今年も元気に越冬中!絶滅危惧種のコクガンが多く飛来しています

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2018年10月に「ラムサール条約」に登録された志津川湾。その象徴のひとつでもある「コクガン」が今年も北極圏から越冬のために南三陸町にやってきています。豊かな藻場や安定した環境が絶滅危惧種のコクガンにとっても快適な居場所となっています。

コクガン越冬の場所として最適な志津川湾

コクガンは北極圏のツンドラで繁殖した後、冬鳥として日本沿岸にやってくる渡り鳥です。ガンの仲間では唯一海に暮らす種類であり、日本を含む東アジアで越冬する個体数が非常に少なく、国の天然記念物に指定され、絶滅危惧種(絶滅危惧Ⅱ類:環境省・宮城県)でもあります。

国内では3000羽ほどが越冬するというコクガンですが、志津川湾には毎年100-200羽ほどがやってきます。

その理由には、

  • 志津川湾が静かで穏やかな内湾であること
  • エサとなるアオサやアマモなどの海藻や海草の安定した藻場があること
  • 休憩場所となる岸壁や岩礁帯があること

など、コクガンが冬を越すのに適した環境が揃っているためと言われています。

首に首輪のような白い模様があるのが特徴で、この時期の志津川湾内では養殖ブイのあいだで漂っていたり、港や浜に流れ着くアマモなどをついばんでいる姿を見ることができます。

今シーズンは既に300羽以上が確認

「志津川湾にやってくるコクガンの数は年々増えています」と話すのは、南三陸ネイチャーセンター友の会会長の鈴木卓也さん。2019年12月末に、友の会メンバーが歌津から戸倉まで各地域で飛来数の調査を行ったところ、300羽を超えるコクガンが確認されました。

「昨年の調査よりも100羽ほど多く確認されました。アマモなどの藻場が復活していること、2018年のラムサール条約に登録されて以来、漁業者の方々をはじめ、コクガンが安心して過ごせるような環境を意識してくださる人が増えたことがつながっているのではないか」と話します。

そして鈴木さんは「コクガンはじつは謎が多い鳥」と続けます。

日本に渡って来るコクガンたちが、広大な北極海沿岸のどこで繁殖しているのか、どのようなルートで日本に渡って来るのか、正確なことはまだ判明していません。その謎の多さが多くの人を惹きつける要因のひとつなのかもしれません。

南三陸ネイチャーセンター友の会会長・鈴木卓也さん
スコープで観察する様子

自然と共生するまちの象徴

志津川湾は2018年10月にラムサール条約(正式名称「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」)に登録されました。200種を超える海藻と5種の海草が確認されるほど藻場の多様性が維持されていることや、希少な水鳥の重要な越冬場所であることが評価されました。

震災以降、持続可能なまちを目指して「森里海ひといのちめぐるまち」というビジョンを掲げた南三陸町。自然と共生するまちを目指す町において、「コクガン」はひとつの象徴なのかもしれません。冬になって北極圏からやってきたコクガンは、3月末ごろに南三陸町を再び飛び立ち、北へと向かっていきます。

比較的警戒心が弱く、港などでも見ることができますが、観察をする際には近づきすぎずに、スコープなどを使用して、遠くからそっと観察することをおすすめします。

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