほか、出生届等に基づき、それぞれの年齢で案内をしています。しかし多くの支援があり、それぞれ受けられる対象などが異なり複雑なため、少々分かりづらくなっているかもしれません。そのため、現在これらの情報を網羅した子育てハンドブックの作成に取り組んでいます。
―それはいいですね!どんなものになりますか?
保健福祉課に限らず課の枠組みを越え、生まれてから小学校に入学するまでに受けられる支援を幅広く紹介するものとなる予定です。今年度中には作成できる計画です。
子どもたちが健やかに育つ町へ
子どもや子育て中の町民が受けられる、利用できる様々な施設や支援についてお話を伺いました。
想像よりも手厚い支援に驚きましたが、複雑でさまざまな課題を抱える南三陸町にとって、子育て支援政策だけでは若者や子どもが増えないのも悩みの種です。
総合戦略の遂行やますます充実した子育て支援の実施で、子どもが増えていくと良いですね。
子どもの笑顔は町の賑わいを生み、町の将来を輝かしいものとします。“地域みんなで子どもを育む”意識をもって、子どもたちが健やかに育つ町を目指していきたいと思います。