40年以上にわたって入谷地区で続く地区対抗バレーボール大会。今年も入谷小学校体育館には200名を超える方々が集い、笑い声と威勢のいい掛け声が響き渡っていました。健康をつくり、コミュニティをつくり、笑顔をつくる入谷のバレーボール大会を取材してきました。
41年続く入谷の恒例行事
7月2日、第41回入谷地区対抗バレーボール大会が開催されました。
入谷地区は11行政区からなっており、その各地区から約10名の代表者がチームを作りエントリーしています。震災後に男女混合になり、ビニールバレーになったそうですが、その前は男女別で行われていたそうです。
入谷地区はスポーツ振興に熱心で、年間を通じて3回の大きな体育行事があり、6月はソフトボール大会、7月はバレーボール大会、10月には運動会を行ってきました。
今回のバレーボール大会には運営、応援、参加者合わせるとざっと200名くらいの方が集まっており、選手のほとんどが20代から40代前半の方だそうです。これだけ若い世代がいちどうに会すことも珍しく、また、終わった後の慰労会でさらに親睦が深まり、それを楽しみにして参加する若者も少なくないとか。
震災にも負けず、若い人が集まる場所に
入谷の体育行事の中には、震災の年から中断したままの行事もありますが、バレーボール大会だけは1年も休まなかったそうです。
町内では一番被害が少なかった入谷地区。他地区へのさまざまな支援をしながらも、「こんな時だからこそ入谷くらいは元気に!ここから町を活気づけていこう!と、延期はしても、1年も休まなかった」とお話ししてくれたのは、佐藤伸(さとう しん)さん。各地区にいる体育振興員の代表で12年間8区の体育振興員をされています。
年々ライフスタイルの変化などもあり、参加者も減ってきましたが、新たに加わる人もいるそうです。震災で入谷に住居を構えた人や災害公営住宅に入居した方々です。地区のコミュニティにも入っておらず、普段なかなか交流することがない人々にも、バレーボール大会のおかげで声がかけやすくなったという声もあります。大会開催の趣旨には公営住宅や仮設住宅との親交も入っています。実際、震災後に入谷地区に引っ越してきた方が多数参加されていました。
「こんな機会はなかなかない。いい親睦の場だ」と話す佐藤さん。こうして、付き合いのなかった住民間につながりが生まれ、親交が深まっていきます。
地域の会合には若い人がなかなか集まらず、地域離れが深刻。そんななか、これだけ若者が集まるこのバレーボール大会は大きな役割を担っているのかもしれません。
健康と笑顔あふれる体育館
体育館を出ようと入口に向かうと「血圧測ってみませんか~?」「どーぞ、どーぞ!」と声を掛けられました。メディカルチェックを受けることが出来るそう。
南三陸町役場保健福祉課健康増進係のみなさんと入谷地区健康づくり隊の菅原文雄(すがわらふみお)さんにお話しを伺いました。
2年前、町民の健康増進のための計画を町で策定しました。その策定メンバーだった各地区の方々がそのまま「健康づくり隊」となり、地域の中でさまざまな活動をしているそう。
入谷地区は出張血圧測定が活動の一つ。看護師さんや保健師さんが出張し、血圧を測り、結果に基づいて健康や生活の専門的なアドバイスをしてくれます。
町で行っている住民健康診断は受診率が3割程度だそうで、勤め先で受診する機会がある人もいるでしょうが、それ以外の方も多いはず。そんな方にもっと積極的に受診してもらいたいと、きっかけづくりのためにこの出張血圧測定をしているそうです。
これは希望者に行っているのですか?と聞くと、「はい、強制ではありませんが、強力におすすめしています!みなさんの健康のためですから」と満面の笑みで話します。
大会はどの試合も大盛り上がり。チームによってさまざまな掛け声があったり、応援があったり、どこもチームワーク抜群です。
得点が決まるたびに歓声がおこり、ポイントゲッターにみんなハイタッチを求めて駆け寄ります。
この大会は年々白熱していっているそうで、体育館は終始歓声がひびき渡っていました。
まるで学生時代の部活動のよう。大人になってこんなにスポーツで盛り上がる機会はなかなかないものです。
入谷で続くバレーボール大会は、健康をつくり、コミュニティをつくり、笑顔をつくる、素晴らしい大会でした。