東日本大震災からわずか1ヶ月半で立ち上がり、南三陸の復興を象徴するイベントとなった福興市。2020年4月の100回開催に向けて、福興市に関わる方々の想いを伺っています。今回紹介するのは、岡山県笠岡市から通い続ける上一枝さんです。
福興市のたびに、片道1100kmを運転して南三陸へ。
2019年7月28日に開催された「志津川湾夏まつり福興市」(第92回)。たくさんの屋台が並び、大勢の人で賑わうなか、子どもたちに人気のコーナーが。オクトパス君を釣り上げるゲームです。「わぁ上手上手! 釣れたね~」と子どもたちに明るく声をかける女性が、今回話を伺う上一枝さん。ほかのメンバーと一緒に岡山県から駆けつけ、福興市をサポートしています。
岡山県笠岡市に住む上さん。南三陸町と笠岡市の商店街が、有事の際に支援し合う「全国ぼうさい朝市ネットワーク」に加盟していたので、震災発生後、そのネットワークを通じて上さんも義援金や物資を送っていました。そして2011年7月に福興市が行われた際に、初めて南三陸を訪問。笠岡の商店街のメンバーと一緒に福興市を手伝いました。
以降、冬場を除き、ほぼ毎月の福興市に足を運んでいます。「ざっと数えたところ、今回で通算63回になるかと…」と上さん。片道約1100kmの道のりを、交代で運転しながら通っているというのです。そのバイタリティ、エネルギーはどこから来るのでしょうか?
福興市を支え、南三陸と岡山をつなぐキーパーソン。
福興市に通いだした当初から、上さんは釣りゲームを担当しています。「子どもたちの笑顔が見たくて、楽しく遊べる場を設けようと考えました」と話します。また、着物が好きなことから、浴衣を集めて夏まつり福興市で町の人たちに着てもらう企画を実施したことも。
このように福興市を支えてきてくれた上さんですが、「むしろ私のほうが元気をもらっているんです」と言います。「南三陸に行くのは、人に会うためというのが大きいですね。福興市には人が集まるので、さらに色々な人と会えるのがうれしいです。そこで新しいつながりが生まれることもありますし」と上さん。
また、「南三陸のことを多くの人に知ってもらいたい」という上さんの想いをきっかけに、南三陸と笠岡の縁が広がって、岡山県倉敷市で「ミニミニ福興市」が開かれるようにもなりました。2018年7月の豪雨で被害を受けた倉敷市に、南三陸から支援を届けるなど、交流や支え合いが深まっています。このように南三陸と岡山をつなぐキーパーソンが、上さんなのです。
「福興市もですが、とにかく南三陸が大好きなんです。みなさんが私のことを家族のように迎えてくださるのが、ほんとうにありがたいことで…。これからも、たくさんの笑顔が集まる福興市を毎回楽しみにして、通い続けます!」