子どもたちが見つけた「南三陸の宝」とは?KODOMOラムサールin南三陸町開催

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ラムサール条約に登録された南三陸町で開かれていた「KODOMOラムサール」。北海道から熊本まで全国の子どもたちが集い、さまざまな体験を通じて「南三陸町の宝」を探し、町民に発表しました。

全国から子どもたちが南三陸町に集い、宝探し

平成30年10月に南三陸町志津川湾がラムサール条約湿地に登録されました。登録を記念して、平成31年2月9日から2月11日の3日間KODOMOラムサールが南三陸町で開催されました。

KODOMOラムサールとは、湿地と人とのかかわりについて調査研究、普及活動を行っているラムサールセンターが中心となり、平成18年から始まった子ども湿地交流イベント。ラムサール条約に登録された湿地を舞台に、全国の湿地で活動する子どもたちが開催地に集合し、開催地の湿地の魅力について学び、考え、行動していく環境教育プログラムです。

地元南三陸町の子どもたちを含む北海道から熊本まで9の湿地から小学4年生〜6年生32名の子どもたちが参加。豊かな海産物を育む海を漁船に乗って見学したり、その海を支える林業の現場を訪れたり、三陸地方に伝わる文化である「きりこ」の製作体験をするなど、南三陸町の豊かな自然を体感しました。

最終日の11日には、それらの体験をもとに子どもたちが「南三陸町の宝」を選出。試行錯誤して宝を選ぶ過程が一般公開されました。

意見を交換し、選ばれた6つの「宝」

それぞれが感じた南三陸町の宝をまとめあげていくにあたって子どもたちは白熱した議論を行なっていました。

「体験を通じて、漁師さんなどがいつもやさしくていねいに接してくれたので”人の優しさ”こそ“宝”だと感じた」

「ASCとFSCはそれぞれ一つ取っているだけでもすごいことなのに、南三陸町は二つもとっているのがすごいと思う。両方とも生き物のためにもなっているし、人のためにもなっている。だからこの二つは“宝”として欠かせない。ラムサール条約をとっている場所はたくさんあるけれども、これを取得しているところはほかにない」

「南三陸に伝わる”きりこ”はこれまでなんども津波が襲ってきたけど、そのたびに立ち上がってきた復興の証のような存在だと思うから“宝”だと思う」

「『世界が認める』という視点で見たら、ウタツギョリュウなどの化石なども“宝”なのでは?」

「何回も津波に襲われているのに、その度に立ち上がって立ち向かう、人の“強い心”こそが“宝”ではないか」

「分水嶺からはじまって、コクガンに至るまで、循環しているサイクルが貴重なので”命の循環”も“宝”だと思う」

「ASCやFSCがとれたのも、漁師さんや林業家など自然に携わる人々がいるからできることのなので、それも大事だと思う」

「復興を願う心とか、立ち向かう強い心とか、見えないことでも大きなものもこの町の大切なことなのではないか」

子どもたちのこうした議論を経て、選ばれた「宝」は下記の6つ。

「ASCとFSC」

「山と海の関係性」

「震災から復興する願いや強い心」

「人のやさしさ」

「コクガンなどの生き物」

「きりこ」

そしてこれらを表現するキャッチコピーとなるメッセージは下記に決定しました。

「人々の守ってきた宝、世界にとどけ!いつまで藻」

豊かな藻場が形成されラムサール条約に登録されたことで集った子どもたち。「藻」がきっかけとなって、見つけた南三陸町の人々が守り育んできたたくさんの宝。それらが「世界に届け!」との想いが込められ、一枚のポスターにまとめられました。

宝をさらに磨き上げるための第一歩

「子どもたちから南三陸に対して大きなエールを頂いた。町民がみんなで志津川湾を守って、使って、交流して一生懸命志津川湾を大切にしていきたいと思います。これからもラムサールの一員としてがんばっていきたい」と最知副町長は決意を述べました。

「初めて宮城県に来たけれど、海や森に行って、たくさんの体験をさせてもらって、地元の人の優しさにも触れて、改めてラムサール条約に登録された意味があったんじゃないかなと思いました」

「たくさんの生き物が見れて、すごい楽しかった。今回たくさんの友達ができたり、発見があったので、地元に帰って友達に話したりしたい」

「ここにしかない自然の形が見れたり、ほかの登録地の子どもたちがどんな活動をしているのかを知れたので、これからの活動に活かしたい」

と3日間を振り返る子どもたち。緊張でいっぱいだった初日から、南三陸町の宝探しを通じて、学びを得ただけではなく、大きな絆が生まれているようでした。

全国でKODOMOラムサールが開催されて以降、開催された地を中心に子どもグループが誕生しているそうです。このKODOMOラムサール開催をきっかけに、南三陸でも子どもたちが町の自然を守り、伝えるための活動が展開されるかもしれません。

今回見つけた南三陸の「宝」。それをさらに磨き上げ、輝かせ続けるために、子どもたちとともに、町民一丸となった活動の第一歩が踏み出されました。

KODOMOラムサールに参加した南三陸町在住の子どもたち

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