町民バスデマンド運行開始!町民の新たな足への挑戦

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町民バスを活用したバスデマンド運行

バスの本数不足や運行ルートなど各諸問題に対応するため、町民バスに代わる新しい交通手段として町民バスデマンド運行の実証実験が入谷地区で始まりました。完全予約制、アプリ、タブレット、ICカードなど新しい取り組みがどのように広まっていくのか注目の事業です。

バスデマンド運行出発!

町民バスデマンド運行出発式が7月3日(月)に入谷公民館の駐車場にて行われ、式には佐藤町長をはじめ、実証実験に参加したトヨタ自動車様や林際カーシェア会、行政区長さんや社会福祉協議会の方々が参加しました。

町長をはじめ行政区長さんやトヨタからの出席者の皆様

入谷ひがし幼稚園の園児によるお祝いの歌と、テープカットの後に佐藤町長が試乗。

元気に大きな声で歌を歌ってくれた園児たち
代表者らによるテープカット

まずは佐藤町長とトヨタ自動車の林田様が乗車し、ICカードも披露され乗車時の実演も行いました。

乗車の際にICカードを機械にタッチするだけでOK

町内の交通問題

今回この町民バスデマンド運行の取り組みがスタートした背景には、町内の交通機関の諸問題が挙げられます。現在、南三陸町内ではBRTと町民バスを中心とした公共交通機関が整備されていますが、町内全てを網羅しているわけではありません。町民バスは時刻表に伴った運行を続けていましたが、利用者や町民の方から様々な意見が出ていたと佐藤町長は話します。

かねてからの課題だったと話す佐藤町長

「各地域からこっちの時間を早めてほしい、バス停はこっちにしてほしいなど様々なご意見があるのですが、路線という形で運行している関係上、どうしても皆様のご要望全てにお応えするのは非常に難しい問題でありました」

こうした諸問題に対して林際カーシェア会の皆様が自分たちで実証をしようと動き、それが今回の町民バスデマンド運行に繋がったとのこと。利便性が以前よりも上がると言われる「バスデマンド」とは一体どういうシステムなのでしょうか。

そもそも“バスデマンド”とは?

「バスデマンド」はデマンドバスやオンデマンドバスとも呼ばれているサービスになります。

これらを総称し「デマンド型交通」といい、一般的なバスのような決まった路線と運行スケジュールではなく、利用者に合わせた路線とスケジュール(要求=demand)で動く地域公共交通のことを指します。

予約時に使用するタブレットとICカード

南三陸町では「フルデマンド方式」を採用し、利用者の呼び出した場所から目的地まで運行する形式になっており、あらかじめ設定されたバス停から好きな目的地に好きな時間(運行時間内)に移動できることが可能になります。利用するには利用登録者証が必要で、スマートフォンまたは書面にて個人情報や引き落とし口座を登録。公共施設などに設置されたタブレット端末や自身のスマートフォンでウェブアプリを開き「乗る場所」「降りる場所」「日時」を予約すると、指定した時間・場所にバスが迎えに来ます。料金はキャッシュレス対応となっており、スムーズな利用が可能。今後、クレジットカード決済の導入も検討しているそうです。

今回の実証実験では町内各地と一部個人宅に40台のタブレットを設置、ICカードを入谷地区の方々に事前にお配りしているとのことでした。

利用方法の実演

式終了後、入谷公民館内で佐藤町長と町役場企画課の職員による予約方法についてのレクチャーが開かれました。

端末のカメラで読み取るところにICカードを置くところが付いている

実際に見てみると煩わしい操作もなく、画面に出てくる指示に従えば簡単に配車が予約出来るようになっています。
①「おでかけ」ボタンをタップ
②ICカードを端末のカメラで読み込む
③目的地を選ぶ
④目的地への行き方を選ぶ(できるだけ早く・出発時刻を指定・到着時刻を指定の中から選択)
⑤希望する乗車時刻を設定(本日・明日以降6日後まで)
⑥配車プランが表示され、タップすると予約が確定

行き先を選ぶ画面
予約の確認画面。料金も表示される

また、運行中に新規で追加された予約については、搭載されたAIが行き先までの最適なルートをセッティングしドライバーが確認出来るようになっているとのことで、人的ミスや利用者が予定通りに乗れないなどのトラブルを回避するために機能することが期待されています。

アプリについて説明するトヨタ自動車東日本株式会社の鈴木様

実証実験の先の展望

今回の実証実験は入谷地区を皮切りに、年度内に歌津地区での運行が予定されています。期間は一年半でその後の展望について佐藤町長は「一番大事なのはこのデマンド交通を“絶対にやらなければならない”ということではなく、町としてこの方向性で進めていくこと。実証実験をした上で「やらない」ということにはならないと思います」と説明。取り組む姿勢として「南三陸町全体の公共交通機関の足をしっかりと確保することが目的ですので、我々も前向きに腹を括って挑戦していきたいと思います」と、今後の町にとって欠かせない交通機関の充実に向けた熱い想いが走り出しました。

展望を語る佐藤町長

▽参照:町民バスのデマンド運行について|南三陸町
https://www.town.minamisanriku.miyagi.jp/index.cfm/7,43723,38,html

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