南三陸で活躍する地域おこし協力隊の今(後編)

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南三陸のプロジェクト相関図(提供:Next Commons Lab南三陸)

5月13日(月)、役場第二庁舎で2018年度地域おこし協力隊活動報告会が開催されました。会場には地域おこし事業に関わる関係者30名ほどが参加。隊員は少ない持ち時間の中で、南三陸町にかける想いと自身の活動を報告していました。報告会の後半の様子をお送りします。記事前半はこちら

農業の魅力を子ども達に伝えたい

2018年12月に新規農業振興推進員として着任したばかりの、松田ゆきさん。「コレクトフード」と題した、オーガニック農業による体験型民泊プログラムを掲げています。

松田さんが目指すのは、南三陸町にあるものを活用した、オーガニック農業。例えば牡蠣殻を活用した暗渠(あんきょう)や海藻を活用した肥料、杉の葉や杉皮を利用したマルチシートなどを考えています。自然にあるものを活用した自然にも人にもやさしい農業に挑戦。

収穫はまだ先なものの、既に地域住民の協力により、国が定めるオーガニックに則った形で始動しています。「環境的な国際認証を3つも取得している町で、環境に配慮した農業をすることで新たなブランドにしていきたい」と意気込みます。ゆくゆくは南三陸町の魅力や農業の魅力を子ども達に伝えていきたいと話す松田さん。新たな農業ブランドの確立に挑戦です。

※写真はイメージです

 

南三陸独自のモジュールハウスの開発!

2018年1月に着任した森林資源活用推進員の羽根田将宏さん。

町産木材を活用したモジュールハウスの開発をして地域資源、雇用の創出を目指しています。着任してからは、さんさん商店街のデザインを手がけた隈研吾建築都市設計事務所にインターン。当初はトレーラーハウスを活用した事業プランを構想していました。

現在は多様な目的で使用することができるモジュールハウスの開発を事業として考えています。

「非日常を提供することが出来るのがモジュールハウス」と話す羽根田さん。開発しているモジュールハウスの広さは4畳半ほどで必要に応じて拡張も可能。タイヤを付けることで町内を簡単に移動できる機能も盛り込んでいます。今年9月には、そのモジュールハウスのプロトタイプのお披露目を予定しています。まずは住民に触れてもらう機会を増やそうと、町内を移動させ、人が集まっている場所に設置。期間限定で貸し出すことでチャレンジスペースとしての運用を考えています。また託児機能も持たせたいと話しており、年齢問わず使ってもらえる場所を目指しています。

 

自然にやさしい!海が見える絶景ハウス

羽根田さんと同じく、森林資源活用推進員として2018年4月に着任した平山太一さん。広告業界に4年間勤め、環境問題の深刻さを知ることになりました。この経験をもとに、世界的にエネルギー問題が深刻化する中、エネルギーの自給自足を目指すオフグリットハウスのプロデュースに挑戦。さらに、環境に配慮しつつも、しっかりとプライベート性を保ち、快適な町産木材のハウス建築を目指しています。

立地も南三陸町ならではの、海が見える絶景に建設したいと平山さんは話します。世界的にムーブメントのひとつになっているオフグリッドハウス。国内に限らず、海外観光客もターゲットに事業を進めていきます。

持続可能なまちを目指す南三陸町で、地球にやさしい家を広めていきたいと意気込む平山さん。エネルギー問題が深刻化する中で、この事業が解決の糸口になるか期待が高まります。

 

未利用材の活用!目指すはエネルギー自給自足モデル

2018年12月に着任したエコタウン推進員の佐野薫さん。合同会社MMRと共に、町の面積の8割を占める森林資源をペレットとして活用する、エネルギー循環型社会の構築を目指しています。町内でもまだまだ認知度、利用者が少ない中で、新たなユーザーの創出とペレット工場の建設をミッションに掲げ、ペレットの利用の拡大に挑みます。

大学進学後に林業と出会い、魅力に取りつかれていった佐野さん。大学院まで進学し、測量から生態系管理など林業に関する様々な勉強をしてきました。林業という職種は認知度が低く、木材の価値を上げることは簡単ではないと学生時代に痛感。それでも林業で活躍する大人の出会いによって、林業の仕事に強い憧れを持つようになりました。

着任からの半年間は、ペレット事業のこれからの道のりを数値化する作業や合同会社MMRの原点整理から取り組みました。膨大な森林資源がありながら、活用するシステムがないことが課題だと言います。幾多の災害を乗り越え、長い年月経っても残り続ける資源が山(木材)です。

今後は事業の本格始動に向けた調査を実施していきます。財政面はもちろんのこと、材料となる木材がどれだけ集まるか、町内にどれだけのニーズがあるかなど課題は山積みです。それでも、めげずに全力で時間を使っていきたいと強く意気込んでいました。

想いを持った隊員達の今後の活躍に期待

事務局の㈱ESCCA山内亮太さんは、「都会に疲れてここに来たという人はいない。それぞれ、隊員は新しい挑戦をしたいという想いで来ている」と話しました。各隊員の活動報告からは、自分が目指すビジョンと町への熱い思いが伝わってきました。

隊員たちは起業のプロではないため、躓くことや壁にぶち当たることなど幾多の困難に直面します。それでも諦めることなく、地域とつながり協力することで自分のビジョンの実現と町の未来を創っていくことを目指しています。6月には1名、新規隊員が着任。これからどのような発展を遂げるのか、今後も隊員たちの活躍に注目です。

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