南三陸で活躍する地域おこし協力隊の今(前編)

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(提供:Next Commons Lab南三陸)

5月13日(月)、役場第二庁舎で2018年度地域おこし協力隊活動報告会が開催されました。会場には地域おこし事業に関わる関係者30名ほどが参加。隊員は少ない持ち時間の中で、南三陸町にかける想いと自身の活動を報告していました。報告会の様子を前後半でお届けします。

そもそも地域おこし協力隊とは

総務省が2009年に地方の発展と定住・定着を目的とし、創設した制度です。自治体により隊員の業務は異なりますが、最大任期3年と限られた時間の中で、活動を行います。現在では約5300人の隊員が全国各地で活動。南三陸町では震災後の2016年に地域おこし協力隊の事業がスタートしました。

スタート時は3名だった隊員も、徐々に増え、現在は10名の隊員がそれぞれの分野で活躍。

今回の活動報告会には、今年の3月で任期が終了した2名の隊員も参加。研修のため欠席した隊員もおり、9名から報告がありました。会場には、受け入れ企業や関係者など約30名が参加し、報告が終わると関係者から質問やコメントが寄せられました。

新規就農!3年間の経験を胸に南三陸らしい暮らしを目指す

昨年度で協力隊を卒業した、農業振興支援員の藤田岳さん。3年の任期を終え、晴れてこの春から新規就農しました。ネギを中心に、20品種ほどの栽培に挑戦しています。

農業初心者として協力隊に着任。3年間のうちに、南三陸ワインプロジェクトを立ち上げ、試験栽培の100本のブドウ苗木の栽培に加え、700本の苗木を購入し入谷童子山にブドウ畑を整備しました。任期終了に伴い、ワインプロジェクトからは離れたものの、ブドウの栽培は引き続き行っています。

今後は、農業を通した教育活動などにも力を入れていきたいと話し、積極的に農業ボランティアの受け入れもしています。今年になり新規就農した若手や新規の隊員もいるので、連携して活動していきたいと話していました。「無理なく南三陸らしい暮らし」を目指す新たな生活のスタートとなりました。

この町が大好き。町が元気になることを続けていきたい

同じく昨年度で協力隊を卒業した地域資源活用事業化推進員の中村悦子さん。

震災後に地元のお母さん達で立ち上げた「南三陸おふくろの味研究会(魚市場キッチン)」では、町の新鮮な海産物を活用した缶詰めの製造・販売をしています。中村さんはその事務局として製造から発送、経理、広報など幅広い業務を担当し3年間活動してきました。

南三陸おふくろの味研究会が目指すのは「お母さん達が真心こめて作った缶詰を全国に広める・魚介類を食べて幸せな気持ちになってもらう・メンバーが楽しく、続けていける場所」。着任当初は3種類しかなかった缶詰も、商品開発により12種類まで増え、名物のひとつに。

3年間を振り返って、「目標にしていた法人化できなかったのが一番の心残り」と話します。

それでも地元に戻るという選択肢はなかったと言います。4月からは、さんさん商店街にある「さんさんマルシェ」の店長として働き始めました。南三陸おふくろの味研究会の事務、経理や発送など一部の業務も引き続き行っています。南三陸町が大好きで、幸せな暮らしをしていると話す中村さん。「これからも町が元気になるお手伝いを続けていきたい」と南三陸町への想いを話していました。

目指すは日本トップクラスのワイン

2017年8月に着任した正司勇太さんと、今年1月に着任した佐々木道彦さん。2人は南三陸ワイン事業化推進員として南三陸ワインプロジェクトを進めています。試験的にワイン用のブドウ栽培をしたことから始まった南三陸ワインプロジェクト。

プロジェクトを開始して3年目を迎えた今年4月、山形県産のブドウを使った南三陸ワインが発売開始になりました。町内の店舗、飲食店やイベントなどで販売しており、発売から1ヶ月あまりで約600本が売れ、スパークリングワインは完売しました。

「栽培、醸造した土地によって様々な味わいを出すワイン。同じ品種のブドウを使ったとしても、出来上がるワインは千差万別。そんなワインの特徴をテロワールといい、ワイン作りの魅力です」と佐々木さんは話します。また、人を繋ぐことが出来る、コミュニケーションツールとしての役割もワインの魅力だと言います。ワインプロジェクトでは、ワインをハブに新たな繋がりやコミュニケーションの輪を広げることも目指しています。

今年の秋には、南三陸町で栽培しているブドウの初収穫を迎えます。来年には町内にワイナリーも建設予定で、町内でとれたブドウを使い、町内で醸造したワインを味わうことができるのもそう遠くはなさそうです。

ワインプロジェクトについて活動報告をする佐々木道彦さん
今年収穫を迎えるブドウの手入れをする正司勇太さん(写真提供:㈱ESCCA)

食とスポーツの交流拠点

2018年1月に着任した井原健児さん。市街地コミュニティ活性支援員として、新たな賑わいを作ることを目指しています。

初めて南三陸町を訪れた時、子ども達の遊び場が少ないと感じたと話します。飲食業に長年勤めていた経験と趣味である運動を生かして、食とスポーツの拠点をつくり、新たな賑わいを生むことを目指しています。着任当初は町内外限らず交流できる拠点を構想。さんさん商店街向かいの土地に、トレーラーハウスを活用した事業を考えていましたが、事情により断念せざるを得なくなりました。

一度は諦めかけたものの、違うアプローチを模索することとなりました。現在でも食とスポーツのコンセプトは変えず、まずは町の人達が気軽に訪れて、楽しむことが出来る場所を目指しています。

今年9月に生涯学習センターの斜め向かいの土地に飲食店を出店予定。得意の洋食を提供予定で、店内ではスポーツ観戦ができる設備も備える予定です。もちろん出店するまでにも課題は山積み。それでも途中で諦めることなく活動していきたいと話します。食とスポーツの拠点、いったいどのような場所が出来上がるのか注目です。

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