2017年3月に志津川新市街地へ移転する「南三陸さんさん商店街」。「南三陸さんさん商店街」新築工事の起工式が7月6日に建設予定地にて開催されました。いよいよ本格的な工事が始まります!
それぞれの思いが集る起工式
志津川湾をのぞむ高台に設置されたテントには、町内外から駆けつけた100名程の人で埋め尽くされました。会場は飛び交うお祝いの言葉で、賑やかな空気に包まれていました。
起工式は、神事からはじまりました。町内上山八幡宮の宮司を斎主として、無事建設が進み、復興の大きな足がかりとなるよう願いを込めて、関係者の手によって、鎌入れ、鍬入れ、鋤入れの儀、お祝いに駆けつけた方々の玉串奉納と粛々と執り行われました。
建設はこれからですが、ここまで来るのにも5年の月日と多くの人の力がかかっています。参加者の皆さんもそれぞれ感慨深い思いを背負っていたことでしょう。
観光・交流拠点づくりに向けて、一丸となってまい進
神様をお送りして神事閉会の後、株式会社南三陸まちづくり未来・代表取締役社長の三浦洋昭氏をはじめ、佐藤仁町長、設計を手がけた隈研吾氏、建設工事共同企業体を代表しナイス株式会社の平田潤一郎氏より新築商店街に向けての熱い思いが語られました。
2012年2月26日、仮設の南三陸さんさん商店街のオープンは大雪だったと感慨深く語る佐藤仁町長からは、先の6月には魚市場もオープンし、水揚高は震災前以上に成長したという嬉しい報告と今までがんばってきた町民の皆さんへのねぎらいの言葉もありました。
新築商店街は、交通の要となるJRのBRT駅も隣接し、観光・交流拠点としての要素も揃っています。官民協力し、復興の象徴となる商店街をつくろうという強い思いが伝わってきました。
設計者隈研吾氏が目指す新築「さんさん商店街」はどんなもの?
隈研吾氏からは、デザインのコンセプトをお話しいただきました。
高台に位置する商店街の建物は海の方向に開けた配置になっており、通りから志津川湾を眺めることができます。約6000㎡の敷地には、28の店舗が入ることになっています。コミュニケーションの場でもあった昔の商店街の良さを取り入れ、敷地内のあちらこちらにベンチが設置されるそうです。
隈氏のデザインが目指すものは人のぬくもりが感じられるもの。新築商店街は、昨年秋にFSCを取得した南三陸杉がふんだんに使われた切妻屋根を持つ6棟の木造平屋建てで構成されます。南三陸杉の人の肌を思わせるような柔らかなピンクの色合いと木肌のぬくもりを活かしたやさしい風合いの建物がひろがることでしょう。
雨降って地固まる「さんさん商店街」
現在の南三陸さんさん商店街は、仮設商店街として2012年2月にオープン。以来、多くの観光客が訪れました。志津川湾から約2キロの内陸に位置する仮設商店街は、広い敷地に平屋建ての店舗が並び、中央の広場はイベントスペースとしても活用されています。テントづくりのフードコートには各店舗のオーダーを持ち寄ることもでき、大人数を収容する場にもなってきました。2014年には経済産業省が選出した「がんばる商店街30選」に唯一仮設商店街として選出されるなど、周遊型の商店街として注目を集めてきました。
「さんさん商店街」の名前は、さんさん日のあたるという意味を込めて命名されたそうですが、なぜかイベントは天候不順が多く、仮設商店街がオープンした2012年2月25日も大雪でした。今回の起工式もあいにくの雨になってしまいましたが、まちづくり未来の三浦社長の挨拶に引用された「雨降って地固まる」ということわざのように、天候不順もなんのその。4年半もの間、一致団結して商店街を盛り立ててきた実績をもつ「さんさん商店街」の新展開に、期待も高まります。
新しい景観を彩る新築「さんさん商店街」のオープンは2017年3月3日
南三陸町の志津川湾を取り囲む地区は、未だ、土砂があちらこちらに積まれ、土色が広がる風景。しかし、来年3月には、そんな一角に、彩りのある新築南三陸さんさん商店街が生まれます。
これまでの仮設商店街も周遊を楽しめる商店街として注目を集めてきましたが、新築商店街は海に面し、魚市場も近く、立地的にも建物自体も見所のある空間になることでしょう。